水に溶ける油本日はお休み

2010年08月25日

水に溶ける油 その2

タンパク質をうまく利用することで、油を水に溶かすことが出来ます。

ただし、化粧品には使えません。余りにも使用感が悪すぎて、使う意味が無いからです。

しかし、食品では別です。タンパク質のうまみやコクが出て、食品の風味改善にも役立ちます。しかも、合成乳化剤を使わなくて済む。

タンパク質で乳化した油というのは、食品分野では非常に拡大を続けています。
少しお高い加工食品などには結構入っているようです。

この乳化した油は味を感じる舌の部分の細胞へ入っていきやすい粒子の大きさということで、味の表現力に幅を持たせます。

調理は技量によってその差が反映されてしまいますが、水に溶ける油を使うことでその技量の差を縮めることができます。

達人が食品中のタンパク質などを利用して油を上手に微粒子化するところを素人が手軽にやってのけるわけです。

牛乳は油をタンパク質で乳化した水なので、牛乳を使うことで油の微粒子を食品に入れ込むことが出来ます。ただ、何でも牛乳を使うわけにも行かず、また、牛乳の脂肪分はせいぜい5%程度。牛乳より濃い油の濃度で風味付けをしたい場合もあります。
そういうときにはこういった加工原料が重宝されます。

また、素人が水をいれるだけで手軽に食品を作れるプレミックスの粉原料にも使われます。ホットケーキの粉などがそうです。
ただ、コストが高いので使える食品は限られています。

正月の特番で、芸能人が目隠しして料理を食べて、偽者と本物の真贋を問う番組がありました。その中で、安いステーキ肉を高級肉に見せかけるために確かグレープシードオイルを使っていました。牛脂ではなく、植物油を使うのがポイントなのかもしれませんが、あえて違う油を肉の中へ入れ込むだけでかなり風味が改善されるのも事実のようです。

油というのは使い方によって様々な味を作り出せるので、実に面白い素材だと思います。

shin_chanz at 00:01│Comments(0) 食品の科学 

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