2009年09月

2009年09月30日

ところでグリシドールは・・

発がん性物質として騒がれているグリシドールは、さらに形が変わって、合成および天然繊維の改質剤としてよく使われています。

ただ、衣服にグリシドール系成分が残留しているかどうかは今のところ不明。

繊維工業では様々な工程において水をかなり使っていますので、洗い流されて残っていない可能性が大きいです。

面白いのは、食品工業では嫌われるグリシドールやクロロプロパノールですが、
化学産業においては重要な原料であること。

非常に反応性が高いため、様々な化学薬品の原料にもなります。
医薬品中間原料としても使われており、用途は幅広くあります。

ところでバイオディーゼルの製造時に出てくる大量のグリセリンの用途が
問題だったのですが、これの解決として、グリセリンと塩素を反応させ
エピクロロヒドリンという工業的に有用な薬品に転換しています。

エピクロロヒドリンは発がん性のある物質ですが、
反応性が高いため、すぐに他の物質と反応して、他の成分に変化します。

合成樹脂の主原料にもなり、おかげで昔は合成樹脂といえば、
100%石油製品だったのが、今では原料のうち半分が天然系だったりするので、
合成樹脂と言えど半ば天然由来だったりして、なんだか原料起源がよくわからない状態となっています。

食品業界を悩ませるクロロプロパノールを生成する反応を利用して、
様々な薬品を作っていくのが化学者のしたたかなところでしょうか。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化学の基礎 

2009年09月28日

エコナとその後・・ その3

花王はグリシドール脂肪酸エステルが脱臭工程で発生するとしていますが、
これはどういうことかというと、油を精製する工程で油を真空加熱して、
あらかじめ臭気の原因となる物質を蒸発させます。

臭いは、空気中に揮発する成分であるため、あらかじめ揮発成分を除去すれば
無臭に近い油を作ることができます。

そこで油を高温に加熱することで、脱臭をおこなうのですが、
このときにグリシドールやクロロプロパノールが発生します。

しかも、てんぷらやフライを揚げるときにちょうどよい温度で・・(^^;;

発生メカニズムは、まだまだ解明されていませんが、グリシドールが生成し、
そのあと食塩と反応してクロロプロパノールが出来ることが推定されています。

逆に言えば、油を加熱して作る食品には幅広く含まれて、当然のものです。

クロロプロパノールが含まれる食品リストを挙げましたが、日本の大学の研究では
食パンをトースターでこんがり焼くだけでも、クロロプロパノールが増量することが示唆されています。

油だけや油と塩が混ざっている食品を加熱するだけで、発がん性物質が出来るため、
幅広い食品に含まれており、エコナだけ避けても何ら意味がありません。

もし、エコナに販売自粛を国が要請するなら、油を加温して作る惣菜や料理店、
焙煎コーヒーを出す喫茶店まで安全なのか調べないと、これらの発がん性物質が
どの食品から入ってくるのか正確に掴めず、身の回りに存在するものが
化学的に安全なのかどうかわからないと思います。

消費者団体はこのことを良く知っているのに、なぜかエコナだけ狙い撃ちにしています。

先に問題になったヨーロッパでの行政の対応を見ていると、乳児用調整粉乳、
マーガリン、フライ用油脂に対してのみ、これらの物質を減らすように勧告が
なされています。要するに大企業が多く国の要請にも応えられるモノだけ
取り締まって、あとは対応せずという形でしょうか。

欧州でも発がん物質を含む食品をすべて取り締まるのではないので、不公平感が否めません。

パンに含まれていることはわかっても、町のパン屋さんが花王と同じように
グリシドールやクロロプロパノールの減量に取り組むことはありません。

問題の本質が油を加熱することや食品に含まれる酵素によって出来ることに注目すると、結構、やっかいな問題ということに気がつきます。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(4) 食品の科学 

2009年09月25日

エコナとその後・・ その2

エコナのグリシドール脂肪酸エステルは、確かに発がん性の可能性はありますが、
非常に反応性が強く、水と反応してグリセリンや元の油脂へ戻る可能性もあります。

いつまでも安定に存在している物質ではないため、定量が非常に難しい物質でもあります。

さて、日本以外の欧米、アジアで問題になっているクロロプロパノールは
このグリシドールが食塩や塩素と反応して出来ると考えられていますが、こちらもやっかいな物質です。

今回の問題をエコナだけで留めておくのか、それともクロロプロパノールまで広っていくのかで、大きな違いがあります。

日本では花王だけが非難の的になっているようですが、ヨーロッパでは製油メーカーが非難されています。

クロロプロパノール自体は、「パン、コーヒー、コーヒークリーム、チーズ、
調理肉、サラミ、乳児用調整粉乳、マーガリン、ポテトチップス、ドーナツ」など
多岐の食品に含まれていることがわかっています。
また、未精製の植物油からは検出されず、動物脂のみ検出されています。

色々な食品から検出されているのにヨーロッパでは製油メーカーだけが非難されいるため、製油メーカーからはかなり不満が募っているようです。

ただ、資金力があるのは結局大手メーカーとなるので、ユニリーバーやネッスルなどが中心となってクロロプロパノール問題に取り組んでいます。

ただ、グリシドール脂肪酸エステルやクロロプロパノールもまだきちんとした分析方法が確立されていません。

反応性が高いため、分析途中に消えてしまったり、逆に増えたりするやっかいな物質で、分析する機関が変われば数値も変わってしまうため混乱に拍車をかけています。

今のところわかっているのは、加熱だけでなく、食品に含まれる酵素によってもこういった物質が作られるということで、加熱しないから安心というわけでもありません。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(3) 食品の科学 

2009年09月23日

エコナとその後・・ その1

花王のエコナは大変な騒ぎになりました。

発がん性物質が含まれていたということで、びっくりした人も多いでしょう。

ただ、来るべきものが来たかという反応を持っている人も食品業界の中には多いのではないでしょうか。

まあ、派手にエコナは健康にいいと宣伝していたので、それに反感を持っている人も多く、エコナ叩きはこれからも増えて行くと思います。

ただ、別の視点から見ると、この問題はかなりやっかいです。

それだけに「エコナだけ」叩いて幕引きをしたい人々は、食品業界には多くいるのかもしれません。

さて、花王は6月に欧米で問題となっている物質がエコナから10倍以上検出されたという発表を行い、エコナの販売を中止しました。

この成分は、油脂の脱臭工程で発生します。
そのため、精製油脂なら多かれ少なかれ、この成分を含んでいます。

含んでいないのは、圧搾抽出のみ行った植物油で、オリーブオイルやゴマ油くらいななものだと思います。

ちなみに花王が問題にしているのは、グリシドール脂肪酸エステルで、
これはこれで欧米、アジアでも問題になっているのですが、
これよりもむしろグリシドール脂肪酸エステルが食塩と反応してできるクロロプロパノールの方が大きい問題となっています。

安いアミノ酸醤油に含まれている成分で、日本以外のヨーロッパやアジアでは
かなり厳しい規制を行っています。
なぜか、日本だけは醤油業界の自主規制だけで、クロロプロパノールを規制していません。

そして、欧米では醤油や酸加水分解たんぱく質だけの問題として片付けられていたのですが、分析機器の発展に伴い、この成分が様々な食品に含まれていることがわかりました。

つまり、エコナだけでは終わらない話なんです。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(2) 食品の科学 

2009年09月21日

成分の吸収 その8

皮膚には様々な酵素があります。
その一つがフォスフォターゼという酵素。

燐酸エステルを分解する酵素です。

健康診断の血液検査でもアルカリフォスフォターゼ(ALP)の項目がありますが、
こちらは、肝臓から流れ出てくるアルカリフォスフォターゼの量を見ています。
(肝臓が悪くなると、この酵素が流出して数値が高くなります)

このアルカリフォスフォターゼですが、人間の皮膚にもたくさん存在し、
活性を保っています。

この酵素が特に活躍するのが、燐酸型ビタミンC誘導体に対してです。

ビタミンC誘導体は、簡単に酸化しないようビタミンCの一部を変化させており、
この変化を修正して元のビタミンCに戻すのがフォスフォターゼという酵素。

リン酸型ビタミンC誘導体を次々に分解し、ビタミンCへ変えていきます。

フォスフォターゼは特に活性が高く、その分ビタミンCへの転換量が多いため、
この酵素を利用するリン酸型ビタミンC誘導体を即効型ビタミンC誘導体ともいいます。

逆に人間の皮膚にはあまり存在しない酵素を利用するのは、
持続型ビタミンC誘導体と言われ、こちらはビタミンC誘導体に糖をくっつけたタイプになります。

リン酸型に比べて、分解スピードが遅いのが特徴です。

この持続型ビタミンC誘導体ですが、ビタミンCと糖をくっつけるのも酵素で
簡単に出来るため、大量生産されており、店頭販売されている
安いビタミンC誘導体入りの化粧水はたいてい持続型ビタミンC誘導体になります。
リン酸型に比べて、着色しにくいという点なのも大きな特徴です。

ただ、イオン化する力が弱いため、イオン導入には使えません。

イオン導入目当てなら、リン酸型ビタミンC誘導体でないと、イオン導入の効果は期待できません。
(リン酸型ビタミンC誘導体は、水中でイオンとなる性質が強いため、導入効果も高くなる)

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2009年09月18日

医薬部外品の開発 その3

美白化粧品の有効成分は、どうやって効果を確認していくのでしょうか?

どんな美白剤でもどういう仕組みで美白効果があるのか確認する必要があります。
これができていないと、美白剤として国は認めることはありません。

メラニン色素はアミノ酸がくっついてできるものです。
その間にいくつかの酵素が関与していますが、
この酵素を阻害できるかどうかが第一の確認となります。

メラニン色素自体は、人間だけでなく、植物も持っていて、紫外線対策に利用しています。
不思議な感じがしますが、進化の過程で下等生物から人間が受け継いだものと考えられるでしょう。

様々な植物にメラニン合成酵素があるのですが、よく使われるのがマッシュルームに存在する酵素。

20年位前は良く使われていました。

ただ、最近はあまり使われていません。

それはマッシュルーム由来のメラニン合成酵素を阻害するものが、必ずしも人間のメラニン合成酵素を阻害するとは限らないからです。

そのため、人の皮膚癌から採取したメラニン合成酵素を利用して、試験管内でメラニンの合成が阻害できるか確認します。

試験管内で阻害できれば、次に皮膚癌細胞を使用して、メラニンの合成を阻害できるか確認します。
わざわざがん細胞を利用するのは、生命力が強く、またメラニン色素の合成も盛んだからです。

また、細胞培養系でチェックするのは、きちんと培地に添加した美白剤が細胞内へ取り込まれるかということ、取り込まれたものが期待通りに美白効果をでるかということ、そして細胞自体を殺さないかという点です。

いくら美白剤として有能であっても細胞の増殖力を衰えさせるようなものでは全く使えません。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(1) 化粧品 

2009年09月16日

医薬部外品の開発 その2

時間と費用はかかるといっても、中小メーカーと違って大手メーカーはメンツにこだわるところも多いです。

ただ、自社専用の美白成分を持っているところは本当に一握り。

他のところは原料メーカーが提供するデータを利用して、商品開発を行います。
こちらのやり方だと開発コストが抑えられ、しかも短期間で開発が可能となります。

また、大きいところだと原料メーカーと独占契約を結んで、他社にしばらくの間は使わせないといったことも可能です。

原料メーカーも大きなところと契約が取れたら、その分売上げが上がるので、悪い話でもありません。

美白化粧品の有効成分の開発は、さまざまな手法があります。

伝承から有効成分が見出されたのが第一世代の美白剤です。

たとえば、コウジ酸。

これは日本酒を作る杜氏の手が白いことから見つけられたもの。

ただし、いつも安全なものが見つかるとは限りません。
強い作用を持ちながら、使用が禁止されたものもあります。

たとえば、ゴム工場で見つけられた成分。作業員の手が白くなるため注目されました。

こちらはハイドロキノンの兄弟成分でしたが、強力な美白というか色素細胞を選択的に殺す作用が強かったため、途中で使用禁止になりました。

色素細胞を殺すため、黒人の手も白くなるほどで、後々皮膚の白抜け現象がかなり問題となりました。

他に、中世の貴族のご夫人達が美白に使用していたものもあります。
それは水銀でこちらもかなり強い美白作用がありますが、ただ、メラニン色素を作る酵素以外にも様々な酵素の働きを邪魔したり、アレルギーを引き起こすため、途中で使用が禁止になりました。

戦後からしばらく経った時というのは、いまより強力な美白成分に溢れていたのですが、それはそれで問題を引き起こしていました。



shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2009年09月14日

医薬部外品の開発

化粧品には、ただの化粧品と薬用化粧品(医薬部外品)の2種類があります。

昔は、薬用化粧品の方が有効成分の濃度が高いため、その分効果も高かったのですが、化粧品自由化により化粧品の方が有効成分濃度を高く設定することができるようになり、単純に薬用化粧品の方が効果が高いとも言えません。

化粧品の自由化以後も薬用化粧品に配合する有効成分の濃度は基本的には変わっていません。

厚生労働省に申請すれば、薬用化粧品に配合する有効成分の濃度を変えることもできるのですが、これが思った以上にかなり面倒な手続きです。

費用がかかる動物実験などのデータを含めて申請するのですが、申請したものがすぐに認められるというわけでもなく、時間も労力もかなり使わなければなりません。

そのため、一度決まった有効成分の濃度は、なかなか変わることはありません。

ちなみに新奇有効成分の開発となると、10年単位でかかることも珍しくありません。

美白成分などは、とくに時間がかかります。

用意する資料も外国での使用状況や発見の経緯に関する資料のほか、物理化学的性質に関する資料、安定性に関する資料、安全性に関する資料、そして、効能効果に関する資料が必要となります。

しかも、これらの資料を集めるには、指定された研究機関で集める必要があります。

なぜなら、いい加減な企業なら、実験をやらずにデータを捏造する可能性もあり、
国際的な基準で満たされた研究機関(人的な要求や施設に対する要求、システムに対する要求を満たした)ところでデータを取らなければなりません。

そうでないと申請書を提出しても厚生労働省が受け取ることはなく、企業側としても大変な費用を覚悟しなければなりません。

だいたい、新奇の美白成分でこういったデータを集めるのに1億程度が目安となります。

しかもデータを集めて厚生労働省に申請しても審査に年単位でかかることもあり、商売のタイミングを考えると結構むずしいものがあります。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品 

2009年09月11日

動物実験代替法 その3

最近、蚕と共に注目されているのが、線虫。

線虫と聞くと気持ち悪いと思いますが、老化やアンチエイジングの研究材料に良く使われています。

体長1mmという小さな虫で、人間が持つ遺伝子のうち74%程度が線虫の遺伝子と同じだということが知られています。

これだけ遺伝子が似ているなら、老化研究には最適な材料です。

しかも線虫の寿命は、3週間。この3週間の寿命をどれだけ延ばせるかが老化研究の鍵となり、世界各国の研究機関で研究対象としています。

その研究の一環で、2万枚の電子顕微鏡写真からどの神経がどの筋肉につながっているかなど、非常に細かく解析されています。

とても小さいのにも関わらず、皮膚や神経、筋肉、消化器を持っているため、
薬剤の解析にも使え、どの遺伝子を壊せば、どれほど寿命に影響を与えるかなど、
そういったことについても研究されています。

たとえば高等動物を使った実験では、候補となる薬剤を与えて、一生涯(ねずみなら3年)飼育する必要があるため、維持コストが高くつきます。

気をつけないといけないのは、できるだけストレスを与えずに飼育する必要があり、単に薬と餌を与えて、ねずみを飼うだけでは駄目なんです。
ペットを飼うのとはまた違って、健康状態に気をつけながら、飼育しなければなりません。

しかし、線虫の場合は、3週間の寿命で、餌は大腸菌のみ。
飼育施設も特別なものは必要ありません。

一生涯飼育するのに必要なコストが大幅に削減でき、その分、多くの薬剤の効果を確認すること出来ます。

たとえば、抗酸化剤のコエンザイムQ10を与えれば、活性酸素の発生が抑制され、線虫の寿命が延びます。
しかも、どの遺伝子が関与したかということも測定可能なので、老化防止の物質候補を様々な条件で実験することが出来るというメリットがあります。

何より、何でもかんでもねずみでテストする必要がなく、線虫の寿命を延ばすものだけ、ねずみで確認すればよいので、不必要な動物実験を減らすことができます。

ちなみに老化に関与するのは、何も人間が作り出す化学物質だけではないです。
「食べ過ぎない」ということも重要で、線虫でも餌を毎日与えないものが毎日与えるものより、1.5倍寿命が延びたという研究結果があります。

これは実はねずみを使用した実験でも再現されていてい、腹八分目くらいの餌を与えられたねずみの方が、満腹食べているねずみより長生きするという結果が得られています。

人間も美味しいものを食べ過ぎると糖尿病になりますし、食べすぎは万病の元になるというのは、どの生物にも当てはまる原則なんでしょうね。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品原料 

2009年09月09日

動物実験代替法 その2

動物実験代替法として、いくつかの虫が候補に挙がっています。

ただし、虫なら何でもいいわけではありません。

皮膚や肺、肝臓、心臓、腸、そして薬物を分解する代謝酵素などが揃っていないといけません。

また、虫が飼育槽から逃げ出して、周辺環境へ散らばっても困ります。

色々な制約条件の中で注目されているのが蚕です。
蚕はご存知のとおり、日本では明治時代から絹生産のためにたくさんの農家で飼われていた付加価値の高い虫です。
人間と同じ内臓器官を持ち、免疫細胞もあり、そして代謝酵素も揃っています。

しかも、蚕は飼育施設からは逃げません。

蚕は桑の葉を食べて生きていますが、自分で桑の木を移動することができず、
葉から葉へ渡れないのです。

意外なんですが、あくまで人間の手で桑の葉に移動させてあげなければ、生きながらえることはできないという、非力な虫です。

そして、何よりよいのは、動物実験反対派からは、何の抗議も無いというところでしょうか。

動物実験は、ウサギ、犬などの愛玩動物が使われることもあり、ペット好きの人には生理的に受け付けないのもわかります。

ただ、虫については、ペットとして飼う人は少なくて愛玩動物でもないし、そもそも下等生物なので、そこまで抗議する団体もありません。

それらに合わせて蚕が優れているのは、人間と似たような生体反応がでることです。
病原菌に感染した蚕に対しても、抗生物質の使用量が人間に良く似たような効き方がしますし、腸からの薬物吸収効率も人間と同じような効率となっています。

病原性の細菌や未知の毒物の探索においては、鋭敏に探索でき、しかも治療のための物質の検索も早く済むというメリットがあります。

興味深いのは、蚕も歯周病菌に感染したり、花粉症モデルや糖尿病モデルの蚕があったりと、人間がかかる病気に蚕がかかるという点で、また、人間と同じ薬で治療できるという点です。

しかも、致死量が非常に少なく、つまり毒物を鋭敏に検出するため、たとえば、中国製の農薬入り食品の毒性評価にも使えるという点です。

公的な試験法に蚕が採用されるかどうかはわかりませんが、今後動物実験の代替として期待されている技術の一つです。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0) 化粧品原料