2010年01月
2010年01月06日
お漬物と浸透
化粧品につくるエキスというのは、生薬やハーブを使いますが、基本的に乾燥して植物としては死んだ組織から抽出を行います。
一方、お料理に使う野菜は、まだ生きている状態で、調味液をつけてもすぐに中には浸透しません。
それは野菜の細胞がまだ生きているため、細胞を包んでいる膜が機能していて、簡単に中へ調味液を浸透させないためです。
乾燥した死んだ組織の場合は、この膜の機能が損なわれています。
乾燥した生薬やハーブを漬けるとエキスがすぐに出てくるのはこのためです。
たとえば、たくあんを漬ける時に、生の大根ではなく乾燥した大根を使用するのは上記の理由が強いです。
たくあん漬けには、大根を1/2くらいの重量になるまで干した後、ぬかと塩と水を混ぜたものに漬け込みます。
ぬかの色素が大根に移って、黄色くなるほか、大根やぬかのでんぷんが細菌によって糖に変化し、甘みを呈するようになります。
乳酸菌が主に繁殖するため、乳酸によりほかの雑菌は繁殖しません。
ただ、即席のたくあんは生の大根を使います。
2日ほど塩漬けした生の大根にぬかと塩、サッカリン、色素を混ぜて漬け込むと即席のたくあんができます。
サッカリンを使う理由は、生の大根だと細胞膜が残っており、砂糖やほかの糖と一緒に漬け込んでも短時間では大根の中へ浸透しないためです。
サッカリンは比較的短時間でも大根の芯まで浸透し、じっくりと熟成して作ったたくあん同様に甘みのあるたくあんとなります。
即席たくあんはサッカリンの甘みなので、本来大根のでんぷんが分解して出来る甘みとは若干異なります。
しかし、熟成度によって甘み等の風味が変化する本来のたくあんに比べて、誰が作っても同じような味や歯ごたえとなるため、サッカリン漬けのたくあんも多く流通しています。
一方、お料理に使う野菜は、まだ生きている状態で、調味液をつけてもすぐに中には浸透しません。
それは野菜の細胞がまだ生きているため、細胞を包んでいる膜が機能していて、簡単に中へ調味液を浸透させないためです。
乾燥した死んだ組織の場合は、この膜の機能が損なわれています。
乾燥した生薬やハーブを漬けるとエキスがすぐに出てくるのはこのためです。
たとえば、たくあんを漬ける時に、生の大根ではなく乾燥した大根を使用するのは上記の理由が強いです。
たくあん漬けには、大根を1/2くらいの重量になるまで干した後、ぬかと塩と水を混ぜたものに漬け込みます。
ぬかの色素が大根に移って、黄色くなるほか、大根やぬかのでんぷんが細菌によって糖に変化し、甘みを呈するようになります。
乳酸菌が主に繁殖するため、乳酸によりほかの雑菌は繁殖しません。
ただ、即席のたくあんは生の大根を使います。
2日ほど塩漬けした生の大根にぬかと塩、サッカリン、色素を混ぜて漬け込むと即席のたくあんができます。
サッカリンを使う理由は、生の大根だと細胞膜が残っており、砂糖やほかの糖と一緒に漬け込んでも短時間では大根の中へ浸透しないためです。
サッカリンは比較的短時間でも大根の芯まで浸透し、じっくりと熟成して作ったたくあん同様に甘みのあるたくあんとなります。
即席たくあんはサッカリンの甘みなので、本来大根のでんぷんが分解して出来る甘みとは若干異なります。
しかし、熟成度によって甘み等の風味が変化する本来のたくあんに比べて、誰が作っても同じような味や歯ごたえとなるため、サッカリン漬けのたくあんも多く流通しています。
2010年01月04日
調理と化粧品 その3
真空調理はシェフの空き時間に作るということで、どちらかというと工場で作る加工食品に近いものです。
ただ、同じ真空包装でもカレーのレトルトパックとは違います。
常温流通させるためには完全に滅菌が必要なため、レトルトパックは115℃で○○分加熱ということが求められています。
一方、真空調理は、高温で加熱せず、調理後は菌の繁殖を防ぐため急速冷凍します。
ただ、低温調理といっても60℃以上で調理を行うのは、一般細菌が死滅する温度だからです。(耐熱性の細菌は死滅しません)
60℃以下だと、細菌の繁殖が起こり、違う見方をすれば菌の培養を行っているようなものなので、調理に適しているとは言えず、食中
毒が発生する可能性が高くなります。
常温で調理する生ものの場合(寿司やマリネなど)はお酢で〆るため、素材のpHを下げ細菌の繁殖を防ぎ、日持ちを良くします。
酸によって菌の繁殖を抑えるだけでなく、タンパク質が酸で変性し、一部は溶出するのですが、生とは一味違うその食感を楽しむの
が酢を使った調理。
こういった化学的に素材を変化させて菌対策を行うのでしたら、常温での保存もある程度可能となりますが、素材そのもののpHを変化
させず調理する場合は、菌対策が不可欠となり、真空調理の場合は、急速冷凍という処置が必要となります。
その他、調理器具についても注意が必要で、菌が付着した素材を切ったものをそのまま転用すると、後々の食中毒の原因となります。
この場合、菌が1個でもついてしまえば、保管中に食中毒を起こすレベルまで菌が増える可能性があるからです。
冷凍保存にすることで、菌の繁殖は止まりますが、菌自体が死滅するわけではないので、常温に戻したとき、菌も冬眠から覚めて急激に
増殖する可能性もあり、菌対策というのは、かなり重要となります。
ただ、同じ真空包装でもカレーのレトルトパックとは違います。
常温流通させるためには完全に滅菌が必要なため、レトルトパックは115℃で○○分加熱ということが求められています。
一方、真空調理は、高温で加熱せず、調理後は菌の繁殖を防ぐため急速冷凍します。
ただ、低温調理といっても60℃以上で調理を行うのは、一般細菌が死滅する温度だからです。(耐熱性の細菌は死滅しません)
60℃以下だと、細菌の繁殖が起こり、違う見方をすれば菌の培養を行っているようなものなので、調理に適しているとは言えず、食中
毒が発生する可能性が高くなります。
常温で調理する生ものの場合(寿司やマリネなど)はお酢で〆るため、素材のpHを下げ細菌の繁殖を防ぎ、日持ちを良くします。
酸によって菌の繁殖を抑えるだけでなく、タンパク質が酸で変性し、一部は溶出するのですが、生とは一味違うその食感を楽しむの
が酢を使った調理。
こういった化学的に素材を変化させて菌対策を行うのでしたら、常温での保存もある程度可能となりますが、素材そのもののpHを変化
させず調理する場合は、菌対策が不可欠となり、真空調理の場合は、急速冷凍という処置が必要となります。
その他、調理器具についても注意が必要で、菌が付着した素材を切ったものをそのまま転用すると、後々の食中毒の原因となります。
この場合、菌が1個でもついてしまえば、保管中に食中毒を起こすレベルまで菌が増える可能性があるからです。
冷凍保存にすることで、菌の繁殖は止まりますが、菌自体が死滅するわけではないので、常温に戻したとき、菌も冬眠から覚めて急激に
増殖する可能性もあり、菌対策というのは、かなり重要となります。
2010年01月02日
調理と化粧品 その2
明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。
さて、真空調理の特徴は、調味液の浸透が高くなる分、肉のタンパク質が柔らかくなる適温で調理できること。
タンパク質は60℃くらいで柔らかくなり、繊維がほぐれますが、これが10℃も変わると硬くなります。
毎日、調理しているプロの料理人ならちょうどよい火加減というのを覚えているかもしれませんが、素人には難しいと思います。
IH調理器なら調理温度を設定できますが、まだまだ普及率は低く、微妙な調理温度の設定が難しいガスの方が多いでしょう。
そもそも調理温度を1℃単位で設定して調理を行うために、わざわざ真空調理器を導入するレストランが多いことを勘案すると、やはり
プロのシェフであっても微妙な火加減は難しいのでしょう。
真空にせず、60℃で調理することも可能ですが、時間がかかりすぎてしまいます。
家庭では、ご飯を作るのに何時間もかけてやってはいられません。
しかも、毎日作らないといけませんし、仕事や用事、子供の相手をしていれば調理時間は限られてきます。
調味料の浸透は温度が高いほど、調味料の濃度が高いほど、時間をかけるほど浸透します。
ただ、たんぱく質はご存知の通り熱で変性する性質があります。
あまり高い温度だと材料の表面のたんぱく質が変性し、調味料の浸透を妨げます。
また、調味料の濃度が高いと、中へ浸透しますが、この場合、調味料を無駄に使うことになります。
料理を作る時間に制限がある以上、長い間、調理することも難しいです。
これらの課題を解決するために、登場したのが真空という技です。
真空にすることで無用な空気を抜き、材料へ調味料を浸透しやすくします。
下ごしらえをした肉と調味料をパックにいれ、真空包装機で空気を抜いて真空にした後、60℃で所定の時間で調理します。調理後はそ
のまま出すか、一気に冷凍して微生物の繁殖を防ぎ、後日温めて料理として出すのが真空調理法。
本年もどうぞよろしくお願いします。
さて、真空調理の特徴は、調味液の浸透が高くなる分、肉のタンパク質が柔らかくなる適温で調理できること。
タンパク質は60℃くらいで柔らかくなり、繊維がほぐれますが、これが10℃も変わると硬くなります。
毎日、調理しているプロの料理人ならちょうどよい火加減というのを覚えているかもしれませんが、素人には難しいと思います。
IH調理器なら調理温度を設定できますが、まだまだ普及率は低く、微妙な調理温度の設定が難しいガスの方が多いでしょう。
そもそも調理温度を1℃単位で設定して調理を行うために、わざわざ真空調理器を導入するレストランが多いことを勘案すると、やはり
プロのシェフであっても微妙な火加減は難しいのでしょう。
真空にせず、60℃で調理することも可能ですが、時間がかかりすぎてしまいます。
家庭では、ご飯を作るのに何時間もかけてやってはいられません。
しかも、毎日作らないといけませんし、仕事や用事、子供の相手をしていれば調理時間は限られてきます。
調味料の浸透は温度が高いほど、調味料の濃度が高いほど、時間をかけるほど浸透します。
ただ、たんぱく質はご存知の通り熱で変性する性質があります。
あまり高い温度だと材料の表面のたんぱく質が変性し、調味料の浸透を妨げます。
また、調味料の濃度が高いと、中へ浸透しますが、この場合、調味料を無駄に使うことになります。
料理を作る時間に制限がある以上、長い間、調理することも難しいです。
これらの課題を解決するために、登場したのが真空という技です。
真空にすることで無用な空気を抜き、材料へ調味料を浸透しやすくします。
下ごしらえをした肉と調味料をパックにいれ、真空包装機で空気を抜いて真空にした後、60℃で所定の時間で調理します。調理後はそ
のまま出すか、一気に冷凍して微生物の繁殖を防ぎ、後日温めて料理として出すのが真空調理法。