2011年06月

2011年06月07日

小麦系原料

化粧品には小麦を使用した原料がいくつかあります。

小麦は、大まかに分類すると、油とタンパク質、そしてでんぷんからなっています。
一番多いのはでんぷんでしょうか。
ただ、化粧品ではでんぷんが原料として使われることはほとんどありません。

でんぷんは使い勝手が悪く、そもそも化粧品に配合するメリットがありません。
そのため、でんぷんが使われることはありません。

タンパク質についてはヘアケアがメインとして使われています。
加水分解コムギエキスなどという名称で、小麦蛋白が髪の修復や風合い改善に使われます。
また、保湿効果があるということで、有名な石鹸に配合されて問題が起きました。

オイルについては、小麦胚芽油にビタミンEが豊富なため、化粧品に使われます。
化粧品よりむしろサプリが有名でしょうか。
ただ、小麦胚芽油より遺伝子改良された大豆油の方がビタミンEの種類が豊富で、抗酸化力も強いということで、大豆由来のビタミンも増えてきました。
安いサプリなどは、大豆由来が多いのではないでしょうか。

ちなみに化粧品に使われる小麦胚芽油には、石鹸で問題になったたんぱく質分解成分は入っていません。胚芽部分を集めて、絞るため原料の時点でかなり選別が進んでいます。

また、油を作る過程で、タンパク質は除去されますので、比較的オイルにタンパク質が入るというのは少ないのです。
たとえば、狂牛病の原因となったタンパク質についても牛脂の場合は、基本的に様々な処理がされるので安全とされていました。

このため、石鹸で起きたような運動依存性のアレルギー症状が起こることはありません。


shin_chanz at 20:33|PermalinkComments(0) 化粧品 

2011年06月05日

ヒーラ細胞とは

1951年にアメリカ人女性から提供された細胞をヒーラ細胞といいます。
1日1回分裂・増殖を繰り返す、この細胞により大きく細胞工学が進展しました。

当時、アメリカでは小児麻痺ウィルスの脅威に晒されていました。
日本や他の国でも同様です。ポリオとも呼ばれる小児麻痺ウィルスは子供に感染すると脊髄神経を障害し、その名のとおり小児麻痺を引き起こします。

小児麻痺は伝染病で、子供から子供へウィルスは拡散していきます。
経口感染するので、指を舐めるくせのある子供は特に感染の確立が高くなります。

また、若くて体力のある患者が小児麻痺から生還しても数十年後に筋肉疲労や神経麻痺を高確率で発症します。
ウィルスにやられた神経細胞を周囲の細胞がサポートして、若いうちは症状を抑えられても、老化により、サポートした細胞が脱落していくことで、生き残った細胞だけでは体の機能を支えきれなくなるからです。

小児麻痺は長年にわたり患者を悩ませるため、感染すると怖い病気なのですが、昔は小児麻痺ウィルスを分離することもできず、検出することすらできませんでした。

ところがヒーラ細胞の登場により、小児麻痺の解明が一気に進みます。
ウィルスをヒーラ細胞に感染させることで、ウィルスが増殖し、ポリオウィルスの検出が可能になり、また、ポリオウィルスにも弱毒性や強毒性のものがあることがわかりました。

ヒーラ細胞から得られた知見により、小児麻痺ウィルスに対するワクチンが作られて日本ではウィルスが根絶されています。

ヒーラ細胞は細胞毒性実験ほか様々な医薬品の開発などにも用いられています。
すでに細胞を提供した女性が亡くなってから50年にもなるというのに、未だに現役で様々な実験に用いられています。

shin_chanz at 20:18|PermalinkComments(0) 化粧品原料 

2011年06月02日

化粧品と細胞の応用

化粧品の動物実験というのは、確実に減っています。

まず、欧州系の原料メーカーでは動物実験自体を止めているところがほとんど。
日本のメーカーもかなり減らしています。

動物実験をやらないことのデメリットは、薬用化粧品の有効成分にできないこと。
日本の行政は、本当にそれが毎日使っても安全で、有効性があり、環境中に放出されても分解して土に帰ることを求めます。

その証明には、どうしても動物実験が必要となります。

やはり新しいものは不安ですし、肌に塗ったものが体内に浸透していったときに、どの臓器に蓄積するのか、しないのか。肝臓で分解されるのか、されないのか。体内に浸透した場合はどこから排出されるのかを見極めようとすると、どうしても動物の体が必要になります。

妊娠中に胎児への影響が無いか調べることになると2世代での評価が必要となります。

簡単には減りそうにもない動物実験ですが、たとえば従来からある化合物に少しだけ変えたものなら安全性も高いと考えられ、ヨーロッパを中心に動物実験の廃止が進みつつあります。

ただ、何もしないというのも問題で、安全性の確認に使われるのは人間の細胞を使った細胞毒性試験です。

皮膚の細胞を使用して、毒性を評価する枠組みが少しずつ進展しています。

細胞を使う方法は単に生き死にだけの評価だけではなく、免疫に関する物質の量の測定を評価したりとその評価方法も多様化しています。

使う細胞は様々でヒーラ細胞から子供や老人から採取した細胞まで多岐に渡っています。

ちなみにヒーラ細胞とは今から60年前に子宮がんで若くして死んだ黒人女性から採取した細胞です。

shin_chanz at 20:45|PermalinkComments(0) 化粧品原料