香の科学

2007年07月01日

香水の仕組み

香水を作る調香師の中でもトップクラスともなると、
2000種類以上の香を区別する能力が必要となり、
個々の香だけでなく香りの調和を感じ取るセンスも持ち合わせないと
優れた香水を作ることはできません。

たとえば、森のイメージや草原のイメージなど
いくつもの香料を混ぜ合わせて表現するとなると、
どの香料をどれだけ組み合わせるかという天才的なひらめきと
センスが要求されます。

香水には一般的に精油が使われます。
植物を入れ物にいれて、そこへ水蒸気を吹き込むと
水に溶けない揮発性の成分が水蒸気と共に出てきます。
これを集めたのが精油です。

香水はこの精油などの香料を組み合わせて作りますが、
香りだけでなく、個々の香料の揮発性も考えて配合しなければなりません。

トップノート、ミドルノート、ラストノートと3つのパートにより
香水は成り立っています。
トップノートは一番最初に揮発する香料、ミドルノートはトップノートより
揮発性が弱く、ラストノートは最も揮発性が低いものです。

揮発性が高い成分は、カルボン酸エステル系のものが多くたとえば果実などの
甘い香りが代表的なものです。
ミドルノートはテルペン系などのトップノートの香りを強調して、
深みを持たせるものが使われバラ油をはじめとするアロマテラピーなどに
使われる精油が主に使われます。

ラストノートは揮発性が低いもので、植物だけでなく動物系の香料が
使われることが多いです。植物系なら代表的なものはビャクダンやパチョリなど。
ビャクダンは仏教のお寺にいけば香ってくるものですよね。

ただ、基礎化粧品にいれる香りとなると、最近は無香料や微香が主流なので、
朝使う化粧品なら柑橘系、夜のお手入れクリームなどにはローズ系と
それほど配合する香料は多くありません。

shin_chanz at 09:31|PermalinkComments(0)

2007年06月30日

においと一酸化炭素

においを示す物質というのは、化学反応性に富むと書きました。

嗅覚の仕組みは嗅覚を感じる部分(嗅小胞、嗅線毛)の外側がプラス、内側がマイナスとなっています。
なにかの物質がこの嗅覚を感じる部分に衝突すると、外側のプラスと内側のマイナス
の部分に電気的な歪みが生じます。
そうすると神経に電流が流れ、脳に情報が伝わるという仕組みとなっています。

においを嗅ぐと、瞬時に鼻というセンサーが電気的な信号に変えて
脳に伝えるのですから、見事な仕組みとなっています。

ただ、においを感じるには、鼻のセンサーで電気的な信号に変えれるものだけしか
わかりません。

一酸化炭素は人間が火を使い出し時から、身近にある毒ガスです。
酸素が十分にあるときは、ものが燃えても炭素は2酸化炭素となって害は
少ないですが、酸素が足りないと一酸化炭素となり、強い有毒ガスとなります。

練炭での自殺も一酸化炭素によるものですが、
有毒なものを嗅ぎ分けれる鼻もこの一酸化炭素には無力です。
これは嗅覚の仕組みでは、残念なことに感知できないからです。

もし、一酸化炭素が強烈なニオイに感じられるなら、
練炭自殺もだいぶ減るのではないかと思います。

一酸化炭素による毒性は血液のヘモグロビンとくっつきやすく
離れにくいという点にあります。
ヘモグロビンは酸素を運搬するのに必要なものですが、
それが一酸化炭素とくっついてしまうので、酸素を運ぶことができず
酸欠となって死に至らしめます。

ヘモグロビンとくっつきやすいのは食品添加物に使われる亜硝酸塩も
ありますが、それよりはるかにくっつきやすいのが特徴です。

なお、亜硝酸塩は肉の色を綺麗に見せる効果がありますが、
一酸化炭素も同じような効果があります。
(食品添加物としては使用禁止となっています)


shin_chanz at 13:49|PermalinkComments(0)

2007年06月28日

精油の効果

アロマテラピーは大変なブームで、色々と報告があります。

個人的に興味があるのは、睡眠に関すること。

子供の頃から睡眠の質の低下には、困っていて数万円もする
睡眠導入器をお年玉で買ったことも・・(笑)
(イオン導入器のようなもので、頭に微弱電流を流して眠気を誘います)

クラシック音を聞いてもなかなか寝付けないし・・、
アロマではどうかなとやってみたんですが、
なかなかそう上手くはいきません(笑)

ただ、アロマが睡眠を誘ったり、その逆の覚醒作用があったりというのは、
有名な話です。
そこで以下の代表的な研究を紹介します。


各種精油及び香料の覚醒と鎮静効果を分けたものです。
シトラス系の精油は沈静作用を示し、フローラル系のジャスミンや
ローズは覚醒作用があり、ラベンダーは鎮静作用があります。

覚醒作用を示した精油は
Basil oil,Black pepper,Cassia oil,Clove oil,Jasmine abs,
Neroli oil,Peppermint oil,Rose oil,Ylang-Ylang oil

沈静作用を示した精油は
Bergamot oil,Caraway oil,Ginger oil,Lavender oil,Lemon oil,
Marjoram oil,Olibanum oil,Orange oil,Sage oil,Sandalwood oil
(24(10),80-86,1992,Fragrance Journal)

うつ病、不眠症への応用では、抗ストレス作用に優れたレモンをベースとした
柑橘系の香料を作成して、うつ病への臨床を試した結果、
うつ病患者10例で、抗うつ剤を大幅に減量しながら、臨床症状が
改善できたという報告があります。

また、不眠症に対して古代エジプト時代より有効とされていた香りを
参考にサンダルウッド、バチェリー、ローズ、オリスなどを調香し、
使用した結果、18人中11人で睡眠薬の減量ができ、
そのうち5人は睡眠薬を中止できたとあります。
(15,39-42,1995 治療学)


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2007年06月26日

においの分子とは

においを出す一番小さな分子は、アンモニアです。

非常に強烈な刺激臭を発するアンモニアですが、ニオイを感じさせるには、
他の悪臭物質より少し濃度が必要です。

一番大きな分子のものは大体分子量が300くらいが限界で、
これ以上大きいと揮発しませんので、ニオイも感じません。

ニオイの成分は多様な化学反応を引き起こすのが特徴です。

だから、人間の鼻は身に危険が及ぶとして感知するのかもしれませんね。

悪臭と芳香との違いですが、まだ良くわかっていないようです。

悪臭物質が濃度が薄まると芳香物質に変わるということも多くあります。

たとえば、大便のニオイ物質で代表的なインドールは、ジャスミンの芳香を
形成する1成分ですし、コーヒーの芳香を形成する成分も
1つ1つは悪臭を発する物質となります。

ニオイを作るのは、分子内に
水酸基、カルボン酸、アルデヒド、エステル、アミン、チオール、
チオエーテルという反応性に富む分子構造を持つものです。

ただ、においを発する物質はあまりにも多くて、
残念ながら規則性というのは、見出されていません。

わかっているのは、分子に窒素や硫黄があるとにおいが増強されること。
エステルは酸やアルデヒドに比べて芳香性に優れるということ。
同じ分子構造でも濃度により悪臭から芳香に変わるということです。

ニオイの難しさは、機器測定の結果と実際のニオイが異なる点です。
機器は規則正しく結果を出しますが、人間の嗅覚は、
化学構造によって、感知する精度が変わりますから、
機器ではすごい濃度でもニオイはしなかったり、
ニオイがするのに機器ではほとんどわからなかったりと色々苦労は尽きません。


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2007年06月22日

香とストレス

ストレスは、現代人が抱え込む生きていく上で、
避けては通れないものです。

ストレスを受けると、免疫能力が落ちていきます。

ニキビ菌への抵抗力が弱まり、ニキビが出てくるのは典型的例。
そのほか、口の周りにできるヘルペスによる湿疹も
免疫低下時の重要なサインです。

免疫機能低下には、何で対抗すればよいのか?

色々ありますが、手軽なのは香によるものです。
アロマテラピーなどが有名ですが、日本にも香道という香を楽しむ文化が
古くよりあります。

下はねずみを使った実験で、化粧品に汎用される5種類の天然精油を使用して、
免疫機能低下に対する効果をみたものです。

久留米大学医学部の研究で、脾臓に現れる一次抗体産生細胞の数を調べる実験では、
正常な状態を100とすると、
ストレスを負荷したとき、香料なしでは、65.2%
ラブダナム 142.6%、
ジャスミン 68.9%
カルダモン 64.1%
チュベローズ 240.6%
オークモス 202.8%となりました。

ストレスを負荷されても、精油の香を嗅がすことで、
血液中の免疫力は低下せず活性を保つことがわかっています。

人間では、こんな簡単に免疫力が回復するわけではありませんが、
精油の香を愉しむというのは、ストレスを抱えがちな女性にとっては、
一つの解決策ではないでしょうか。

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2007年06月20日

どうやって匂いを感知できるのかな? 

においはどのにおいも一定以上の濃度で感じるわけではありません。

揮発成分の化学構造によって、最低濃度が異なります。
微量でにおいがわかるものがあれば、そうでないものもあります。

たとえば、エタノールだと900000ppbでようやくにおいを感じますが、
エタノールが酸化してできるアセトアルデヒドは240ppbから
濃度がわかります。

ppbとは、Parts per bilion 10億分の1の濃度です。
たとえば、水1トンに1gの物質を溶かしたのが、1ppm。
1ppbはその1000分の1なので、水1000トンに
1gを溶かしたときの量です。

なんだかとてつもない微量ですが、人間はものによっては1ppb以下の
においでさえ嗅ぎ分けることができます。

腐敗した食品に多い酪酸なら、240ppb、
バニラアイスの芳香成分であるバニリンは0.3ppb
非常にくさい硫黄臭で、口臭の原因物質であるメチルメルカプタンは0.02ppb
都市ガスの臭いとしてつけるジメチルスルフィドは0.001ppbです。
(都市ガスは揮発性であるが、嗅細胞では感知できないので、無臭となる)

1ppbは1000トンに1gのものを溶かした量と聞くと
非常に微量と感じますが、実際にはそれ以下でも不快なにおいとして
感知する物質はいくつもあります。

嗅覚というと犬の優れた能力を思い浮かべますが、
人間も不快なにおいについては、すぐれた嗅覚の能力を持ち合わせています。

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2007年06月18日

どうやって匂いを感知できるのかな? 

匂いを感じるのは、鼻の中にある嗅粘膜で、においを感じる嗅細胞が
密集しています。

嗅粘膜自体は、粘液で覆われていて、におい物質が鼻の中に入って
嗅細胞の先端にある嗅小胞や嗅繊毛の膜面に結合、衝突すると
におい分子の情報を示すインパルスが発せられ、脳へと伝達されます。

ここで重要なのは、においを感じるためには、粘液で覆われている嗅粘膜へ
到達する必要があることです。

完全に油溶性ではだめで、ほんの少しでも水になじむ分子構造を持っている
必要があります。

つまり、粘液に拡散できなければ、においとして感知できません。

たとえば、鼻の粘液が多いとき、風邪や鼻の調子が悪いときに
においを感じにくいのは、嗅細胞がいつもの調子であっても
におい成分が粘液の壁に阻まれて嗅細胞まで到達できないということが挙げられます。

また、嗅細胞の感度というのは、個人差が非常に大きいです。
香料を扱っている調香士となると、交差点で道路を挟んで向こう側に立っている
女性の香水を嗅ぎ分けれるといいます。

ただ、鼻というのは、疲れやすい器官で、強いにおいを嗅いだときなどは
機能が回復するのにしばらく時間がかかったりします。


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2007年06月17日

どうやって匂いを感知できるのかな? 

世の中色々な香りがあります。

甘い香り、爽やかな香り、すがすがしい香り・・・

様々な香りで溢れていますが、そもそも我々の鼻はどうやって匂いを
感知しているのでしょうか?

匂いは、ご存知の通り鼻で感知しています。

たとえば机の上に美味しそうなステーキを並べました。
肉が少し焦げた香ばしい匂いが漂っています。

これは、即ち匂いの分子は机の上から鼻までの距離をあっという間に
飛び越えて鼻に入ってくるということですが、
まずこれが匂いを感知する第一条件となります。

つまり、ステーキの匂いは、ステーキから微量に揮発する成分を
感じているということです。

揮発しないと臭いを感じることはできません。

そして、この微量の揮発成分をかぎ分けることで、
人間は食べ物を食べれるかどうか経験的に判断してきました。

食品が腐敗するとガスが発生することが多く、
そのガスの臭いの種類や量をかぎ分けることで、
安全なものか判断するわけです。

ただし、困ったことに食中毒を起こす猛烈な細菌と
食品の腐敗を起こす菌とは別なので、食中毒菌が大量に存在しても
臭いなどは変わらず、誤った判断をしてしまうことも多くあります。

食中毒で病院に行く人は、年間4万人で、約400人が命を落としています。
この数字は匂いだけで、食品の安全性を確認する難しさを物語っています。
(死者や重症者は老人と女児に集中しています。
 これは腸環境との関連で、便秘がちだと菌が腸に長くいて、毒素を作る
 量が多くなるからです)

shin_chanz at 09:06|PermalinkComments(0)