微生物が作る界面活性剤石油会社が作った界面活性剤

2009年03月25日

微生物が作る天然系界面活性剤 その2

微生物が作る天然系界面活性剤に注目したのは石油会社でした。

石油会社は、様々な合成界面活性剤を作る企業です。
それがなぜ天然系界面活性剤に注目したのか。

それは自然界における進化の知恵というべきでしょうか、
天然系界面活性剤は特殊な構造を持つものが多く、合成界面活性剤を性能的に上回るものが数多く存在します。

複雑で立体的な構造を持ちながら、無駄がなく、なにより完全に生分解され、
界面活性効果を示すのも石鹸や合成洗剤よりはるかに低い濃度(使用量)で
効果を発揮し、しかも合成界面活性剤ではありえないような作用を発現します。

何億年もの進化の過程において、無駄の無い構造に落ち着いたためでしょうか、
その性能に気がついた石油会社が膨大な費用を使って、微生物系界面活性剤の探索に乗り出しました。

石油は、地中奥深くに溜まっているものですが、驚くことに石油を餌にして生きている微生物も存在します。

油田の鉱床の奥深くに生息する微生物は、天然系界面活性剤を作り、自分の体の中に
石油を取り込み、分解して生きながらえています。
その中に原油の粘度を下げるものがありました。

さらに調べると微生物が作る天然系界面活性剤は、その特殊な構造からドロドロの
石油の粘度を劇的に下げることが出来るものがいくつも見つかっていきます。
この性能は大変有益で、何百キロものパイプライン輸送を可能にします。

つまり、石油を取り出すときやパイプライン輸送の際に、いかにコストをかけずに輸送するということが、重要となるのですが、その際に利用を検討されたのが、界面活性剤でした。

今では、ポリマー系など様々な石油の減粘剤がありますが、天然系界面活性剤もその減粘効果では他に負けてはいません。

ただ、天然系界面活性剤の問題は、その製造コスト。
天然油脂とアミノ酸や糖を発酵タンクに入れて製造しますが、入れた原料がすべて界面活性剤に変わるわけではなく、生産物の量が限られるため、どうしても製造コストが高くなります。
微生物による界面活性剤の生産はあくまで副次的で、界面活性剤を作るために生きているわけではありませんからね。

そのため、微生物が作る界面活性剤の普及には価格という大きな障害がありました。

近年の技術革新により、この価格という壁を残りえたものもあります。

サラヤの自動食器洗浄器用の洗剤で、エコウォッシュが微生物系の界面活性剤を使用しています。
酵母を利用し、糖とパームフルーツオイルを使用して、界面活性剤を合成します。

エコウオッシュは、発酵技術の進歩により低コストで微生物系界面活性剤を普及させた初めての商品となります。

shin_chanz at 00:01│Comments(0) 界面活性剤 

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