2008年09月

2008年09月29日

メラミン・・

あれだけアメリカでメラミン入りのペットフードが問題になったのに
人が食べるものにまで混ぜていたとはちょっと驚きました。

メラミンという合成樹脂の原料で、牛乳の乳タンパク含量を水増しするために
使われていたものです。

日本でもメラミンを原料とした樹脂は、昔ほどでもないですが、よく使われていました。
大学の化学実験で最初に樹脂を合成したのが、このメラミンを原料として作る樹脂で
懐かしいという思いもありつつ、とんでもないことを考える人がいるものだと半ば呆れました。

メラミンを原料として作る樹脂は、いわゆるシックハウスの原因となるために
日本では家具などへの使用はだいぶ控えられています。
メラミンからホルムアルデヒドが少しずつ揮発して、シックハウスの原因に
なる可能性が指摘されています。

メラミン樹脂の応用例で一番有名なのは、洗剤を使わずに水だけで擦って汚れを落とすスポンジ。あれこそがメラミンで作られたものです。

メラミンを混入させるなど、日本人ならまずそんなことしないのですが、
中国は人口が多いだけに悪いことをする人間もいるということでしょうか。

中国から工業原料を買ったら、最初の頃はまともなもの届いていたが、
途中から石をかなり製品に混ぜて送ってくるので、大変な損害になったという
取引先の人から聞いた話を思い出しました。
向こうでは、石を混ぜることに費やす人件費の方が安いとか。

さすがに今では中国も改善されてきたとはいえ、「騙されたほうが悪い」という
お国柄ですから、しばらくは厳重な監視が必要のようです。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 食品の科学 

2008年09月28日

お米

私の家は兼業農家のため、自分の家と親戚が食べる米は家で作っています。
ただ、収穫した米の乾燥などは農協に委託するため、誰が作ったかわからない米を代わりに渡されるので、純粋に自分が作った米を食べているわけではありません。

ただ、肥料代や農薬代、その他の手間賃を考えると、今となっては稲作するメリットはないと思います。よほど大規模にやっているところでないと農業で生きていくのは難しいでしょうね。

まあ、メリットがあるのは野菜や花くらいでしょうか。

さて、毒米の流通でわかったのは、米の産地表示など全くあてにならないということ。

何度も流通業者を通ることで、外国産の米が日本産になってしまうなんて・・。

それだけ安い国産の米を求めるところが多い証拠なんですが、
色んなところで偽装が横行しているのは、残念としかいいようがありません。

この毒米が大量に流通したせいで、米エキスなどの米を原料とする化粧品原料にも毒米が原料にされていないか厚生労働省より各企業に照会があったようです。

米を原料にした化粧品原料は清酒メーカーが作っているので、
そこに毒米が流れていないか、今のところ調査待ちです。


ところで、あんまり関係ありませんが、お米つながりで。
花粉症を軽減させることができるお米が開発中です。

以前にも話題になり健康食品として売り出す予定だったらしいのですが、
症状を軽減するのは医薬品に当たるとして、厚生労働省が医薬品と開発するように横槍があったようです。

それで、今は医薬品として認められるような治療効果のある米を目指しているようですが、遺伝子組み換え技術もここまでくると面白いですよね。

市場出回るのは、ずいぶんと先になりそうですが、今の花粉症の薬より安全性が高いのでしたら、食べてみたいと思います。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 食品の科学 

2008年09月26日

菌というもの その6 口の中の細菌

身体の中でも口の中というのは、水分が豊富にあります。

唾液には抗菌性のタンパク質が分泌されているはずなのですが、
関係なしに菌は繁殖しています。

皮膚に存在している菌より桁違いに多量の菌が生息しています。

甘いものを食べると歯を磨きなさいとよく言われますが、
ご存知の通り、菌は砂糖を栄養源にして酢酸や乳酸、琥珀酸等をつくり、
特に乳酸によって歯のカルシウム分が溶かしだされ、虫歯の原因となります。

口の中にいる菌の数を測定するのは少々困難です。

それは、歯の表面にいる菌と舌表面、唾液や歯肉部分にいる菌が
それぞれ異なるからです。

特に菌が多いのは、歯垢部分。プラークとも呼ばれますが、
歯を磨いている人と、そうでない人では大きく菌の種類が異なっています。
ちなみに菌の量はプラーク1mg(1gの1000分の1)で1千万個と
糞便と同じくらいの割合で細菌が存在しています。

この歯周病菌に対抗して、白血球は攻撃をしかけますが、
歯周病菌は白血球を殺す毒素や白血球の活動を抑えたり、
食作用を回避する物質を産出するほか、歯を支えているコラーゲンや
ヒアルロン酸を分解する酵素を放出し、歯肉を痩せ衰えさせていきます。

このため、歯と歯肉の境界にある歯周ポケット(歯肉溝)から
歯垢を如何に取り除くか重要となってきます。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2008年09月24日

菌というもの その5 消毒液の中でも繁殖する菌

ホテルやデパート、駅などには手指消毒用の殺菌洗浄剤などがおいてあります。

たいていの菌が死んでくれるため、それなりに効果があるのですが、
この消毒液の中でも繁殖する菌がいて、結構問題になっています。

その菌は、緑膿菌というもので、人間の皮膚につくと感染症を引き起こす細菌です。

緑膿菌は、その名の通り、緑色の色素を産出します。

爪と皮膚の間で繁殖することができ、足の爪などに繁殖すると
爪が変色していくので、すぐにわかります。

消毒薬でも死なないので病院などでは耐性菌として恐れられており、
化粧品の防腐剤も効きにくい細菌の1つです。

化粧品では、この細菌の繁殖を防ぐために抗菌剤だけではなく、
キレート剤を用います。

EDTA(エデト酸)がそれに相当し、EDTAによりこの緑膿菌の繁殖を
抑えることが出来ます。

緑膿菌はどこにでもいる菌で、たとえばフロアマットなどにも潜んでいます。
繁殖すると色素を作ってフロアマットを汚くしますが、
EDTAを撒いておくと、フロアマットが汚れにくいというメリットもあります。
(まあ、普通、EDTAなんか手に入りませんので、こんなことする人はいないと思いますが)

ちなみに緑膿菌は、化粧品の汚染をよく引き起こし、アメリカで失明に至る大きな事故が発生しています。

その教訓から、目の周囲に使う化粧品については細菌検査が必要となっており、
細菌検査をパスしないと出荷できない仕組みとなっています。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2008年09月22日

菌というもの その4

世の中色々な防腐剤がある中で、化粧品に使用されているのは、ごくわずかな種類だけです。

一番有名なのがパラベン、その次がフェノキシエタノールでしょうか。

近頃増えてきたのが、ペンチレングリコール、ヘキサンジオール、カプリリルグリコールといったジオール系の防腐剤です。
保湿剤兼防腐剤といった特徴がありますが、ただ、濃度が高いと刺激性が高くなり、パラベンほど抗菌力がないといった問題もあります。

一方、自然由来の防腐剤というのは、GSEやローズマリーエキスなどがありますが、採用している企業はごくわずかです。

防腐剤として利用するには、
1.安定で他の成分と反応しないこと
2.広範囲で菌に対して抗菌効果があること
3.安価なこと
4.肌に対して刺激が弱いこと
などが挙げられます。

植物は様々な抗菌成分を作り出すため、防腐剤として利用されやすそうですが、
残念ながらそう簡単ではありません。

菌も進化しているため、植物が作り出す抗菌成分が効かないものも多く、
また、以外と肌への刺激が強いこともあるため、ほとんどといっていいほど
利用されることはありません。

欧米のオーガニック系コスメでは植物由来の抗菌剤を使用することもありますが、
開封後使用期限の長い化粧品に対しては難しいのが実情です。

たとえば、お茶のエキスなどポリフェノールも特定の菌に有効ですが、
これも弱酸性側で使わないと抗菌効果が弱くなりますし、
また、ポリフェノール自体が数ヶ月程度酸化して効果がなくなったりするので、
(突然抗菌効果が失われるリスクがあり)危なくてとても使えません。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2008年09月19日

菌というもの その3

抗生物質は医薬品で細菌にとても効くものですが、あくまで効く菌の種類が限られており、化粧品の防腐剤には使えません。

私の例を話しましたが、特定の菌に強い抗菌力を持っていても意味がないのです。
身の回りにいる菌に対して、ある程度の抗菌力が必要となります。

それでは、人間の体では、どうやって殺菌しているのでしょうか?

細菌は常に飢えており、水分や養分が豊富な人間の体へ如何に侵入しようかと
知恵を巡らせています。

基本的に人間の皮膚は乾いているため、細菌が大量に繁殖できるほどの水分はありません。
肌は水分が多いほうが柔軟性が高くなるのですが、水分が多いと細菌が増えるというデメリットが生じます。

たとえば、夏場など汗をかきやすい時期に体臭が強くなるなら、あきらかにそれは肌に必要以上の水分が供給され、細菌の繁殖に使われていると考えて差し支えありません。

また、皮膚には常在菌という菌が存在していて、風でふらふらっと飛んできて
肌に付着しても人間の免疫機構の前に最初の一撃を与える役割を持っています。

つまり、病原菌が肌へ侵入するには常在菌との戦いに勝たねばならず、
しかも皮脂などを分解して栄養源にできる菌でないとなかなか勝てません。

ただ、皮膚に傷がついたときは、別です。
様々菌が傷口へ殺到して、生体内への侵入を試みます。

生体は菌が繁殖するのに適した温度や水分、栄養分が供給されているため、
菌にとっては地上の楽園といったところでしょうか。

ただし、菌の侵入を検知すると、人体はすぐに免疫機構を発動させ、
白血球などの菌と闘う免疫細胞を傷口へ送り込みます。

たいていの菌は、白血球による活性酸素の攻撃やマクロファージという菌を
食べる白血球により処理されていきます。

美容上問題となるのは、この殺菌過程です。

美容上と書きましたが、白血球は、菌をいかに殺しまくるかというために存在する細胞で、美容のことなどいちいち考えずに処理していきます。

活性酸素の攻撃の対象になるのは菌ですが、このとき菌の周囲にある生体組織も一緒に壊れていきます。

たとえるなら、銀行強盗が立てこもった銀行に拳銃で応戦するのではなく、
戦車が大砲を打ち込んで、銀行ごと壊してしまうという感じでしょうか。

ニキビ跡と言われるアクネクレーターは、肌を支えている土台であるコラーゲンを
白血球が壊していくので、生じると考えられています。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2008年09月17日

菌というもの その2

病院でもらう薬に抗生物質があります。

化膿したときや風邪を引いたとき、その他、病原菌に感染したときに処方されます。

15年くらい前だったでしょうか、ニキビが酷くて、皮膚科に通院していたときがあります。

あの頃はまだアクアチムという抗生物質がないときで、いまいち効き目が弱い
抗生物質しかありません。

飲み薬を飲んでいれば、確かにニキビは少なくなるのですが、
完全には治りませんし、塗り薬を塗っても赤くて痛いニキビには効きますが、
新たにニキビの発生を防ぐほどの効果はありません。

この病院でもらった塗り薬は、少々難があって、使用してから10日ほどすれば
臭気が明らかに変わって、あまり体によくなさそうな臭いがするのです・・

そのときは、病院でもらった薬なので、間違いはないはずと思い、
使い続けていましたが、一向にニキビはよくならず、結局病院通いも
頓挫することになりました。

会社に入って、色々勉強しているうちにわかったのですが、
何でも菌に効くと思われる抗生物質ですら、化粧品と同じように防腐対策を
しておかないと、途中で菌に消化され、菌の栄養源にされてしまうということでした。

そこの病院は、抗生物質を自家調剤の軟膏剤に混ぜて、出していたので
その基材に難があったのかもしれません。

有名な抗生物質であるペニシリンですら、化粧品の防腐剤としてよく使われる
フェノキシエタノールで防腐されることもあり、菌の繁殖力を甘く見るととんでもないことになります。

ちなみに抗生物質は、どんな菌に効くわけでもなく特定の菌や、ある程度広範囲に
効くものなど、色々あります。
飲用する場合は、薬のパックに無菌充填されていますが、軟膏剤は使用するごとに
手指の菌が軟膏剤に入るため、そのとき抗生物質が効かない菌が入ると、
その菌にとっては、他の菌が存在しない楽園となるため、瞬く間に繁殖してしまうのです。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2008年09月15日

菌というもの その1

一日あたりの食中毒患者の発生率をご存知でしょうか?

毎日、100人くらいが病院で診察を受け、1人が亡くなっている状態です。
(年間4万人、死亡者400人)

食あたりになっても病院にもいかない人は多いと思いますので、
実際にはもっと多い人数となります。

食あたりは老人や子供、女性など体力がない人や腸に滞留しやすい人などが
なりやすいのですが、むしろ問題は、腐っていることがわからず口にすることでしょう。

食中毒菌というのは、繁殖しても食品に著しい変化を及ぼすわけではないので、
全くわからないのです。いつもより酸っぱくなったり、匂いが変なら
誰でも気がつきますが、気づかせないのが問題となります。

化粧品も同様で、菌が発生してもしばらくはわかりません。

化粧水が濁ったりすればわかりますが、それは相当繁殖したあとの話です。

つまり、肌に問題を起こすほど、菌が繁殖していても臭気の変化や外観上では
わかりにくいため、防腐剤をいれて対策を行うことが必要となります。

食品では水が入っているのに防腐剤を入れなくても常温保存できるものがいくつかあります。
たとえば常温保存可能なパックの牛乳もそうです。
菌を完全に殺しているため、開封しない限り冷蔵保存する必要がなく、常温保存可能となります。

加熱滅菌を利用したのが牛乳パックですが、他にも缶詰や真空パックのカレーなど様々な食品で、加熱滅菌が利用されています。

化粧品でも加熱滅菌したものがあります。ただ、すぐに使いきれるように小分けする必要があり、開封後の保存期間が短く、熱に弱い成分が使えないという弱点もあります。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2008年09月13日

生薬成分の抽出

最近は色々な抽出法があります。

個人でやるのなら、BGもしくはエタノール(ウォッカやホワイトリカー等)程度しかありませんが、液化した二酸化炭素(石油系溶剤と同じ成分を抽出できる)を使用したり、細胞を壊して、細胞にあるすべての成分を抽出したりと様々です。

植物の抽出エキスを作るメーカーは日本だけでなく、海外メーカー様々ですが
エキスによっては、どこのメーカーの方がいいとかそういうのもあります。

メーカーによって、抽出方法が若干違うため、含有するエキスの量も違うからです。

シワ対策のハーブから抽出したエキスはフランスのメーカーが一番いいとかいうのは、昔からありました。

また、同じ植物エキスでも色の薄いものを作るメーカーがあれば、
醤油並みに濃いエキスの色を作るメーカーもあり、外観から様々です。

ちなみに植物の中には毒素を含むものもあります。

たとえば、我々の身の回りには、たくさんの植物が存在していますが、
食べれるのは限られた野菜だけです。

ほかのものは栄養価が少ないのもありますが、植物も動物に食べられないように
するため、毒素をもつこともあり、なんでも食べれるわけではありません。

野菜でもセロリやキャベツなどの野菜を切ったときにでる汁で被れる人も
少なからずいて、身の回りにあるものがすべて安全だとは限りません。

生薬やハーブも同じで、肌に合わない成分などが含まれることがあって、たとえばアロエや紫紺、ヨモギ、イチョウなどはその代表例です。

これらの生薬は個人では取り扱いが難しいと考えています。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 植物エキス 

2008年09月11日

紫外線の目への影響 その2

皮膚がんは赤道に近づくにつれ増えていきますが、
紫外線によって引き起こされる白内障も同様です。

フィンランドでは7%、ノルウェーでは5%、カナダでは8%の
白内障の失明率は日本では15%、イタリアでは30%となり、
ケニアでは46%、インドでは55%、スリランカでは46%と
紫外線が多い地域では明らかに増えていきます。

これは、紫外線が多い地域ほど、眼に入る紫外線量が多く、
その分眼のタンパク質の変性が進んで白内障に至るケースが多いことを物語っています。

また、ビタミンCは眼の中では、血中よりはるかに高濃度で存在しています。
血液から眼の中にビタミンCを送り込むポンプがあるため、
ビタミンCを濃縮できるのですが、ビタミンCを多く含む食品を
摂ることも白内障予防に役立つと考えられています。

ちなみに白内障で失明する前に眼の中では濁りが生じてきますが、
50歳代で54%、60歳代で69%、70歳代で82%、80歳代で98%と
年齢と共に眼の中でも光老化が進んでいることがうかがえます。

とくにUVBによりタンパク質が変性しやすいので、注意が必要です。
(シルクパウダーなどは逆に紫外線で変質しやすいタンパク質なので、
 肌の上に乗せるとUVBのカット効果があります)

冬山や夏の海に行かれる機会が多い方は、オゾン層が減って
紫外線量が増えている以上、眼は肌と違ってメラニンを作って防御するわけには
いきませんから、紫外線防止機能のついたサングラスを使用して、
白内障予防に努める必要がありそうです。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(2) 病気