2008年06月

2008年06月06日

ファンデーションへのニーズの違い その2

ファンデーションの剤形というのは、欧米諸国と日本では大きな違いがあります。

それは日本ではプレストタイプのパウダーファンデが主流タイプですが、
欧米では、リキッドファンデーションが主流となっています。

1年間で使用したファンデーションの剤形を比べると
リキッドファンデーションを使用した人は
アメリカ人で81%、イギリス人で81%、日本人で50%
クリームファンデーションを使用した人は
アメリカ人で16%、イギリス人で23%、日本人で19%
パウダーコンパクトファンデーションを使用した人は
アメリカ人で41%、イギリス人で33%、日本人で74%となっています。

パウダーファンデーションの使用率は欧米では低くなっていますが、
日本人とのいくつかのスキンケアの違いがあります。

まず一番大きなことは顔そりの習慣があるかどうかです。
顔そりは産毛を剃る習慣ですが、欧米にはあまりないようで、
日本をはじめアジアで見られる習慣のようです。

顔の産毛を減らすことにより、パウダーファンデーションの化粧のりが
大きく変わります。パウダーが肌に密着せず、産毛の上にのるため、
粉が浮いたような感じに見えるからです。

そのため、産毛があるような肌だと、リキッドファンデーションの方が
仕上がりが良くなります。

また、日本では湿度が高く、また頬骨が欧米人に比べて高いため、
どうしても頬の部分がテカリやすくなります。
そのため皮脂吸着パウダーなどを配合すると、パウダーファンデーションの
ような剤形となります。

逆に欧米ではスキンケアに何ステップもかけないため、
保湿力のあるファンデーションが求められるようになります。

ファンデーションにある程度スキンケア効果を期待するためで、
そのためリキッドファンデーションが好まれる傾向にあります。

最近は、容器の中では固まっていて、使用時に乳液状に変化する
クリーミーコンパクトも増えてきていますので、
最終的にどの剤形が好まれるか興味深いところです。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 | ミネラルファンデーション(MMU)

2008年06月05日

ファンデーションへのニーズの違い

日本と欧米各国でのファンデーションのニーズの違いを調査したレポートがあります。
2003年にP&Gが発表したものです。

日本では、ファンデーションと日焼け止めがくっついた製品が
多くあります。
ファンデーションでSPF15、PA+以上というのは珍しくありません。

しかし、欧米で売られているものは、あまりSPF値が高くないものが
多いのが特徴。

そもそも欧米人向けのファンデーションは、白色顔料である酸化チタンの
配合量が日本人向けより多く配合されているはずですが、
案外紫外線防御機能については低くなっています。

これは、紫外線防御効果が弱い顔料タイプの酸化チタンを使用しているからで
日本のファンデーションのように微粒子酸化チタンをあまり配合していない
ことによります。

欧米人は、日焼け止めは別のアイテムとしてきっちり使うというのが
一般的で、日本人の65%が日焼け止めでなくファンデーションもしくは
メイクベースから日焼け止め効果を得ているのに対して、
アメリカ人は12%、イギリス人は6%、ドイツ人では3%となっています。

つまり、日本市場向けの商品は日焼け止め効果が無いとファンデーションは
売れにくいものですが、欧米諸国向けでは、日焼け止めとファンデーションを
くっつる必要はなく、日焼け止めとファンデーションは別々に開発する
必要がでてきます。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 | ミネラルファンデーション(MMU)

2008年06月03日

MMUの反響が色々ありましたので・・

MMU(ミネラルメイクアップ、ミネラルファンデーション)についての記事を書きましたが、いろいろ反響がありました。

酸化チタンと酸化鉄の毒性ですが、タバコに比べるとかなりましと
お考えください。タバコの煙の粒子は肺から簡単に吸収され
血液に流れ込んでいきます。

たとえば、妊婦がタバコを吸うと胎児の細胞の成長を阻害するため、
子供が低体重や障害を持つ確率が高くなり、
妊婦の禁煙が推奨されるのはご存知の通り。

MMUを作ってほしいとの要望も多くありましたが、
結局は日本で売られているようなマイカやオキシ塩化ビスマスなど
肌に付着しやすい成分を主体にするようなものしか難しいと思います。

なお、微粒子酸化チタン配合のものは、ナノ粒子をそのまま吸い込んで
しまいますので、注意が必要です。
微粒子酸化チタンは、タバコの煙より微細な粉となっています。

ただ、市販のMMUの粉をいくつか観察しているとかなり粗く、
湿気によって粒子は大きくなっていきますし、銘柄によっては
それほど吸い込む危険性を気にしなくてもよいのかなと考えています。

この辺りのMMUやルースパウダーの粒子の大きさなどを、
何らかの方法で検証して、皆さんに見てもらえないか、考え中です。

ただし、前にも書きましたが、微粒子酸化チタンを粉末で
飛散するような状態で配合するメーカーは、ほとんどありません。

通常、タルクやセリサイト、マイカなどの粘土粒子は似たような大きさで
サーフィンに使うサーフボードの大きさとすると、ファンデーションの
シミのカバーに使う顔料級の酸化チタンは野球ボール程度。

紫外線防御に使う微粒子酸化チタンはパチンコ玉ほどの大きさになります。
(顔料酸化チタンは約0.2ミクロンの大きさで、これが最も顔料としての
 役割を果たす大きさ。微粒子酸化チタンは0.1ミクロン以下を言います。
 顔料サイズは可視光線を跳ね返し、微粒子チタンは紫外線を跳ね返します。
 可視光線と紫外線の波の大きさが違うので、それぞれ最適なサイズも異なります)

基本的に、顔料は粒子が細かいと鮮やかな発色になるので、
タルクなどに比べて細かくなりがちです。

もちろん、これは各企業の技術力や配合によって変わり、
せっかく細かいはずの酸化チタンも粉同士の混ぜ方が悪いと
粒子同士がくっついて粒度が荒くなっている可能性もあります。

ただ、高いSPF値のものほど、微粒子酸化チタンを使っている可能性が
ありますので、注意が必要です。

リキッドやクリーム、プレストタイプなら、粒子同士がオイルなどを
通じてくっついているため、ナノ粒子を吸い込むことはありませんが、
さらさらのパウダーは注意が必要です。

MMUを水に溶かして水おしろいのようにすることもできますが、
そうすると大抵の市販の日焼け止めと相性が悪くなり、
単にリキッドにしてもうまくつかないというジレンマに陥ります。
(日焼け止めは汗で流れないのが当たり前ですが、
 耐水性の日焼け止めはリキッド化したMMUを弾きやすくなります)

日焼け止めとの相性を考えると、粉のまま使うしかありません。

なお、微粒子を髪や服にほとんどつけず、顔だけに付着させるという技術は
存在しています。某社の吹き付け型ファンデーションがそうです。

ファンデーションの粉をイオナイザーでイオン化し、帯電しやすい肌表面へ
均一な層をつけるタイプのファンデーションです。

粉は電気的に反発するので、粉同士がくっついて厚塗りになることはなく、
また、塗る際のブラシやパフでの刺激もないのが特徴。

MMUで使えたら面白いような気がしますが、残念ながら使えません。
あの装置では、シリコーンでコーティングした粒子を使うことが
ポイントになっています。

シリコーンでコーティングすることで、帯電したイオン粒子に
なりやすいのです。
(水に溶けてイオンになるのはとはちょっと違います。
 布でガラス玉を擦ればガラスが静電気を帯電するのと同じ現象を
 あの装置を利用しています。たとえば、スカートの裾が
 まとわりつくのも同じような帯電現象のひとつです)

空気中の埃を集める電気集塵機がありますが、
あれも吹きつけファンデーションと同じような原理を利用しています。

そうそう、10年前、大ヒットしたファンデーションがありました。

それは、酸化チタンや酸化鉄を無配合を前面に出したルースパウダー。

カバーするのは、当たり前と考えていた大手の化粧品会社に
衝撃を与えた商品です。ノーカラーファンデーションとも呼ばれました。

ソフトフォーカスで肌の透明感を自然な感じにして、肌のキメを細かくみせ
素肌の美しさを強調できるのが、ヒットした理由です。
(要は粉おしろいから顔料を抜いたものですね)

リキッドファンデーションもほとんど酸化チタンや酸化鉄を
配合せず、肌色がほんのりつく程度のものも流行りました。

MMUとは全く逆のコンセプト。
世の中、何が女性の心を掴むのかよくわかりません・・(^^;;


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(2) 化粧品 | ミネラルファンデーション(MMU)

2008年06月01日

パウダータイプの化粧品とSPF

気づいておられる方がどれだけいるかわかりませんので、念のため。

MMUに代表されるブラシで粉をつけるタイプのファンデーションの
表示されているSPF値は信用できません。

ほとんど紫外線防御を期待できないものが多いです。

SPFの測定というのは、1cm×1cmあたり、2mgの日焼け止めを
塗って測定します。顔ではなく、腕に塗って、紫外線を照射します。
この間、運動など体を動かすこともしません。

ここでものさしを使って、お顔の縦と横を測って
面積を計算していただければわかりますが、
いくら小さな顔の方でも250cm2はありますし、
普通は300cm2くらいはあるでしょう。
つまり標準の方なら、MMUに日焼け止めを期待して肌に塗るなら
300×2mg=600mg=0.6g塗る必要が出てきます。

SPF20のMMUなら、0.6g塗らないといけませんが、
ただでさえ顔料が多いMMUを厚塗りすると、
かなり不自然な仕上がりとなります。

たとえ厚く塗っても粉同士の接着が悪いルースパウダー系のものは
歩いたりして顔に振動を与えると、どんどん落ちていきます。
汗や皮脂で粉が浮くと、紫外線防御力は格段に無くなります。

たとえば、0.9gのMMUをB5の紙に均一に広げ、
それを裏返すと、綺麗さっぱり粉が落ちるようでは、
表示されているSPF値を期待することはできません。

仰向けで日焼けしているならともかく、日常生活では顔を動かすのが
当たり前なので、B5の紙に広げた日焼け止めが紙を動かしたぐらいで
落ちるようなら、日焼け止めの意味がありません。

つまり、日焼け止めの効果を期待するには、肌と粉の接着だけでなく、
肌の上での日焼け止め成分の厚みが必要なため、
粉と粉同士の接着も必要だということがお分かりになられるかと思います。

実用上、肌に実際に塗る量とはかけ離れた量でSPFの数値を
表示するのは、問題ではないかと感じられるかもしれませんが、
これはSPFの測定において、どのくらいの量を肌に塗るかということを
決めているため、特に法律上問題になるわけではありません。

ただ、MMUのSPF値をあげようとして、微粒子酸化チタンなどの
SPFの高い粉末をMMUへ単に混ぜても、粉同士の接着性が
悪ければあまり意味が無いでしょう。

それは、せっかく高SPFの粒子を混ぜても粉同士の接着が悪く、
顔から流れ落ちてしまうため、本来のSPF値を発揮するための
粉の量が肌の上で確保できないからです。

下地を使っても下地の上に直接乗っている粉は落ちませんが、
その粉の上に乗った粉は、粉同士の接着性が悪いため、落ちていきます。

上記の理由からリキッドやプレストタイプのファンデーションと
MMUに代表される微量しか使わない化粧品では、同じSPFの数値であっても
実際の効果は全く異なってしまいます。

化粧品を販売されている方の中には、このSPF測定の基本について
知らない方も多く、間違った案内をされていても致し方ありません。

日焼け止めとして塗ったものが、落ちていくようでは意味ありません。
日焼け対策は抜かりないようにしてください。
(余談ですが、SPF試験での塗布量というのは、ベトナム戦争時に
 日焼け止めの開発を余儀なくされた米軍の基準を使っています)

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(6) 化粧品 | ミネラルファンデーション(MMU)