エコナとその後・・ その2ところでグリシドールは・・

2009年09月28日

エコナとその後・・ その3

花王はグリシドール脂肪酸エステルが脱臭工程で発生するとしていますが、
これはどういうことかというと、油を精製する工程で油を真空加熱して、
あらかじめ臭気の原因となる物質を蒸発させます。

臭いは、空気中に揮発する成分であるため、あらかじめ揮発成分を除去すれば
無臭に近い油を作ることができます。

そこで油を高温に加熱することで、脱臭をおこなうのですが、
このときにグリシドールやクロロプロパノールが発生します。

しかも、てんぷらやフライを揚げるときにちょうどよい温度で・・(^^;;

発生メカニズムは、まだまだ解明されていませんが、グリシドールが生成し、
そのあと食塩と反応してクロロプロパノールが出来ることが推定されています。

逆に言えば、油を加熱して作る食品には幅広く含まれて、当然のものです。

クロロプロパノールが含まれる食品リストを挙げましたが、日本の大学の研究では
食パンをトースターでこんがり焼くだけでも、クロロプロパノールが増量することが示唆されています。

油だけや油と塩が混ざっている食品を加熱するだけで、発がん性物質が出来るため、
幅広い食品に含まれており、エコナだけ避けても何ら意味がありません。

もし、エコナに販売自粛を国が要請するなら、油を加温して作る惣菜や料理店、
焙煎コーヒーを出す喫茶店まで安全なのか調べないと、これらの発がん性物質が
どの食品から入ってくるのか正確に掴めず、身の回りに存在するものが
化学的に安全なのかどうかわからないと思います。

消費者団体はこのことを良く知っているのに、なぜかエコナだけ狙い撃ちにしています。

先に問題になったヨーロッパでの行政の対応を見ていると、乳児用調整粉乳、
マーガリン、フライ用油脂に対してのみ、これらの物質を減らすように勧告が
なされています。要するに大企業が多く国の要請にも応えられるモノだけ
取り締まって、あとは対応せずという形でしょうか。

欧州でも発がん物質を含む食品をすべて取り締まるのではないので、不公平感が否めません。

パンに含まれていることはわかっても、町のパン屋さんが花王と同じように
グリシドールやクロロプロパノールの減量に取り組むことはありません。

問題の本質が油を加熱することや食品に含まれる酵素によって出来ることに注目すると、結構、やっかいな問題ということに気がつきます。

shin_chanz at 00:01│Comments(4) 食品の科学 

この記事へのコメント

1. Posted by アイノティー   2009年09月29日 15:55
全てのクロロプロパノールやグリシドールを避けようとするのは非現実的だと思いますが、圧搾抽出のみ行った植物油には含まれていないということなので、台所には、いわゆるサラダ油よりも、オリーブオイルやゴマ油を置いておく方が健康的でしょうか?
今頂き物のキャノーラ油があるのですがこちらはいかがですか。
2. Posted by れいこ   2009年09月29日 18:39
5 こんにちわ。
いつも興味深く読ませていただいて、大変参考になります。
私も最近、食用オイルについて色々調べているところで、こんなサイトを見つけました。
http://www.thisismk.co.jp/canola_oil.htm
私は料理にはオリーブオイルかごま油を使っていて、あとは体にいいということでフラックスオイルを小さじで飲んでますが、味がまずくてギブアップしそうです!
3. Posted by しんちゃん   2009年09月29日 23:13
アイノティーさん、こんにちは

サラダ油中のクロロプロパノールやグリシドールはそれほど多くありません。
結局、肉にも含まれるものなので、今あるオイルを変えることはないかと思います。
キャノーラについても一般的なオイルなので、特に問題とも思いません。
4. Posted by しんちゃん   2009年09月29日 23:31
れいこさん、こんにちは

フラックスオイルはまずいでしょう(笑)
あれを飲んでいいのは、魚をあまり食べない欧米人で、日本人はあまりメリットないかと。
むしろ魚を食べる回数を増やされたら良いかと思います。

なお、油は色々と文句を言われることが多いです。
飽和脂肪酸問題、リノール酸問題、トランス酸問題、アクリルアミドやグリシドール、クロロプロパノールと時代が変わっても話題がつきません。

あと、あのサイトですが、ちょっと問題が多すぎですね。
エルカ酸はキャノーラには全く含まれないか、ほぼありません。
ちなみにエルカ酸自体はある難病の特効薬ですので、一概にエルカ酸は悪いものとも言えません。菜種油からエルカ酸を取り去った後に判明したので、皮肉なことですが。

また、日本人は昔からエルカ酸が入った菜種油をてんぷらなどに使って食べてましたので、ある程度エルカ酸に対しては耐性をもっているかもしれません。

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