動物実験代替法 その2医薬部外品の開発

2009年09月11日

動物実験代替法 その3

最近、蚕と共に注目されているのが、線虫。

線虫と聞くと気持ち悪いと思いますが、老化やアンチエイジングの研究材料に良く使われています。

体長1mmという小さな虫で、人間が持つ遺伝子のうち74%程度が線虫の遺伝子と同じだということが知られています。

これだけ遺伝子が似ているなら、老化研究には最適な材料です。

しかも線虫の寿命は、3週間。この3週間の寿命をどれだけ延ばせるかが老化研究の鍵となり、世界各国の研究機関で研究対象としています。

その研究の一環で、2万枚の電子顕微鏡写真からどの神経がどの筋肉につながっているかなど、非常に細かく解析されています。

とても小さいのにも関わらず、皮膚や神経、筋肉、消化器を持っているため、
薬剤の解析にも使え、どの遺伝子を壊せば、どれほど寿命に影響を与えるかなど、
そういったことについても研究されています。

たとえば高等動物を使った実験では、候補となる薬剤を与えて、一生涯(ねずみなら3年)飼育する必要があるため、維持コストが高くつきます。

気をつけないといけないのは、できるだけストレスを与えずに飼育する必要があり、単に薬と餌を与えて、ねずみを飼うだけでは駄目なんです。
ペットを飼うのとはまた違って、健康状態に気をつけながら、飼育しなければなりません。

しかし、線虫の場合は、3週間の寿命で、餌は大腸菌のみ。
飼育施設も特別なものは必要ありません。

一生涯飼育するのに必要なコストが大幅に削減でき、その分、多くの薬剤の効果を確認すること出来ます。

たとえば、抗酸化剤のコエンザイムQ10を与えれば、活性酸素の発生が抑制され、線虫の寿命が延びます。
しかも、どの遺伝子が関与したかということも測定可能なので、老化防止の物質候補を様々な条件で実験することが出来るというメリットがあります。

何より、何でもかんでもねずみでテストする必要がなく、線虫の寿命を延ばすものだけ、ねずみで確認すればよいので、不必要な動物実験を減らすことができます。

ちなみに老化に関与するのは、何も人間が作り出す化学物質だけではないです。
「食べ過ぎない」ということも重要で、線虫でも餌を毎日与えないものが毎日与えるものより、1.5倍寿命が延びたという研究結果があります。

これは実はねずみを使用した実験でも再現されていてい、腹八分目くらいの餌を与えられたねずみの方が、満腹食べているねずみより長生きするという結果が得られています。

人間も美味しいものを食べ過ぎると糖尿病になりますし、食べすぎは万病の元になるというのは、どの生物にも当てはまる原則なんでしょうね。

shin_chanz at 00:01│Comments(0) 化粧品原料 

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