2010年10月

2010年10月29日

配糖体と有効成分 その2

配糖体から糖を外す酵素というのは、かなり個人差があります。

最低限必要な量は持っていますが、しかも能力差もあって大量に存在しているわけではありません。

また、酵素自体は植物エキスによって、その効果が左右されるようです。
酵素の活性を上げたり、逆に下げたり、エキスによっても効果が変わってきます。

たまに発酵エキスというのをみかけますが、あれはこの糖を微生物によって外したものと解釈しても差し支えないでしょう。

大豆には、イソフラボン類が多く、糖を外した形の発酵エキスもいくつかのメーカーから出ています。

とくに健康食品として食べる場合ですが、イソフラボンを吸収するために糖を外す必要があり、これが腸内の細菌群によってかなり変わるようです。

同じ大豆食品を食べてもある人はほとんど吸収できるのに、別の人はほとんど吸収できないとか。
そこで予め細菌を作用させることで、活性が高く吸収されやすいイソフラボン類へ変えてしまいます。

肌に塗る場合もやはり大豆発酵エキスの方が大豆よりは効果が出やすくなります。
それは肌で効かせる場合も一度糖を外す必要があるからです。

なお、糖があった方が安全に使えるものもあります。
アルブチンがその代表例で、アルブチンから糖が外れるとハイドロキノンという美白力はあるが、毒性も強い物質となりますが、アルブチンは糖がついたまま効果を発揮するため、ハイドロキノンより美白力は落ちますが、毎日安全に使えるというメリットがあります。

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2010年10月27日

配糖体と有効成分

質問で、配糖体についてのものがありました。

生薬の成分の多くは、配糖体といって、糖が有効成分についているものが多くあります。

メリットとしては、
・水溶性が高くなる。水に溶けにくい成分も糖がつくことで水に溶けやすくなります。

・毒性が低くなる。
薬理効果が糖により緩和されて、活性が低くなり、毒性もついでに低くなる傾向となります。

デメリットとしては、
・本来の効果を発揮するためには、糖をはずす必要がある。

イソフラボンやポリフェノール、ステロイド系、そしてセラミドまでが配糖体タイプが多く存在します。

化粧品の成分で言えば、ビタミンCの配糖タイプやアルブチンもあります。

人間でも糖をくっつけたり外したりする酵素が存在していますが、問題はこの酵素の存在量が少ないこと。

たとえば、ビタミンC誘導体で配糖体タイプのものは持続性型ビタミンC誘導体とも呼ばれます。酵素が少ないため、徐々にしか分解されず、そのため、持続性と呼ばれます。
また、糖が化学構造のどの部分についてるかも重要で、人間の酵素では糖を外す出来ないタイプの配糖体もあります。

大豆の有効成分は、イソフラボンで女性ホルモン作用が有名です。
このイソフラボンは糖が付いたタイプがメインで、効果を発揮したり、たとえば腸から吸収されるには糖を外す必要があります。

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2010年10月25日

メイク化粧品に配合されるポリマーの種類 その2

ファンデーションによく配合される成分にシリコーンが入っています。
シリコーンと言っても様々あり、最近はシリコーンゴムの採用も増えています。

こちらも肌には浸透しないサイズ。コロコロ転がるので、良く伸びてファンデーションをムラ付きを減らすという特徴があります。

シリカなどでも同じように玉はありますが、柔軟性がなく、その点はシリコーンゴムの方が感触という面で優れていると思います。

また、マスカラに使われる染色ナイロン繊維もファンデーションに使われ始めています。

ファンデーションの色は主に酸化鉄が使われます。黄、黒、赤の酸化鉄と白の酸化チタンや酸化亜鉛を組み合わせて、「肌色」と作ります。

無機顔料の問題は皮脂が上に乗ると色の彩度が落ちて、くすんだように見えること。
だからといってポリマーには簡単には置き換わりません。

ポリマーは薄くすると透明で、光を反射しにくいという問題があります。
色を認識するなら、ある程度光を反射しないとその色を認識できません。
衣服ぐらいの厚みならともかく、薄片状に加工したポリマーはガラスと変わらず、透明なため、配合してもあまり効果はありませんでした。

ただ、最近の技術でようやく光を反射する素材となりつつあり、使われ始めています。

赤の酸化鉄を配合しすぎると赤暗くなるし、赤のパール剤を使うとギラツキがですぎてしまう。そこでちょうど良い具合に光を反射する素材ということで、染色ナイロン
繊維に注目が集まっています。
長さは0.3mmくらいで酸化鉄や酸化亜鉛、マイカなど他のファンデーションに使われる原料に比べて、かなり大きなものですが、これぐらいの大きさで違和感のない反射光を出すことが確認されています。

素肌をより美しく、自然に見せる素材研究が進んでいますが、今まで使われなかった素材にも再度見直しが進んでいます。

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2010年10月22日

メイク化粧品に配合されるポリマーの種類

基礎化粧品に配合されるポリマーは目に見えない大きさのものがほとんど。
肌に塗ってもまったくその存在はわかりません。

しかし、メイキャップ化粧品の場合は別です。

同じ化粧品でありながら根本的に違います。
それはメイク化粧品に使われるポリマーはとても大きく、目に見えるくらいのものが多いです。

これはメーキャップ化粧品は、肌の欠点を補い、長所を伸ばすという特徴があるからで、その目的のために肌の見せ方を工夫する原料が用いられます。

基礎化粧品に配合されるポリマーは、透明で水に溶かすと何も見えません。

一方、メイク化粧品では他人に見えてもらわないと困ります。
見えないとメーキャップ効果を発揮しないためです。
ただし、その見せ方はあくまで人工物というものではなく、自然な見せ方となります。

一番良い例は、睫毛でしょうか。
電車に乗ると若い女性の睫毛はかなりの確立で長くて、しかもボリュームがあります。

ボリュームアップや長く見せるためにナイロン繊維が使われますが、これが自前の睫毛にくっつくことで、その目的を果たします。

また、このときに使用されるナイロン繊維は染色されており、色素が直接睫毛を染めるということはありません。色素についても使い方が変わってきて、ファンデーションでも色素を直接配合するのではなく、染色したナイロン繊維を配合するという形に変わってきています。

色素が肌に直接付着するわけではありませんので、ナイロン繊維をつかうことで、安全性が向上しました。


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2010年10月20日

妊娠線への対策

コラーゲン繊維の断裂が妊娠線出現の原因です。

このため、妊娠線予防というのは、コラーゲンの合成促進をメインに考えないといけません。

ただ、妊娠線予防として売られている化粧品の多くは、保湿がメインで真の原因であるコラーゲン合成不足に対応しているものは少ないのが現状でしょう。

また、困ったことにお腹の皮膚は顔の皮膚に比べて約2倍の厚みがあります。

つまり浸透しにくいという問題があります。

かといってイオン導入をお腹にするのは問題です。
電流の刺激が胎児にどのような影響を及ぼすか不明で、マイナス要因の方が強いからです。

そのため、あくまで塗布程度しかできません。
また、コラーゲン合成を促す成分は色々ありますが、安全で歴史があるというものではビタミンC誘導体が一番でしょう。
たとえば真皮を突き抜けてしまって、血流に入ったとしてもビタミンCとして消費されていくというメリットは大きいと思います。

ビタミンC誘導体も色々ありますが、軽くマッサージすることで、浸透性を上げることも可能。
そういう意味では、油溶性ビタミンC誘導体のVCH−100などがお勧めです。

また、皮膚科での火傷痕の治療にもビタミンC誘導体が使われることもあり、妊娠線の予防だけでなく、妊娠線が出来た後も、ビタミンC誘導体でのケアが良いかと思います。

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2010年10月18日

妊娠線について

妊娠でお腹が大きく膨らむ方や体型があまり変わらない方など、色々なパターンがあります。

一般的には大きく体型が変わる方が多いでしょう。

このとき出現して問題になるのが妊娠線。

コラーゲンはおなかを覆っているたんぱく質の繊維です。
たとえば、女性が履く、足を覆っているストッキングのようなものでしょうか。
急激にお腹が膨らんでいくと、おなかを覆っているこのコラーゲン繊維の合成が追いつかないと、コラーゲン繊維が断裂してしまいます。

お腹の成長と皮膚のコラーゲン繊維の膨張スピードが同じ程度ならこのようなことは起こりませんが、連携が悪いとお腹の膨張が早く、これがコラーゲン繊維の断裂を起こし、妊娠線という形で姿を表します。

コラーゲン繊維は破れてもすぐに修復されます。
ただし、審美的な視点は一切関係なく、速やかに修復するため、段違いなど関係なく、つないでいきます。

本来は破れた部分を丁寧に縫い合わせるのが良いと思いますが、それよりコラーゲンが破れると中の内臓を守る層がやわらかい脂肪組織しかありませんので、悠長に構えているわけにはいきません。

破れたところはコラーゲン合成が促され、ケロイドのように皮膚が盛り上がることもあり、こうしてできた妊娠腺は消えることがありません。

妊娠以外でも急に太ると内臓脂肪の増加に上から張りついているコラーゲン繊維の合成が追いつかずやはり破れてしまい、妊娠線が出現します。

また、コラーゲンが部分的に作られすぎた状態のため、たとえ痩せてもコラーゲン繊維が元に戻ることはありません。

体内の修復機構が発現したものが妊娠線とお考えください。

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2010年10月15日

妊娠とビタミン その3

妊娠初期に欠乏を気にしないといけないビタミンがあります。

それは葉酸。

葉酸はアミノ酸や核酸の合成に関与するビタミン。
細胞分裂時に葉酸が不足すると、欠乏症が現れます。
成人の場合は野菜や果物を摂取すればしのげますが、問題は胎児の場合。

ビタミンAの過剰摂取のリスクは妊娠初期の3ヶ月間に現れますが、葉酸不足についても同じく3ヶ月間に問題となります。

胎児の場合は、様々な細胞が一気に増殖を開始するため、そのとき細胞分裂に必要な原料を供給する葉酸が不足すると、不完全な増殖となり、脊椎分離症となる可能性があります。

このため、受胎から妊娠3ヶ月間の間に400μgの葉酸によって神経管損傷症の発生をかなり抑えることが出来ます。(神経管はかなり重要な器官であるため、受胎するとすぐに作り始められますが、3ヶ月経つと葉酸不足であっても不完全ながら作られてしまうため、後から葉酸を摂っても正常な神経管が作ることはできません)

また、妊娠3ヶ月を超えたからといって葉酸が不足していいというわけではなく、適度な量の葉酸を摂取しないと、貧血の原因となります。

もっとも葉酸をとりすぎると子供が呼吸器障害を持つ可能性も指摘され、悩ましいところではありますが、神経管が不完全だと取り返しはつかず、やはり葉酸を摂取していくことが望ましいでしょう。

サプリメントに頼るというわけではなく、日ごろから生野菜や果実を食べる食生活が重要だと思います。

ところで、この葉酸ですが面白い化学構造をしています。
グルタミン酸とパラアミノ安息香酸が結合した構造なのですが、パラアミノ安息香酸はPABAと呼ばれ、PABAはかつて自然派化粧品で使われていた紫外線吸収剤。

合成紫外線吸収剤と同様の紫外線を吸収する効果を持ち、いまでもアメリカなどの自然派化粧品に使われることもあります。

しかし、このビタミンの骨格になるPABAですが、大きな欠点を持ち、それはアレルギーや刺激性を持つこと。
合成紫外線吸収剤を避けてPABAにしたら、かぶれる人が続出し、海外の日焼け止めではPABA FREE(PABA不使用)とまで宣伝されるようになりました。

良かれと思って採用したものが、牙を剥いてくるというのは皮肉な結果ですよね。

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2010年10月13日

妊娠とビタミン その2

ただ、ここで注意しないといけないのは、肌に塗ったビタミンAが100%血管には入っていかないということ。
恐らく多く見積もっても1%程度、現実的には0.01%以下になると思います。
理由は角質層を抜けて真皮にまで到達する割合は低く、さらに真皮層から毛細血管に入っていくのは、至難の業です。
表皮の生きた細胞群を通り抜ける間、細胞の中に入ったものは利用されますし、レチノールを利用したい細胞が多いため、利用されずに真皮を抜けて血管に入り込むというのは、なかなか出来ません。

皮膚の細胞はビタミンAを基本的に必要としており、ビタミンAが欠乏すると真っ先にその症状が出てくる部位です。
必要のない成分なら、通り抜けも可能でしょうが、必要とされている成分の場合は、奪い合いになるわけですから話が変わってきます。

また、レチノールの量が多い場合は、角質が剥がれやすくなるという現象が起こります。こうなると、肌に塗ったクリーム量が多くても、角質と一緒に大部分が浸透する前に剥がれ落ちるということも起こります。

現実的には化粧品は毎日誰でも使うことを前提にしているため、ビタミンAが1%(まずあり得ない配合量ですが)配合されていても問題はありません。
クリームからの吸収量を考えると、血管に入っていく量は限られるからです。

さらに申しますとビタミンAは刺激性の物質です。
0.1%でも刺激を感じる人がいて、ビタミンCと違って高濃度配合が難しい原料です。
ビタミンなのに刺激を感じるというのは、不思議な気がしますが、作用が強い成分だけに一般の合成界面活性剤よりはるかに強い刺激性を持っています。

このため、刺激性の点から高濃度配合しようとしても難しく、0.001%や0.01%といった微量配合が常態化していますし、これくらいの配合量でも効果が出るのがビタミンAの特徴です。

ところで顔に塗るもので問題になるのは、ニキビの治療薬のビタミンA酸でしょう。
最近は、ニキビ治療でビタミンAより活性が高いビタミンA酸も使われる機会が増えてきましたが、こちらは注意しないといけないレベルです。
また、アメリカではしわの治療薬を健康保険で購入できますが、それにはビタミンA酸が入っていて、海外で購入するしわ治療薬も気をつける必要があります。

難病治療に使われるビタミンA酸の場合は、医師から服用期間中や服用を中止しても一定期間は妊娠しないようにと注意がされますが、ニキビ治療の場合はそこまで徹底されていないような気がします。

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2010年10月11日

妊娠とビタミン

妊娠すると、注意しなければならないのは、ビタミンAの過剰摂取

ビタミンAは細胞の分裂に深くかかわるビタミン。
ホルモンに近い効果を持っています。
そのため、ビタミンAを多く摂取すると催奇性といって、奇形児が生まれる可能性が数パーセントほど高くなります。

ただ、親に何も問題がなくても、奇形児や障害児が生まれる確立はあります。
一般的に重篤な障害を持った子供が生まれる確立は約2%とされています。

レチノールで問題になるのは、妊娠初期です。
妊娠3ヶ月までが特に危険な期間で、レチノールの過剰摂取に気をつけるのなら、妊娠を希望してから気をつけだした方が良いということになります。

問題になるのは食生活が主になります。
特にビタミンAを含む健康食品や医薬品を肌荒れ対策で服用している方は気をつける必要があります。
妊婦が飲むには危険領域に達する量が含まれているため、何気なしに飲むのは問題でしょう。

食品で気をつけないといけないのはレバーで、貧血対策でレバーを過剰に食べている方も気をつける必要があります。

さて、化粧品にはビタミンAが含まれる場合があります。
ビタミンAはヒアルロン酸やコラーゲンの合成を促進する効果があり、アンチエイジングビタミンの代表格です。
しわ対策化粧品には好んで使用されますが、これを使いすぎると問題なのかという点です。

妊娠期においてレチノールの過剰摂取が問題になるのは、1日に1500μgRE以上摂取した場合です。
これはクリームを一日1g使用するなら、ビタミンAが0.15%入っていると、ちょうど1500μgREの量となります。

化粧品にはレチノールではなく、誘導体のパルミチン酸レチノールが配合されていますが、こちらは分子が大きくなる分、約0.3%の配合量で、1500μgREの量となります。

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2010年10月08日

抗生物質のいろいろ・・ その3

抗生物質を服用し続けると、一つ問題が生じます。
それは抗生物質は常在菌の活動を抑える一方、常在菌によって活動を抑えられていた菌の活動が活発になることです。

菌の世界は弱肉強食。

強いものが弱いものを抑圧して生存している世界です。

たとえば、菌は一秒に1個から2個に、2個が4個に4個が8個に・・というようにどんどん増えていきます。

石鹸洗顔後、菌数は1cm2当たり100万個から1万個程度にまで減ったとしても猛烈に分裂を繰り返して元の菌数に戻ります。
ただ、乾いた皮膚上ではある程度の菌数で限界になり、1億や100億といった数にまで分裂して増えていくわけではありません。

乾燥しているというところがネックとなって、ある程度の数で増殖が止まってしまいます。

菌と菌がけん制し合うからです。

ここに抗生物質が入ってくると、アクネ菌やブドウ球菌といった皮膚常在菌の活動が抑えられるようになって、一定の菌数以上には増えなくなります。

そうなると、勢いが出てくるのはカビ類。
皮膚にはカンジタというカビがいて、通常は常在菌によってその活動が抑えられており、悪さはあまりしません。

これが常在菌によるストレスが無くなった途端に増殖し、カンジタが過剰発育することもあります。
主にガサガサの乾燥肌になっていくのが症状で、それほど美容上の問題も大きくありません。

皮膚の場合は、ある程度症状も限られていますが、困るのが腸内で過剰発育した場合で、こちは腸炎の原因となるほか、ほかの臓器への感染すると症状が重くなることも。

カンジタを増やすのは抗生物質やステロイドのような免疫抑制剤などがありますが、いずれも医師のコントロール下で使用しなければならない薬剤です。
抗生物質の場合、あまり飲みたくないものの、出された薬を勝手な判断で途中で止めると耐性菌を体内で作る可能性もあって、治療方針をきっちり聞いておく必要があります。

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