2007年04月

2007年04月30日

成長ホルモン配合化粧品 その2

そろそろ日本でも出てもいいかなと考えているのが、
成長ホルモン様成分配合化粧品です。

ただ、成長ホルモンそのものを配合するのはできないので、
成長ホルモンと似たような働きをするIGFというインスリン様成長因子で、
アミノ酸が70個連なった分子量約7600のたんぱく質を使います。

成長ホルモンが効果を発揮する主要ルートが
肝臓に成長ホルモンがくっついた後、このIGFが作られ、
IGFが各細胞に働きかけていくというものです。

通常は、成長ホルモンの効果は、このIGFを経て、
効果を発揮するものと考えられていますので、結構重要なんです。

さて、IGFはさまざまな細胞に働きかけ、細胞の成長やたんぱく質の合成など
いろいろ効果を持ち合わせています。

まあ、成長因子という名前がつけられている点からもお分かりに
なられるかと思います。

面白いことにウシのIGFと人間のIGFは、アミノ酸配列が良く似ている
どころではなくて、完全に一致しています。

ということは、成長ホルモンの効果を得るためには、
なにも成長ホルモンをとらなくても、ウシのIGFを
使えばよいということになります。

さらに都合のよいことには、IGFというのは、牛乳に含まれる成分です。

どうして、牛乳かというと、子供の成長に人間もウシもIGFが
細胞に働きかけて、子供の成長を促していきますので、
ウシの母乳である牛乳に含まれるのは、道理にかなっています。

主にウシの初乳に多く含まれていて、
その量は 100−500ng/mlとなります。
通常の牛乳は2−50ng/mlです。

人間の初乳では、10−50ng/mlで、しばらくすると1−10ng/mlになります。

ただ、アミノ酸で出来たペプチドなので、
胃酸などで、一部の構造が壊れることも予想され、
飲んだ量が、そのまま吸収・働くとは限りません。

ところで、このIGFを多く作らせるには、ウシに成長ホルモンを与えるのが
一番なんです。しかしながら、日本やEUでは成長ホルモンを与えて、
作らせた牛乳の流通は禁じられているので、IGFを多く含んだ牛乳というのは
アメリカぐらいにしかありません。
(成長ホルモンを牛に与えると、牛乳がいっぱい取れるようになるので、
 アメリカでは牛に与える酪農家が多くいるようです)

ちなみに成長ホルモン配合を謳う化粧品がどうして牛乳を原料に使うのか
カラクリがわかりましたよね?
サプリメントも似たようなカラクリです(笑)

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2007年04月29日

活性酸素を放出する抗酸化食品 その2

過酸化水素は、食品加工に使われる場合があります。

殺菌作用があるので、一部の食品に限って添加が認められています。
ただ、残存しないことが条件なので、食品に添加した過酸化水素が
そのまま残ることはありません。

ちなみに過酸化水素は発がん性があるとか言われる場合もあります。
非常に嫌われている存在ですが、過酸化水素自体は我々の体内でも作られます。

菌が侵入してきたとき、白血球は過酸化水素などを作って殺菌します。
(病原菌の中には抗酸化成分を作って、白血球の攻撃を防御するものもいます)

また、糖尿病ほか精神的なストレスから引き起こされる病気なると、
体内で作られる過酸化水素の量が多くて、酵素では消去しきれないこともあります。

100%外から入ってくる成分ならともかく、体内でも作られるので、
生成する量と消去する量のバランスがストレスなどで崩れれば、
当然過酸化水素が毒として体内に回り始めます。

この場合は尿として出て行きますが、抗酸化サプリメントを飲むより、
精神的なストレスからいかに開放されるか、もしくは少なくするかが重要になります。
人間生きている限り、悩みから開放されないとも言いますので、
少々のストレスは誰もが抱えていることですが、大きな重圧からは
なんとかせねばなりません。

さて、前置きはここまでにしてデータは以下の通りとなります。

過酸化水素は生鮮野菜や魚、肉には基本的に含まれません。
ただし、熱を加えて作るものには出来てきます。

食パン 0.4ppm
カップめん 2.7ppm
マッシュポテト 2ppm
まんじゅう 1ppm
しょうゆ薄口 3ppm

緑茶,玉露,葉 6ppm
緑茶,玉露,浸出液 0.2ppm
緑茶,煎茶,葉  6ppm
緑茶,煎茶,浸出液 0.4ppm
緑茶,焙じ茶,葉 30ppm
緑茶,焙じ茶,浸出液 1.5ppm

ウーロン茶,葉 35ppm
ウーロン茶,浸出液 0.3ppm

紅茶,葉 18ppm
紅茶,浸出液 1.4ppm

コーヒー,煎り豆 140ppm
コーヒー,浸出液 4.8ppm

インスタントコーヒー 粉末 369ppm
インスタントコーヒー 熱溶液 1.3ppm
インスタントコーヒー 冷溶液 1.7ppm

ココア,粉末 63ppm
チョコレート 2.2ppm

(食品衛生学会誌より)

圧倒的にコーヒーやココアが多いです。

豆を焙煎(数百度以上の加熱)することで、
さまざまな反応が進むため、過酸化水素も大量に発生します。

焙煎方法で、コーヒーは味が変わりますが、
過酸化水素が大量に発生したり、出来た過酸化水素が成分を
酸化したり、ほかにもいろいろな化学反応が一気に進行するので、
味が変わるのは当然のことです。

ただ、過酸化水素の発生はポリフェノールの化学構造自体に由来するものなので、
まあ、仕方ないのかもしれませんが、コーヒーの飲みすぎには注意が必要です。

なお、インスタントコーヒーを見ていただいたわかるのですが、
抽出温度で過酸化水素の出やすさには差がないようです。

生薬エキスの加熱滅菌で過酸化水素が増大したりはしませんので、
ご安心ください。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 食品の科学 

2007年04月28日

活性酸素を放出する抗酸化食品 その1

手作り化粧品を作る人には、まあ、知っておいてもよいかなと思う知識です。

抗酸化成分というのは、時に活性酸素を放出したり、
脂質を酸化させたりする原因となります。

ビタミンEが良い例で、低濃度だと油の酸化を防止しますが、
高濃度になると、油の酸化を促進します。

抗酸化剤だからといって、摂りすぎるとろくなことはありません。

まあ、抗酸化サプリ飲みすぎは体に良くないよとアメリカ心臓協会という
心臓外科医が中心となって作っている団体も各種論文からのデータにより
リスク面について、注意を促すようになりましたし、
せっせと飲みすぎないように注意が必要です。

さて、自然の食品に含まれる抗酸化物質でも、困ったことに活性酸素を
放出することもあります。

なんで、抗酸化成分が活性酸素を放出するのか、意味がわからんという方が
ほとんどだと思います。

抗酸化成分のうち、お茶やコーヒーに含まれるカテキンなどのポリフェノールは
構造が壊れていくときに、過酸化水素を放出することがあります。

通常の活性酸素は構造が不安定なため、1秒と持たないのですが、
過酸化水素はそう簡単には消えない特徴を持っています。

とくに中性から弱酸性になるとなかなか消えてくれません。

まあ、人間や動物は過酸化水素対策として、専門に消去する酵素を
持っていますので、皮膚についたり、どっかの細胞に取り込まれようとしても
すぐに水へと変化します。

カテキンが過酸化水素を放出するからといって、ガンになりやすいかといえば
そうではなくて、たとえばお茶をどの県よりも良く飲む静岡では
胃がんが少ないことが証明されていますし、それほど気にすることも
ないかもしれません。


shin_chanz at 10:46|PermalinkComments(0) 食品の科学 

2007年04月27日

成長ホルモン配合化粧品

アメリカのドクターズコスメはペリコンなどが有名ですが、
ニューヨークの医師たちが開発に携わっているというコスメがあります。

DDF(Doctor's Dermatologic Formula)というブランドがあるのですが、
それのスペシャルコスメとして1000ドルのものがあります。

日本円で12万円でしょうか。しかも1ヶ月分です・・(^^;;

まあ、本当にお金が余っていている人向けなんでしょうね。

冷凍保存された粉末状のたんぱく質がバイアル管に入っていて、
これを血清と合わせて混ぜ合わし、夜に塗ります。

しわと毛穴対策コスメなのですが、ビタミンC誘導体と同様に
コラーゲンを合成促進します。

ちなみに原料というのが、出産2週までの乳牛の牛乳です。
この2週というのが重要で、この牛乳にはたっぷりの成長ホルモンが
入っています。

ただの牛乳を使っていないので、この価格ということでしょうか。

まあ、牛の成長ホルモンなのですが、人間にもある程度効くようです。

そういえば、人間の母乳も出産後しばらくはラクトフェリンが多かったり、
特別な成分が含まれています。

なお、この化粧品に価格分の価値があるかどうかはわかりませんが、
日本のお金持ちのマダム向けの化粧品にはかつて牛の血液抽出物が
配合されていたりしましたし、プラセンタもそうですが、
動物のエキスに何か神秘的なものを感じる女性も多いのでしょうか。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(2) 化粧品 

2007年04月25日

胎児・乳児の発育を阻害するEPA

EPA(エイコサペンタエン酸)というのは聞いたことがあると思います。

血栓を作りにくくするので、健康食品も多くありますし、
血小板凝集抑制作用を利用しての医薬品もあります。

魚に含まれているので、イワシなどの青魚は健康によいとも言われます。

DHAとペアで紹介されることもありますが、
胎児や乳児にとっては、DHAと一緒ではありません。

20年前にEPAを多く含む魚油を早産児に与えると、
乳児の発育が遅延することが報告されてから、
EPAの摂り過ぎには注意が払われるようになりました。
Pediator Res21、507 1987

一方、DHAは脳の発育には必ず必要です。
というのは、脳の脂質というのは、DHAがメインだからで、
脳の重量を増やすには、それだけ外からDHAを吸収する必要が
あるということです。

成人になるとリノレン酸からDHAを作る酵素が働いているのですが、
乳児はこの酵素の活性が弱いため、積極的にDHAを摂る必要があります。
DHAを摂ることで、脳の発育を促し、網膜組織も発達してくるので、
目が見えるようになってくるわけです。

母乳にDHAが多く含まれているのは、ご存知のことですが、
授乳期間中は、EPAを多く含むイワシより、EPAが少なく
DHAが多いマグロの方がメリットは大きそうです。

ちなみに魚というのは、非常に矛盾した食べ物で、
アメリカではよく魚を食べる方がよいのか、それとも食べないほうがよいのか
という議論がよくあり、ハーバード大学などが色々調査報告をしています。

日本人というのと、魚は健康によいと思いがちですが、
心臓病の原因になる可能性があるエルカ酸を含んでいます。

春になると畑や田んぼに菜の花が咲くことも多いのですが、
この菜の花の種から絞った油、つまり菜種油には、
このエルカ酸が従来50%も含まれていました。
(現在の菜種油には、カナダ人の努力でキャノーラ種が作られ
 エルカ酸は含まれていません。)

つまり、アメリカでは心臓に悪いと食卓から追放したはずのエルカ酸が、
魚には含まれていますので、DHAの効能とエルカ酸の害と
どっちがよいのかという議論もあり、そのほか魚に濃縮される物質についての
議論など、話題は尽きない食材なのです。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 食品の科学 

2007年04月23日

もうすぐ認可されるか、食品添加物ーポリソルベート類

ポリソルベート類がようやく認可されるようです。

内閣府食品安全衛生委員会で現在意見を募集していますが、今年か来年には認可されると思います。


乳化剤の一種で、化粧品のクリームではおなじみですが、
海外では食品に良く使われています。

油を乳化したものなら、たとえばアイスクリームからチョコレート、
ケーキミックスやドレッシングに使われます。

日本では認可されないため、海外から輸入した食品に
ポリソルベート類が入っていて、通関をとめられたり、
また販売中の商品から見つかって、回収騒ぎを起こしたりと地味ですが、
使われている食品の種類が多いので、色々問題視されていました。

毒性は上のリンクをみればわかりますが、特に強いものではありません。

食品行政というのは、政策的なものもあります。

どこの国も自国の産業を守るため、あえてよく使われる食品添加物を
認可しなければ、安い食品が外国から入ってくるのを防ぐことができます。

ポリソルベートもそういう役割を担っていたのかもしれませんが、
2000年から始まった規制緩和の一環として
海外で認められている食品添加物は日本でも認めようとなり、
ずいぶん前から見直しが始まっています。

ところで、このポリソルベート類は、実は医薬品にも使われています。
それも点滴で体内にいれる薬に使われています。

薬は水に溶けるとも限らないので、ポリソルベートで水に溶かして
点滴剤として使うわけです。

使われているのは、抗がん剤と抗HIV剤です。

いずれも普通の人より体力がかなり衰えていて、
生命に危機が迫っている方に使用されています。

食品添加物としては、初めて認可されますが、日本人が摂取した場合の
膨大なデータは、すでに医薬品から蓄積されています。

今回の認可で恩恵を受けるのは、輸入業者や安売りスーパーでしょうか。

海外の輸入食品からは、今後ポリソルベートを使ったものが
確実に入ってくると思います。

ただ、日本のメーカーは、よほど価格競争するところでないと、
そんなに使わないような気はします。

ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが食品の乳化剤として
よく使われていますし、こちらは100%植物油を原料として作れますが、
ポリソルベートはそうではないので、イメージ面から
わざわざ使うのかなと考えています。



shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 食品の科学 

2007年04月22日

雑誌で紹介されました。

AP100ブライトニングパウダーがbea's UP(ビーズアップ) 5月号(4月12日発売)で紹介されました。

コスメ系では最多の24万部を発行している雑誌です。

コスメでは美的やVOCEが有名どころですが、
いずれも12万部程度の発行ですから、
ビーズアップは群を抜いての発行部数を誇ります。

真面目に医薬品工場で製造していることが評価されているのでしょうか。

コスメの編集部には化粧品会社出身の人も多く、
製造コストをかけている割りにリーズナブルな価格で販売していることに
驚く方も多いです。

原料費の比率が高くて、製造費も高いコスメが合ったら
面白いじゃないですかと話をしています。

まあ、世の中うまくいくことはまれと言う人も多いのですが、
中にはさりげなく応援してくれる方もいて、そのご厚意に感謝は絶えません。

掲載記事です。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2007年04月21日

パチンコに低周波?

今日は、昨日摘み取った土筆をてんぷらにして食べました。

姪っ子の大好物で、散歩がてら田んぼの土手に生えている
土筆を大量に取ってきて、料理します。

土筆はただですけど、これって下ごしらえが面倒なんですよね・・(^^;

ただ、てんぷらにするとサクッとした歯ごたえで
ほんの少し苦味があります。
ちょっぴり大人の味ですが(笑)、8歳の姪っ子はこれが大好きで
いまの季節ではすごい量を食べるそうです。

さて、低周波治療器といえば、筋肉を動かして肩もみや腰を揉みほぐす装置です。

イオン導入器と同じ皮膚に電流を流す装置ですが、
電流量が100倍くらい違います。これだけ違うと電気は皮膚を突き抜けて
筋肉まで到達します。

低周波治療器まではいかないにしても、イオン導入器より電流が強いものだと
顔用に使うことができます。電気で筋肉を動かし、顔を引き締めます。
リフトアップさせると表現されることも多いですが、リフトアップ機能が
ついたイオン導入器や超音波導入器もありますが、要は電気の出力が
上がっただけです。

低周波と聞くと何か特別な周波数を持つ電波のような気がしますが、
電気の周波数のことですので、ご注意を(笑)

ところで、パチンコはぜんぜんやらないので、ちょっと驚いたのですが、
肩こり用の低周波治療器を改造してパチンコに使うと、
大儲けできたようですね。

低周波治療器は一定間隔で筋肉に刺激を与えるのですが、
その間隔がちょうどスロットの回転するタイミングとあっていて
低周波治療器の刺激と同じタイミングでスロットを押せば
「777」とかが揃いやすくなるとか。

あまりにもぼろもうけできたので、今は、禁止されていますが、
よくそんなことに応用したなとちょっと感心しました・・(笑)

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(4) 超音波導入器 

2007年04月20日

ビタミンEによるオイルの抗酸化

ビタミンEは抗酸化剤として有名です。

オイルの抗酸化剤にはビタミンEが良く使われます。
合成抗酸化剤の使用もありますが、やっぱり天然物で酸化を止めるのがいいし、
なにより量も少なくて済み、コストも低いのが特徴でしょう。

化粧品のオイルや油を使用した食品によく添加されますが、
その量はどのくらいかご存知でしょうか?

1%いや5%?

ビタミンEはそんなに多い量を必要としません。
一般的には0.001〜0.1%という量です。

これ以上多いと逆に酸化を進めたりするので、
適量というものがあります。

抗酸化剤を多く入れると、それだけ酸化を遅らせるような気になりますが、
現実は逆なのでご注意ください。

ビタミンEにはα、β、γ、δと4種類あります。
小麦にはα体が多く、大豆にはγ体やδ体が多くなります。

通常ビタミンEと呼ばれるのはα体が多いです。
ビタミンEとしての血行促進などの効果はα体はδ体の100倍もあり
ハンドクリームなどに入っているのは、α体でないと
冬場のあかぎれ対策にはなりにくいです。

われわれの血液からも検出されるのは、α体ばかりで
ほかのビタミンEはよほどでない限り検出されません。

これは摂取量がα体に偏っているのも一因です。

さて、どのビタミンEが一番抗酸化力が優れているのか?

色々文献を確認しましたが、大きくα体を支持するものと
δ体を支持するものと2通りに分かれています。

ここで注意しないといけないのは、いずれの実験も条件が異なり、
ビタミンEの中でどれが一番抗酸化力が高いかは
あくまでビタミンEの置かれている現状で変わってしまうのです。

単純に活性酸素などをビタミンEの入っている溶媒に添加して
どのビタミンEの抗酸化力を調べる実験では、
α体が一番早く消去して抗酸化力が一番高いという結果がありました。

言うなれば、この結果は突然活性酸素が侵入してきたときの
対応度を見る試験でしょうか。

一方、食品関連の文献ではδ体が一番とするものが多いです。

これは酸化しやすい不飽和脂肪酸が多いラードや魚油に4種類のビタミンEを
加えて、過酸化物が一定の水準に達するまで何時間かかるかという実験を
行っています。
過酸化物が多くなると風味が劣りますし、食中毒にもなりかねません。
酸化しやすいものを長時間持たせるためにはどのビタミンEが優れているかと
なると、δ体が一番優れているという結果でした。

酸化しやすい大豆油やモロッコのアルガンオイルにδ体の割合が多いのも
植物の知恵なのかもしれません。

ビタミンEの抗酸化力は、4種類あるなかで、どういう条件で使用するかで
変わってくることを知っておく必要があるようです。

最後に酸化しやすい魚油にビタミンEを添加したときの結果を
アップしておきます。POVが過酸化物の量で、これが多くなると食べれません。
α体だとすぐに過酸化物が多くなっていますが、δ体だと過酸化物が増えるのに
時間が掛かることがわかります。





ビタミンEの抗酸化力

shin_chanz at 00:02|PermalinkComments(1) 抗酸化ビタミン 

2007年04月18日

アメリカの農業収益

アメリカは石油が少なくなる現状を見つめて、
中東への石油依存を減らす政策を積極的に進めています。

ガソリンの代替として、トウモロコシからのバイオエタノールを、
軽油の代替として、大豆油からの脂肪酸メチルエステルを作るべく、
農産物の燃料化が大規模に進んでいます。

アメリカのトウモウロコシの全生産量の半分が5年以内に
食料ではなく燃料向けとなる予測もあるほどで、
食料の価格が今後どんどん上がる事が予想されます。

トウモロコシを原料にしているのは、コンスターチを原料にしている
ビールが主ですが、ほかにも澱粉を使う食品は影響を受けます。

化粧品では澱粉からビタミンCを発酵して作りますので、
まあ、何らかの影響があるかもしれません。

2006年ではアメリカ農務省の発表で、
1エーカー(63m×63mの面積です)当たりに植えた作物の
収入を発表しています。

米が一番で185ドル、トウモロコシ、大豆で125ドル、
小麦が一番低く50ドルです。

2007年にはトウモロコシが334ドル、米が300ドル、
大豆が200ドル、小麦が100ドルの予想です。

小麦はパンの原料となりますが、かなり生産者にもたらす収入は
かなり増えることが予想されています。
(食料品は流通経路が複雑なので、値上がりがそのまま
 パンの価格に跳ね返るわけではありません)

トウモロコシの価格が値上がりしているのは、バイオエタノールの
原料になるので、その影響が大きいのです。

ただし、アメリカは広大な土地なので、日本と違って、収穫後すぐに倉庫に
入れるわけではなく、また、同じ作物を毎年植えると輪作障害が出ますので、
儲かりそうだからといって、トウモロコシばかり植えるわけにはいきません。

大豆は、他の作物と違って、窒素源として空気中の窒素を利用することができ、
手の掛からない作物です。広大な農場で限られた人数で作物を生産するとなると
手のかかるトウモロコシを植える面積というのは、範囲が狭まりますが、
それでも大豆を植える面積は減りそうな感じです。

大豆の生産が減ると、豆腐の値段があがるだけでなく、
油を絞った大豆かすは家畜にとって重要なアミノ酸源となっていますので、
肉の価格も上がります。
また、サラダ油も大豆油の割合が多いので、油の価格も上がってきます。

石油価格が上がっているおかげで、
食料が食料ではなくなってきているのが気になるところです。

ところで、日本の場合、農地を耕すのはその田んぼを持っている百姓が
ほとんどです。

アメリカの場合は、農地を持っている人が必ずしも百姓をしているわけではなく
農業専門会社に農業を任せて、自分たちは都会に住むというケースが
増えてきています。州によっては4割くらいの農民が部分的に土地を貸したり
全部貸したりしているとか。

この場合、農業会社に貸す土地代というのは、一定額ではなく、
収穫できた作物の半分という契約がほとんどです。

収穫は天候や害虫の発生よって大きく左右されますので、
こういう契約ではないと借りる方はやってられないのでしょうね。

子供の頃、NHKで大自然の小さな家という西部開拓時代のドラマを
よく見ていました。苦労して、農場を切り開いたりしていましたが、
今や農業はノウハウを持っている専門業者に任せていれば、
農場主達は遊んで暮らせる時代。

石油の価格上昇は色んなところに波及しています。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 植物の知識