パウダータイプの化粧品とSPFファンデーションへのニーズの違い

2008年06月03日

MMUの反響が色々ありましたので・・

MMU(ミネラルメイクアップ、ミネラルファンデーション)についての記事を書きましたが、いろいろ反響がありました。

酸化チタンと酸化鉄の毒性ですが、タバコに比べるとかなりましと
お考えください。タバコの煙の粒子は肺から簡単に吸収され
血液に流れ込んでいきます。

たとえば、妊婦がタバコを吸うと胎児の細胞の成長を阻害するため、
子供が低体重や障害を持つ確率が高くなり、
妊婦の禁煙が推奨されるのはご存知の通り。

MMUを作ってほしいとの要望も多くありましたが、
結局は日本で売られているようなマイカやオキシ塩化ビスマスなど
肌に付着しやすい成分を主体にするようなものしか難しいと思います。

なお、微粒子酸化チタン配合のものは、ナノ粒子をそのまま吸い込んで
しまいますので、注意が必要です。
微粒子酸化チタンは、タバコの煙より微細な粉となっています。

ただ、市販のMMUの粉をいくつか観察しているとかなり粗く、
湿気によって粒子は大きくなっていきますし、銘柄によっては
それほど吸い込む危険性を気にしなくてもよいのかなと考えています。

この辺りのMMUやルースパウダーの粒子の大きさなどを、
何らかの方法で検証して、皆さんに見てもらえないか、考え中です。

ただし、前にも書きましたが、微粒子酸化チタンを粉末で
飛散するような状態で配合するメーカーは、ほとんどありません。

通常、タルクやセリサイト、マイカなどの粘土粒子は似たような大きさで
サーフィンに使うサーフボードの大きさとすると、ファンデーションの
シミのカバーに使う顔料級の酸化チタンは野球ボール程度。

紫外線防御に使う微粒子酸化チタンはパチンコ玉ほどの大きさになります。
(顔料酸化チタンは約0.2ミクロンの大きさで、これが最も顔料としての
 役割を果たす大きさ。微粒子酸化チタンは0.1ミクロン以下を言います。
 顔料サイズは可視光線を跳ね返し、微粒子チタンは紫外線を跳ね返します。
 可視光線と紫外線の波の大きさが違うので、それぞれ最適なサイズも異なります)

基本的に、顔料は粒子が細かいと鮮やかな発色になるので、
タルクなどに比べて細かくなりがちです。

もちろん、これは各企業の技術力や配合によって変わり、
せっかく細かいはずの酸化チタンも粉同士の混ぜ方が悪いと
粒子同士がくっついて粒度が荒くなっている可能性もあります。

ただ、高いSPF値のものほど、微粒子酸化チタンを使っている可能性が
ありますので、注意が必要です。

リキッドやクリーム、プレストタイプなら、粒子同士がオイルなどを
通じてくっついているため、ナノ粒子を吸い込むことはありませんが、
さらさらのパウダーは注意が必要です。

MMUを水に溶かして水おしろいのようにすることもできますが、
そうすると大抵の市販の日焼け止めと相性が悪くなり、
単にリキッドにしてもうまくつかないというジレンマに陥ります。
(日焼け止めは汗で流れないのが当たり前ですが、
 耐水性の日焼け止めはリキッド化したMMUを弾きやすくなります)

日焼け止めとの相性を考えると、粉のまま使うしかありません。

なお、微粒子を髪や服にほとんどつけず、顔だけに付着させるという技術は
存在しています。某社の吹き付け型ファンデーションがそうです。

ファンデーションの粉をイオナイザーでイオン化し、帯電しやすい肌表面へ
均一な層をつけるタイプのファンデーションです。

粉は電気的に反発するので、粉同士がくっついて厚塗りになることはなく、
また、塗る際のブラシやパフでの刺激もないのが特徴。

MMUで使えたら面白いような気がしますが、残念ながら使えません。
あの装置では、シリコーンでコーティングした粒子を使うことが
ポイントになっています。

シリコーンでコーティングすることで、帯電したイオン粒子に
なりやすいのです。
(水に溶けてイオンになるのはとはちょっと違います。
 布でガラス玉を擦ればガラスが静電気を帯電するのと同じ現象を
 あの装置を利用しています。たとえば、スカートの裾が
 まとわりつくのも同じような帯電現象のひとつです)

空気中の埃を集める電気集塵機がありますが、
あれも吹きつけファンデーションと同じような原理を利用しています。

そうそう、10年前、大ヒットしたファンデーションがありました。

それは、酸化チタンや酸化鉄を無配合を前面に出したルースパウダー。

カバーするのは、当たり前と考えていた大手の化粧品会社に
衝撃を与えた商品です。ノーカラーファンデーションとも呼ばれました。

ソフトフォーカスで肌の透明感を自然な感じにして、肌のキメを細かくみせ
素肌の美しさを強調できるのが、ヒットした理由です。
(要は粉おしろいから顔料を抜いたものですね)

リキッドファンデーションもほとんど酸化チタンや酸化鉄を
配合せず、肌色がほんのりつく程度のものも流行りました。

MMUとは全く逆のコンセプト。
世の中、何が女性の心を掴むのかよくわかりません・・(^^;;


shin_chanz at 00:01│Comments(2) 化粧品 | ミネラルファンデーション(MMU)

この記事へのコメント

1. Posted by さあら   2008年06月03日 09:54
こんにちわ。このところのファンデーションのお粉についての情報ありがとうございます。まさに、目からうろこです。

微粒子酸化チタンと微粒子酸化亜鉛を使ったほうがきれいに仕上がるとの言葉を信じて、手作りの日焼け止めを作り、更にその上に、SPF50をうたったナノパウダーに、色目調整のために酸化鉄を混ぜたお粉をはたいて仕上げていました。。。これって、たいへん危険なのですよね?

市販の日焼け止めは乾燥するし、また市販のファンデも肌によくないと思ったのに、逆効果だったようです。知らないとは恐ろしいものです。貴重な情報ありがとうございます。たいへん参考になりました。
2. Posted by しんちゃん   2008年06月03日 21:54
さあらさん、こんにちは

手作りの場合は全く問題ありません。
市販の化粧品に微粒子酸化チタンを単に混ぜたものが問題だとお考えください。

基本的に手作り材料用の微粒子酸化チタンは、微粒子になっていません。
微粒子酸化チタンは、原料会社で製造されたときは微粒子なのですが、微粒子同士が集まりかなり大きな粒となっています。

化粧品会社はこの粒を砕いて微粒子に戻して化粧品に仕上げるのですが、手作りの場合はまず無理ですし、たとえ微粒子にしてもまた元の大きな粒に戻っていきます。

このあたりのことは追々、ブログで書いていくつもりですので、とりあえずは手元のものは全く問題ないとお考えください。

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