2006年12月02日

コラーゲンをいっぱい食べると?

今にはじまったことではないですが、コラーゲンは人気がありますね。
肌に良いというイメージが強いのでしょうか。

サプリメントやドリンクでも、ついでにラーメン屋でも
コラーゲンが入っていることを強調しています。

そういえば、砂糖や澱粉などの炭水化物や植物油や動物油脂は
過剰に食べると、グリコーゲンや皮下脂肪や内臓脂肪として
蓄えられていきます。

コラーゲンなどのアミノ酸は、体内に必要ですし、
とりあえず食べれるときに食べておいて、
朝ごはんを抜いたときに利用できたら、非常に便利ですよね。

では、食べただけコラーゲンを体内にプールすることができるのでしょうか?

もし、可能ならコラーゲンサプリやドリンクを飲みまくれば
良いことになりますが、現実はそう甘くありません。

残念なことに、過剰のアミノ酸は体内には蓄積されないのです。

人間の体内では、毎日全タンパク質の2%程度(主に筋肉)が
分解されています。分解されたたんぱく質はアミノ酸になって、
その8割は再度たんぱく質の合成に利用されます。

いわゆる新陳代謝というやつで、古い組織を壊して、
常に新しいものに置き換えていきます。

コラーゲンを構成するアミノ酸は必須アミノ酸ではないため、
利用されなかったアミノ酸は、尿素に変換されたりして
あっけなく体外へ放出されていきます。

なお、栄養学では、たんぱく質を多く摂るより
その質が重要だといわれています。

質というのは、体内で合成することができないアミノ酸のことで、
必須アミノ酸を含んでいる食材です。
たとえば牛乳や卵が相当します。

小麦や豆などでは、たんぱく質中のアミノ酸組成が偏っているため、
特定の食材をたくさん食べる=体によい ということはありません。

コラーゲンを構成しているアミノ酸を毎日の食事から
十分に摂っている場合、さらにコラーゲンサプリを足しても
たとえば陥没したニキビ跡がもとに戻ったりということは
なかなか難しいのが現実です。

shin_chanz at 23:01|PermalinkComments(2) 栄養 

2006年11月30日

化粧品の発がん性物質

化粧品の発がん性物質で有名なものは、ニトロソアミンでしょうか。

シャンプーに入っているジエタノールアミンが亜硝酸と反応してできる
ニトロソアミンがよく問題にされます。

染毛剤に含まれる色素にも不純物としてニトロソアミンが
入ることもあるようです。

ただ、ニトロソジエタノールアミンの発がん性は、
IARCの分類では2Bでかなり低いものです。

一番強いのがグループ1でその次がグループ2A、
そしてその次がグループ2Bとなります。

グループ2Aには、ディーゼルの排ガスやエステの日焼けランプがあり、
グループ2Bにはコーヒーや漬物(日本でも漬物を多く食べる地域は
癌死が多いです)、ガソリンやガソリンでの排ガスなどがあります。

FDAの1991年の調査ではコカミドDEAを使った市販品 8個のうち63%
1992年の調査ではコカミドDEAを使った市販品12個のうち67%に
存在が確認されています。

もともと1970年代の調査でニトロソアミンが化粧品に入っていることが
確認されたのですが、その後どうしてニトロソアミンが化粧品にはいるのかという
徹底した調査で、ブロノポールという防腐剤が分解して、
亜硝酸を生成することがわかりました。

この防腐剤とトリエタノールアミン(ジエタノールアミンを少量含む)を
配合するとニトロソジエタノールアミンが生成することが確認されています。

このブロノポールは、日本では使用禁止となっていますが、
いまでもアメリカの化粧品には配合されることがあります。
FDAの調査もこのブロノポールを配合した商品を中心に調べましたので、
ニトロソアミンの検出割合が高くなっています。

なお、亜硝酸と反応してニトロソアミンになりやすいのは、
ジエタノールアミンで、シャンプーの成分にも使われています。
ただ、この成分は、日本の店頭で販売されているシャンプーからは
ほぼ排除されています。

他にもニトロソアミンになりやすいのは、二級アミン、三級アミン、
二級アミド、三級アミドと化粧品の教科書には書いていますが、
厳密に見ていくと敏感肌向けメーカーが売り物にする成分が相当します。

(公共の図書館には化学大辞典というものがありますので、そこでアミンを
 調べてみれば、特に二級アミン(ジエタノールアミン)がニトロソ化
 されやすいことがわかります)

ですので、無難な「ジエタノールアミン」や「トリエタノールアミン」が
危険だと定義されることが多いです。

ただ、化粧品のニトロソアミンより、焼き魚と大根おろしから
作られるニトロソアミンの方がIARCの分類では発がん性が上になります。

ニトロソアミンの発がん性が強調されることもありますが、
癌の専門家からみれば、コーヒーや漬物と同程度となります。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(4) 発がん性物質 

2006年11月29日

いわゆる発がん性物質

発ガン性物質と呼ばれるのは、いっぱいあります。

ただし、実際にヒトに対して、発がん性を示すものは、
何千、何万とあるわけではありません。

その割りに色々発がん性が言われるのは、
何か売りつけようとする商売熱心な人が多いからだと思っています。

発がん性を確定するのは、基本的に政府系の研究機関によります。
長期の動物実験やヒトでの健康調査で確定します。
発がん性が確定すると、産業界にかなりの影響がありますので、
慎重に行われます。

世界保健機構には有名な癌の研究機関があって、
その中でダイオキシンと同列に並べられている発がん性物質は、
タバコやヒ素、太陽光、経口避妊薬、ホルムアルデヒド、アルコール飲料、
ベンゼン、アスベスト、おがくずがあります。

意外と自然に存在するものも発がん性を示すものがあります。

タバコや太陽光、アスベストはいまさらといった感じでしょうか。
アルコールも飲みすぎると肝臓がんにならなくても
肝硬変となることもあります。

ホルムアルデヒドは、シックハウスの原因物質ですが、
アメリカや外国の化粧品の防腐剤として使われます。
ただ、ホルムアルデヒドは鼻の中に滞留して、鼻腔癌を引き起こしますので、
化粧品に使われている場合は、さほど問題が少ないかもしれません。

ベンゼンは、化粧品メーカーのDHCが製造した健康食品から
検出されて、最近、問題になったものです。
ビタミンCと保存料の安息香酸が反応して生成します。
ベンゼンは発がん性の他、骨髄も破壊します。

ところで、おがくずに驚かれる方が多いのではないでしょうか。

植物だし、自然で安心安全というイメージがありますが、
意外と発がん性があります。
家具職人など、木粉を吸ったり、触れたりする職業では、
癌にかかるひとが昔から多くいました。

まあ、自然なものだから安心できるというわけではありません。
あまり自然に触れすぎるのも良くないのでしょうか・・(^^;;

また、近頃では農薬の代わりに木酢液を使う農業が増えてきました。

木材を焼いたときにでる煙を原料にしたのが木酢液で、
自然なイメージで無農薬農法に取り入れられることもあります。
木酢にはホルムアルデヒドをはじめ、ベンゼン系、タール系の成分が
たっぷり含まれています。

動物実験で発がん性がないとされた農薬を避けて、
発がん性の疑いがある木酢液を使うのはなんとも皮肉なことです。

近頃では、精製してホルムアルデヒドを抜いた
木酢液も出回っているようですが、
なぜ、アトピーのような皮膚の弱い方に限って、
刺激も毒性も高そうな木酢を体に塗りつけるのか、残念でなりません。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(8) 発がん性物質 

2006年11月28日

脱毛症の新しい薬

日本人の男性型ホルモンに由来する男性型脱毛症は、
軽症の人を含めると、30代で10%、60代で約50%といわれています。
特に重症の人は白人で13%、日本人では4%であり、
若い世代ほど白人の1/4程度となります。

抜け毛の原因は色々あって、ホルモンの変化もありますが、
女性の場合は、無理なダイエットや膠原病、慢性甲状腺炎、貧血も
原因となります。

メルク社のフィナステリドは、ハゲの飲む治療薬として、
日本でも許可されました。
毛乳頭にある男性ホルモンを活性化する酵素を阻害することで、
効果を発揮します。

遺伝的にこの酵素を持たない男性は、男性ホルモンの量は正常ですが、
ひげや体毛がうすく、前立腺肥大やハゲにならないことが
調査でわかっています。

一日1mgの量で、活性が高い男性ホルモンは70%の量にまで落ち、
1年間で有効以上が48%、2年なら66%と薄毛に悩む男性にとっては
なかなか期待できる治療薬です。
(J.Am.Acad.Dermatol 39,578,1998)

内服を中止すると、数ヶ月で効果がなくなるので、
飲み始めるとハゲを気にしなくなるまでは、ずーと飲み続けることになります。

ちなみに、閉経後の女性には、効果はほとんどないため、
男性専用のハゲ治療薬です。

なお、妊娠中の女性は、男児の生殖器の発達に影響を与えるため、
飲むのは禁止されています。

また、男性の精液経由での女性の体内への浸透は軽微なため、
妊娠を希望する女性の夫が服用しても問題ないとされています。

女性の医薬品での治療の場合は、今のところミノキシジル(リアップ)の
外用しかなく、服用ではスピロノラクトンとなります。
他には植毛というのもありますが、なかなか難しいようです。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(1) 育毛剤 

2006年11月27日

洗濯の基本

もうすぐ年末。なんどか今年もよくわからないうちに1年が終わりつつあります。
年末になると、真面目に掃除をやらないといけない日がやってきます(笑)

水に濡らした雑巾を絞って、拭き掃除をしていくと、
だんだんバケツの水が澄んだ水からどす黒くなっていきます。

家の中はそうでなくても、土足で歩く部分を水拭きすると、
あっという間にバケツの水は真っ黒です。

そういう水をつけて雑巾も絞るものですから、
雑巾もだんだん色がつき、床も薄汚れた水で洗うことになります。

これは水に分散した土などの微粒子が、沈殿せずにうまく分散するために
雑巾に再付着するために起こります。

ここで、洗濯の基本はというと、一度服から取った汚れが
再度、服につかないというのが第一に挙げられると思います。

たとえば、衣服の繊維は水につけると、プラスになったり、マイナスに
なりやすい繊維があります。
汚れが繊維と同じ電荷を持ちなら、電気的な反発により
剥がれていきますが、違う電荷なら、水を濡らしてもしっかりつくだけで
なかなか離れてくれません。

また、一度石鹸や洗剤で汚れを乳化して衣服から離しても、
汚れは水に溶けているだけですから、再度衣服に付着することも
考えられます。

そこで、合成の衣料用洗剤の場合は、CMCというセルロース誘導体が
配合されていて、これが汚れの粒子をくるっと包み込み、
また衣服の表面に取り付きます。

すると、衣服と汚れの間には電気的な反発ができて、
一度離れた汚れは衣服につかないし、まだ、粒子同士も電気的な反発により
水に分散するという仕組みになっています。

節水型の洗濯機が増えていますが、「一度取った汚れが再度付着しない」ことを
しっかり研究した洗剤でないと(とはいっても数百円ですが)、
汚れた下着類と余り汚れていない衣服を一緒に洗えば、
汚れた下着はまあまあマシになっても汚れていない衣服は
洗濯前より汚れに汚染されている羽目になりかねません。
とくに洗浄液を高濃度で使う節水型は、その傾向が強くなります。

なお、これは家の洗濯だけでなく、クリーニングにも言えることです。
上品な奥様が丁寧に着た洋服をクリーニングに出すと、
ほとんど汚れがない洋服でも、どこぞの誰かもわからない
薄汚れた衣類と一緒に洗われる羽目になりますが、
再汚染防止がされていないと、きっちり折りたたまれていても
繊維の中の汚れは多くなって、クリーニングに出した時より
汚れて返されることになります。

shin_chanz at 00:09|PermalinkComments(2) 乳化と分散 

2006年11月26日

粉末の分散

酸化チタンを使って、簡単に日焼け止めを作れないのは、
うまく粉を分散できないことと、分散した粉が再度集まって
またひとつの塊になることを防ぐことができないからです。

粉末を分散させるのには、どうすればよいのか。

そのひとつの解決策が水に溶けた粒子にプラスかマイナスの電気を
帯びさせるようにすれば、粒子同士はくっつこうとしても
電気的に反発してくっつきにくくなります。

これは磁石を思い出していただければ、理解していただけると思います。
2つの磁石のN極同士をくっつけようとしても
見えない力が働いてN極同士ではくっつかないという経験は
されたかと思いますが、これは水に溶けた粒子でも同じような現象が
おきることになります。

微粒子の場合は、水に入れるとその粒子がマイナスのイオンでなくても
粒子と接触している周囲の水がごくわずかにマイナスのイオンになります。
(この逆のプラスになることもあります)

ややこしい話ですが、その粒子そのものがマイナスイオンでなくても
粒子を取り巻いている環境がマイナスになってしまうのです。

そして、このことを利用すれば、マイナスのイオンの量を増やすことが
できれば、粒子同士がくっつこうと近づいても電気的に反発するので、
他の粒子とくっつくことができません。

ちなみにこの粒子のマイナスイオン量を増やしたりするのが、
ポリマー(高分子)です。
古くは絵の具にも使うアラビアガムなどが代表的でしょうか。
合成高分子も性能がよいものが多くあります。

油絵は顔料をアマニ油に分散させた油絵の具を使いますが、
水彩画は顔料をアラビアガムを使って水に分散させた絵の具を使います。

まあ、ファンデーションや日焼け止めも一種の絵の具みたいなものですから、
粒子を安定化させる考え方の根本は同じとなります。

shin_chanz at 08:37|PermalinkComments(4) 乳化と分散 

2006年11月25日

手作りではなかなか難しい日焼け止め

日焼け止めを手作りで作りたいという要望は多いです。

酸化チタンなども手作り用として販売されていますが、
なかなか効果的なものは作れません。

理由はうまく粉を分散させるのが、かなり難しいからです。

化粧品会社でも大手以外では、予めシリコーンオイルやスクワランなどに
分散させた酸化チタンや酸化亜鉛を使うのが一般的です。

では、どうして粉が分散しないといけないかというと、
紫外線はかなり小さな隙間でも入り込んでしまい、
粉が均一に分散しないと日焼け止めを塗っているのに
日焼けするという事態になりかねません。

また、酸化チタンなどの吸収も粉の粒同士がくっつかないときに
最大の効果を発揮します。

ただ、残念なことに粉同士はくっつきやすい性質があるため、
うまく分散させる必要があるのです。
それには、特殊な機械が必要なため、たいていの化粧品メーカーでは
予めシリコーンオイルに分散させたものを使うのが一般的です。

その方が、製造時間を短縮できますし、配合も容易なので
使いやすい特徴があります。

なお、酸化チタンは、触媒効果をもっているため、
たとえば絵の具の白は酸化チタンですが、
それをそのまま配合するわけにはいきません。

配合する前に酸化チタンの表面にシリコーンなどをあらかじめくっつけます。

酸化チタンや酸化亜鉛など何の処理も施さないと
紫外線にあたれば酸化チタンの周りに存在する成分を酸化する性質があります。

この性質を利用して、反応性を高めたシリコーンを酸化チタンに塗れば
酸化チタンの表面で活性が高い部位へシリコーンがくっついていきます。

粉末のため液体に溶けにくい酸化チタンの表面を処理することで、
化粧品に配合しやすくなり、また酸化チタンの触媒作用を
抑えることができるという一石二鳥のメリットがあります。

shin_chanz at 20:03|PermalinkComments(4) 乳化と分散 

2006年11月24日

光合成について その2

バイオテクノロジーが急速に進歩しています。

ただ、地球の人口もご存知のとおり急速に増えてきていて、
近い将来食糧が足りなくなる時代がやってくるといわれています。

素人なので、たとえば小麦や稲の澱粉量が今の2倍程度になる
品種を開発できたら、食糧問題は解決するのではと考えてしまいますが、
そういうことは、空想の絵物語らしいです。

遺伝子改良が進んで、豆腐でも遺伝子組み換え大豆は使用していませんとか
表示されているケースが増えていますが、世界で生産される食糧は
遺伝子改良された割合が多くなりつつあります。

遺伝子改良というと、虫の遺伝子を組み込んだ大豆などが有名ですが、
案外地味な改良が多いようです。

基本的に現代の土地の事情では、簡単に作物を植えれる土地には、
すでに作付けされていて、残っている土地はひとくせもふたくせもあるような
土地がほとんどです。

たとえば、水がほとんどない地域や水があっても雑草が生い茂っているような
土地などです。

水が少ない土地には、水の利用率を高めた遺伝子改良が行われ、
雑草が生い茂っている土地には、除草剤耐性を持つ遺伝子改良が行われます。
また、農薬を節約するために害虫耐性のある遺伝子改良も行われます。

肥料を節約する遺伝子改良なども行われたものもあり、
遺伝子改良というと派手なイメージがつきものですが、
実は地味な改良が多く、作物を植えるのに適さない土地を
どう利用していくのかが焦点になっているようです。

また、大豆などでは、保存性が良くなるような油にするのも
重要なようです。

さて、今のところ、光合成の能力を向上させることができたのが、
パーム油ぐらいのようです。

パーム油は熱帯で育つ植物ですが、耕地面積を増やさなくても
新しい品種に植え替えるだけで、収穫量が20%以上向上するという
特徴を持っています。

ただ、残念なことにパームは育つ環境が限られているので、
インドネシアやマレーシアなどでしか育ちません。

やせた土地でも育つ作物といったら、大豆です。
大豆は、窒素肥料をやらなくても空中の窒素を利用できる作物です。
これは大豆の能力ではなく、根に空気中の窒素を肥料として与えることが
できる菌がいるからです。
微生物との共存ですが、この菌は、栄養が多い土地だと他の微生物に
やらてしまうため、痩せた土地の方が大豆がよく育つという
面白い特徴があります。

世界の植物油といえば、大豆油、菜種油、パーム油が代表となりますが、
大豆油が多く生産される理由は、以上のことからお分かりになられましたよね?

shin_chanz at 00:05|PermalinkComments(0) 植物の知識 

2006年11月23日

光合成と太るということ

この世界にはいろいろな種類の植物がありますが、
その中で最も光合成の能力に優れているものは何だと思いますか?

ハロウィンに使われる大きなかぼちゃでしょうか、
それとも大きなスイカでしょうか。

実は光合成の能力は、野菜の大きさには関係ありません。
ほとんど毎日重い野菜を買われているかと思いますが、
たとえば1kgのキャベツであっても900gは水分で
水を買っているようなものです。

光合成は、二酸化炭素と水から紫外線を使って
ブドウ糖などの糖を作る反応です。

そして糖がいくつも連なってポリマー構造となり、
植物を支えるセルロースなどができあがります。

童話で「お菓子で出来た家」がありますが、
木の家というのは、人間にセルロースを分解する酵素があれば
砂糖より甘いブドウ糖の塊に変身します。

セルロースは食べれませんが、身近なでんぷんも
糖が連なったポリマー構造で、糖を貯めこむのに都合がよい形です。

種にでんぷんが含まれる場合は、発芽するときにでんぷんを
分解してエネルギーにしていきます。

われわれの主食である米や小麦などは、主にでんぷんを
貯め込むタイプの植物です。

それではでんぷんを貯める植物が最も光合成に長けているのでしょうか?

実は、でんぷんよりさらに貯蔵するのに適しているのが油です。

人間にしても他の動物にしても、植物にしても
エネルギーは、炭素を酸化したときにでるエネルギーを
使って生命を維持しています。

炭素は酸化されて、二酸化炭素になります。
人間が呼吸で酸素を取り入れて、二酸化炭素を吐き出している
ということは、ご存知だと思いますが、
これはまさに炭素を酸化してエネルギーを取り出している証拠です。

油がどうして、でんぷんに比べて炭素を貯蔵するのに
適しているのかと言うと、糖は多くの酸素が分子内にくっついているのに
対して、油は酸素割合が少ないという点です。

つまり、炭素は酸化される割合が多いほど、エネルギーが多く発生するので、
酸素の割合が少ない油の方が、貯蔵に適しています。

植物は糖から油を合成する酵素を使って、油を貯め込んでいきますが、
その油を貯めこむ能力に優れているものが、最も光合成能力を
持っていることになります。

植物油というと、菜の花の菜種油、大豆の大豆油、オリーブのオリーブ油
パーム油、やし油など色々ありますが、最も油を作る能力を持っているのが
パーム油を作るパームやしとなります。

種に油を貯めこむ植物は、発芽するときに油を糖に戻すことで
貯めこんだエネルギーを効率よく取り出していきます。

光合成で得たエネルギーをいかにコンパクトに種子へ納めるか
植物が出した結論が、糖からさらに酸素をとって
油へ変えて貯蔵するということです。

ところで、ダイエットで砂糖やでんぷんなどの炭水化物より
油の方が太るというのが、常識ですが、なぜかわかりましたか?

上記の理由から、油の方が1分子中の炭素の割合が多い分、
エネルギーを多く取り出せることができるためです。

エネルギーをすべて運動で使えば、太りませんが、
余ったエネルギーは糖や脂肪に変えて貯めるように出来ています。

当然、エネルギーが多く出る脂肪を取ったほうが
太りやすくなるわけです。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 植物の知識 

2006年11月22日

古代のナノ技術

2000年前の古代の化学者が、ナノ技術を利用した
染毛剤を開発していたようです。

ヘナはすでに利用されていましたが、
色落ちと色のバリエーションのなさが不満となって、
それほど利用されていなかったようです。

そこで開発されたの鉛を使った染毛剤で、
髪の毛に浸透して、5nmの結晶となって髪の毛に分散します。

一度入った鉛は、外に出て行きませんので、
永久染毛剤となります。

ギリシャの古代遺跡から発掘された染毛剤の処方を再現したところ
驚くべき再現性とその処方の正確さが確認されました。

酸化鉛に水酸化カルシウムと水を混ぜただけなのですが、
ナノ化鉛は髪の毛の主要繊維であるケラチン繊維の構造に
損害を与えず、つまり毛を痛めずに褐色に染毛するのが、ポイントです。

ただ、鉛は毒なので、髪の毛につくだけならよいですが、
皮膚につくとやっかいです。

結局、鉛では染毛することはできますが、毒性のため、
ルネサンス時代までしか使われなかったようです。

古代の美容は、おしろいの鉛白が有名ですが、
水銀や砒素などを使用したものもあり、危なくて現代では使えませんが、
古代にも染毛というニーズがあり、化学者がそのニーズに応えていた
ということには、驚きました。

古代人恐るべし・・(^^;;

shin_chanz at 00:21|PermalinkComments(2) 化粧品原料