2010年11月

2010年11月30日

クリームの寿命

手作りでクリームを作る場合、色々と問題点が生じます。

ひとつは界面活性剤と油分との割合。

本来は、油に対して界面活性剤の割合が少なければ少ないほどいいに決まっています。
また、界面活性剤も油や水に溶けないものが理想的。
油にも水にも溶けないなら、どうやって乳化するということを思われるかもしれませんが、油にも水にも溶けない場合、油と水の境界面のみに存在することになります。

つまり、油や水に溶けると、乳化に使う以外にも油や水に飽和して溶ける必要があるため、無駄な乳化剤の量が必要となります。
しかし、油にも水にも溶けないとなると、こういった無駄な乳化剤の量が減らすことができ、低資源化できそうです。

ただ、現在のところ、油にも水にも溶けない乳化剤というのは、ほとんどありません。

どちらか一方、油のみに溶けるもの、水のみに溶けるものが使われています。

手作り化粧品用の乳化剤に使われるのは水のみに溶けるものが多いです。
恐らく簡便さを考慮してのことでしょう。

油に溶ける乳化剤の場合、60℃以上で、油と乳化剤を混ぜて均一にしながら、水を少量ずつ入れて乳化するという方法をとります。
結構手間で、温度制御も必要ですし、常温で乳化というのは、難しいです。

その点、乳化ワックスなどはワックスを溶かせば乳化することができ、簡便ではありますが、その分乳化剤の量が多くなるというデメリットがあります。

乳化というのは、プロでも失敗することも多く、界面活性剤を減らして作ろうとするとそのような傾向になりがちです。

shin_chanz at 22:16|PermalinkComments(0)乳化と分散 

2010年11月28日

オイルゲル

植物オイルは精製すればするほど、粘度が低くなる傾向になります。

たとえばゴマ油はどろっとしたような感触ですが、精製度を高くすると粘度が無くなり、さらさらのオイルとなります。

吸着精製法等の特殊な精製法を使う必要がありますが、オイルの粘度はオイルの中に入っているステロールが影響を与えています。この成分を抜いてしまうことで、オイルの粘度が大幅に下がります。

このステロールは、オイルに溶ける性質を持ちながら、水になじむ水酸基という官能基が分子の中に入っています。
この水酸基同士がくっつくことで、オイルに粘度を与えます。

この水酸基がありながら、オイルに溶けるという成分は色々あります。
しかし、工業的に大量に作られているのは、ひまし油から得られるヒドロキシステアリン酸という成分です。
ひまし油自体も特殊なオイルで、通常の植物油はエタノールに溶けませんが、このオイルは水酸基があるおかげでエタノールに溶解します。

このヒドロキシステアリン酸は油に溶ける性質を持ちながら、水酸基を保有しています。
この水酸基によってヒドロキシステアリン酸同士がくっついていき、その中に入ったオイルを固めていきます。
植物油へ溶解しやすく、出来るゲルもそれなりに弾力性のある強いゲルであるため、植物油を固めて捨てる廃油処理剤に応用しています。

確か何年か前に日本の企業が持つこの特許が切れて、ホームセンターやスーパーでは廃油処理剤の安価な製品が出回るようになりましたが、基本はヒドロキシステアリン酸というひまし油を分解して作る成分です。

オイルゲルは金属石鹸などでも出来るのですが、ヒドロキシステアリン酸ほど、さっと油に溶ける性質はありません。
ただ、金属石鹸はコストが低いため、固形燃料、たとえば居酒屋や旅館で、個人用の鍋を温める小さな固形燃料として使われています。

shin_chanz at 22:00|PermalinkComments(0)食品の科学 

2010年11月25日

ビタミンEパウダー その3

ルールその3

パワーモイスチャーは同時に配合できない。アミノ酸エッセンスも5%(化粧水100mlに対してアミノ酸エッセンス5ml)まで。

パワーモイスチャーを配合すると、どうしても沈殿が生じます。
これはビタミンEパウダーに影響を及ぼし、水に溶ける性質が失われるからです。

この沈殿を回避する術はありますが、別の原料が必要となるため、最初から一緒に配合しない方がましです。
アミノ酸エッセンスも濃度が高いとビタミンEパウダーを沈殿させる可能性があります。

ただ、ヒアルロン酸でもモイストパウダーは何の影響もありません。


ルールその4

ビタミンEパウダーの溶解には一晩かける。
すぐに溶解しません。気長に待ってもらう必要があります。
高速ミキサーならすばやく溶解しますが、振っただけではすぐにダマになってしまいそのダマが消えるには一晩かかります。


色々と手間がかかり、ビタミンEパウダーは上級者向けとなりますが、保湿力が肌実感できるほど、しっかりあること、肌荒れ防止作用が強いという点があって、使いこなせれば面白い原料です。

ただ、高濃度で溶かすのは難しいので無理をしない濃度で使っていただく必要があります。

なお、他のビタミンE誘導体との違いは、水溶性であること、肌への浸透性が格段に上がっていること、ニキビの赤みを減らす効果があること、保湿力があること、抗炎症作用が強いことでしょうか。

ヒアルロン酸の代替としても使える保湿力は手間を引いても魅力かと思います。

また、ディープホワイトパウダーはアミノ酸エッセンスとビタミンEパウダーと組み合わせることで、増粘させることが出来ます。
ディープホワイトパウダーは1~3%くらいで増粘し、どろっとした液状となります。肌につけた瞬間にゲルが消えて、化粧水となる面白い感触の化粧液となります。
ビタミンC誘導体を増粘させたい方にはお勧めです。

トゥヴェールで3g(化粧水300~400ml)で2480円で11月末に発売予定となります。

shin_chanz at 22:01|PermalinkComments(12)化粧品 

2010年11月23日

ビタミンEパウダー その2

新しい機能とは従来のビタミンEではなかった抗炎症作用。
医薬部外品の有効成分と認められたほどなので、その能力はかなりのもの。
しかも、合成洗剤の刺激を抑えれるというのは、今まではトランシーノや歯磨きの宣伝に出てくるトラネキサム酸ぐらいしかなかったので、これは画期的な成分と思われます。

また、ビタミンC誘導体と協調して、その効果をアップさせるのも面白い点。
実はビタミンE自体はビタミンC誘導体と協調して、効果を上げるというのは昔から知られていたのですが、それは他社の特許であり、いいと思っていても使うことは出来ませんでした。

しかし、新しいビタミン誘導体であるビタミンEパウダーはそういった過去の呪縛から解き放たれ、きっちりビタミンC誘導体との協調効果もはっきりしています。
ビタミンC誘導体を使うなら、一緒に使っていきたい成分でもあります。

ただ、少し問題なのが、取り扱いが少々やっかいなこと。

ビタミンEパウダー(TPNa、VEP)は水溶性のパウダーで水に溶かすことができますが、元は油に溶ける成分。水に溶かすには色々な細かい条件がついています。

簡単には溶けず、溶ける際も相手を選ぶといった特徴があります。

ルールその1

ビタミンC誘導体とは一緒に溶解できません。(配合できないという意味ではありません)
一緒に配合したいのなら、必ずビタミンEパウダーを先に完全溶解してから、ビタミンC誘導体を溶かし込む必要があります。
同時に溶かそうとした場合、順番が逆の場合は、一切溶けません。

高速でせん断力のあるミキサーを使って溶かすのなら別ですが、手軽には溶けません。
順番を間違えるとまったく溶けませんし、そういう意味では難しい成分です。
なお、ビタミンC誘導体を加えると化粧水自体の粘度がどろっとしたような感じになることがまれにありますが、肌につけた瞬間さらっとした化粧水へ変化します。

ルールその2
水にしか溶けず、それもミネラルが少ない軟水である必要がある。お湯で溶かそうとすると分解する。

成分がデリケートなので、お湯で溶かすと一部分解してしまい、沈殿が生じます。
また、ミネラルがあると水に溶けない成分となってしまい、この場合も沈殿が生じます。

shin_chanz at 23:00|PermalinkComments(0)化粧品 

2010年11月21日

ビタミンEパウダー その1

数年ほど前に、合成洗剤の刺激すら抑える抗炎症剤の記事を書きました。

日光や化学的な刺激によって起こされる遺伝子の乱れを正し、炎症を鎮める抗酸化剤。
活性酸素や様々な因子が炎症にかかわっていますが、抗酸化剤はこれらに対応できるものもあり、抗酸化力と抗炎症力を持ち合わせているものも少なくありません。

その中でも一番有名な抗酸化剤といえばビタミンE。
天然油脂に含まれており、ビタミンEは油脂の酸化を抑えるだけでなく、冬場の皸(あかぎれ)治療薬にも使われます。

皸は血行不順が原因のことも多く、ビタミンEによって血行が促進され、皸対策となります。

この血行促進効果は育毛剤にも応用され、多くの育毛剤に配合されています。

ただ、スキンケア製剤には、ビタミンEを多く配合することはありませんでした。
あくまで、配合しているオイルや他の酸化しやすい成分を守るための配合量であり、高濃度はありません。

それはビタミンEは濃度が高いと血行促進効果がでて、顔に赤みを生じさせ、化粧品かぶれで赤いのか、単にビタミンEの効果が出て赤いのか判断が付かず、クレームが増えるのを防ぐためにあえて高濃度で配合しないところが多いのです。

育毛剤で多いのが顔が赤くなるというクレームで、血行促進成分が頭皮から垂れて顔についたとき、部分的に血行が促進され、赤みが生じます。
血液量が増えるため赤くなって当たり前なのですが、いかにも育毛剤でかぶれたように見え、クレームに発展することもしばしば。

ただ、このビタミンEですが、研究が進みにつれて面白いことが発見されています。

shin_chanz at 23:00|PermalinkComments(0)化粧品 

2010年11月19日

界面活性剤を使わない日焼け止め

界面活性剤を使わない日焼け止めの開発に着手して4ヶ月が経ちましたが、残念な結果になりそうです。

界面活性剤を使わない乳化方法で日焼け止めを作るとどうしても汗が抜けにくいという問題点が発生しました。

これは高分子のゲルに日焼け止め剤である酸化チタンを分散させるため、ゲルが肌の上に膜を張り、この膜が水分を通しにくい膜であるため、汗が水滴となり肌表面に付着していきます。

普通、クリームでもゲルでも水を通すため、このような現象はほとんど起こりません。

ただ、このゲルは植物系のゲルで、水に溶けるものの一度水が蒸発して析出すると水を弾くという問題が生じます。

つまり、汗が蒸発しようと肌の上に出てきても、この日焼け止めの膜が邪魔をして蒸発させません。

もちろん、肌の状態、皮脂の量によってもこの膜は変化して、水分を通したり通さなかったりします。

使用感はまるでシリコーンを入れたような軽いテクスチャだったのですが、このような致命的な問題が生じてしまい、色々試行錯誤を行いましたが、どうもこれは駄目だという結論に達して、違う方向性を考えることにしました。

化粧品の広告で潤いのヴェールとよく言いますが、ここまで肌に密着して水分を通さないものは中々無いのではないかと思います。

日焼け止め以外に何か使える用途が無いのか、考えたいと思います。

shin_chanz at 00:00|PermalinkComments(4)日焼け止め 

2010年11月17日

アミノ酸誘導体

アミノ酸の誘導体とは色々合って、皮膚に限定すれば、しみの悩みをもたらすメラニンも元をたどればチロシンというアミノ酸が原料。
チロシンが酸化されて、メラニンという高分子が出来上がります。

また、ポリフェノールがしみ対策として使われることもありますが、ポリフェノールの多くも実はアミノ酸由来のものが多いのです。

植物はフェニルアラニンというアミノ酸を原料にして、ポリフェノールを合成していきます。
ポリフェノールは酸化や紫外線から植物の体を守るために合成され、人間のメラニン並に植物の体内へ拡散していきます。
葉っぱで合成するので、葉っぱの部分が多く、その後さまざな部位へ運ばれていきます。

植物は紫外線を利用してでんぷんを作りますが、過度の紫外線によって酸化されてしまうのは動物と同じ。そのため、体を守るため、アミノ酸やシキミ酸を原料としてポリフェノールを合成していきます。

植物が作るポリフェノールは、動物にとって抗酸化だけではなく、たんぱく質調整作用も強く発揮します。

このたんぱく質調整作用は、ポリフェノールの種類によって異なり、様々なポリフェノールが色々な効果を出す健康食品に応用されています。

人間もポリフェノールのような抗酸化成分を作り出せればいいのですが、あまり複雑な抗酸化成分を作る能力はありません。

植物から摂れるものは、植物を食べることにして別の部分を進化させた結果でしょう。

フェニルアラニンを骨格とするポリフェノールの代表はコーヒーに含まれるコーヒー酸で、紫外線防御効果も若干あります。
植物成分だけで作る紫外線防御剤にはこのコーヒー酸が化粧品に使用されています。

他に紫外線吸収能力のあるポリフェノールはあるのですが、結局、匂いも少なく、ある程度安価に手に入るものというのは限られていて、植物エキスだけで日焼け止めを作りたいという願望があってもそれに応えてくれるポリフェノールは今のところ見つかっていません。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)植物エキス 

2010年11月15日

クジンエキス

手作り化粧水では、単独で使用しなければならないエキスの中で、美白効果の高いものがあります。

それはクジンでマメ科クララの根で、消炎や解熱に使われる生薬エキスです。

殺菌効果も強く、ニキビ対策としても期待できる生薬。
ただ、こちらの生薬の問題はアルカロイドという、プラスのイオンになる成分が含まれていて、他生薬と混ぜると沈殿を起こす可能性があります。

このクジンはメラニン生産に関わるたんぱく質調整作用があるのが特徴です。
メラニンは、メラノサイト刺激ホルモンというホルモンによって作られることがあります。
日焼けなどで、皮膚の細胞がこのホルモンを合成し、メラニンを増やすように働きかけます。

要するに細胞同士の会話をホルモンを通じて行うのですが、クジンエキスはこのホルモンがメラニンを作る細胞へ入っていくことを邪魔します。

細胞にはホルモンがくっつく場所が決まっているのですが、クジンエキスはその場所へ陣取り、メラノサイト刺激ホルモンが結合するのを邪魔します。

白人で、色白の人間はこの結合場所が変異しており、遺伝的にメラノサイト刺激ホルモンの影響を受けにくく、肌が白くなっているケースが多いとか。

その結果、日光を浴びてメラノサイト刺激ホルモンが作られても白い肌を維持しています。(ただし、皮膚がんになるというリスクは格段に高くなります)

メラノサイト刺激ホルモンを邪魔するものにはカミツレETもあります。
スクワランでカモミールを抽出したエキスですが、こちらは直接の美白効果はありません。
一方、クジンは、直接的なチロシナーゼ酵素阻害作用もあり、メラノサイト刺激ホルモンの邪魔をするだけでなく、チロシナーゼ酵素によって作られる工程でもメラニン産生を邪魔する効率の良いエキスです。

ただ、他のエキスと混ぜると沈殿が生じやすく、使いにくいという欠点を持ち合わせています。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)美白 

2010年11月12日

ミネラルパウダリーファンデーション その2

このミネラルパウダリーファンデーションは、パフにもこだわっています。
通常のパフというのは、NBRで作ったスポンジパフが一般的です。

ファンデーションは日本製でもパフは中国製というところも少なくありません。
スポンジパフは中国製がかなり流通しているのですが、問題はホルムアルデヒドが発生すること。

パフからホルムアルデヒドが検出されることもあります。

ただ、ホルムアルデヒドは、いつまでも出てくるわけではなく、揮発性が高いため、使っているうちにかなり減っていきます。

しかし、成分にこだわっていても中国製のパフを使っているのでは意味が無いと思い、パフにも日本製でしか出来ないことを追求しました。

それは高級ナイロンであるタクロンをパフの表面に植毛することで、パフの平面だけでなく、角のR面まで植毛しました。
この角のR面まで植毛ということは中々中国ではできないことで、ただのスポンジパフや平面だけのフロッキーパフとは違うところを今回訴求しています。
(本当に日本製かと問われたときに、日本でしか出来ないことをきっちり作り込んでいることで安心していただけるかと)

当たり前ですが、日本製であるため、ホルムアルデヒドは使いませんし、発生する可能性のある原料も排除しています。

ところで、パフへの植毛ですが、これによってかなりファンデーションのつきが変わります。
スポンジだけだとしっかりとしたカバー力重視の仕上がりとなりますが、フロッキー面を使うと、ふわりとパウダーを肌へ乗せることができ、自然な仕上がり感が強くなります。

パフを色々使い込んでいただくことで、色々な仕上がりを楽しんで頂けます。

shin_chanz at 00:00|PermalinkComments(2)ミネラルファンデーション(MMU) 

2010年11月10日

ミネラルパウダリーファンデーションを発売します。

11月12日にミネラルパウダリーファンデーションを発売します。

内容量11g、専用コンパクト、パフ付きで3,570円
色はオークル、ライトオークル、ピンクオークルの3種類で、初めてのピンク系の色を揃えました。

ミネラルパウダリー




もともと6月くらいの発売予定でしたが、テクスチャにこだわったため、11月まで伸びてしまいました。

シリコーン系原料を使えば、かなり使用感の良いファンデーションを作れるのですが、ミネラルファンデーションとして挑戦したたかっため、予想以上に苦労し、発売が延びに延びてしまいました。

持ち運びに便利なプレストタイプで、出先での化粧直しも簡単に出来ます。
それなりに「悪くない」使用感を実現しています。

ちなみに固形ファンデーションは、油と粉末原料混ぜた後、プレスして押し固めるプレストタイプと、溶剤やワックスに溶かした粉末原料をファンデーションの金皿に流し込んで固める流し込みの2種類あります。

主流は流し込みです。エタノールや水のような揮発性溶剤に分散させた粉末原料を金皿に流しこんで、その後、乾燥し溶剤を飛ばすというやり方を行います。
溶剤を飛ばした後、少しプレスするというところもあります。

主な違いはファンデーションをとって伸ばすときの感触の違いです。
プレスで強く押し固めれば固めるほど、パフへ取るときは強い力が必要です。

また、粉と粉同士も強くくっついてしまうため、肌へ延びにくくなります。

固形タイプのパウダーファンデーションは単に押し固めればいいというものではなく、押し固める力の強さで使用感などが変わります。
また、プレス圧が弱いと、ファンデーションが割れやすくなったり、粉がボロボロ取れてきたりと様々な問題が発生します。

粉同士をくっつけるオイル成分によっても使用感は変わってきて、色々な条件が複雑に絡み合うのがパウダリーファンデーションです。

shin_chanz at 00:00|PermalinkComments(2)ミネラルファンデーション(MMU)