2008年08月26日
微粒子酸化チタンの分散
酸化チタンを混ぜれば、日焼け止めができますが、ただ完全なものを作るのは難しいです。
それは、紫外線の大きさと、紫外線を反射する酸化チタンの大きさ、そして酸化チタン同士を隙間なく並べるという3つの要因を考えると、最後の酸化チタン同士を隙間なく並べるというところで大きな壁が存在しています。
たとえば、市販の日焼け止めで問題になるのが、化粧品中でうまく、酸化チタン同士をくっつかずに並べたとしても、塗るときに酸化チタン同士がくっついて、日焼け止め効果が落ちてしまうということでした。
日焼け止め効果が落ちるだけでなく、酸化チタン同士がくっつくと、キシミ感につながるため、これをうまく防止する工夫が求められます。
一般的に日焼け止めに使う酸化チタンは微粒子酸化チタンを使用します。
なぜかというと、微粒子酸化チタンは、可視光線はほとんど跳ね返さないため、
酸化チタン同士をくっつかせずにうまく分散することができたら、それほど白くならずに日焼け止めをつくることができるからです。
逆に微粒子タイプでないものは、紫外線を跳ね返すより、可視光線を跳ね返すことに主眼を置かれていますから、真っ白となります。
ペンキの白は酸化チタンをポリマーで分散させたものですが、これほど白いものを肌に塗ると、当然肌も白くなりすぎてしまうという問題が生じます。
舞妓さんになるつもりでしたら、良いのですが、肌の上に白い顔料を隙間なく並べると肌の質感が損なわれてしまいます。
それは、肌の質感というのは、あくまで、可視光線が肌に到達して、反射した光が肌の質感を印象付けるのですが、酸化チタンが肌の上にあると、大きな粒子の酸化チタンはほとんどの光を跳ね返してしまうため、酸化チタンの不自然な白さがでてしまいます。
それが特に出るのが、写真のフラッシュで、たくさんの光を一気に当てると、酸化チタンが反射してしまうので、「白浮き」といった自体となります。
ただ、微粒子酸化チタンは、お互いがくっつこうという力がとても強く、
バラバラに分散させるのは、結構大変です。
また、うまく分散させても、時間経過と共に、またくっついて大きな粒子となってしまうことも多々あります。
普通のミキサーでは分散しにくいので、石臼のような大きなミルで酸化チタンをすり潰して、粒子同士をバラバラにしてオイルに分散させていきます。
大メーカーならともかく、通常は分散させる機械を化粧品メーカーはもっていないので、原料メーカーから酸化チタンの分散液を購入して、日焼け止めやファンデーション作りに使用しています。
手作りにおいても粉を上手に分散させるのは、結構労力が必要で、むずかしいと考えています。
それは、紫外線の大きさと、紫外線を反射する酸化チタンの大きさ、そして酸化チタン同士を隙間なく並べるという3つの要因を考えると、最後の酸化チタン同士を隙間なく並べるというところで大きな壁が存在しています。
たとえば、市販の日焼け止めで問題になるのが、化粧品中でうまく、酸化チタン同士をくっつかずに並べたとしても、塗るときに酸化チタン同士がくっついて、日焼け止め効果が落ちてしまうということでした。
日焼け止め効果が落ちるだけでなく、酸化チタン同士がくっつくと、キシミ感につながるため、これをうまく防止する工夫が求められます。
一般的に日焼け止めに使う酸化チタンは微粒子酸化チタンを使用します。
なぜかというと、微粒子酸化チタンは、可視光線はほとんど跳ね返さないため、
酸化チタン同士をくっつかせずにうまく分散することができたら、それほど白くならずに日焼け止めをつくることができるからです。
逆に微粒子タイプでないものは、紫外線を跳ね返すより、可視光線を跳ね返すことに主眼を置かれていますから、真っ白となります。
ペンキの白は酸化チタンをポリマーで分散させたものですが、これほど白いものを肌に塗ると、当然肌も白くなりすぎてしまうという問題が生じます。
舞妓さんになるつもりでしたら、良いのですが、肌の上に白い顔料を隙間なく並べると肌の質感が損なわれてしまいます。
それは、肌の質感というのは、あくまで、可視光線が肌に到達して、反射した光が肌の質感を印象付けるのですが、酸化チタンが肌の上にあると、大きな粒子の酸化チタンはほとんどの光を跳ね返してしまうため、酸化チタンの不自然な白さがでてしまいます。
それが特に出るのが、写真のフラッシュで、たくさんの光を一気に当てると、酸化チタンが反射してしまうので、「白浮き」といった自体となります。
ただ、微粒子酸化チタンは、お互いがくっつこうという力がとても強く、
バラバラに分散させるのは、結構大変です。
また、うまく分散させても、時間経過と共に、またくっついて大きな粒子となってしまうことも多々あります。
普通のミキサーでは分散しにくいので、石臼のような大きなミルで酸化チタンをすり潰して、粒子同士をバラバラにしてオイルに分散させていきます。
大メーカーならともかく、通常は分散させる機械を化粧品メーカーはもっていないので、原料メーカーから酸化チタンの分散液を購入して、日焼け止めやファンデーション作りに使用しています。
手作りにおいても粉を上手に分散させるのは、結構労力が必要で、むずかしいと考えています。
shin_chanz at 00:01│Comments(7)│
│ミネラルファンデーション(MMU)
この記事へのコメント
1. Posted by さあら 2008年08月26日 12:28
こんにちわ。いつも詳しい情報ありがとうございます。とても参考になることばかりです。
手作りで日焼け止めクリームを作っています。材料を販売しているウェブショップのレシピで、微粒子と普通の酸化チタン+微粒子と普通の酸化亜鉛を混ぜるというのがありましたので、その方法で作っています。
大きい粒子の隙間を微粒子で埋めるということなんですけど、効果にあまり違いはないでしょうか?
市販品の伸びの悪さは、オイルや水分で調整できるので、使い心地としては、まあまあ気に入っています。
この上にシルクパウダーをせっせと塗っていたんですけどね。。。あまり効果がないんですね。。。
手作りで日焼け止めクリームを作っています。材料を販売しているウェブショップのレシピで、微粒子と普通の酸化チタン+微粒子と普通の酸化亜鉛を混ぜるというのがありましたので、その方法で作っています。
大きい粒子の隙間を微粒子で埋めるということなんですけど、効果にあまり違いはないでしょうか?
市販品の伸びの悪さは、オイルや水分で調整できるので、使い心地としては、まあまあ気に入っています。
この上にシルクパウダーをせっせと塗っていたんですけどね。。。あまり効果がないんですね。。。
2. Posted by しんちゃん 2008年08月26日 20:42
さあらさん、こんにちは
酸化チタンの大きい粒子というのは、あまり日焼け止め効果は弱いので意味ないですね。微粒子酸化チタンのみでよいと思います。
基本的にはクリームでお使いなら微粒子だけの方がよいです。
大きい酸化チタンは、可視光を跳ね返すために作られていますので、UVをカットする効果は弱くなります。
あと、本当は、微粒子酸化チタンを何かのオイルに分散させたペーストを使うのが一番ベストです。いまじんさんが以前取り扱っておられましたが、今はありません。
シルクパウダーはUVB対策として考えておけばよいですよ。
酸化チタンの大きい粒子というのは、あまり日焼け止め効果は弱いので意味ないですね。微粒子酸化チタンのみでよいと思います。
基本的にはクリームでお使いなら微粒子だけの方がよいです。
大きい酸化チタンは、可視光を跳ね返すために作られていますので、UVをカットする効果は弱くなります。
あと、本当は、微粒子酸化チタンを何かのオイルに分散させたペーストを使うのが一番ベストです。いまじんさんが以前取り扱っておられましたが、今はありません。
シルクパウダーはUVB対策として考えておけばよいですよ。
3. Posted by にゃんきす 2009年05月20日 05:39
はじめまして。ナノ粒子について調べていて飛んできました。とても興味深い内容です。昔の記事にコメントしてもよいのか分からないのですが、とての気になることがあるので、よろしければ、返信ください。
トゥベールのMMUは、存在は知っていたのですが、二酸化チタンの粒子(ちなみに何nmでしょうか?人間の皮膚の細胞が40〜60nmと聞いて、それ以下は使わないでおこうと思うのですが、この考えはどうなのでしょう?)と、コーティングに気を配られているとのことで、早速一度使ってみたいと思っています。
本題は、日焼け止めについてです。日常使いできる、石鹸で落とせて、成分がシンプルで、合成界面活性剤、合成ポリマーを使っていないものを探しているのですが、市販には見当たらず、いまは自分で手作りした日焼け止め(微粒子でも30〜50nmで許容範囲として、そちらを使用、水酸化Alでコーティング、二酸化亜鉛は普通粒子サイズで使っています)を普段使いしているのですが、この記事をみてSPF効果が不安になりました。
微粒子二酸化チタンをオイルに分散させたペーストを使うのがベストということなので、ぜひそちらを使いたいと思っています。ちなみに、分散剤は、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?分散剤だけ買えたりするのでしょうか?
手作りコスメ材料のお店を調べたところ、液体二酸化チタン(油性)として、二酸化チタン、キャスターオイル、安息香酸エステル、リン酸塩で、作られたものが売ってありましたが、これは安息〜、が分散剤、リン酸塩、がコーティング剤ということなのでしょうか?安息香酸エステルが合成界面活性剤のような名前なので、こちらは少し不安があるのですが。
トゥベールのMMUは、存在は知っていたのですが、二酸化チタンの粒子(ちなみに何nmでしょうか?人間の皮膚の細胞が40〜60nmと聞いて、それ以下は使わないでおこうと思うのですが、この考えはどうなのでしょう?)と、コーティングに気を配られているとのことで、早速一度使ってみたいと思っています。
本題は、日焼け止めについてです。日常使いできる、石鹸で落とせて、成分がシンプルで、合成界面活性剤、合成ポリマーを使っていないものを探しているのですが、市販には見当たらず、いまは自分で手作りした日焼け止め(微粒子でも30〜50nmで許容範囲として、そちらを使用、水酸化Alでコーティング、二酸化亜鉛は普通粒子サイズで使っています)を普段使いしているのですが、この記事をみてSPF効果が不安になりました。
微粒子二酸化チタンをオイルに分散させたペーストを使うのがベストということなので、ぜひそちらを使いたいと思っています。ちなみに、分散剤は、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?分散剤だけ買えたりするのでしょうか?
手作りコスメ材料のお店を調べたところ、液体二酸化チタン(油性)として、二酸化チタン、キャスターオイル、安息香酸エステル、リン酸塩で、作られたものが売ってありましたが、これは安息〜、が分散剤、リン酸塩、がコーティング剤ということなのでしょうか?安息香酸エステルが合成界面活性剤のような名前なので、こちらは少し不安があるのですが。
4. Posted by にゃんきす 2009年05月20日 05:41
長い文章で、きれてしまいました。読みづらかったらすみません。
続きなのですが、ちなみに、そのお店に液体二酸化チタン(水性)として、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、 ヘキサメタリン酸ソーダ(合成物?)、で作られたものもありました。こちらで日焼け止めジェルを作るのもいいかと考えていますが、オイルに分散させているほうがよいのでしょうか?
あと、市販の日焼け止めでこれはよい、というおすすめのものはありますか?成分的にも良好で、口コミサイトでも人気の商品が、実は二酸化チタンをメチコンコーティングしており、さらにそれを表記していなかったこともあり、少し割高な商品だったので、残念に思ったこともありました。トゥベールさんで、ぜひ、ノンケミカルコスメ好きの納得する良い日焼け止めが開発されてほしいなあと思っています。
お返事、お時間のあるときで結構です。よろしければお願いいたします。
続きなのですが、ちなみに、そのお店に液体二酸化チタン(水性)として、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、 ヘキサメタリン酸ソーダ(合成物?)、で作られたものもありました。こちらで日焼け止めジェルを作るのもいいかと考えていますが、オイルに分散させているほうがよいのでしょうか?
あと、市販の日焼け止めでこれはよい、というおすすめのものはありますか?成分的にも良好で、口コミサイトでも人気の商品が、実は二酸化チタンをメチコンコーティングしており、さらにそれを表記していなかったこともあり、少し割高な商品だったので、残念に思ったこともありました。トゥベールさんで、ぜひ、ノンケミカルコスメ好きの納得する良い日焼け止めが開発されてほしいなあと思っています。
お返事、お時間のあるときで結構です。よろしければお願いいたします。
5. Posted by しんちゃん 2009年05月21日 20:45
にゃんきすさん、こんにちは
MMUの酸化チタンのサイズですが500〜2000nmくらいになります。
確かに肌の細胞と細胞の間隙は50nm程度ですが、その中には入っていきません。
多少入ったとしても、細胞と細胞の間には油が詰まっていますし、
その油の中を潜り抜けて肌の中には入っていかないことがわかっています。
角層は毎日剥がれていくので、その剥がれるスピードより浸透が遅ければ
入ることはありません。
アメリカでも問題になっているのは、肌への浸透より吸い込みのほうですね。
さて、手作りの日焼け止めを使われても日焼けしないのでしたら問題ないでしょう。
日焼けしているのなら、ちょっと考えられた方がよいかもしれません。
また、購入する場合は、分散剤を買っても意味はないです。
分散させるのに特殊な機械が必要で、分散させたものを購入する必要があります。
ただ、私の知っているお店では販売は終了したので、他にあるのかはわかりません。
安息香酸エステルは、界面活性剤ではなく、防腐剤や紫外線吸収剤の方になります。
リン酸塩はただのpH調整剤でしょう。
安息香酸エステルが入っているので、あまりお勧めはしません。
MMUの酸化チタンのサイズですが500〜2000nmくらいになります。
確かに肌の細胞と細胞の間隙は50nm程度ですが、その中には入っていきません。
多少入ったとしても、細胞と細胞の間には油が詰まっていますし、
その油の中を潜り抜けて肌の中には入っていかないことがわかっています。
角層は毎日剥がれていくので、その剥がれるスピードより浸透が遅ければ
入ることはありません。
アメリカでも問題になっているのは、肌への浸透より吸い込みのほうですね。
さて、手作りの日焼け止めを使われても日焼けしないのでしたら問題ないでしょう。
日焼けしているのなら、ちょっと考えられた方がよいかもしれません。
また、購入する場合は、分散剤を買っても意味はないです。
分散させるのに特殊な機械が必要で、分散させたものを購入する必要があります。
ただ、私の知っているお店では販売は終了したので、他にあるのかはわかりません。
安息香酸エステルは、界面活性剤ではなく、防腐剤や紫外線吸収剤の方になります。
リン酸塩はただのpH調整剤でしょう。
安息香酸エステルが入っているので、あまりお勧めはしません。
6. Posted by しんちゃん 2009年05月21日 20:51
続きですが、水に分散させたものはお勧めしません。
すぐに沈殿するからで、あくまでオイルに分散されるものをお勧めします。
なお、特にお勧めの日焼け止めというのはありませんが、ベビー用など中心に探されたらどうでしょうか。また、オルビスなどでも石鹸で落ちるものもあります。
ただ、気をつけていただきたいのは、ある程度耐水性がないと汗で流れ落ちるので、日焼け止めの意味がないということです。
みずみずしいジェルタイプなどの日焼け止めはありますが、結局汗で流れてしまうので、それだと紫外線によって肌を痛める原因になりかねません。
ちなみにシリコーンでコーティングしていれば、なおさら肌には入りません。
水と油を混ぜたとき、常に油は水に溶け込まず、水の上に浮いてるように
皮脂にシリコーンは溶けないので、反発しあって肌の中に浸透しにくくなります。
すぐに沈殿するからで、あくまでオイルに分散されるものをお勧めします。
なお、特にお勧めの日焼け止めというのはありませんが、ベビー用など中心に探されたらどうでしょうか。また、オルビスなどでも石鹸で落ちるものもあります。
ただ、気をつけていただきたいのは、ある程度耐水性がないと汗で流れ落ちるので、日焼け止めの意味がないということです。
みずみずしいジェルタイプなどの日焼け止めはありますが、結局汗で流れてしまうので、それだと紫外線によって肌を痛める原因になりかねません。
ちなみにシリコーンでコーティングしていれば、なおさら肌には入りません。
水と油を混ぜたとき、常に油は水に溶け込まず、水の上に浮いてるように
皮脂にシリコーンは溶けないので、反発しあって肌の中に浸透しにくくなります。
7. Posted by にゃんきす 2009年05月22日 02:05
とても詳しい解説、ありがとうございました。50nm以下でも、肌に入ったりはしないんですね。安心しました。3nmくらいになると危険だとも聞きました。それも吸い込みの危険なのでしょうね。
手作りで完全なUVクリームをつくるのはなかなか大変ですね。汗
石鹸で落ちる肌に優しそうな成分の日焼け止めをみつけたので、いったん手作りはやめてみます。真夏は特に、汗で流れないことも大切ですよね。。オーガニックのWPの日焼け止めや、UVパウダーなども駆使して、日焼けを阻止しようと思います。引き続き興味深いブログ楽しみにしております。
手作りで完全なUVクリームをつくるのはなかなか大変ですね。汗
石鹸で落ちる肌に優しそうな成分の日焼け止めをみつけたので、いったん手作りはやめてみます。真夏は特に、汗で流れないことも大切ですよね。。オーガニックのWPの日焼け止めや、UVパウダーなども駆使して、日焼けを阻止しようと思います。引き続き興味深いブログ楽しみにしております。