2010年05月

2010年05月07日

ペプチド成分 その3

細胞を増殖させるタンパク質を如何に模倣していくか、それがペプチド成分の機能であり、その源泉でもあります。

キー部分のアミノ酸の配列を探し出すのに試験管内での培養実験を行い、片っ端から調べていきます。

この分野でリードしているのはフランスやスイスといった製薬系企業でベンチャー企業も多く参入しています。

しわ対策ペプチドで有名なアルジルリンは、しわの整形手術で使われる食中毒菌の毒素を模倣したものですが、スペインのベンチャー企業が開発したものです。

これが世界的にヒットしたため、数多くの企業が参入してきましたが、日本企業は残念ながらあまり成果は芳しくなく、資本力に勝る欧州系企業が席巻しています。

ペプチドも様々あり、筋肉を弛緩させるシワ対策成分、コラーゲンタンパク質を増加させる成分、表皮と真皮の間にある特殊なコラーゲンを増加させる成分、美白を行う成分等。

ただ、美白ペプチドの成績は芳しくありません。
メラニン刺激ホルモンの働きを抑えたりするものなど、ピンポイントで効くものが多く、総合的に働きかけるものはまだありません。

そのため、美白ペプチドが主成分とはならず、他の美白成分の補助を行うために配合されています。

いつかは発明されると思いますが、既存の美白剤のコストが下がりつつある今では、相当効率よく開発しないと難しいと思います。

ちなみにメラニンを作る反応は、酸化反応であり、抗酸化剤なら一定の美白効果を持ちます。そのため美白剤の多くは抗酸化剤としても有用なものが多いです。
ペプチドで抗酸化というのは、少し難しく、従来からあるアルブチンやビタミンC誘導体を超えるものはまだありません。

shin_chanz at 00:00|PermalinkComments(1) 化粧品 

2010年05月05日

ペプチド成分 その2

細胞への働きかけを解析するのにむやみやたらにタンパク質を合成してもしょうがないです。

それよりも人間の体内で使われているタンパク質の働きを解析して、模倣するのが一番。

細胞増殖促進効果を期待して、一部医薬品化されているタンパク質もあります。
重度の火傷や寝たきりのときにできる床ずれなど、皮膚が破れて、中の細胞が剥き出しになった状態で使う薬品です。
従来は、消毒薬で包帯を巻き、患部を清潔に保ちながら回復を待つという消極的なものでした。

しかし、それでは細胞の増殖の盛んな若者ならともかく、寝たきりの老人では皮膚細胞の増殖性が劣り、いつまでも皮膚が塞がらず、傷の状態が治らないどころか悪化していくという状況がありました。

そこで、皮膚の細胞を増殖する成分を吹き付けて使うことで、細胞の増殖を促し、傷口を塞ぐ時間短縮に役立てています。

もちろんいくら増殖を促すタンパク質を塗っても、細胞が応答しないこともあり、その反応性は様々ですが、それでも使わないより使ったほうが回復が早いということで、最近では広く使われるようになりました。

ただ、細胞へ強く働きかけ増殖を促しますので、出来る皮膚は周囲と同じとは限りません。急ごしらえの場合は、審美性を無視して作り上げるため、少し違和感のある皮膚になることもあります。

さて、化粧品の場合は、EGFなど体内に含まれるタンパク質をそのまま配合する場合と、EGFを解析して、細胞へ命令を与える部分のペプチドのみを配合する場合の2種類に分かれます。

浸透性が良いのは、後者の場合で、分子が小さいため、肌への浸透は高くなります。
ただし、化粧品に表示される名称があまり良くないという問題もあります。

その点、EGFなどはすきっりとした名称になるため、名前の点からはタンパク質そのものを配合するほうが有利となります。

shin_chanz at 00:00|PermalinkComments(8) 化粧品 

2010年05月03日

ペプチド成分

コラーゲンは大きいままだと保湿効果があります。

ただし、細胞を増殖させたり、逆に抑制させたりそういった機能はありません。

あくまで、保湿専門のタンパク質です。

ところが、コラーゲンが分解すると、ペプチドという成分となり、こちらはタンパク質の合成を促す成分となります。

細胞はコラーゲン分解物が細胞内へ入ってくると、コラーゲンを合成しないといけないと感じるのか、コラーゲン合成を盛んに行います。

面白いのは、このコラーゲンが人間のものでも無くてもいいということです。
豚やウシ、羊、魚から採取したコラーゲンの分解物が、人間の細胞に働きかけ、合成を促進します。

人間の細胞は、そのコラーゲン分解物が元は自分で作ったものか、それとも全然違う生物のものなのかはいちいち考えていません。

ただ、アミノ酸の配列が、細胞へコラーゲン合成を促進する信号になるのかどうかが問題なのです。

アミノ酸が適当につながっているだけでは駄目で、規則性が必要となります。

いかに有効成分の産生促進につながる規則性を見出すかがペプチド開発のキーとなっています。

現在は、様々なペプチド成分があります。
古くは加水分解コラーゲンのようなコラーゲン分解物でしょうか。
細胞へ働かなくても髪の毛の修復や手触り感触向上等でヘアケア分野では古くから使われていました。特に痛んだ髪の毛にはシリコーンの次によく効くものです。

古くからあるコラーゲン分解物も今はスキンケアへの応用も多くなっています。

shin_chanz at 00:00|PermalinkComments(0) 化粧品