2010年12月
2010年12月28日
有効成分の浸透 その6
化粧水の使い方で重要なのが、たっぷり使って、肌を潤わせること。
少量だけしか使わないと後に使うアイテムの成分の浸透性にも影響します。
最近の化粧品は粒子が小さくなってきますが、お手入れ感のでるようなこってりとしたクリームを使う場合、クリームの粒子が大きいため、せっかく配合された有効成分の浸透が悪くなってしまいます。
一番簡単なのは化粧水をマスクシートを用いて、角質がふやけた状態を作り出すことですが、ただ、問題は時間が無いとき。
時間が無いと、たっぷり肌を潤す時間も取れませんが、たとえばコットンに化粧水をしみこませて念入りにパッティングするだけでも浸透力は変わります。
また、たっぷり化粧水をつけたあと、軽く両手を顔に押し当てて1分程度ハンドプレスするだけでも浸透を促します。
ただし、この方法というのは、角質層をふやけさせて、無防備状態にすることでもあります。
刺激のある成分まで入ってしまうと問題ですし、また肌の上の汚れが逆流するとかぶれの原因になります。
オムツかぶれは蒸れてふやけた角質層に排出物が逆浸透してかぶれを引き起こしますが、顔の場合もパックが長いとそのような状態になります。
そのため、お肌のお手入れはまず清潔にすることが第一で、しっかり汚れを落としてから、不要なものを取り払って、必要な成分を入れていくというステップになります。
そして、過剰な保湿状態を作って、肌のバリア力を弱めたのち、角質層へ成分を浸透させていくという段階に進みます。
さて、本年のブログ更新は、ちょっと早いですが、今回でお終い。
今年は色々ありました。色々なことに挑戦して、様々な人との出会いがありました。
来年は超高圧乳化装置の性能を引き出してよい物を作りこんでいくのがテーマだと思っています。
それでは良いお年をお迎えください。
少量だけしか使わないと後に使うアイテムの成分の浸透性にも影響します。
最近の化粧品は粒子が小さくなってきますが、お手入れ感のでるようなこってりとしたクリームを使う場合、クリームの粒子が大きいため、せっかく配合された有効成分の浸透が悪くなってしまいます。
一番簡単なのは化粧水をマスクシートを用いて、角質がふやけた状態を作り出すことですが、ただ、問題は時間が無いとき。
時間が無いと、たっぷり肌を潤す時間も取れませんが、たとえばコットンに化粧水をしみこませて念入りにパッティングするだけでも浸透力は変わります。
また、たっぷり化粧水をつけたあと、軽く両手を顔に押し当てて1分程度ハンドプレスするだけでも浸透を促します。
ただし、この方法というのは、角質層をふやけさせて、無防備状態にすることでもあります。
刺激のある成分まで入ってしまうと問題ですし、また肌の上の汚れが逆流するとかぶれの原因になります。
オムツかぶれは蒸れてふやけた角質層に排出物が逆浸透してかぶれを引き起こしますが、顔の場合もパックが長いとそのような状態になります。
そのため、お肌のお手入れはまず清潔にすることが第一で、しっかり汚れを落としてから、不要なものを取り払って、必要な成分を入れていくというステップになります。
そして、過剰な保湿状態を作って、肌のバリア力を弱めたのち、角質層へ成分を浸透させていくという段階に進みます。
さて、本年のブログ更新は、ちょっと早いですが、今回でお終い。
今年は色々ありました。色々なことに挑戦して、様々な人との出会いがありました。
来年は超高圧乳化装置の性能を引き出してよい物を作りこんでいくのがテーマだと思っています。
それでは良いお年をお迎えください。
2010年12月26日
有効成分の浸透 その5
有効成分の浸透で忘れてはならないのが、どのタイミングで一番効果のある化粧品を使うかということ。
一般的には化粧水→乳液→美容液→クリームの順に使います。
化粧水で肌を整えて、次のアイテムで美容成分を補っていくのが一般的です。
このとき、角質の状態によっても浸透性は変わります。
角質は乾燥した状態では強固なバリア能力を発揮します。
しかし、水を吸うと、たんぱく質の塊である角質は水の分子がたんぱく質に引き寄せられて、その分体積の嵩が増えるようになります。
角質層自体は、たんぱく質でできた角質と、細胞の間に埋まっている油の2種類から成り立っていますが、角質が水分を吸って膨らむことで、今まできれいに整列した細胞同士の並びに乱れが生じます。
皆がいっせいに、同じ体積だけ膨らむのでしたら影響は少ないのかもしれません。
しかし、膨らみ具合は、角質毎にずれがあり、そのずれが隙間を作ります。
角質のバリアというのは、あくまで隙間がない状態での話です。
しかし、水分でたっぷり肌を潤わすと、この隙間が増えて、成分が浸透しやすくなります。
隙間が小さい状態で成分を浸透させようとすると、大変です。
成分自体を小さな粒子に加工する必要があり、この場合、粒子が小さければ小さいほどいいということになります。
しかし、そもそもの皮膚の隙間を広げて上げればそれも大きく変わるでしょう。
というのも隙間が大きくなるということは、大きな粒子でも肌に入りやすくなるということ。
浸透を促すためには、浸透する条件を整えてあげることが必要で、それは水気をたっぷりと肌に与えるということに他なりません。
重要なのはしっかりうるおすということ。
お風呂上りのような状態が理想といえば理想です。
一般的には化粧水→乳液→美容液→クリームの順に使います。
化粧水で肌を整えて、次のアイテムで美容成分を補っていくのが一般的です。
このとき、角質の状態によっても浸透性は変わります。
角質は乾燥した状態では強固なバリア能力を発揮します。
しかし、水を吸うと、たんぱく質の塊である角質は水の分子がたんぱく質に引き寄せられて、その分体積の嵩が増えるようになります。
角質層自体は、たんぱく質でできた角質と、細胞の間に埋まっている油の2種類から成り立っていますが、角質が水分を吸って膨らむことで、今まできれいに整列した細胞同士の並びに乱れが生じます。
皆がいっせいに、同じ体積だけ膨らむのでしたら影響は少ないのかもしれません。
しかし、膨らみ具合は、角質毎にずれがあり、そのずれが隙間を作ります。
角質のバリアというのは、あくまで隙間がない状態での話です。
しかし、水分でたっぷり肌を潤わすと、この隙間が増えて、成分が浸透しやすくなります。
隙間が小さい状態で成分を浸透させようとすると、大変です。
成分自体を小さな粒子に加工する必要があり、この場合、粒子が小さければ小さいほどいいということになります。
しかし、そもそもの皮膚の隙間を広げて上げればそれも大きく変わるでしょう。
というのも隙間が大きくなるということは、大きな粒子でも肌に入りやすくなるということ。
浸透を促すためには、浸透する条件を整えてあげることが必要で、それは水気をたっぷりと肌に与えるということに他なりません。
重要なのはしっかりうるおすということ。
お風呂上りのような状態が理想といえば理想です。
2010年12月23日
凍結乾燥法
薬の世界ではよく使う乾燥方法に凍結乾燥法があります。
通常、水分を蒸発させて成分を濃縮させるためには、加熱して行うのが一般的です。
水の沸点は100℃なので、100℃以上に加熱することで、水分を蒸発させて濃縮させることが可能。
熱に強い成分や加熱滅菌を兼ねている場合は、高熱での加熱は有効でしょう。
ただ、熱に弱い成分は、加熱すると分解することもあります。
それでは、いくら濃縮ができても効果が失われ意味がありません。
真空にして加熱することで、水分を蒸発させることも可能ですが、これも限界があります。これよりも有効なのが、真空凍結乾燥という手法。
マイナス30℃まで真空冷却して、氷から蒸気にまで一気に昇華させて水分を取り除く方法。
熱に弱い成分など、特殊な成分に有効な濃縮法です。
単に濃縮だけでなく、保存にも適した形にできます。
特に有効なのがたんぱく質。
タンパク質は3次元での構造が重要で、熱によって破壊されます。
たとえば、卵白は常温では透明の液体ですが、加熱すると白い固体となります。
たんぱく質の構造が熱によって破壊された例ですが、一度壊れると2度と戻りません。
しかし、水に溶けたたんぱく質は水からの攻撃を受けます。
1ヶ月は安定でも、2ヶ月、3ヶ月すると、加水分解といって、水によってたんぱく質が分解されることもあります。
人間の体内では常に新しいたんぱく質を生み出す仕組みが採られているので、壊れたたんぱく質は排除されて新しいものに置き換わっていきますが、高価なたんぱく質を用いた医薬品などは作るのが大変で、簡単に壊れると、非常にコスト高となり、医薬品の場合だと供給に問題が生じます。
この問題を解決するために、真空凍結乾燥法が用いられています。
全ての成分に応用できるものではありませんが、水によって分解してしまう成分には有効です。
とくに湿気でも分解してしまう場合には、通常の乾燥法では使えず乾燥凍結法が有利となります。
通常、水分を蒸発させて成分を濃縮させるためには、加熱して行うのが一般的です。
水の沸点は100℃なので、100℃以上に加熱することで、水分を蒸発させて濃縮させることが可能。
熱に強い成分や加熱滅菌を兼ねている場合は、高熱での加熱は有効でしょう。
ただ、熱に弱い成分は、加熱すると分解することもあります。
それでは、いくら濃縮ができても効果が失われ意味がありません。
真空にして加熱することで、水分を蒸発させることも可能ですが、これも限界があります。これよりも有効なのが、真空凍結乾燥という手法。
マイナス30℃まで真空冷却して、氷から蒸気にまで一気に昇華させて水分を取り除く方法。
熱に弱い成分など、特殊な成分に有効な濃縮法です。
単に濃縮だけでなく、保存にも適した形にできます。
特に有効なのがたんぱく質。
タンパク質は3次元での構造が重要で、熱によって破壊されます。
たとえば、卵白は常温では透明の液体ですが、加熱すると白い固体となります。
たんぱく質の構造が熱によって破壊された例ですが、一度壊れると2度と戻りません。
しかし、水に溶けたたんぱく質は水からの攻撃を受けます。
1ヶ月は安定でも、2ヶ月、3ヶ月すると、加水分解といって、水によってたんぱく質が分解されることもあります。
人間の体内では常に新しいたんぱく質を生み出す仕組みが採られているので、壊れたたんぱく質は排除されて新しいものに置き換わっていきますが、高価なたんぱく質を用いた医薬品などは作るのが大変で、簡単に壊れると、非常にコスト高となり、医薬品の場合だと供給に問題が生じます。
この問題を解決するために、真空凍結乾燥法が用いられています。
全ての成分に応用できるものではありませんが、水によって分解してしまう成分には有効です。
とくに湿気でも分解してしまう場合には、通常の乾燥法では使えず乾燥凍結法が有利となります。
2010年12月21日
有効成分の浸透 その4
成分が肌に浸透すれば、すべて細胞に取り込まれるわけではありません。
化粧品の成分は、細胞を活性化させるものもあれば、保湿剤のように活性化とは無縁の成分もあります。
このうち活性化成分でも細胞へ取り込まれるのはいくつかの優先事項があるのですが、一番は細胞に備わっているポンプで成分が取り込まれるかどうかです。
細胞の外までやってきた成分が内側に入るには、ビタミンなどはポンプを使って中に入り込みます。
そうすることで、細胞の外は薄い濃度であっても、細胞内では高濃度で存在することができます。
活性酸素と闘わないといけない、目や肺の細胞では、このようなポンプが発達していて、ビタミンCを高濃度に維持することができます。
このほか、ホルモンなどは細胞膜を簡単に通過することができます。
細胞に備わっているポンプ機能を使わずに浸透するする場合は、化学構造が重要となります。
細胞膜はレシチンや脂肪酸、コレステロールからできていますので、当然このような油に対して溶解性の高い成分は、細胞内へ入りやすくなります。
ややこしいのは、肌の表面は皮脂膜があるので、油性であり、肌の中に入ると、生きた細胞がいる真皮では水の中に細胞が浮いている状態なので、水溶性が必要となります。しかし、細胞の表面は、油性であるため、細胞内への浸透を考えると、ある程度油との親和性がありながら、水とも親和性があるような成分が有利となります。
とは言え、ホルモンのように完全に油にしか溶けない成分であった場合でも、細胞内へ浸透していくため、油と親和性がよいかどうかは成分の浸透性の上では特に重要になると思います。
化粧品の成分は、細胞を活性化させるものもあれば、保湿剤のように活性化とは無縁の成分もあります。
このうち活性化成分でも細胞へ取り込まれるのはいくつかの優先事項があるのですが、一番は細胞に備わっているポンプで成分が取り込まれるかどうかです。
細胞の外までやってきた成分が内側に入るには、ビタミンなどはポンプを使って中に入り込みます。
そうすることで、細胞の外は薄い濃度であっても、細胞内では高濃度で存在することができます。
活性酸素と闘わないといけない、目や肺の細胞では、このようなポンプが発達していて、ビタミンCを高濃度に維持することができます。
このほか、ホルモンなどは細胞膜を簡単に通過することができます。
細胞に備わっているポンプ機能を使わずに浸透するする場合は、化学構造が重要となります。
細胞膜はレシチンや脂肪酸、コレステロールからできていますので、当然このような油に対して溶解性の高い成分は、細胞内へ入りやすくなります。
ややこしいのは、肌の表面は皮脂膜があるので、油性であり、肌の中に入ると、生きた細胞がいる真皮では水の中に細胞が浮いている状態なので、水溶性が必要となります。しかし、細胞の表面は、油性であるため、細胞内への浸透を考えると、ある程度油との親和性がありながら、水とも親和性があるような成分が有利となります。
とは言え、ホルモンのように完全に油にしか溶けない成分であった場合でも、細胞内へ浸透していくため、油と親和性がよいかどうかは成分の浸透性の上では特に重要になると思います。
2010年12月19日
有効成分の浸透 その3
超高圧乳化装置の問題は、少量ロット生産にしか向かないこと。
普通の乳液ならたとえ10トンでも大きな乳化釜を使えば簡単に作れますが、高圧乳化の場合は、とても10tは作れません。
装置自体は高圧をかけるために大きい箱。しかし、乳化した液は指ほどの太さのチューブから出てくるだけで、大量生産には向きません。
リポソームクリームの多くは高価ですが、このような生産特有の問題もあります。
ただ、最近は色々なリポソーム調整法ができて、大量生産も可能になりつつあります。
リポソームの面白いところは天然の乳化剤であるレシチンが未だに合成界面活性剤より優れた化粧品を作れるところでしょうか。
結局のところ、好まれる感触というのは、レシチンで作ったクリームが多いですし、その感触のよさは侮れません。
なお、リポソーム化粧品の有効性は医薬部外品の効能効果でも認められています。
動物実験を相当行って安全性と効果を実証しなければならないため、医薬部外品のリポソームというのは、かなり少ないのですが、色々なリポソームが作られています。
実用化されているのは化粧品以外にも医薬品があります。
がん治療薬のいくつかにはリポソームが使われていて、生体親和性や組織への浸透性等が評価されています。
レシチンは2重だけでなく、3重、4重にも膜をつくって包むことができますので、多重層リポソームなどが出来ています。
多重リポソームにすることで、濃厚な使用感とすーと肌になじんでいく浸透感を両立させることもできます。
ただ、安定性が悪いので、如何にリポソームを安定に保つかが各社の腕の見せ所となっています。
普通の乳液ならたとえ10トンでも大きな乳化釜を使えば簡単に作れますが、高圧乳化の場合は、とても10tは作れません。
装置自体は高圧をかけるために大きい箱。しかし、乳化した液は指ほどの太さのチューブから出てくるだけで、大量生産には向きません。
リポソームクリームの多くは高価ですが、このような生産特有の問題もあります。
ただ、最近は色々なリポソーム調整法ができて、大量生産も可能になりつつあります。
リポソームの面白いところは天然の乳化剤であるレシチンが未だに合成界面活性剤より優れた化粧品を作れるところでしょうか。
結局のところ、好まれる感触というのは、レシチンで作ったクリームが多いですし、その感触のよさは侮れません。
なお、リポソーム化粧品の有効性は医薬部外品の効能効果でも認められています。
動物実験を相当行って安全性と効果を実証しなければならないため、医薬部外品のリポソームというのは、かなり少ないのですが、色々なリポソームが作られています。
実用化されているのは化粧品以外にも医薬品があります。
がん治療薬のいくつかにはリポソームが使われていて、生体親和性や組織への浸透性等が評価されています。
レシチンは2重だけでなく、3重、4重にも膜をつくって包むことができますので、多重層リポソームなどが出来ています。
多重リポソームにすることで、濃厚な使用感とすーと肌になじんでいく浸透感を両立させることもできます。
ただ、安定性が悪いので、如何にリポソームを安定に保つかが各社の腕の見せ所となっています。
2010年12月16日
有効成分の浸透 その2
有効成分の浸透は、成分が小さいこと、そして肌との親和性が優れる成分で包んでいることが条件となっていきます。
水添レシチンは、レシチンに水素添加して作ったもの。
レシチンには2重結合があり、これが酸化すると異臭などを引き起こすため、予め酸化しないように水素を添加して、脂肪酸部分をオレイン酸やリノール酸からステアリン酸に修正します。
ステアリン酸を含むレシチンは存在していますので、レシチンが水添レシチンという名称に変わったとしても化学的な成分は変わりません。
このレシチンが化粧品で多く使われるのは、やはり生体の細胞構造と同じ2重膜で有効成分で包み込めるという点です。
通常、有効成分を合成や天然の乳化剤で乳化すると、有効成分の周囲を乳化剤が一重で取り巻くだけです。
しかし、レシチンはこれを2重で取り巻くことができ、全く細胞膜と類似した構造で包みことができます。
これが大きな特徴で、細胞膜に類似しているということで、細胞は成分を取り込みやすくなるというメリットがあります。
レシチン以外に2重で取り巻くことができる乳化剤と言うのはいくつかあるのですが、最もレシチンが多く使われています。
ただ、レシチンは成分と溶かせば簡単に2重で包むわけではありません。
通常は1重でしか包まないため、2重で包み込ませるには相当の技術が必要となります。
レシチン乳化で一番身近なものは、マヨネーズです。
卵黄レシチンを使って植物油を乳化し、お酢でpHを酸性にして菌が繁殖しにくいpHへ設定し防腐を行います。
手で混ぜて作れるほど簡単に乳化できますが、この程度ではレシチンで2重膜を作ることはできません。
あくまで一重で包み込むだけです。
2重で包み込むためにはどうするのか。
一番、簡単なのは高圧で乳化すること。装置さえあれば、簡単に2重膜を作れます。ただ、問題はこの装置は高額であり、超高圧をかけて(1cmあたり1t以上の力をかけて)乳化するため、エネルギーがかなり必要となり、しかも少量しか乳化できないというデメリットがあります。
水添レシチンは、レシチンに水素添加して作ったもの。
レシチンには2重結合があり、これが酸化すると異臭などを引き起こすため、予め酸化しないように水素を添加して、脂肪酸部分をオレイン酸やリノール酸からステアリン酸に修正します。
ステアリン酸を含むレシチンは存在していますので、レシチンが水添レシチンという名称に変わったとしても化学的な成分は変わりません。
このレシチンが化粧品で多く使われるのは、やはり生体の細胞構造と同じ2重膜で有効成分で包み込めるという点です。
通常、有効成分を合成や天然の乳化剤で乳化すると、有効成分の周囲を乳化剤が一重で取り巻くだけです。
しかし、レシチンはこれを2重で取り巻くことができ、全く細胞膜と類似した構造で包みことができます。
これが大きな特徴で、細胞膜に類似しているということで、細胞は成分を取り込みやすくなるというメリットがあります。
レシチン以外に2重で取り巻くことができる乳化剤と言うのはいくつかあるのですが、最もレシチンが多く使われています。
ただ、レシチンは成分と溶かせば簡単に2重で包むわけではありません。
通常は1重でしか包まないため、2重で包み込ませるには相当の技術が必要となります。
レシチン乳化で一番身近なものは、マヨネーズです。
卵黄レシチンを使って植物油を乳化し、お酢でpHを酸性にして菌が繁殖しにくいpHへ設定し防腐を行います。
手で混ぜて作れるほど簡単に乳化できますが、この程度ではレシチンで2重膜を作ることはできません。
あくまで一重で包み込むだけです。
2重で包み込むためにはどうするのか。
一番、簡単なのは高圧で乳化すること。装置さえあれば、簡単に2重膜を作れます。ただ、問題はこの装置は高額であり、超高圧をかけて(1cmあたり1t以上の力をかけて)乳化するため、エネルギーがかなり必要となり、しかも少量しか乳化できないというデメリットがあります。
2010年12月14日
有効成分の浸透
出来るかどうかわかりませんが、擬似セラミドエマルジョンの改良に取り組んでいます。
擬似セラミドエマルジョンはいわゆるレシチンで作ったリポソームで擬似セラミドを内包していますが、この粒子径を色々変えて、浸透性や保湿のバランスが取れないか検討を行っています。
今の擬似セラミドエマルジョンの粒子径は50nmです。
通常のクリームの200分の1以下の小ささで、そのため粘度がありません。
本来、擬似セラミドを10%も乳化すれば、かなりの粘度になりますが、粒子径が小さい分、粘度が無くなっています。
この粒子径を小さくすればどうなるかの検討を行っています。
あまり浸透に力を入れすぎて、粒子径を小さくしすぎると、コクなどの使用感に影響してくるのではないかと、その点も懸念しています。
さっぱりしすぎるのも付けた感じがしなくて、問題ですし、浸透感と保湿とのバランスに苦労しています。
また、年代によって乳液の粒子径というのは、それぞれあって、年を重ねるにしたがって細かい粒子径のものは、好まれなくなり、どちらかというとナノエマルジョンとは全く正反対の大きな粒子が好まれることもあります。
これは乳液の延び具合やしっとり感などの使用感が物足りなくなるために、粒子径が大きく濃厚な感じがする乳液に好みがシフトしていくようです。
さて、成分の浸透を考えると、粒子が小さいほうが有利に決まっています。
角質層の細胞と細胞の間隙をぬって、成分は入り込んでいきますから、この間隙より小さい50nm以下の粒子は有利になります。
また、小さいだけではだめで成分の親和性も重要となります。
その点、水添レシチンやレシチンは元々細胞成分であるため、生体との親和性が高いというメリットがあります。
擬似セラミドエマルジョンはいわゆるレシチンで作ったリポソームで擬似セラミドを内包していますが、この粒子径を色々変えて、浸透性や保湿のバランスが取れないか検討を行っています。
今の擬似セラミドエマルジョンの粒子径は50nmです。
通常のクリームの200分の1以下の小ささで、そのため粘度がありません。
本来、擬似セラミドを10%も乳化すれば、かなりの粘度になりますが、粒子径が小さい分、粘度が無くなっています。
この粒子径を小さくすればどうなるかの検討を行っています。
あまり浸透に力を入れすぎて、粒子径を小さくしすぎると、コクなどの使用感に影響してくるのではないかと、その点も懸念しています。
さっぱりしすぎるのも付けた感じがしなくて、問題ですし、浸透感と保湿とのバランスに苦労しています。
また、年代によって乳液の粒子径というのは、それぞれあって、年を重ねるにしたがって細かい粒子径のものは、好まれなくなり、どちらかというとナノエマルジョンとは全く正反対の大きな粒子が好まれることもあります。
これは乳液の延び具合やしっとり感などの使用感が物足りなくなるために、粒子径が大きく濃厚な感じがする乳液に好みがシフトしていくようです。
さて、成分の浸透を考えると、粒子が小さいほうが有利に決まっています。
角質層の細胞と細胞の間隙をぬって、成分は入り込んでいきますから、この間隙より小さい50nm以下の粒子は有利になります。
また、小さいだけではだめで成分の親和性も重要となります。
その点、水添レシチンやレシチンは元々細胞成分であるため、生体との親和性が高いというメリットがあります。
2010年12月12日
リペアエッセンス
セラミド1、3、6を配合したセラミド原液のリペアエッセンスという商品がトゥヴェールにあります。
多くの化粧品会社がこのリペアエッセンスを利用して化粧品を作っています。
この製品の問題は、セラミド配合量が高いために原液で使うとテクスチャが悪いこと。
薄めて使うほうがテクスチャは良くなります。
セラミドを配合していても潤滑剤になるような成分が入っていれば、テクスチャは悪くなりませんが、あくまでセラミド配合製剤の原液だけにそういう感触向上剤は入っておらず、テクスチャの悪さが問題でした。
また、薄めて使うというのは、慣れない人にはむずかしいのかもしれません。
そこでこのリペアエッセンスを使って、もっと良い応用例が出来ないか検討した結果、オールインワンゲルを発売することになりました。
リペアエッセンスを配合し、酵母エキスを中心としたゲル。
乾燥対策とエイジングケア対策が主となります。
オールインワンゲルは油分を含まないタイプと含むタイプの2種類に分かれます。
油分が含まれていないと、みずみずしい使用感となりますが、油分がないため、持続的な保湿力は劣ります。
夏場はそれでしのげても乾燥する季節には厳しいと考えています。
ただ、オールインワンゲルに油分を配合しすぎると、ただのゲルクリームとなりますので、油分はほどほどの配合量にしました。
オールインワンゲルは使用感の軽さも重視されるので、保湿力を上げるために油分を入れたらいいというものではなく、保湿力には限界が生じます。
時間が無い方や手間無くお手入れを済ましたい方には試していただきたいと思います。
また、リペアエッセンスの応用例を知りたい方にもお勧めです。
2月くらいに発売できればと考えています。
多くの化粧品会社がこのリペアエッセンスを利用して化粧品を作っています。
この製品の問題は、セラミド配合量が高いために原液で使うとテクスチャが悪いこと。
薄めて使うほうがテクスチャは良くなります。
セラミドを配合していても潤滑剤になるような成分が入っていれば、テクスチャは悪くなりませんが、あくまでセラミド配合製剤の原液だけにそういう感触向上剤は入っておらず、テクスチャの悪さが問題でした。
また、薄めて使うというのは、慣れない人にはむずかしいのかもしれません。
そこでこのリペアエッセンスを使って、もっと良い応用例が出来ないか検討した結果、オールインワンゲルを発売することになりました。
リペアエッセンスを配合し、酵母エキスを中心としたゲル。
乾燥対策とエイジングケア対策が主となります。
オールインワンゲルは油分を含まないタイプと含むタイプの2種類に分かれます。
油分が含まれていないと、みずみずしい使用感となりますが、油分がないため、持続的な保湿力は劣ります。
夏場はそれでしのげても乾燥する季節には厳しいと考えています。
ただ、オールインワンゲルに油分を配合しすぎると、ただのゲルクリームとなりますので、油分はほどほどの配合量にしました。
オールインワンゲルは使用感の軽さも重視されるので、保湿力を上げるために油分を入れたらいいというものではなく、保湿力には限界が生じます。
時間が無い方や手間無くお手入れを済ましたい方には試していただきたいと思います。
また、リペアエッセンスの応用例を知りたい方にもお勧めです。
2月くらいに発売できればと考えています。
2010年12月09日
ビタミンEパウダーでの粘度の出し方
ディープホワイトパウダーやAP100ブライトニングパウダーとビタミンEパウダーを使って調合する場合、粘度を出すことも可能です。
水溶性ビタミンC誘導体の場合、使える増粘剤というのは、決まっていてせいぜいキサンタンガムぐらいしかありません。
それは普通のゲル化剤の場合、ビタミンC誘導体のミネラル分によって、水へ可溶化しにくくなり、均一の分散が出来なくなるからです。
ゲルというのは、ゲル化剤が網の目のように均一に分散し、お互いがくっつくことで、その網の目の中に取り込んだ水を固定化して、ゲル化を行います。
ビタミンC誘導体は、このゲル化剤の水への溶解を邪魔するために、一般的な増粘剤が使えず、耐塩性のあるゲル化剤しか使えません。
しかも、感触を考えると化粧品に使えるのはキサンタンガムくらい。
他に自然派のゲル化剤としてはカラギーナンなどもありますが、こちらは感触が悪く、食品用途の舌触りには問題ありませんが、化粧品として肌に塗るにもかなり問題が生じます。
また、ゲル化剤と使うと、量によっては肌に塗っている途中でもゲルが壊れにくく、あまりよい感触といえないこともありました。
ゲルが固すぎると、ジャーからとる場合、ゼリーのようにどっさりと取れてしますので、安っぽく見えてしまうという問題があります。
そこで出てきたのが、アミノ酸界面活性剤を含んだ耐塩性のあるポリマーですが、これを使うことで、ある程度解決することができます。
ただ、個人の利用には入手がむずかしく、キサンタンガムにしか頼れませんでした。
ただ、今までは難しかったのですが、ビタミンEパウダーは、ビタミンC誘導体にある程度、粘度を持たせることが可能です。
しかし、使えるビタミンC誘導体に限りがあって、ディープホワイトパウダーはOKでも、プレミアムホワイトパウダーには使えません。
粘性があれば、リッチ感が出ますので、ビタミンEパウダーとの併用はお勧めです。
なお、粘度の出し方ですが、ビタミンEパウダーの粘度はpHによって変わります。
弱アルカリ性でも中性でもだめで、中性から少し弱アルカリ性といった範囲がちょうどよくなります。
たとえば、ビタミンEパウダーを溶解後、翌日にディープホワイトパウダーを溶かし、よく振って完全溶解させた後、弱酸性であるアミノ酸エッセンスを徐々に加えていくことで、増粘させることが出来ます。
ただ、ディープホワイトパウダーの濃度が高すぎると増粘しないため、3~4%程度がよいと思います。
また、増粘しすぎるとかなりゲル状となりますが、肌につけた瞬間にゲルが壊れて液状に変化します。
最後に増粘させた場合、保存は常温で行う必要があります。
冷蔵庫で保存すると、すぐに結晶が析出するため、注意が必要です。
水溶性ビタミンC誘導体の場合、使える増粘剤というのは、決まっていてせいぜいキサンタンガムぐらいしかありません。
それは普通のゲル化剤の場合、ビタミンC誘導体のミネラル分によって、水へ可溶化しにくくなり、均一の分散が出来なくなるからです。
ゲルというのは、ゲル化剤が網の目のように均一に分散し、お互いがくっつくことで、その網の目の中に取り込んだ水を固定化して、ゲル化を行います。
ビタミンC誘導体は、このゲル化剤の水への溶解を邪魔するために、一般的な増粘剤が使えず、耐塩性のあるゲル化剤しか使えません。
しかも、感触を考えると化粧品に使えるのはキサンタンガムくらい。
他に自然派のゲル化剤としてはカラギーナンなどもありますが、こちらは感触が悪く、食品用途の舌触りには問題ありませんが、化粧品として肌に塗るにもかなり問題が生じます。
また、ゲル化剤と使うと、量によっては肌に塗っている途中でもゲルが壊れにくく、あまりよい感触といえないこともありました。
ゲルが固すぎると、ジャーからとる場合、ゼリーのようにどっさりと取れてしますので、安っぽく見えてしまうという問題があります。
そこで出てきたのが、アミノ酸界面活性剤を含んだ耐塩性のあるポリマーですが、これを使うことで、ある程度解決することができます。
ただ、個人の利用には入手がむずかしく、キサンタンガムにしか頼れませんでした。
ただ、今までは難しかったのですが、ビタミンEパウダーは、ビタミンC誘導体にある程度、粘度を持たせることが可能です。
しかし、使えるビタミンC誘導体に限りがあって、ディープホワイトパウダーはOKでも、プレミアムホワイトパウダーには使えません。
粘性があれば、リッチ感が出ますので、ビタミンEパウダーとの併用はお勧めです。
なお、粘度の出し方ですが、ビタミンEパウダーの粘度はpHによって変わります。
弱アルカリ性でも中性でもだめで、中性から少し弱アルカリ性といった範囲がちょうどよくなります。
たとえば、ビタミンEパウダーを溶解後、翌日にディープホワイトパウダーを溶かし、よく振って完全溶解させた後、弱酸性であるアミノ酸エッセンスを徐々に加えていくことで、増粘させることが出来ます。
ただ、ディープホワイトパウダーの濃度が高すぎると増粘しないため、3~4%程度がよいと思います。
また、増粘しすぎるとかなりゲル状となりますが、肌につけた瞬間にゲルが壊れて液状に変化します。
最後に増粘させた場合、保存は常温で行う必要があります。
冷蔵庫で保存すると、すぐに結晶が析出するため、注意が必要です。
2010年12月07日
シリコーンコーティング
日焼け止めの開発は、いまだ道半ばといった状態ですが、シリコーンコーティングを使うかどうか検討を開始しています。
前のバージョンは、酸化チタンの上にミネラルをコーティングし、そしてオイルをコーティングしたタイプでテストを行っていました。
どちらかというと水分散タイプの日焼け止めに使われるコーティングで、界面活性剤を使わずに天然高分子のゲルで分散させていましたが、汗をかくと日焼け止めの膜が汗を抱き込んでしまい、なかなか抜けていかないという問題がありました。
この問題は肌質や生活環境によっても変わってきましたが、女性スタッフに岩盤浴で試してもらうと、やはり湿度が高い環境下では、汗が抜けにくく、結局のところ、汗がでる環境下では使えないことが判明。
なぜ、ここまで汗を抱えこむのか不明な点が多いのですが、酸化チタンのコーティング剤を見直して、撥水性の高いシリコーンコーティングへ変更しました。
最初のタイプは、全体が水になじむ成分でしたが、今回は酸化チタンに撥水性を持たして、撥水性のある微粒子によって、水へのなじみやすさを減らしたわけです。
この結果、汗に対する効果を確認しました。酸化チタンが汗を弾きやすくなったおかげか、肌を覆う日焼け止めの膜から、汗が抜けていき、水滴が溜まることはありませんでした。
前の日焼け止めは汗が抱え込まれて顔面に無数の水滴が生じる事態になりましたが、今回は、岩盤浴で確認してもそのような状態は起きにくかったです。
この日焼け止めはシリコーンでコーティングしていますが、その上を植物オイルが覆っている状態なので、専用クレンジングの必要は無く、石鹸で落とすことが可能です。
(シリコーンオイルを基材にしている場合は、専用クレンジングが必要です)
酸化チタンのコーティングでここまで状態が変わるのかと、改めて認識させられましたが、界面活性剤不使用ですし、肌へのやさしさと機能性はある程度確立できたものと考えています。
今後はシリコーンのコーティング膜の厚さを確認しながら、改良などを行っていく予定です。
前のバージョンは、酸化チタンの上にミネラルをコーティングし、そしてオイルをコーティングしたタイプでテストを行っていました。
どちらかというと水分散タイプの日焼け止めに使われるコーティングで、界面活性剤を使わずに天然高分子のゲルで分散させていましたが、汗をかくと日焼け止めの膜が汗を抱き込んでしまい、なかなか抜けていかないという問題がありました。
この問題は肌質や生活環境によっても変わってきましたが、女性スタッフに岩盤浴で試してもらうと、やはり湿度が高い環境下では、汗が抜けにくく、結局のところ、汗がでる環境下では使えないことが判明。
なぜ、ここまで汗を抱えこむのか不明な点が多いのですが、酸化チタンのコーティング剤を見直して、撥水性の高いシリコーンコーティングへ変更しました。
最初のタイプは、全体が水になじむ成分でしたが、今回は酸化チタンに撥水性を持たして、撥水性のある微粒子によって、水へのなじみやすさを減らしたわけです。
この結果、汗に対する効果を確認しました。酸化チタンが汗を弾きやすくなったおかげか、肌を覆う日焼け止めの膜から、汗が抜けていき、水滴が溜まることはありませんでした。
前の日焼け止めは汗が抱え込まれて顔面に無数の水滴が生じる事態になりましたが、今回は、岩盤浴で確認してもそのような状態は起きにくかったです。
この日焼け止めはシリコーンでコーティングしていますが、その上を植物オイルが覆っている状態なので、専用クレンジングの必要は無く、石鹸で落とすことが可能です。
(シリコーンオイルを基材にしている場合は、専用クレンジングが必要です)
酸化チタンのコーティングでここまで状態が変わるのかと、改めて認識させられましたが、界面活性剤不使用ですし、肌へのやさしさと機能性はある程度確立できたものと考えています。
今後はシリコーンのコーティング膜の厚さを確認しながら、改良などを行っていく予定です。