再生医療とEGF その4大阪で勉強会を行います

2008年01月17日

再生医療とEGF その5

ただ、再生医療分野では、細胞成長因子を単なる水溶液で与えても
効果は薄いとされています。

つまり、単にEGFを水やグリセリンで溶かした水溶液で与えても
肌への効果は宣伝ほど期待できません。

EGFなどの細胞成長因子は不安定で生体内に入ると速やかに分解されていきます。

細胞に到達して、取り込まれると細胞の分裂や成長を促しますが、
細胞にまでたどり着けなかったものは、寿命がきて分解される仕組みとなっています。

つまり、生体内に入った10個のEGFがそれぞれ、1個ずつ細胞に取り込まれて
残り9個は、自分の番が来るまで細胞外で待機して、
別の細胞を見つけたらまたひとつ取り込まれて、他のものは待機している
というようなものではなく、待機中のものは、寿命がくると、
アミノ酸へとばらばらに分解されてしまうというイメージでしょうか。

細胞に強く働きかける成分であるからこそ、進化の過程で
生体内での寿命が短く設定されたと考えるべきなのかもしれません。

そのため、再生医療の分野では、こうした細胞成長因子を水溶液で
与えても、期待するほどの効果は無く、生体内での細胞成長因子の濃度を
一定に保つ為、徐々にカプセルが壊れて中に入っている細胞成長因子を
放出するような技術が求められています。

まあ、細胞成長因子が生体内で寿命が短いことを知っていれば、
化粧品に配合するなら、何か工夫がないと余り効果的でないということです。


shin_chanz at 00:01│Comments(2) 化粧品原料 

この記事へのコメント

1. Posted by D-PiPi   2008年01月17日 23:50
こんばんは。

サイトカイン系にアプローチするのスキンケアが増えましたね。
化粧品でFGFは、E.Coli由来のヒトオリゴペプチド−13ですか?創傷治療のbFGF製剤トラフェルミンは、医療用医薬品なのでインタビューフォームがあります。米サイオス社の技術です。別名がbFGF、FGF−2でヒト由来の塩基性線維芽細胞成長因子でゲノム創薬です。副作用もあります。
化粧品に使われるFGFとは別物と思うのですが。ヒトオリゴペプチド−13は、アミノ酸配列や種類が同じで生理活性が期待できるペプチドではないのですか?
2. Posted by しんちゃん   2008年01月20日 23:12
D-PiPiさん、こんにちは

結局、人間に効くのは人間の成分ということで、色々なものが増えてきました。

化粧品のFGFも肌に浸透すれば、もちろん細胞成長などの効果はあります。

ただ、継続的に肌へ一定濃度を与えるということが必要となるでしょうね。

また、医薬品のFGFと化粧品のFGFとは厳密には別ですが、お役人がどう判断するかは微妙です。

医薬品と同じFGFの一種なので、化粧品に配合するのはけしからんとなると回収命令がだされますしね。

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