トランス脂肪酸おいしいトランス脂肪酸?

2006年12月10日

続トランス脂肪酸

トランス脂肪酸自体はずいぶん前から業界では問題になっていました。
おそらく20年前から問題視されていました。

ようやく「表に出された」という感じですが、日本の製油メーカーでは
一番規制が厳しいデンマークの基準をクリアしたものを供給し始めていますし
変な海外の食品を食べない限り、問題はないと思います。

ちなみに日本の食品では、たしかカレーのルーに
トランス脂肪酸が多く含まれています。

油脂への水素添加は酸化しやすい魚油を改質して
オリーブオイルのような脂肪酸組成にしたりするメリットがあります。

食品に多く使われる油のうち、脂肪酸の融点はステアリン酸が一番高くて、
次にパルミチン酸となります。
オレイン酸やリノール酸、リノレン酸は2重結合というものがあって、
融点が低くなります。
二重結合があると、そこへ酸素がくっつくので、酸素がくっつく前に
水素を最初からつければ油脂は安定になっていいじゃんということで
水素を添加します。

水素をつける量によって、少量ならリノレン酸をオレイン酸に
もしくはリノール酸をオレイン酸にすることができ、
大量ならリノレン酸からステアリン酸へと変化します。

水素添加は、化粧品向けにはあまり使われません。
量的にまとまっているのは、柔軟剤の原料向けでしょうか。

主には食品向けになります。

液体の植物油や魚油に水素を添加すると融点が高くなって、
室温で液体であったものが、ペースト状になったりします。

欧米でトランス脂肪酸でよく食べられるのは、
水素添加すると少し甘い芳香が出る場合があり、
それがまた欧米人好みであるのも大きいです。
ポテトフライやフライドチキンなどはトランス脂肪酸が
ちょっと入っている方が彼らは美味しいと感じます。

日本人はどちらかというとサラダ油に代表されるような
液体タイプの油が好みです。
菜種を絞って作った赤い菜種油は赤水と呼ばれて、
こんがり黄金色のてんぷらを作るにはなくてはならないものです。

さすがにアメリカでも外食チェーンはトランス脂肪酸フリーを
謳い文句にしはじめましたが、コストがかなり高くなるので、
なかなか簡単にはいかないようです。

shin_chanz at 10:57│Comments(2) 栄養 

この記事へのコメント

1. Posted by D-PiPi   2006年12月10日 23:47
硬化油は、水素添加で安定して酸化しにくいと習いました。
だから外食産業も繰り返し使えてコストがかからなかったわけですか。

ケンタッキーなどの新しく導入される油は酸化されにくいのか疑問です。
クッキーはショートニングじゃなくちゃサクサクしないんですよね。

代替油にコストがかかっても心疾患治療と比べるとそれほどでもないとFDAの説明です(^^;
2. Posted by しんちゃん   2006年12月11日 23:25
D-PiPi さん、こんにちは

トランス脂肪酸についての考え方は、
国によって大きく違います。
ポルトガルやオランダ、ベルギーなどでは
10年前からマーガリンにトランス脂肪酸は
ほとんど含まれていない銘柄が販売されています。
これらの国で販売されているマーガリンは
一般の銘柄でもトランス脂肪酸は日本の
10分の1以下です。

油脂に完全に水素を添加して、
ステアリン酸にし、それをエステル交換で
油脂にくっつけて、適度な融点の油脂に
改質していきます。
ただ、トランス脂肪酸は口どけの良さや
油の伸びなど天然にない油脂の特徴を
持っていますので、完全に代替にはなりません。

ショートニングは、生地を脆くさせるのが
特徴です。さくっと割れるクッキーなどには
大切な原料です。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
トランス脂肪酸おいしいトランス脂肪酸?