2011年09月18日

なぜ、酸化チタンをコーティングするのか

最近急に増えてきたメールでよくいただく質問の中に酸化チタンのコーティングがあります。

基本的に日本の化粧品メーカーの多くは、酸化チタンを薄い膜でコーティングを行い、活性酸素の放出を防いでいます。

活性酸素でファンデーションや日焼け止めに含まれるほかの成分の酸化を防ぐためですが、ファンデーションではもう一つ大きな理由があります。

実は、コーティングしていない酸化チタンというのは、日光で変色します。
とくに粒子が小さくなればなるほど、その傾向は強くなります。

単純にコーティングしていない酸化チタンを使ったファンデーションとコーティング済み酸化チタンのファンデーションを日光にさらして比べるとコーティングしていない方はだんだん変色していきます。

活性酸素の放出に伴い、酸化チタンの表面が変色し、ファンデーション自体が変色するためです。

つまり、日光でファンデーションが変色する以上、コーティングを行っていない酸化チタンを採用するのは、企業のリスクとしてかなり難しいことを想像していただけるかと思います。少なくとも中堅以上の企業なら、コーティングなしチタンは大粒子タイプでないと最初から検討候補にすらされないと思います。

単純に酸化チタンだけを日光に曝せばコーティングをしていないタイプの変色はよくわかりますし、コーティングが甘いと変色が避けられません。
変色は粒子が小さければ小さいほど激しく起こりますので、ナノ粒子タイプならコーティングは必須と言えるでしょう。

見た目が変わるだけにコーティング酸化チタンを使うのは当然というのは、この変色防止という理由も大きいです。

shin_chanz at 20:45|PermalinkComments(0) ミネラルファンデーション(MMU) 

2011年09月15日

高濃度ビタミンC配合化粧品

高濃度配合ピュアビタミンCでも同じような現象が起こっています。

データさえあれば厚生労働省は美白の薬用承認を行うため、データがあっても安い薬用タイプ、データが無いのに高い化粧品タイプの2種類に分かれています。

こちらも高濃度ビタミンC誘導体配合化粧品から医薬部外品へのバージョンアップが認められるようになってから、技術のある企業と無い企業の差が出ています。

しかし、技術が無くても宣伝力がカバーするのか、薬用承認が無くても高濃度配合ということで、とんでもない高額の値段がつけられていても結構人気があったりします。

そんなに効果があるのなら、薬用承認をもらえばいいのにと思いますが、市場ではまだ、高濃度配合でも化粧品タイプが多く、部外品へのスイッチへの機運は見られません。

ただ、こちらも5年後には技術力のある無しは薬用承認が一つの基準になっていくだろうと思います。
厚生労働省が様々な効果についてデータさえあれば薬用承認を認めるという方針に変化しているためです。

ちなみに高濃度ピュアビタミンC配合で、薬用が確認されているのはロート製薬が主となります。

他はすべて化粧品扱いで、厚生労働省の承認という壁はピュアビタミンCでもかなり分厚いようです。

shin_chanz at 20:15|PermalinkComments(0) 化粧品 

2011年09月13日

薬用ホワイトニングローション その2

APPS(アプレシエ)の弱点は、「公的には美白効果が認められてない」ことでしょうか。

浸透力が高くて、コラーゲン合成能力高い。
ただ、総合的に判断すると、厚生労働省から見ればまだまだ美白効果を認めるまでには至ってはいません。

APPSも改良されて、美白効果が高いものができるかもしれませんが、現時点では特にそのような傾向は無く、その効果は認められません。

そのため、化粧品メーカーでも大手はAPPSの採用には至っていません。
やはり薬用化粧品の有効成分になれないと、採用するメリットが弱いからでしょうか。

高濃度ビタミンC誘導体での薬用許可というのは、APPSの不振もあって、6%以上であっても、データさえあれば厚生労働省は認めています。

以前は5%以上だと、厚生労働省が薬用と認めないから仕方なく化粧品として売っているということを言えたのですが、今はきっちりとした効果がでる配合なら薬用と認めるという方針になっているため、そのような言い訳ができなくなりました。

意外と化粧品を作る工場というのは、厚生労働省の定める衛生基準に達していなくて、薬用化粧品を作ることが出来ない工場がたくさんあります。

とくにネット中心で販売されている化粧品にはそのような工場で作られた化粧品が多く見受けられます。
たとえ「効く配合処方」であっても、工場に衛生面や機器面、管理面、人的資源など様々な問題があるため、そのような工場では薬用化粧品を作らせないのが、厚生労働省の方針です。

大手の工場では当たり前に薬用化粧品は作られますが、小さなメーカーで薬用化粧品を作るのは結構大変です。
高濃度ビタミンC誘導体化粧品で値段が高いのに化粧品扱いのものが多いのは、工場の衛生面で問題があって、作りたいけど行政が許可しないという問題もあります。

shin_chanz at 20:57|PermalinkComments(0) 化粧品 

2011年09月11日

薬用ホワイトニングローション

ようやく長い時間がかかって、高濃度ビタミンC誘導体配合のローションが仕上がりました。

6%配合の薬用ローションでニキビと美白に対して効果の承認を厚生労働省から得られたのです。ただ、生産まではまだもうちょっと手続きが必要になります。

以前は、薬用ローションというのは3%までしか認められていませんでした。
これが3%以上でもデータがあれば認めましょうということになり、5%以上のもので「薬用」の許可を持ったものがいくつかあります。

ただ、簡単に申請すればくれるものではありません。
その結果として、皮膚科では5%以上の高濃度でビタミンC誘導体が配合されているのにも関わらず、薬用の許可を持っているものは皆無です。

単純に濃度を入れて申請すればすぐに許可が下りるものではないからです。

あくまで薬用と認められる効果を証明する必要があり、これが結構な費用となります。

そのため、薬用承認を取らずに化粧水へ高濃度にビタミンC誘導体を配合して販売するのが一般的ですが、しかし、それはいつまでも続けられないものだと思います。

結局のところ、いくら高濃度に配合しても本当に効くということが証明できなければ、化粧水の配合として適切かどうかが判断できないからです。

ただ、ムダに高濃度で本当はぜんぜん効かず値段だけ高いという可能性もあります。

結局、「ちゃんと効く」のかどうかは第三者に判断してもらうのがよく、それは化粧品を監督している厚生労働省の役割でもあると思います。

配合がいくら良くても汚い工場では「薬用」許可はおりませんし、濃度がしっかり入っていても「効く処方でちゃんとしたデータがあるかどうか」が重要です。


shin_chanz at 20:55|PermalinkComments(2) 化粧品 

2011年09月08日

ステムセル美容 その2

幹細胞は動物だけではなく、植物にも存在しています。

植物も幹細胞から成り立っていますが、このうち特別な果実、たとえば4ヶ月放置しても腐らないリンゴ(ウットウィラースパットラウバーという世界で20本しかない)から採取した幹細胞を培養したエキスなどもあります。

植物の幹細胞由来なので、ヒトの幹細胞の代替になることはありませんが、細胞の寿命延長効果などがあるようです。

細胞の寿命延長というのは、古くからあるもので、生薬エキスやビタミンC誘導体などもそういう効果はありますが、やはり世界で20本しかなく、放置してもしわが出来ないリンゴというのは、かなり訴求力あるようです。
海外でも腐らない奇跡のリンゴ細胞エキスは、受けているとか。

今までは植物の葉や根っこ、花などの部位から抽出したものが植物エキスのメインでこれからもそうなると思いますが、同じ果実でも大量に栽培されたものとは違う「希少品種」の幹細胞から抽出したエキスというのは、「幹細胞」が一般的になっていくのなら、今後一定割合で増えていくのかなと考えています。

細胞培養は、農薬不要で幹細胞を養うだけの栄養分だけで済み、省資源でエキスを取り出すことが可能。効率のよい生産方法です。

今のところ、リンゴとブドウ、アルペンローゼが商品化されています。
成分表示はリンゴ果実培養細胞エキスのように培養細胞と名前が入るのが特徴。

EGFなどの成長因子は、ヒト遺伝子組み込み大腸菌などで製造されるため、純植物主義の方は使いませんが、動物の細胞使わずに、話題の幹細胞を使うということで、植物主義の方にも訴求できます。

shin_chanz at 20:12|PermalinkComments(0) 化粧品原料 

2011年09月06日

ステムセル美容 その1

前はよくテレビCMが流れていました。

「へその緒」に含まれる「さいたい血」の提供を呼びかけるCM。

白血病治療には骨髄移植が最適ですが、骨髄の提供はドナーにも大きな負担を与えるため、なかなかドナーが増えないのが現状です。
この問題に対応すべく出てきたのが、さいたい血の移植です。
臍帯血には細胞の元になる幹細胞(ステムセル)が含まれています。

幹細胞はさまざまな臓器をはじめ、血や皮膚や髪の毛など何でも作ることができるスーパー細胞。

最も新鮮な幹細胞はへその緒に含まれる「赤ちゃんの血」です。
へその緒にはお母さんの血しかなさそうですが、実際には赤ちゃんの血が含まれており、新鮮でかつ生命力に溢れているため、高品質な幹細胞を採取することができます。

しかも母と子から分離したへその緒ですから、採血に痛みは無いという特徴があります。
ただ、問題はさいたい血を採取するにはある程度技量と設備が必要で、どこでも出来るものはありません。
そのため、さいたい血の採取はそれほど多くありません。

また、さいたい血をドナーとして提供する以外にも将来の自分の子のために冷凍保管を手掛ける会社もあるようです。

それほど痛くなくて採取できる幹細胞としては、抜いた歯に存在する幹細胞がありますが、こちらはまだまだ実用段階には来ていません。

幹細胞を使って、何か治療に役立たせるというのは、ちょっとしたブームのようで様々な動きがあります。

皮膚関連では、ヒト由来の細胞を培養した後、細胞を破壊して細胞成長因子を取り出し、それを注射するという治療が行われるようになっています。

細胞自体の注射とは違いますが、幹細胞を培養することで短期間に細胞成長因子を作り出すという特徴があります。

この治療法自体は薄毛治療やニキビ跡治療に応用されているようです。

shin_chanz at 20:32|PermalinkComments(0) 化粧品原料 

2011年09月04日

汗とニオイ その3

体温調節のために生理機能として誰もがかく汗なのに、におう人とにおわない人がいるのはどうしてでしょう?

前回お話したように、ワキガになりやすいアポクリン汗腺が多いことは、体質として仕方のないことですが、それにしてもニオイの強弱は人によって、また同じ人でも日によって違うものです。

となると、ニオイを左右するのは体調。
まず大きな原因は食事。食事がお肉や脂っぽいものに偏ると、汗に含まれる脂肪やコレステロールなどが増え、体臭が強くなります。

また、飲酒は急激な発汗が起こりやすいので、ニオイのもとに。

タバコも、汗の中にニオイ成分を排出しやすい上にタバコ自体のニオイが重なって、独特のイヤなニオイになります。

さらにストレスも、活性酸素を発生させ、皮脂が酸化したようなニオイの原因に。これは、メタボの人も同じです。

便秘にも要注意。腸内環境が悪化して悪玉菌が増えると、アンモニアなどニオイ成分が発生し、血液を通じて体臭、口臭にもなるそうです。

などなど、細かな話になりましたが、要はバランスのいい食事を摂り、ちゃんと汗をかける健康な体であればよいということですね。

ただし、それでも汗は出るもの。
いくら健康でも、かいた汗をほっておけばニオイは発生してしまいます。
汗をニオイに変えないために、大切なのは、菌が働くすきを与えない、
つまり汗を長時間肌に残さないこと。


そのためには、汗をかいたら早めに拭き取るのが一番。
一番気になるワキの下は、汗がたまりにくいようムダ毛処理をお忘れなく。

同じように、足は指の間の垢や、硬い角質もちゃんと除去を。
さ頭も足もなるべく風通しをよくして、ムレない環境を作りましょう。


制汗剤を使うのもおすすめ。
殺菌作用のあるものなら、汗を防ぐだけでなく、ニオイの発生自体も抑えてくれます。
また、汗を吸い取った服がにおうのを防ぐために、汗とりパットや、防臭効果の下着や柔軟剤も出ているので、

上手に利用して、汗の季節を快適に過ごしてくださいね。


shin_chanz at 20:26|PermalinkComments(7) 美容愛好家 Mさん 

2011年09月01日

汗とニオイ その2

前回汗の質についてお話しましたが、今回は汗の種類からお話します。

汗には2つの種類があって、それぞれ違う汗腺から分泌されます。
前回お話した体温調節のための一般的な汗は、エクリン汗腺からの汗。
このエクリン汗腺は全身に存在しますが、頭部や胸部など、体の中でも重要な器官が集まる部分に特に集まっています。

ここから分泌される汗は、本来はさらさらとして水に近い無臭の液体なのに対して、ニオイが気になるのはもう一つの汗腺、アポクリン汗腺から分泌される汗。

アポクリン汗腺が特に多く集まるのは、ワキの下。
こう聞くだけでもにおってきそうですが、この汗こそワキガ臭の原因。

アポクリン汗腺は皮脂腺とつながっているので、そこからの汗には、タンパク質や脂肪、アンモニアなどを含んだドロッとした汗なんです。

それを肌の常在菌によって分解されると、ワキガ臭が発生するのです。

でも体の構造としてアポクリン汗腺は誰にでもあるもの。
におう人とにおわない人では何が違うのかといえば、まずその数。
アポクリン汗腺が多いということは、におう汗も多いということ。
よく言われることですが、耳垢がねっとりしている人ほど要注意です。

また、前回お話した一般的な汗と同じく、汗の質によってもにおいの強弱は変わります。

ちなみにこのアポクリン汗腺は、年齢によってその活動の度合いが変わるようで、思春期に急速に発達し始め、30〜50代で活発に機能してニオイも強くなりますが、50代以降は機能の衰えとともにニオイも弱まるそう。

このニオイはただの汗臭さとは異なる特別なものなので、ワキガ臭と呼ばれますが、最近では、今まで体臭とひとくくりにされていたニオイがいろんな名前をつけて呼ばれるようです。

今ではお馴染みの「加齢臭」をはじめ、疲れた時に漂うツンとしたアンモニア臭を「疲労臭」、発酵系のニオイの「メタボ臭」、間違ったダイエット中に発生しやすい、すっぱいニオイの「ダイエット臭」や、緊張しがちな人に多い加齢臭に似た「ストレス臭」など。

こう見ていくと、現代人がニオイに敏感であると同時に、ニオイは体表面だけのことでなく、体の中の健康状態を表すことがよくわかります。

次回は、体の内外からのニオイ対策についてご紹介しますね。


shin_chanz at 20:24|PermalinkComments(0) 美容愛好家 Mさん 

2011年08月30日

汗とニオイ その1

厳しい暑さに加えて、節電によって冷房が控えめな今年の夏。

例年以上に、汗をかきやすい環境が増えると同時に、通勤電車の中やオフィス、教室で、ニオイが気になることが多いのではないでしょうか?

でも困ったことに、他の人のニオイは鼻についても、自分のニオイは気づきにくいもの。

こんなに汗をかきやすい季節、誰もがにおってしまう可能性大!

そこで、まずニオイの可能性をチェックしてみてください。


1.汗がベトベトしている

2.衣類のワキの下などに、黄色い汗ジミが残る

3.普段あまり汗をかかない

4.ストレスがたまっている

5.お肉や脂っこい食事が多い

6.お酒が好き

7.タバコをよくすう

8.疲れている

9.便秘がち

10.ダイエット中


いかがでしたか?

一概にはいえないものの、当てはまる数が多いほど、ニオイが心配です。
一見、ニオイと関係がなさそうな項目もありますが、実は見逃せない重要項目なのです。

誰もが汗をかきやすい季節、ニオイの原因と対策をご紹介します。
まずは、ニオイの原因にもなる汗のお話から。

原因と書いてしまいましたが、必ずしも汗がにおう訳ではありません。
というより、本来汗は無臭なはずなのです。

ご存知の通り、発汗は体温調節のための大切な機能。

体温が上昇すると、血液から水分(血漿)が汗腺に取り込まれて汗になるのですが、その際、ミネラルなど体に必要な成分は血液へ再吸収されて、水分と塩分だけが汗として体の外へ排出されます。

ところが、汗を上手にかけないと、その大切な成分をちゃんと戻せず、汗と一緒に排出してしまいます。
こうなるとその汗はベタベタ。蒸発しにくいため、体温調節が上手くできないだけでなく、大量に汗をかいた時などはミネラル不足になり、夏バテや疲れの原因にも。

しかも、そんな汗はアンモニアなどのニオイ物質を含んでいて、肌表面がアルカリ性になりやすいために、雑菌が繁殖→ニオイが発生!

と、困った連鎖反応が起こります。

つまり、汗によるニオイは、汗の質の問題。
いい汗をかくことが、根本的なニオイ対策です。

shin_chanz at 20:22|PermalinkComments(0) 美容愛好家 Mさん 

2011年08月28日

女性の薄毛 その3

一番有名な育毛剤と言えば、リアップでしょうか。
世の中、多くの育毛成分があって、リアップ以上と豪語する成分もありますが、あくまで消費者向けのアピールであって、実際にはなかなか無いのが実情です。

日本の厚生労働省もアメリカのFDAも認めたのはただ一つのロゲイン(日本販売名リアップ)という育毛剤だけ。

ミノキシジルを有効成分にしています。

男性向けは5%が最高なのですが、女性向けは2%が限界です。
私がミノキシジルに興味を持ったのは10年くらい前ですが、その当時に女性向けはありませんでした。

それがいつの間にかアメリカでは2%で販売され、日本では1%でリアップレディという品名で販売されています。

アメリカではロゲインの安売り品が結構出回っています。
怪しげな会社が作っているのではなくて、コストコという大手スーパーが自社のカークランドというブランド名で販売しています。
安売りといってもジェネリック医薬品なので、正規品と同じ効果があります。

ちなみに日本でもコストコは首都圏や関西にもありますが、育毛剤は日本では販売されていません。

そのため、個人輸入という形になります。
「ミノキシジル」で検索すると多くの個人輸入業者が出てきまので、興味がある方は調べられたらどうでしょうか。

なお、育毛剤の効果というのは、なかなかわかりにくいものです。
すぐに効果は出ないし、半年、1年とかかる場合があります。
生えてもうぶ毛なら太い毛になるには時間がかかります。
気長に使うしかないのが育毛剤です。

shin_chanz at 20:25|PermalinkComments(1) 育毛剤