2009年08月

2009年08月31日

バリア破綻の病気

乳児や幼児が指を舐めて出来る舐め皮膚炎は、バリア破綻の一例ですが、
生命に関わるものもあります。

それは、火傷。

火傷は、熱で皮膚が損傷した状態で、当然バリア能力はありません。

大量の水分が体外へ失われるだけでなく、外界にいる菌やウィルスが
火傷部位に殺到し、そこから体内への侵入が始まります。

特に皮膚全層まで火傷で失うと、その面積によっては生命に関わることもあります。

ちなみに火傷患者は10歳未満が圧倒的に多いという特徴がありますので、
幼児、小学生がいる家庭では、注意が必要でしょう。

また、火傷はバリア破綻の極端な例ですが、日常的に起こるものもあります。

たとえば、痒み。

痒みは皮膚を掻くと一旦は治まりますが、皮膚は搔きむしられる事で
皮膚が削られ、バリアが破壊されています。

そうすると、余計に痒みを引き起こす物質の角層透過が促進され、
痒みが増幅するという悪循環に陥ります。

アトピー皮膚炎などがこの例に相当しますが、赤ちゃんや乳児のオムツ皮膚炎も似たようなものです。

オムツ皮膚炎の場合は、尿中のアンモニアなどの刺激物質や細菌などが
掻きむしられて弱まった皮膚やおしっこでふやけ、バリア力の弱まった皮膚へ
侵入することにより、状態が悪化していきます。

湿疹ができると、その部位は確実にバリア力が弱まっているので、
余計に角層透過が進み、湿疹が酷くなっていきます。

こうなるとステロイド剤で炎症や痒みを抑えて、ある程度バリア力を回復させる治療が必要となってきます。

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2009年08月28日

舐め皮膚炎

ブログに偉そうなことを書きながら、2歳の娘の指舐めには頭を抱えています・・(^^;;

舐め皮膚炎というものがあります。

皮膚を舐めることで、角質のバリア機能が低下してしまうもの。

皮膚は水分を与えすぎると、膨らんで、細胞と細胞の隙間が大きくなります。

パックなどはこの原理を応用したもの。

水分を大量に肌へ与え、一時的に防御力を落とした後、短時間に美容成分を一気に浸透させます。

パックでなくても、コットンで化粧水を丹念にパッティングしたあと、美容液をつければ、似たような効果になります。

さて、同じようなことが、本人の意思に関係なく起こるのが舐め皮膚炎。

指を舐めまわすことで、角質層のバリアが弱くなり、そこへ唾液などの成分が入り込むことで、皮膚炎を生じさせます。

唾液には消化酵素など、様々な成分が含まれており、通常は皮膚炎を悪い方向へ導きます。

そのため、どんどん皮膚炎は悪化し、ステロイドのやっかいになる羽目に
なるのですが、幼い娘には何度言い聞かせてもわかってもらえず・・。

苦労している親御さんは多いかと思います。

ちなみに、舐め皮膚炎は、成人でも発症します。

この場合は、指ではなく、口の周囲。
唇が乾燥したからといって、乾燥緩和のつもりで舌で唇を舐めていると、
乾燥が余計に進み、唇の皮が捲れ、酷い状態となります。

唇の乾燥予防にはワセリンなど、皮膚に浸透しない油分で覆って、
乾燥を防ぐの一番です。オイルによる艶出し効果もありますからね。


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2009年08月26日

成分の吸収 その7

水と油の両方に溶けるというものの代表例は、界面活性剤です。

たとえば、シャンプーに使われるラウレス硫酸Na。
陰イオン性の界面活性剤で、使用すると体内まで浸透する等宣伝されることがありますが、現実はどうでしょうか?

角質層を抜けるときには、油に溶けるものの方が都合がよいことを書きました。

界面活性剤は、油にも何とか溶けることができ、角質層の奥まで浸透しそうな
イメージがあります。

しかしながら、ラウレス硫酸ナトリウムやラウリル硫酸ナトリウムは、
そんな奥まで浸透しないことがわかっています。

それは、皮膚というのは、たんぱく質の塊であり、
たんぱく質はプラスとマイナスのイオンの塊でもあります。

つまり、ラウレス硫酸ナトリウムは、水に溶けるとマイナスのイオンとなりますが
このマイナスイオンが、皮膚のプラスイオンに引かれて強固にくっつくため、
結果的に奥まで浸透しません。

成分の浸透性を考えるときには、水に溶けやすい油に溶けやすいだけでなく、
水に溶けても、たんぱく質との相互作用も問題になります。

分子が小さいものは、たんぱく質にくっついてもすぐに離れます。

しかし、分子が大きくなるにつれ、簡単には外れなくなります。

以前書きましたが、ポリフェノールも分子量が大きくなるにつれ、
たんぱく質と一度くっつくと離れなくなります。

この結果、肌を引き締めるという効果が発現されます。

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2009年08月24日

薬事法改正

久しぶりに風邪を引いてというか、娘にうつされて、寝込んでしまいました。

突然、夜中に40度くらいの熱が出て、インフルエンザかもしれないと、
病院で検査してもらいましたが、簡易検査では陰性。
少しだけ安心できました。

熱とのどの痛みだけでしたので、解熱剤と抗生物質のみを処方されましたが、
時間経過と共に、症状が酷くなり、今度は咳と痰で寝苦しく・・(^^;

疲れているときに寝れないというのは、かなり辛いですね。

少し寝付けたかなと思うと、咳で起きるという繰り返し。

翌日は、病院がやっていないので、市販薬の咳止めでとりあえず凌ごうと思い、
ドラッグストアに行きましたが、薬事法改正で、よく効くOCTタイプは
第一類に指定されたおかげで、買えません。

第二類の医薬品でもそれなりに効くのですが、どうせならよく眠れるように
よく効くけど飲みすぎると副作用もある第一類医薬品をあえて使いたいのです。

だいたい薬事法改正になる6月までは、薬剤師の説明がなくても
自由に棚から好きな風邪薬を選んで、買えていたのに、
改正で、薬剤師でなくても薬を販売できる制度に変わったので、
近所のドラッグストアでは、薬剤師が必要な第一類の薬は置いていません。

第一類の医薬品を売るには、薬剤師が必要だけではなく、お客が勝手に
買わないようにレジから薬を置ける範囲も決まっていて、店内を改装する必要があります。
安売りドラッグストアはそこまで費用をかけれないということで、第二類や第三類医薬品しか扱わない店ばかりになってきました。

薬事法改正は、病院に押し寄せる患者を少しでも減らすために、
病院で処方される医薬品を販売するために行われたようですが、
これでは国の狙い通りになるのかどうか。

効く薬はやはり医者にかからないと手にはいらないということになると、
医療費抑制のための薬事法改正の意義が薄れるような気がします。

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2009年08月21日

成分の吸収 その6

角質層では、油に溶ける成分が、生きた細胞層では水に溶ける成分の方が浸透性が高いと書きました。

保湿成分なら、角質層の上層部を潤せばよいので、あまり角質層へ吸収されていくのも考え物です。

しかし、美白やアンチエイジングになると、角質層を抜けて、生きた細胞層に
届かないといけません。しかも、油に溶けるだけではなく、水に溶ける必要があります。

通常、美白成分やアンチエイジング成分というのは、水溶性のものが多く、
成分の浸透性を高めるとなると、この水溶性の成分を如何に油溶性へ変化させるかということになります。

ただ、単純に油に溶ければ良いというものでもありません。

もし、水溶性の成分を油に溶けるように変化させることに成功しても
ずーと油溶性の成分のままでは、きちんとした効果を発揮させることはできません。

つまり、角質層を抜けた時点で、元の水に溶ける成分へと戻っているのが
理想的なのですが、都合よく元の成分に戻すという仕事をどうやって成しえるのかが問題となります。

ここで、皮膚を観察してみると、皮膚の構造というのは、大きく変わりませんが、
各細胞レベルでは、毎日様々な変化が起こっています。

とくに角質層では、細胞内ではたんぱく質が分解され、保湿成分に変化したり、
細胞の外側を頑強に補強したりと、すごい勢いで細胞が変化していきます。

この細胞レベルで変化を起こしている中心的な役割を担うのが、酵素。

つまり、酵素を利用することで、皮膚へ浸透した成分は、皮膚に元々ある成分と同様に変化を受けます。

ただし、酵素も色々な種類が存在し、あまり人間の皮膚に存在しないような酵素を利用する変化をつけると、元の活性のある成分に戻らないという問題が生じます。

実際、ビタミンC誘導体の中には、ほとんど皮膚に存在しない酵素を利用しなければ、ならないものもあります。(化粧品への配合には滅多に見かけません)

そのため、メジャーな酵素を利用して、元の活性のある成分へ戻すということが第一に検討されます。

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2009年08月19日

成分の吸収 その5

角質層と表皮との違いは何であるかご存知でしょうか?

まず、pHが大きく違います。

肌は弱酸性と言われていますが、pH5なのは、角質層だけの話。

これが、角質層の下の生きた細胞がいる表皮になると、pHは7.4の中性となります。

つまり、弱酸性が良いのは、あくまで角質層での話で、生きた細胞層に到達すると
中性のものが自然なものとなります。

また、角質層は、たんぱく質から出来た細胞とセラミドや脂肪酸の油の層の2層から
成り立っていて、油になじむものの方が肌によく浸透するという性質があります。

ただし、これは角質層だけの話。

角質層を抜けると、大量の水で溢れた生きた細胞層になります。

角質層を抜けるのには、油に溶ける成分の方が有利となりますが、
生きた細胞層に入って行くには水に溶ける成分の方が有利となります。

油に溶ける成分というのは、角質層を抜けて、生きた細胞層の手前で
一旦、浸透が止まり、足踏み状態となります。

水に溶けにくいとかなり浸透力が落ちるためで、このような状態を貯留効果とも言います。

水溶性のビタミンC誘導体は、角質層を抜けるのには時間がかかりますが、
抜けた後は、さっと生きた細胞層へ拡散していきます。

油溶性のビタミンC誘導体は、角質層へは速やかに浸透してきますが、
その後の浸透は遅くなります。
ただ、角質層には、様々酵素があり、油溶性ビタミンC誘導体を徐々に
分解して、水溶性のビタミンCへと変えていきますので、
酵素分解されたものについては、速やかに生きた細胞層へ広がっていきます。

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2009年08月17日

成分の吸収 その4

皮膚の薄さと成分の吸収というのは、非常に強い相関があります。

比較的顔の皮膚というのは、薄いため、成分の吸収も多くなり、
それが良かったり、悪かったりしますが、他の腕や足、胴体の皮膚になりますと、
皮膚が厚くなる分、成分の吸収は悪くなります。

皮膚が厚くなると、セラミドの量が増える分、当然といえば当然。

また、薄い粘膜になると成分の吸収量は多くなります。

唇は特に薄く、成分の吸収が起こりやすく、注意が必要な部位です。
とくに紫外線に弱いため、色素沈着が起こるのもしばしば。

この場合は美白剤で対応する必要がありますが、あまりきついものだと
唇が負けてしまうという点があります。

唇が荒れやすいのは角質層が薄く、またバリアも未熟なためです。

体の部位だけでなく、年齢によっても角質層のバリア力は変化します。

たとえば乳児〜幼児では、角質層が未熟なため、成分の吸収力は高くなります。

これは、逆、自分の排泄物などが逆浸透してかぶれる原因にもなり、
オムツかぶれなどが起き易くなる要因ともなります。

加齢と共に角質層が発達していくため、乾燥やかぶれは起こしにくくなりますが、
乳児や幼児の肌の状態は注意深くケアする必要があります。

ちなみに、老人の肌はというと、こちらは肌が厚くなる傾向にあります。
肌に厚みがあると、バリア力が高くなりそうですが、それは適切な厚みがあってのこと。

保湿成分が少ない角質層が積み重なると、乾燥が助長されていきます。
しかも、水分が少ないと、角質は硬くなり、場合によっては割れてきます。

足のかかとなどがちょうどよい例ですが、角層を削るピーリングが有効で、
適切な厚さにすることで、角質層のバランスが取れるようになります。


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2009年08月14日

成分の吸収 その3

成分の浸透ルートには、毛穴ルートと角質層の細胞そのものを突き破るルート、
そして、角質層の細胞と細胞の間に存在するセラミドを通るルートの3種類があります。

頭皮などで、毛穴面積が大きい場合には、毛穴ルートは見逃せませんが、
通常は皮膚面積に比べて、毛穴の面積は小さいため、浸透にはほとんど関与しません。

細胞そのものを破るルートも皮膚が爛れるような化学兵器ならともかく、
通常、化粧品ではそのような化学薬品は使われないため、このルートもありません。

そもそも細胞そのものを壊すと、修復にはかなり時間がかかり、
開いた穴がふさがらないと細菌汚染などの問題が生じます。

もっとも有力なのは、セラミドを通るルートです。

角質細胞は、水によくなじむたんぱく質の塊で出来ているのに、
現実的には、油性の強い成分の方が吸収がよくなります。

たんぱく質なら、水溶性成分の方がなじみよく浸透しやすそうに思えますが、
成分の浸透ルートを考えると、油で出来たトンネルを通過して、
皮膚内に入るため、油性の成分の方が角質層を抜けやすくなります。

このセラミドのトンネルを抜けやすくするために、トンネルの間口を
広げる成分もあります。

水に溶ける成分と油に溶ける成分をくっつけたもので、エステル油というのが
それに相当します。

これらは界面活性剤ではなく、さっぱりとした油分に分類されますが、
分子構造において水と油の両方になじむ構造を持っています。

ただし、水には溶けませんので、界面活性剤のような働きは一切ありません。

乳酸オクチルドデシルなど、ピーリングに使う乳酸と高級アルコールを
くっつけて作ったエステル油は、主に育毛剤などに使用されています。

ただ、エステル油の成分は、セラミドの配列を緩めるだけで、
バリアを壊すほどの力はありません。

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2009年08月12日

成分の吸収 その2

医薬品業界では昔、肌に塗って、全身に効くような薬の開発に熱中したことがあります。

製薬会社の悩みどころは、如何に毎日、自社の薬を使わせるかということ。

たとえば、花粉症に効く鼻炎薬。一日2回服用するものと一日3回服用させる
2種類がありますが、よく売れるのは1日2回服用するタイプ。

たった1回の違いでも煩わしく思う人は多く、手軽に長く服用してもらうために
様々な工夫を行っています。

その中で、薬を肌に塗ることで、簡単に薬が使えないかという様々な研究が行われました。

皮膚に効かせる薬なら、肌に塗って治療するのが基本ですが、
今まで服用していたものや点滴で入れていたものも、肌に塗ることで患者の負担を減らせないかという工夫が求められていました。

結果として、肌からの浸透力には限界があるとして、頓挫しましたが、
肌に塗る喘息の薬など、成果があったものがあります。

喘息は朝の4時くらいに咳き込んで寝られないという症状が起こり、
これが患者さんにとってものすごく負担になるわけですが、
貼り付け薬を使用することで、薬を効かせる時間的なコントロールが可能となりました。

つまり、症状が出てきたときにその薬を飲むのではなく、症状がでる時間に合わせて薬の血中濃度を上げて、効果を出すというコントロールです。

地味な薬ですが、あの薬のおかげでぐっすり朝まで眠れる患者さんは増えて、
生活の質は大きく向上させたと思います。

ただ、肌に塗る薬にも限界があって、血中濃度が低くても十分に効くようなものでないといけません。

それは、肌を透過して血管に入る薬の量というのは限られているためで、
たとえば風邪薬のような1回分が比較的多く飲まないといけないものは、
皮膚に塗っても効きません。

それは、効くのに必要な量が皮膚からだと十分に確保できないからです。

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2009年08月10日

成分の吸収 その1

肌に塗った成分が、どのように吸収されるのか、興味がある方は多いかと思います。

保湿なら、角質層の一番上に存在すればよく、肌を活性化させる成分は別にして
角質層の上層部に留まらないと効果はありません。

なぜなら、角質層は一枚、一枚はがして行くと、その度に水分が増えていきます。

顔の部分は、20層の角質層からなりますが、10層も剥がせば
水分に満ち溢れた角質層が出現してきます。

それは、肌の水分というのは、血管から真皮に供給された後、さらに上の
表皮層の細胞へ供給され、表皮層の細胞から角質層へ受け渡しされていきます。

角質層に分配された水分は、保湿成分で保持され、しかも下に行くほど、
失うより、供給される水分の量が多くなります。

たとえば、お皿に水を満たして、放置していれば、水分はどんどん蒸発し、
お皿は乾燥してしまいます。

しかし、お皿に水道の蛇口から常に水がぽたぽたと供給されていれば、
水分が蒸発するより、供給される水の量が多いため、常に皿は水で満たされています。

角質層の真ん中から下の層はそんな状態を想像していただければよいと思います。

そして下から上に上がり、外界に近づくにつれ、洗浄や汗などで保湿成分は流され
少なくっていくため、肌の保湿能力も弱まり、肌は乾燥していきます。

とくに上層部が乾燥するだけでも肌は硬くなり、ざらつきが生じるものなので、
乾燥には注意が必要です。

保湿剤などは、角質層が最も乾燥する上層部に留まらないと効果は弱いですが、
肌には浸透しないワセリンやコラーゲンなどが保湿剤として働くのも
一番、外界に接している層を覆って水分を貯める様にするため、保湿効果が期待できます。

短時間で保湿を行うようなものは、如何に角質の上層部を潤すかということが重要となります。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)化粧品原料