特別な油分を補うラノリンオイルの2重結合

2007年03月20日

吸着精製ラノリン

ラノリンは、古くから使われている油剤ですが、
アレルギーの原因になったりすることも多い原料でした。

蜜蝋と同じようなロウ状の原料ですが、羊の皮脂腺から分泌されたもので、
ごわごわする羊毛を柔軟に保つための役割を果たすべく、
人間の皮脂によく似た機能性を持ち合わせています。

ラノリンは成分の96%以上が高級アルコールと脂肪酸とのエステルと
なりますが、その高級アルコールの半分がコレステロール類を占めています。

代表的な組成は、
脂肪族アルコール類20%、コレステロール類29%、イソコレステロール類27%
となります。
かなり複雑なアルコールの組成をもち、成分も多岐にわたっているのが、
植物系オイルとは違う点です。

ただ、通常の精製ラノリンというのは、旧表示指定成分でもあり、
アレルギーの原因となりうるものです。

そこで微量成分を除去したのが、吸着精製ラノリンで、こちらは特別な精製法が
厚生省に認められて、同じラノリンでも表示指定成分から外れました。

ラノリンが他の植物オイルとは違うのが、抱水性で肌の表面に塗ったオイルが
肌から蒸発する水分を抱え込むという面白い性質を持っています。

オリーブオイルやスクワランなどにはこの抱水性は全く期待できませんが、
コレステロールを主体とするラノリンは、水を立体構造に抱え込んで、
機能性を発揮します。

(ちなみに擬似セラミドのディープトリートメントオイルは、
 ラノリン以上の抱水性を持っています。)

コレステロールをこれほど多く含むオイルはラノリン以外はありません。

もともと動物の体を覆って乾燥から守るためのオイルだけあって、
保湿効果については、オイルの中でもかなり優秀な部類に入ります。
(水を抱え込むという特徴も外で暮らす羊だからこそ、
 抱え込みやすい成分に進化させたんだと思います)

テクスチャーはロウ・バター系なので、冬場に使うオイルのため、
軽いスクワランなどとは違うコクがある感じです。

どちらかというと乾燥肌に悩む方がいろいろオイルを試して
行き着く先にあるようなオイルでしょうか。

アトピーの方でワセリンを多用している方にも試していただきたいオイルです。

なお、使うべきラノリンは精製ラノリンではなく、吸着精製ラノリンですので、
お間違え無く。同じラノリンでもアレルギーという点から見れば全くの別物です。

ちなみに吸着精製ラノリンはいまじんさんでお求めになれます。



shin_chanz at 00:01│Comments(2) 化粧品原料 

この記事へのコメント

1. Posted by よっちゃん   2007年03月20日 05:20
すると精製ラノリンよりも擬似セラミドのオイルのほうが抱水性で優れているということですか?抱水性は肌にとってどの程度重要ですか?セラミド製品などと比較して。質問ばかりですみません。興味のある内容なので
2. Posted by しんちゃん   2007年03月20日 22:51
よっちゃんさん、こんにちは

抱水力はオイル自体の保湿力を見る指標となります。
ラノリンが360%で、擬似セラミドは420%の
抱水力があります。
通常のオイルなら10%以下です。
単独でオイルを塗った場合の保湿力や肌をやわらかくするエリモント効果の指標となります。

ただ、擬似セラミドは単独では重いオイルなので、
他のオイルと混ぜて使うことが多いですが、吸着精製ラノリンは単独で使うことになりますので、結局抱水力は同じくらいになると思います。

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特別な油分を補うラノリンオイルの2重結合