2008年03月

2008年03月31日

ポリマーいろいろ その2

植物が作るポリマーといえば、だれでも知っているのがでんぷんでしょうか。

植物は、光合成で糖を作りますので、その糖のつなげ方で
様々なポリマーを作ります。

自然界で最大の生産量を誇るポリマーと言えば、セルロース。
植物の体の大部分はブドウ糖をつなげて作ったセルロースで作られています。

他にも様々な糖をつなげて、ペクチンやグアーガム、アラビアガム・・などを
作ります。

動物もブドウ糖をつなげてポリマーにしますが、
植物のように体を作るポリマーではなく、栄養を貯めるためのポリマーとなります。
肝臓や筋肉に貯めるグリコーゲンがそれに相当します。

ちなみに、セルロースなどのブドウ糖からできたポリマーは、
活性酸素を除去するという特性も持ち合わせています。

活性酸素の一種であるヒドロキシラジカルは、糖系ポリマーによって
捕捉され、消去されます。

このとき、ポリマーだった分子は低分子化しますので、
たとえば食品などは粘度が落ちたりすることがあります。

人間や動物では、この糖系ポリマーはヒアルロン酸が相当し、
ヒアルロン酸もまた活性酸素の一種の捕捉剤として作用します。

ヒアルロン酸もラジカルを消去したあと、自分自身は原料の糖に分解されます。

活性酸素の消去剤というと、ビタミンCやビタミンEなどが有名ですが、
これが消去できずにいよいよ生体の組織に活性酸素が到達した場合、
細胞と細胞の間に充満しているヒアルロン酸が身を挺してラジカルと闘うわけです。

活性酸素にあえて攻撃されるように分子を組み立てているというのが、自然界で作られるポリマーの妙でしょうか。



shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2008年03月29日

ポリマーいろいろ その1

ポリマーという響きは、化粧品にとってあまりよくないイメージと捉えられるようです。

合成ポリマーは、肌に良くないという宣伝をする人が多いからでしょうか。

ちなみに人間の体は、ポリマーだらけです。

人間に限らず、動物も植物もポリマーだらけ。

ポリマーというのは、人工的な響きがありますが、
要は低分子の化学物質がいくつも規則正しく連なっただけのこと。

分子が大きいので、含む成分により、硬くなったり柔らかくなったり、
弾性をもったりします。

たとえば、肌の細胞は大量のケラチンという繊維状のポリマーをたくさん作ります。
このケラチンのポリマーは、水を含むと柔軟になり、体積も増えるという特徴があります。

アミノ酸から出来ていますので、水と親和性が高いのは当然でしょうか。

ケラチンのアミノ酸組成が少し変わるだけで、爪に変わったり、
髪の毛に変わります。

ただ、生体ポリマーで一番有名なのは、コラーゲンとヒアルロン酸。

コラーゲンもアミノ酸から出来たポリマーですし、
ヒアルロン酸はコラーゲンよりさらに分子が長いポリマーです。

ヒアルロン酸はコラーゲンとは違って、アミノ糖という糖から出来たポリマーです。

ほかにも、エラスチンという真皮にある成分もアミノ酸から成り立つポリマーです。

ポリマーと聞くと、化学的な成分ばかりのような気がしますが、肌を見つめると様々なポリマーから成り立っていることがよくわかります。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2008年03月27日

お豆腐の化学とタンパク質同士の結合 3

豆腐の凝固剤もハイテクなものがあります。

それは酵素を使うやり方で、味の素が販売しています。

タンパク質のうち、リジンとグルタミン酸をくっつける酵素です。

主に大規模な豆腐工場で使用されているようですね。
町の豆腐屋さんではメリットがあまりないので使われていません。

ただ、これだけだと味が少し心もとないということで、
にがりを併用します。

この豆腐を作る酵素ですが、人間の肌にも存在していて、
角質層を作る重要な酵素の1つです。

トランスグルミタナーゼといい、この酵素の活性が弱いと刺激に弱い肌となります。

この酵素を牛乳に入れれば、プリンとなりますし、
豆乳に入れれば豆腐、他にも様々用途がありますが、
液状のタンパク質を固めるのに使います。

ちなみにこの酵素製剤を使用して豆腐などを作っても、
成分表示に酵素は出てきません。

なぜかというと豆腐を加熱工程で、この酵素が壊れてなくなるからです。
ゆえに酵素を使用されていても消費者には全くわかりません。

まあ、安い特売豆腐を食べない方には関係ない話ですが。

ちなみに安い豆腐を作るには、凝固剤だけでなく、タンパク質の濃度を
薄くする必要もありますし、歩留まりを良くするため、
泡消し剤としてシリコーンを使用しなければなりません。

化粧品のファンデーションなどに入っているシリコーンが豆腐にも
入っているわけですが、少し高い豆腐になると、シリコーンを使わず
グリセリン脂肪酸エステルなどになります。

価格はシリコーンの方が高いのですが、使用量が極微量で
しかもよく効き、歩留まりが向上するため、安売り豆腐にシリコーンは
欠かせない存在となっています。



shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(4) 食品の科学 

2008年03月25日

お豆腐の化学とタンパク質同士の結合 2

昔ながらの作り方はにがりを豆乳に加える方法。

にがりはタンパク質の電荷を中和するため、静電気的な反発ができにくくなります。

そうすることで、タンパク質同士が接触しはじめ、たとえばシテインのような
アミノ酸同士がくっついていきます。

いちどくっつくとどんどん他のたんぱく質も巻き込んでくっついていきます。

さらには、くっついた結合は化学的な結合となるため、
簡単には離れていきません。

だいたいタンパク質の濃度が5%ほどあると豆乳全体が固まります。
いわゆる絹ごし豆腐ですね。

タンパク質が3%だと、豆乳全体を固めることはできず、
固まったタンパク質だけが沈殿してしまいます。

この固まったタンパク質を集めて、型に入れて固めたのが木綿豆腐。

最近の豆乳の凝固剤の進歩というのは、目覚しいものがあります。

静電気的な反発を抑えるのは、アルカリではだめですが、
酸でも可能です。

ただし、単純にたとえば、お酢などの酸を加えても
酸に触れた表面だけが固まり、ちゃとした豆腐になりません。

つまり、酸も一工夫必要で、水に溶けてもすぐに酸にならず
徐々に酸になるタイプのものでないといけません。

うまく豆乳が固まっていくスピードで酸になっていくものが
望ましいのですが、うまい具合にちょうど適したものが発見されました。

それがグルコノラクトンというもので、水に触れるとグルコン酸という
ハチミツに含まれる酸に変わっていきます。

充填豆腐という紙容器に入った大量生産される豆腐は
このグルコノラクトンを使ったものが多いです。

味がうるさい人は、どうもにがりを使用したものでないといけないらしいですが
値段にうるさい人向けには大量生産できる薬剤を使用して作られています。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 食品の科学 

2008年03月24日

お豆腐の化学とタンパク質同士の結合

パーマ剤がアミノ酸同士の結合を切断して、再結合する薬剤として書きました。

アミノ酸同士の切断は、アルカリや還元剤、水などが必要なのですが、
結合については、特別な薬剤が不要な場合もあります。

タンパク質同士というのは、普段、距離があるとくっつくことはないのですが、
距離が縮むとくっつくこともあります。

たとえば、豆腐。

豆腐は化学的にいうなら水に溶けたタンパク質同士がくっついて
水をゲル化して固めた食品。

豆を水に浸して、十分に水を吸わせた後、粉砕し、加熱滅菌したあと、
布で豆乳を搾りこし、おからを分離し、豆乳を作ります。

そして、この豆乳を固めたものが豆腐。

豆乳の段階では、常温では固まりません。
熱を加えても少し固まる程度です。

豆乳が簡単に固まらないのは水に溶けているタンパク質同士が
接触するくらい近づいてもお互いマイナスになっているため、
静電気的な反発が起きくっつくことが出来ないからです。

この静電気的な反発をどうなくすかで、様々な豆腐の作り方があります。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 食品の科学 

2008年03月22日

カーリング剤

さて、パーマはヘアサロンで行うものですが、家庭で出来るパーマ剤
というものがあります。ただ、家庭用の場合はパーマ剤と言わず
カーリング剤といいます。それはパーマ剤が医薬部外品扱いのためで、
内容成分は変わりませんが、法律上そのように区別しています。

昔からありますが、化粧品の規制緩和により、少々問題が発生しました。

業務用パーマ剤と家庭用パーマ剤(カーリング剤)と比べたとき、
一般的には業務用、つまり美容院で行なうパーマ剤の方が
有効成分の濃度は濃いように思えますが、それが必ずしもそうとは
言えなくなったきたのです。

パーマ剤は、システインのようなアミノ酸パーマと他には
チオグリコール酸やチオ乳酸、そして今大ヒット中のスピエラでしょうか。

髪の毛の中にあるタンパク質同士の結合を切って、再結合するのが、
パーマ剤の原理ですが、薬剤の濃度が高いほど、髪の毛の結合を
たくさん切断しますので、ウェーブが出やすくなります。

もちろん、ウェーブの強さや、髪の毛の質によっても
単に濃度が高ければよいということではないのですが、
一般的には、薬剤の濃度が高いほど、ウェーブが出やすいので
好まれる傾向にあります。

ただし、パーマ剤中の有効成分の濃度は国の基準がありますので、
それを守らないといけません。

ただ、困ったことに、美容師さんには受けがよいということで、
この基準を守らない企業もいるとかいないとか。
国の基準量では安全性が第一なので、これだと髪質により
ウェーブ形成が弱い場合があるのです。

薬剤の濃度が高いほうがパーマがよく出来て受けもいいのに
国の規制で作れない。
ところが、この状況が化粧品の規制緩和で急変しました。

つまり医薬部外品である業務用パーマ剤より化粧品である
家庭用パーマ剤の方が合法的に薬剤の濃度が高いものが作れ、
パーマ効果も強くでるのです。

また、単に薬剤の濃度が高いだけではありません。

国は、消費者の髪を守るためにパーマとヘアカラーは同時に
行なってはいけないと決めています。

パーマもカラーも髪の毛を痛めるものですから、同時に行なうと
かなりのダメージを与えます。

通常ヘアカラーを施した髪にパーマを当てると、
パーマ剤の強い還元力によりカラーの色が抜けてしまいます。

つまり、パーマを行うと染めていた毛が白髪に戻るわけです。
国の規制は別にして、これではたまらないとお客さんの強い要望により
パーマとカラーを同日に施術する美容室は多いのではないかと思います。

ところが、業務用パーマ剤ではなく、化粧品扱いのカーリング剤を使うと、
化粧品扱いのため、パーマとカラーを同日に行なっても
法的に問題ないというメリットがあります。

スピエラが髪を痛ませないパーマ剤として美容室向けに大ヒット中ですが、
単にパーマの髪質悪化を少なくしただけではなく、
こうした法律上の問題もクリアしたのが大きいと思います。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2008年03月20日

システインというアミノ酸 その3

パーマを掛けたいけど、化学薬品をつけるのはイヤ。

パーマというと化学的なイメージが強く、髪の毛にダメージを与えるという
印象があるかと思います。

もちろん、そうなのですが、こういう一般の方の印象に配慮してか、
中にはアミノ酸を使用したパーマ屋もあります。

普段美容室にはいかないので、どのくらいの割合でアミノ酸パーマが
あるかわかりませんが、システインというアミノ酸は、
還元力が強く、髪の毛の結合すら切断するため、パーマ剤としての利用価値があります。

ただ、システインのパーマは、一般的なパーマ剤であるチオグリコール酸に比べて
弱くなります。

また、システインは還元力が強い分、酸化されやすいという特徴があり、
アミノ酸パーマと謳っても、チオグリコール酸が少量配合されています。

パーマ剤というのは、国の基準があって、
パーマ剤の主剤となる成分は、その濃度範囲を守らないといけません。

しかしながら、アミノ酸パーマは、理想はアミノ酸だけでパーマを行なうのが
良いのですが、現実にはチオグリコール酸を少量配合しないと、
パーマがかかりにくいという欠点があります。

そのため、化粧品会社同士が集まって、国と交渉し、
アミノ酸パーマ中のチオグリコール酸の増量を認めてもらい
なんとかアミノ酸パーマとして使いこなしているのが現状でしょうか。

でも、髪の毛の成分であるアミノ酸がパーマ剤になるというのは、なかなか興味深いですよね。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2008年03月18日

システインというアミノ酸 その2

システインといえば、美白サプリメント。

宣伝で医薬品のサプリメントとして宣伝されているため、
知名度が高いアミノ酸の1つです。

システインがどうして美白になるのかというと、
メラニンの合成段階で、システインと完成直前のメラニンが反応すると
色が薄いメラニンとなるからです。

白人は肌の色が白いのが特徴ですが、何もメラニンがないのではなく、
色の薄いメラニンを優先的に作るような遺伝子を持っているからです。

食べ物が原因ではないため、白人のように肉食にしても肌の色は白くなりません。

日本人も色が濃いメラニンと薄いメラニンの両方を作りますが、
色の薄いメラニンを作る量はたかがしれています。

それじゃ、色の薄いメラニンの割合を増やせばいいということで、
その原料となるシステインが注目されたわけです。

ちなみにシステインは、色々な食品に含まれています。
人間の体内では、システインを取らなくてもメチオニンというアミノ酸から
合成するようになっています。

さて、システインの美白作用ですが、それほど強いものではありません。
理由は、システインは体内に存在するアミノ酸であるため、
メラニン合成において、システインが関与しすぎることを防ぐ機構が
どうもありそうだと言われています。

そのため、システインを摂りすぎてもシミが急に無くなり
頭髪や体毛のメラニンも薄くなり金髪や赤毛になるということは起きません。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2008年03月16日

システインというアミノ酸 その1

アミノ酸は健康イメージが強く、どちらかというと体に良いものという
イメージがあります。

全体的には、そうなのですが、中には作用が強いものも。

体内でよく使われるアミノ酸にシステインがあります。
硫黄を含んだアミノ酸で、合硫アミノ酸といわれます。

このシステインは、システイン同士がくっつことができ、
一度くっつくとかなりの力でくっつくため、簡単には切れない結合となります。

タンパク質はいくつかのアミノ酸同士が規則的に連なって
できるものですが、タンパク質の中にあるシステインと別のタンパク質に
あるシステインがくっつき、タンパク質同士の結びつきを強くします。

たとえば、髪の毛も爪も皮膚も同じケラチンというタンパク質から出来ています。
ただ、肌さわりや硬さ、そのほか色々な点で違いがありますよね。

爪は皮膚に比べて、とても硬く、自然に剥がれていくこともないため、
自分で爪を切る必要があります。

肌の場合は、ご存知の通りターンオーバーといって、角質層の
皮膚と皮膚同士の結合を切る酵素の働きで、勝手に剥がれていきます。

角質層の厚みはちょうどポリエチレンの袋の厚さくらいですが、
顔や体の皮膚がどんどん積み重なっていくということはありません。

酵素の働きの弱くなるかかとは、皮膚が厚くなる傾向にありますが、
それでもかかとがどんどん大きくなるほどのことはありません。

しかし、爪や髪の毛には、タンパク質分解酵素がないため、
長さを一定に揃えたりするということできません。

このタンパク質同士はかなり強い結びつきでくっついているのですが、
その結びつきを決定するのが、どういうアミノ酸を含んでいるかによります。

爪や髪の毛にはこのシステインが含まれ、システインの割合が高いほど、
タンパク質同士が強く結びつき、つまり硬くなります。

爪と髪の毛は、肌と違って硬くなりますが、アミノ酸の組成が影響しています。

shin_chanz at 09:39|PermalinkComments(0) 化粧品 

2008年03月15日

円高、恵みの雨となるかな・・

とうとう、99円を割った円高となりました。

95年以来の円高だとか。このときは、100円を割ったときに2ヶ月で
79円まで円高が進行しました。

このぐらいの水準なら日銀の市場介入があるはずですが、
ユーロ円は高いし、中国に固定相場を止めて市場に為替の値段を決めさせる
変動相場への移行を促している手前、市場介入は難しいとされています。

化粧品の原料の多くは、海外から輸入しています。
植物エキスにしても原料のハーブや生薬はオーストラリアや中国からの
輸入ですし、保湿剤のグリセリンも植物油から作るものなので、
ほぼ100%輸入となります。

その他、発酵法で作るヒアルロン酸は日本国内で作りますが、
菌の栄養源となる糖分は、輸入品が多いでしょう。

石鹸にしてもシャンプー、コンディショナーあらゆる原料が
輸入しています。

当然、容器もプラスチックなので、100%輸入品です。

化粧品に限らず、小麦や砂糖なども輸入品で、国産の米を作るのにも
肥料は輸入品のため、今回の円高というのは、少しでも輸入品の価格を
押し下げる恵みの雨になるのではないかと思います。

今までは、農産物が豊作の年なら、作物の価格が下がって
農民は大変な目にあいましたが、去年は豊作でたくさん在庫が
増えているのに、様々な商品の価格が値上がりするという大変なことになっています。

いつまでこの状態が続くのかわかりませんが、このまま商品の価格が高騰すると
ガソリン価格が1リットル200円になってしまう日がそう遠くないような・・

ある程度の円高は仕方ないかなと思います。

shin_chanz at 16:22|PermalinkComments(0) 化粧品原料