光合成について その2粉末の分散

2006年11月25日

手作りではなかなか難しい日焼け止め

日焼け止めを手作りで作りたいという要望は多いです。

酸化チタンなども手作り用として販売されていますが、
なかなか効果的なものは作れません。

理由はうまく粉を分散させるのが、かなり難しいからです。

化粧品会社でも大手以外では、予めシリコーンオイルやスクワランなどに
分散させた酸化チタンや酸化亜鉛を使うのが一般的です。

では、どうして粉が分散しないといけないかというと、
紫外線はかなり小さな隙間でも入り込んでしまい、
粉が均一に分散しないと日焼け止めを塗っているのに
日焼けするという事態になりかねません。

また、酸化チタンなどの吸収も粉の粒同士がくっつかないときに
最大の効果を発揮します。

ただ、残念なことに粉同士はくっつきやすい性質があるため、
うまく分散させる必要があるのです。
それには、特殊な機械が必要なため、たいていの化粧品メーカーでは
予めシリコーンオイルに分散させたものを使うのが一般的です。

その方が、製造時間を短縮できますし、配合も容易なので
使いやすい特徴があります。

なお、酸化チタンは、触媒効果をもっているため、
たとえば絵の具の白は酸化チタンですが、
それをそのまま配合するわけにはいきません。

配合する前に酸化チタンの表面にシリコーンなどをあらかじめくっつけます。

酸化チタンや酸化亜鉛など何の処理も施さないと
紫外線にあたれば酸化チタンの周りに存在する成分を酸化する性質があります。

この性質を利用して、反応性を高めたシリコーンを酸化チタンに塗れば
酸化チタンの表面で活性が高い部位へシリコーンがくっついていきます。

粉末のため液体に溶けにくい酸化チタンの表面を処理することで、
化粧品に配合しやすくなり、また酸化チタンの触媒作用を
抑えることができるという一石二鳥のメリットがあります。

shin_chanz at 20:03│Comments(4) 乳化と分散 

この記事へのコメント

1. Posted by りー   2006年11月25日 22:52
このお話は5月の講習のときにも解説していただきましたよね。
目から鱗で、本当にためになりました。

私も手作りサイトを見て作ったことがあるだけにとても興味深かったです。
(あまり、手作りで簡単にできますって紹介されるのも問題ですよね。ToT)

余ってしまった粉(酸化チタンや酸化亜鉛)はフェースパウダーに混ぜたりして消費しております。w

2. Posted by しんちゃん   2006年11月26日 21:35
りーさん、こんにちは

手作り材料を販売しているところも
なぜか粉末を販売しています。

そもそも微粒子酸化チタンは1粒が
目に見える大きさではないのに、
すでに粒子がたくさん集まった状態に
なったものを使っても効果的な日焼け止めは
作れません。

今お使いのように仕上げのパウダーにしか
ならないでしょうね。
3. Posted by alure   2006年11月30日 22:26
はじめまして。こんばんは。

日焼け止めは何処のメーカーのものを使ったらよいのか悩んでいます。
オススメのものがあれば教えていただけないでしょうか?
4. Posted by しんちゃん   2006年12月01日 22:19
alureさん、こんにちは

お勧めのものは、特にないですが、
敏感肌向けでSPF20程度のものが
よいでしょうね。

日焼け止めというのは、基材がしっかり
していないと塗って何時間もするとだんだん
浮いてきて、効果は弱くなりますし、
かといってべったりつくのは使用感が
悪いため不評となります。

その中で、キスミーのベビーミルクなど
しっかりついていても石鹸で落とせるタイプが
便利じゃないかなと思います。

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