最近の防腐剤グリセリンとヒアルロン酸

2008年11月12日

グリセリンの規格

グリセリンというのは、かつて植物系グリセリンと動物系グリセリン、合成系グリセリンの3種類がありました。

いまは植物系グリセリンと動物系グリセリンのみです。
合成系グリセリンは、石油高騰と植物系グリセリンの攻勢の前に、合成グリセリンメーカーが敗れ、数年前に完全に無くなりました。
今では合成グリセリンを作っていたメーカーは、安い植物系グリセリンを輸入して
自分のところで、精製して販売しているという具合です。

動物系グリセリンというものもありますが、化粧品や医薬品には使われず、
工業用に使用されています。

価格は動物系グリセリンの方が安く取引されています。

動物系グリセリンは主に牛脂を分解して作ります。
アメリカから牛脂から大量に輸入して、脂肪酸とグリセリンに分解し、
脂肪酸は石鹸や工業薬品の原料にしていきます。

昔は、大量に牛脂を分解して、グリセリンが作られていましたが、
今では海外のバイオディーゼル生産に伴うグリセリンが大量に出てきたので、
牛脂グリセリンはかなり圧迫されています。

グリセリンというのは、精製度によって多少品質が変わります。
成分の99.9%はグリセリンであっても0.1%の不純物があれば、
たとえば加熱すると着色したりという不具合が生じます。

植物油や動物油からグリセリンを作るときに脂肪酸とグリセリンを分けるのですが、
この分離技術がいまいちだと、微量の脂肪酸がグリセリンに残り、
加熱したり、pHを変えたりすると着色の原因となります。

化粧品原料や医薬品原料のグリセリンであっても原料メーカーの精製技術の差は
多少なりとも厳しい品質テストを行うと出てきます。

同じようでちょっと違うという具合でしょうか。

ちなみにグリセリンは2種類あります。
濃度が86%と98%のものです。

濃度が86%のものを「グリセリン」、98%のものを「濃グリセリン」と呼びます。
濃度が違うと何が変わるかというと、粘度が大きく変わります。
98%のものはドロドロで非常に粘度が高いのに比べて、86%は流動性が大きく違います。
ただ、一般的に流通しているのは、「濃グリセリン」の方で、こちらの方が大量に作られているため、「グリセリン」より濃度が高いのにかかわらず、2〜3割ほど安く取引されています。
これは流通量の差と濃度86%の「グリセリン」というのは、医薬向けになるので、その分検査項目が多く、手間賃が高くなっているためです。

グリセリンの価格は、必ずしも濃度に比例せず、あくまでどういう規格、化粧品向けか医薬品向けかという基準を満たしているかどうかで、価格が変わるということです。

shin_chanz at 00:01│Comments(0) 化粧品原料 

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