基剤の違いによる浸透性 その2化粧水の浸透性

2009年03月13日

基剤の違いによる浸透性 その3

ステロイドの一部はワセリンにプロピレングリコールを混ぜるだけで、一気に浸透性がアップします。

ワセリンだとあまり浸透しなかったのに、添加剤ひとつで変わるのも面白いですよね。

ほかにもステロイドの結晶をプロピレングリコールに溶かし、これを軟膏に分散させたもの、荒い粒子を軟膏に分散させたもの、細かい粒子を軟膏に分散させたものの評価が行われていますが、やはりプロピレングリコールに溶かしたものを分散させた薬剤のほうが効果は強くなります。

何で、こうなるのでしょうか?

ひとつはプロピレングリコールに溶かすことで、粒子が小さくなり皮膚との接触面積が増えることが上げられます。

当たり前ですが、コップ1杯の水で全身をぬらす事は可能です。
でもコップの底を皮膚に当てても、せいぜい一部だけしか皮膚は接触しません。

つまり、薬剤の粒子を小さくすれば皮膚との接触面積を増すことができ、それだけ浸透する確立も増えていきます。

さらに結晶状態だと、薬剤の有効成分同士が固く結びついた状態です。

プロピレングリコールに薬剤を溶かすと、有効成分同士はばらばらになり、
自由に動くようになり、これも浸透性を高める結果になります。

薬剤に効果的な補助剤を使うことで、皮膚への浸透性を上げることできます。

浸透性を上げるのは界面活性剤だと言われますが、必ずしも界面活性剤だけが浸透性を上げるのではなく、界面活性剤とは関係ない成分が浸透性を高めることがあります。

40年前のステロイドの浸透性を上げる実験では、化粧品に使われる界面活性剤より、まったく界面活性剤を含まず、界面活性効果のないワセリンとプロピレングリコールの組み合わせが最も効果的でした。

有効成分の浸透性向上は永遠のテーマですが、界面活性剤だけが浸透性を向上させるわけではないため、有効成分にあった浸透性向上の方策を検討する必要があります。

shin_chanz at 00:01│Comments(0) 化粧品 

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