水、その3水に溶ける油 その2

2010年08月23日

水に溶ける油

食品分野では水に溶ける油というのが、業務用分野でものすごく流行っています。
植物油のような液体の油から牛脂のような常温では固まっているような油まで。

油は水に普通は溶けません。

水と油は化学的に違うため、交じり合うことができません。

この境界を壊すのが界面活性剤。

界面活性剤は油と水の境界面に取り付いて、お互いが混ざり合うようにそれぞれの性質を兼ね備えたものが選ばれます。

低分子のものもあれば、高分子のものも。

化粧品の場合、使用感という大きな問題があって、安全なものなら何でもいいというわけではありません。

一方、食品の場合は味が問題となります。化粧品で使うたいていの界面活性剤は苦くて不味いです。それはそれで誤飲防止に役立つのですが、美味しくても下痢を起こさないなど色々制限があり、食品添加物として使えるものは限られています。

ちなみに人体を見つめてみると、血液という水の中には油が細かい粒子となって運ばれて、各組織で利用されたり蓄積されたりしています。

このときに使われるのがタンパク質。タンパク質は水に溶けるタンパク質と油となじみやすいタンパク質の2種類があります。
アミノ酸は水に溶けるものと溶け難いものの2種類があり、すべてのアミノ酸が水に溶けやすいというわけではありません。
たまたま、水に溶けやすいアミノ酸が飲料などに利用されていて、水に溶けて当たり前というイメージがありますが、実際はそうではありません。

人体はうまくアミノ酸の組成をコントロールすることで、油を水に分散させるタンパク質などを作っています。
外側は血液になじみやすいアミノ酸組成にして、内側は油になじみやすい組成にするという具合。
タンパク質だけで溶けているわけではありませんが、油の粒子を安定に水へ分散させるため大いに役立っています。

身近な例では牛乳もレシチンやタンパク質の複合体によって水へ油の粒子が分散しています。

shin_chanz at 00:00│Comments(0) 食品の科学 

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