分析・品質管理
2010年08月20日
水、その3
イオン交換水を高圧をかけてろ過した水は超純水と言われていますが、これは面白い特徴を持っています。
それは非常に溶解性が高いこと。
半導体工場や医薬品工場など、ほとんど無人で動く工場でも空気中の微粒子の管理は極めて厳しく行われているのですが、それに使われるのが超純水です。
超純水をどのようにつかうかというと、容器に入れて一定時間室内に保管して、そして時間がきたらこの超純水を検査します。
普通の空気なら簡単に分析ですが、ほとんど塵が飛んでいない状況で、さらに塵が何個あるかと調べるのは大変です。
そこで活躍するのが超純水で塵だけでなく、空気中の微量気体も吸収し、超純水を検査することで、適切な環境になっているのかを判断しています。
汚れを溶解する力が強いというのは、他にも応用できて、クリーニングの染み抜きにも使われることがあります。
ガンコなシミには難しいと思いますが、超純水を使うことで軽いシミ抜きに応用されるくらい面白い特性を持っています。
ただ、超純水は作る装置が高すぎるので、水自体も高価となり、また、保存するのもやっかいです。
うかうかしているとすぐに空気が溶け込んで超純水ではなくなってしまうからです。
作るのも保存も大変な超純水ですが、半導体産業では膨大な量を使用しています。
それは非常に溶解性が高いこと。
半導体工場や医薬品工場など、ほとんど無人で動く工場でも空気中の微粒子の管理は極めて厳しく行われているのですが、それに使われるのが超純水です。
超純水をどのようにつかうかというと、容器に入れて一定時間室内に保管して、そして時間がきたらこの超純水を検査します。
普通の空気なら簡単に分析ですが、ほとんど塵が飛んでいない状況で、さらに塵が何個あるかと調べるのは大変です。
そこで活躍するのが超純水で塵だけでなく、空気中の微量気体も吸収し、超純水を検査することで、適切な環境になっているのかを判断しています。
汚れを溶解する力が強いというのは、他にも応用できて、クリーニングの染み抜きにも使われることがあります。
ガンコなシミには難しいと思いますが、超純水を使うことで軽いシミ抜きに応用されるくらい面白い特性を持っています。
ただ、超純水は作る装置が高すぎるので、水自体も高価となり、また、保存するのもやっかいです。
うかうかしているとすぐに空気が溶け込んで超純水ではなくなってしまうからです。
作るのも保存も大変な超純水ですが、半導体産業では膨大な量を使用しています。
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2008年11月07日
石鹸の品質管理 アメリカの石鹸会社より その3
石鹸を分析するための最後の化学テストは、グリセリン量です。
通常、化粧石鹸には、0.2〜1.0%程度のグリセリンが含まれます。
ただ、透明石鹸など、しっとり感を優先させる石鹸には7%程度まで含まれることがあります。
さて、化学分析の他に行うテストは物理テストとなります。
一番重要なのが、重量で、消費者が購入した時点で、表示重量以下でないことが求められます。実際には、包装の気密度により水分の蒸発量が違うため、気密度が低い包装だと、水分が蒸発した分、表示重量以下となり、消費者からのクレームの原因となることもしばしばあります。
次に石鹸の外観で、色は均一で、顔料の分散不良があってはなりません。
石鹸の白さを強調するために白色顔料として酸化チタンを加えられることもありますが、当然、酸化チタンの塊が見えるようでは、外観不良となります。
時間経過と共に色の変化がないことも重要で、40℃や日中放置で3週間程度、色の変化がないことが求められます。(このためにキレート剤が使われます)
表面仕上げも重要で、滑らかで、光沢があり、ひび割れがないことが求められます。
他には香料の問題もあります。通常0.5〜数%の香料が配合され、使用後快い香りが残るように添加されています。当然、いつも同じよな香りの量が求められます。
洗浄テストも行われ、その第一は石鹸の感触です。
通常の洗浄中に石鹸の表面は滑らかで、ざらつきを感じなければ品質は良好です。
ざらつきは少量の固い石鹸の存在によって引き起こされます。
この固い塊は水分の蒸発によって生じるものですが、石鹸の製造機械の調整により取り除くことが可能です。
石鹸表面を0.2mmほどの深さまで、取り除いて、30℃、20℃、15℃の水温で、それぞれ15分程度洗浄し、ざらつきを確認します。
ざらつきの程度で、1〜5のランクに分けますが、ざらつきがないほど品質が良好な石鹸と言えます。
また、ひび割れについてもテストを行います。
石鹸の表面から0.8mmほど削り取り、室温で4時間、浸漬した後、25℃で16時間乾燥し、ひび割れの程度を確認します。
ひび割れの数や深さを計測して、評価を行います。
この他、石鹸の泡立ちをみたり、泡の持続性や軟らかさ、泡の量、泡の安定性を評価していきます。
こうして、出来上がった石鹸の評価を行うことで、よりよい石鹸作りに向けて各工程の最適化が行われていきます。
通常、化粧石鹸には、0.2〜1.0%程度のグリセリンが含まれます。
ただ、透明石鹸など、しっとり感を優先させる石鹸には7%程度まで含まれることがあります。
さて、化学分析の他に行うテストは物理テストとなります。
一番重要なのが、重量で、消費者が購入した時点で、表示重量以下でないことが求められます。実際には、包装の気密度により水分の蒸発量が違うため、気密度が低い包装だと、水分が蒸発した分、表示重量以下となり、消費者からのクレームの原因となることもしばしばあります。
次に石鹸の外観で、色は均一で、顔料の分散不良があってはなりません。
石鹸の白さを強調するために白色顔料として酸化チタンを加えられることもありますが、当然、酸化チタンの塊が見えるようでは、外観不良となります。
時間経過と共に色の変化がないことも重要で、40℃や日中放置で3週間程度、色の変化がないことが求められます。(このためにキレート剤が使われます)
表面仕上げも重要で、滑らかで、光沢があり、ひび割れがないことが求められます。
他には香料の問題もあります。通常0.5〜数%の香料が配合され、使用後快い香りが残るように添加されています。当然、いつも同じよな香りの量が求められます。
洗浄テストも行われ、その第一は石鹸の感触です。
通常の洗浄中に石鹸の表面は滑らかで、ざらつきを感じなければ品質は良好です。
ざらつきは少量の固い石鹸の存在によって引き起こされます。
この固い塊は水分の蒸発によって生じるものですが、石鹸の製造機械の調整により取り除くことが可能です。
石鹸表面を0.2mmほどの深さまで、取り除いて、30℃、20℃、15℃の水温で、それぞれ15分程度洗浄し、ざらつきを確認します。
ざらつきの程度で、1〜5のランクに分けますが、ざらつきがないほど品質が良好な石鹸と言えます。
また、ひび割れについてもテストを行います。
石鹸の表面から0.8mmほど削り取り、室温で4時間、浸漬した後、25℃で16時間乾燥し、ひび割れの程度を確認します。
ひび割れの数や深さを計測して、評価を行います。
この他、石鹸の泡立ちをみたり、泡の持続性や軟らかさ、泡の量、泡の安定性を評価していきます。
こうして、出来上がった石鹸の評価を行うことで、よりよい石鹸作りに向けて各工程の最適化が行われていきます。
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2008年11月05日
石鹸の品質管理 アメリカの石鹸会社より その2
石鹸には防腐剤を加えられることがあります。
石鹸の防腐剤というのは、化粧水やクリームに配合される抗菌剤ではありません。
酸化防止剤が相当します。
特に過脂石鹸を作るときには重要となります。
石鹸メーカーが作る無添加石鹸で過脂石鹸がないのは、添加剤である酸化防止剤を配合できないからです。
酸化防止剤がない過脂石鹸は思いのほか、早く劣化していきます。
劣化すると見た目が明らかに変わってしまいます
酸化防止剤は、エデト酸などの石鹸中に含まれる金属を無力化するキレート剤が使われます。石鹸は、原料の植物油由来の金属や製造設備からの金属が混入するため、どうしても含まれる金属により酸化されていきます。
特に過脂石鹸タイプは、空気中に放置するだけでも空気中の酸素により脂肪酸が酸化され、過酸化脂質へ変化し、変色や異臭の原因となります。
そのため、石鹸中の金属を無力化するキレート剤が0.1〜0.5%程度まで配合されます。
この酸化防止剤による石鹸の安定性を見るためには、加温して放置することで確認できます。
300mlのガラス容器の底へ湿ったろ紙を置き、そこへ5gの石鹸を置いて
40℃で4〜7日放置します。
石鹸の酸化が促進され、臭いの変質によりキレート剤の有無やその量を推定することができます。
石鹸の酸化を促進するのは、何も石鹸中の金属だけでなく、包装紙に含まれる鉄や銅も酸化促進の原因となります。
そのため、石鹸に含まれる酸化防止剤は、石鹸中の金属を無力化するだけの量では不十分で、包装紙に含まれる金属の影響も防げる量が添加されます。
こうすることで、過酸化脂質によって引き起こされる異臭や変色を防ぐことができます。
石鹸の防腐剤というのは、化粧水やクリームに配合される抗菌剤ではありません。
酸化防止剤が相当します。
特に過脂石鹸を作るときには重要となります。
石鹸メーカーが作る無添加石鹸で過脂石鹸がないのは、添加剤である酸化防止剤を配合できないからです。
酸化防止剤がない過脂石鹸は思いのほか、早く劣化していきます。
劣化すると見た目が明らかに変わってしまいます
酸化防止剤は、エデト酸などの石鹸中に含まれる金属を無力化するキレート剤が使われます。石鹸は、原料の植物油由来の金属や製造設備からの金属が混入するため、どうしても含まれる金属により酸化されていきます。
特に過脂石鹸タイプは、空気中に放置するだけでも空気中の酸素により脂肪酸が酸化され、過酸化脂質へ変化し、変色や異臭の原因となります。
そのため、石鹸中の金属を無力化するキレート剤が0.1〜0.5%程度まで配合されます。
この酸化防止剤による石鹸の安定性を見るためには、加温して放置することで確認できます。
300mlのガラス容器の底へ湿ったろ紙を置き、そこへ5gの石鹸を置いて
40℃で4〜7日放置します。
石鹸の酸化が促進され、臭いの変質によりキレート剤の有無やその量を推定することができます。
石鹸の酸化を促進するのは、何も石鹸中の金属だけでなく、包装紙に含まれる鉄や銅も酸化促進の原因となります。
そのため、石鹸に含まれる酸化防止剤は、石鹸中の金属を無力化するだけの量では不十分で、包装紙に含まれる金属の影響も防げる量が添加されます。
こうすることで、過酸化脂質によって引き起こされる異臭や変色を防ぐことができます。
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2008年11月03日
石鹸の品質管理 アメリカの石鹸会社より その1
せっけんの品質保証テストの第一は、脂肪酸組成の確認です。
石鹸の泡立ちや硬さ、洗いあがりなどは脂肪酸組成により、大きく左右されるからで、ガスクロマトグラフ法で脂肪酸の各割合を知ることができます。
(脂肪酸の沸点の違いを利用して、分析を行います)
次に石鹸中のアルカリもテスト項目の一つ。
石鹸中の未反応苛性ソーダや苛性ソーダが空気中の二酸化炭素と反応して出来る炭酸ソーダの量をはかります。薬事法でも苛性ソーダの残存量は厳しく制限されており、
残存する苛性ソーダは刺激の原因となります。
ただし、最近は石鹸の乾燥段階で、石鹸の原料である脂肪酸を加えて、
泡立ちの改良や肌当たりがマイルドになるような過脂石鹸が多くなっています。
しかしながら、無添加石鹸などは、脂肪酸を加えず昔ながら石鹸であるため、
過剰の苛性ソーダが残っていることがあり、0.02〜0.05%くらいが
刺激を与えない苛性ソーダの量とされています。
過剰のアルカリは石鹸の酸化防止剤として働きますが、
多すぎると肌への明らかな刺激物となるため、全くのゼロではなく、
0.02〜0.05%という微妙な濃度となっています。
次のテスト項目は食塩量となります。
食塩の量が多いと、石鹸を色々な形に変形させるのが困難となり、
練りだしやカッティング、型打ちが困難となります。
しかも、ひび割れを生じる原因ともなりかねません。
これに対して食塩の量が少ないと、軟らかく粘着性を帯び、プレスによる型打ちが
困難となります。そのため、食塩量は石鹸中に0.4〜0.6%が望ましいとされています。
そして、次の項目には水分量があります。
105℃で2時間程度、オーブンで加熱して水分を蒸発させ、残った固形分から
水分量を計算します。水分量のコントロールも経済性と工程上極めて重要なポイントとなります。水分量が多いと、石鹸の流動性が悪くなり、次の工程に進みにくくなるからです。通常、12−13%にコントロールして、製造されます。
ただし、包装中に石鹸中の水分はどんどん蒸発していき、6%程度までになることもしばしばあります。
石鹸の泡立ちや硬さ、洗いあがりなどは脂肪酸組成により、大きく左右されるからで、ガスクロマトグラフ法で脂肪酸の各割合を知ることができます。
(脂肪酸の沸点の違いを利用して、分析を行います)
次に石鹸中のアルカリもテスト項目の一つ。
石鹸中の未反応苛性ソーダや苛性ソーダが空気中の二酸化炭素と反応して出来る炭酸ソーダの量をはかります。薬事法でも苛性ソーダの残存量は厳しく制限されており、
残存する苛性ソーダは刺激の原因となります。
ただし、最近は石鹸の乾燥段階で、石鹸の原料である脂肪酸を加えて、
泡立ちの改良や肌当たりがマイルドになるような過脂石鹸が多くなっています。
しかしながら、無添加石鹸などは、脂肪酸を加えず昔ながら石鹸であるため、
過剰の苛性ソーダが残っていることがあり、0.02〜0.05%くらいが
刺激を与えない苛性ソーダの量とされています。
過剰のアルカリは石鹸の酸化防止剤として働きますが、
多すぎると肌への明らかな刺激物となるため、全くのゼロではなく、
0.02〜0.05%という微妙な濃度となっています。
次のテスト項目は食塩量となります。
食塩の量が多いと、石鹸を色々な形に変形させるのが困難となり、
練りだしやカッティング、型打ちが困難となります。
しかも、ひび割れを生じる原因ともなりかねません。
これに対して食塩の量が少ないと、軟らかく粘着性を帯び、プレスによる型打ちが
困難となります。そのため、食塩量は石鹸中に0.4〜0.6%が望ましいとされています。
そして、次の項目には水分量があります。
105℃で2時間程度、オーブンで加熱して水分を蒸発させ、残った固形分から
水分量を計算します。水分量のコントロールも経済性と工程上極めて重要なポイントとなります。水分量が多いと、石鹸の流動性が悪くなり、次の工程に進みにくくなるからです。通常、12−13%にコントロールして、製造されます。
ただし、包装中に石鹸中の水分はどんどん蒸発していき、6%程度までになることもしばしばあります。
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2007年07月27日
細胞毒性の信憑性って その3
細胞培養を勉強する学会に所属しているのですが、その学会誌に面白い研究が
載っていました。
(Tiss.Cult.Res.Commun 26,143-147,2007)
水道水の毒性を長年研究している先生ですが、
なんと使う培地によって毒性の判定がばらばらになるというものです。
水道水の毒性を調べる方法にコロニー形成法というものがあります。
最初にある培地で細胞を培養して、勢いをつけたところに
水道水の入った培地で培養して、健全に細胞が成育できるか判定します。
なにか細胞の成育を阻害する成分があれば、
細胞は育たずに死んでしまいますが、
問題なければ、順調に細胞は育っていきます。
ちなみに、細胞自体は顕微鏡でみないとわからないくらいの大きさです。
その小さな細胞がたくさん増えると肉眼でもわかるような小さな塊が
いくつも培地に表われてきます。
その数を数えることで、どれだけ細胞が順調に生育するか判定できます。
細胞毒性があるとコロニーはできません。
(コロニー形成法は、細菌やカビの検出試験でも使われる方法です。)
さて、このコロニー形成法で色々培地を調べてみると
使用する培地によっては、コロニーが2つや1つの場合もあれば
別の会社なら589個もできることがわかりました。
つまり、培養する細胞によっては、市販の培地自体に
何か細胞毒性を示す成分が入っているということです。
また、この細胞毒性を示す培地を滅菌して保存すると、
保存日数が増える度に細胞のコロニー形成力が向上していきます。
つまり、細胞毒性が低くなっていくということです。
細胞培養の上での技術的な注意点を指摘した論文なのですが、
細胞毒性を調べるには、適切な細胞と培地を使用しないと
間違った結論に達することあるということを示唆しています。
ネットでは化粧品の毒性判定が流行っていますが、
そもそも信頼できるデーターに基づいているのかどうかが
問題になると思われます。
載っていました。
(Tiss.Cult.Res.Commun 26,143-147,2007)
水道水の毒性を長年研究している先生ですが、
なんと使う培地によって毒性の判定がばらばらになるというものです。
水道水の毒性を調べる方法にコロニー形成法というものがあります。
最初にある培地で細胞を培養して、勢いをつけたところに
水道水の入った培地で培養して、健全に細胞が成育できるか判定します。
なにか細胞の成育を阻害する成分があれば、
細胞は育たずに死んでしまいますが、
問題なければ、順調に細胞は育っていきます。
ちなみに、細胞自体は顕微鏡でみないとわからないくらいの大きさです。
その小さな細胞がたくさん増えると肉眼でもわかるような小さな塊が
いくつも培地に表われてきます。
その数を数えることで、どれだけ細胞が順調に生育するか判定できます。
細胞毒性があるとコロニーはできません。
(コロニー形成法は、細菌やカビの検出試験でも使われる方法です。)
さて、このコロニー形成法で色々培地を調べてみると
使用する培地によっては、コロニーが2つや1つの場合もあれば
別の会社なら589個もできることがわかりました。
つまり、培養する細胞によっては、市販の培地自体に
何か細胞毒性を示す成分が入っているということです。
また、この細胞毒性を示す培地を滅菌して保存すると、
保存日数が増える度に細胞のコロニー形成力が向上していきます。
つまり、細胞毒性が低くなっていくということです。
細胞培養の上での技術的な注意点を指摘した論文なのですが、
細胞毒性を調べるには、適切な細胞と培地を使用しないと
間違った結論に達することあるということを示唆しています。
ネットでは化粧品の毒性判定が流行っていますが、
そもそも信頼できるデーターに基づいているのかどうかが
問題になると思われます。
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2007年07月26日
細胞毒性の信憑性って その2
今日は天神祭りでした。
大阪駅はすごい人で、今日は天気がよいだけにものすごく人出が多いのでしょう。
ちなみに大阪にずーと住んでいるんですが、いったことはないです。
帰りの環状線からいつも眺めるだけで、川に浮かぶ屋形船には情緒がありそうで、
一度は乗ってみたいと思っています(^^)
さて、3次元培養皮膚にくらべて注意が必要なのが、単細胞で行う場合です。
細胞がむき出しの状態ですから、化粧品で使われる通常の濃度では
毒性試験はできません。
測定する物質の濃度も薄い濃度で比較する必要があります。
ただ、メリットはコストが安いということ。
美白化粧品ではメラニンの合成量で、どれだけ美白効果が
強いかを比較することがありますが、そのときに使われるのが、
ヒトの皮膚がん細胞です。
がん細胞はどんどんメラニンを作っていくので、
非常に比較しやすく、また死ににくいという特徴があります。
さて、この培養細胞での実験ですが、結構データがぶれることがあります。
単細胞でも三次元培養皮膚でも、毒性が強くなったり、弱くなったりします。
一般的に、不器用で実験が下手な人がやれば、毒性が強いと判断されることも
ありますし、上手な人でも日を変えると実験結果が少し変わることもあります。
つまり、何かの化粧品の毒性が中だと判定される、
いつも中というわけではなく、下手な人なら強にもなるし、
上手な人でも弱になることもあります。
そんなにぶれるのはたまらんということで、
通常は一定の毒性を示すラウリル硫酸ナトリウムなども一緒に実験して
そのデータを比較して、相対的に毒性を考えます。
こうすることで、何かの原因で実験結果がぶれたとしても
そのときは標準で使用しているラウリル硫酸ナトリウムの結果も
同じようにぶれるようになります。
実験が下手で、測定したい物質の毒性が強く出ても
いつもよりラウリル硫酸ナトリウムのデータが強い毒性が出ているなら、
その物質の毒性は本当に強いのではなくて、か弱い細胞を使ったせいか、
実験ミスをどこかでおかしているかということを疑ったほうがよいということになります。
大阪駅はすごい人で、今日は天気がよいだけにものすごく人出が多いのでしょう。
ちなみに大阪にずーと住んでいるんですが、いったことはないです。
帰りの環状線からいつも眺めるだけで、川に浮かぶ屋形船には情緒がありそうで、
一度は乗ってみたいと思っています(^^)
さて、3次元培養皮膚にくらべて注意が必要なのが、単細胞で行う場合です。
細胞がむき出しの状態ですから、化粧品で使われる通常の濃度では
毒性試験はできません。
測定する物質の濃度も薄い濃度で比較する必要があります。
ただ、メリットはコストが安いということ。
美白化粧品ではメラニンの合成量で、どれだけ美白効果が
強いかを比較することがありますが、そのときに使われるのが、
ヒトの皮膚がん細胞です。
がん細胞はどんどんメラニンを作っていくので、
非常に比較しやすく、また死ににくいという特徴があります。
さて、この培養細胞での実験ですが、結構データがぶれることがあります。
単細胞でも三次元培養皮膚でも、毒性が強くなったり、弱くなったりします。
一般的に、不器用で実験が下手な人がやれば、毒性が強いと判断されることも
ありますし、上手な人でも日を変えると実験結果が少し変わることもあります。
つまり、何かの化粧品の毒性が中だと判定される、
いつも中というわけではなく、下手な人なら強にもなるし、
上手な人でも弱になることもあります。
そんなにぶれるのはたまらんということで、
通常は一定の毒性を示すラウリル硫酸ナトリウムなども一緒に実験して
そのデータを比較して、相対的に毒性を考えます。
こうすることで、何かの原因で実験結果がぶれたとしても
そのときは標準で使用しているラウリル硫酸ナトリウムの結果も
同じようにぶれるようになります。
実験が下手で、測定したい物質の毒性が強く出ても
いつもよりラウリル硫酸ナトリウムのデータが強い毒性が出ているなら、
その物質の毒性は本当に強いのではなくて、か弱い細胞を使ったせいか、
実験ミスをどこかでおかしているかということを疑ったほうがよいということになります。
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2007年07月25日
細胞毒性の信憑性って
最近は、化粧品の動物実験もだいぶ少なくなってきています。
どうしても動物実験しないとわからないこともありますが、
動物実験というのは、とてもお金がかかります。
現実的に動物実験を行っているのは、数十社くらいかなと思っています。
動物実験するには、動物を飼う施設も要りますし、
なにより動物実験したあとのデータ解析を行う人の年棒がやたら高い(笑)
一人いれば、営業や化粧品の処方開発者の二人くらいは雇えるかもしれません。
(単に皮膚が赤くなったかどうかと見る人ではなくて、
組織を切り出して、細胞の動向を解析する人です)
中堅どころでも動物実験はお金はもったいないので、
そんなことに人件費を使うなら営業や処方開発にお金を使ったほうが
ましと考えるところが多いと思います。
さて、そんな中でも低コストで出来るのが細胞培養法です。
細胞培養法は、細胞を培養するインキュベーターというオーブンと
ある程度無菌にして、作業する台、そして光の吸収度を測定する機械が
あればなんとかやっていけます。
細胞培養には、主に2種類あって、生きた細胞をそのまま使う方法と
3次元培養皮膚(人工皮膚)を使う方法がそれぞれ使われています。
3次元培養皮膚というのは、その名の通り皮膚の細胞を立体的に
培養して、角質まで出来上がっているものです。
どういうメリットがあるかというと、角質層があるため、
普通の皮膚に塗るのと同じ濃度で実験を行えるというメリットです。
つまりより実際に近い形での実験ができるわけです。
ただ、自社で出来たらいいのですが、それは難しいので、
グンゼやクラボウなどの外部機関から購入する必要があり、
コストがとても高いというデメリットもあります。
どうしても動物実験しないとわからないこともありますが、
動物実験というのは、とてもお金がかかります。
現実的に動物実験を行っているのは、数十社くらいかなと思っています。
動物実験するには、動物を飼う施設も要りますし、
なにより動物実験したあとのデータ解析を行う人の年棒がやたら高い(笑)
一人いれば、営業や化粧品の処方開発者の二人くらいは雇えるかもしれません。
(単に皮膚が赤くなったかどうかと見る人ではなくて、
組織を切り出して、細胞の動向を解析する人です)
中堅どころでも動物実験はお金はもったいないので、
そんなことに人件費を使うなら営業や処方開発にお金を使ったほうが
ましと考えるところが多いと思います。
さて、そんな中でも低コストで出来るのが細胞培養法です。
細胞培養法は、細胞を培養するインキュベーターというオーブンと
ある程度無菌にして、作業する台、そして光の吸収度を測定する機械が
あればなんとかやっていけます。
細胞培養には、主に2種類あって、生きた細胞をそのまま使う方法と
3次元培養皮膚(人工皮膚)を使う方法がそれぞれ使われています。
3次元培養皮膚というのは、その名の通り皮膚の細胞を立体的に
培養して、角質まで出来上がっているものです。
どういうメリットがあるかというと、角質層があるため、
普通の皮膚に塗るのと同じ濃度で実験を行えるというメリットです。
つまりより実際に近い形での実験ができるわけです。
ただ、自社で出来たらいいのですが、それは難しいので、
グンゼやクラボウなどの外部機関から購入する必要があり、
コストがとても高いというデメリットもあります。
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2006年10月22日
オイルの分析
化粧品のオイルの分析というと、いくつかあるのですが、
未知の試料を調べて、どういうオイルか判断する方法のひとつに
ガスクロマトグラフ法というのがあります。
オイルの特徴を決定付けるのが、その脂肪酸組成になります。
オイルはグリセリンに脂肪酸が3つくっついたものですが、
大まかに言うと、この脂肪酸が常温で液体のものが多いと液体のオイルに
固体の脂肪酸が多いと固体の油脂になります。
オイルのテクスチャやその効果が脂肪酸によって決定づけられます。
そのためオイルには固有の脂肪酸組成があります。
オリーブオイルや椿油なら、オレイン酸が多くなりますし、
やし油油ならラウリン酸、ミリスチン酸が多くなります。
マカデミアンナッツオイルなら、パルミトオレイン酸があり、
牛脂なら植物油にはない奇数脂肪酸が入っています。
脂肪酸組成を調べることで、だいたいどういうオイルが混ざっているかが
わかります。
脂肪酸はその分子の大きさや構造によって、蒸発する温度が変わっています。
つまり、その蒸発する温度を調べることで、どういう脂肪酸かということが
わかるわけです。
その脂肪酸を調べるのが下の装置となります。
中の白いストローがくるくる巻いたような部分をカラムといって、
ここに脂肪酸を吸着する粉が充填されています。
脂肪酸の化学構造の違いによって、カラムの中の粉への吸着力に
違いでて、その違いによりカラムから出てくる時間が変わってきます。
上部にいろいろメーターがついていますが、
これは空気や窒素、水素ガスの圧力を調整するメーターになります。
装置に脂肪酸を入れるのは、ちょうど注射器のような装置で、
ほんの微量注入します。装置に入れると高温で熱せられて
瞬時に気化し、高圧の窒素ガスで、その気化した脂肪酸を出口まで
押し出します。脂肪酸の種類によって、出てくる時間が違うのですが、
出口で水素を燃やして、その炎で脂肪酸が燃えると、
脂肪酸が出てきたと知らせる仕組みになっています。
だいたい600℃くらいまで揮発する成分を調べることが出来ますので、
オイルの脂肪酸組成の他、化粧水中のアルコールやグリセリン、BGなどの
量も調べることができます。

未知の試料を調べて、どういうオイルか判断する方法のひとつに
ガスクロマトグラフ法というのがあります。
オイルの特徴を決定付けるのが、その脂肪酸組成になります。
オイルはグリセリンに脂肪酸が3つくっついたものですが、
大まかに言うと、この脂肪酸が常温で液体のものが多いと液体のオイルに
固体の脂肪酸が多いと固体の油脂になります。
オイルのテクスチャやその効果が脂肪酸によって決定づけられます。
そのためオイルには固有の脂肪酸組成があります。
オリーブオイルや椿油なら、オレイン酸が多くなりますし、
やし油油ならラウリン酸、ミリスチン酸が多くなります。
マカデミアンナッツオイルなら、パルミトオレイン酸があり、
牛脂なら植物油にはない奇数脂肪酸が入っています。
脂肪酸組成を調べることで、だいたいどういうオイルが混ざっているかが
わかります。
脂肪酸はその分子の大きさや構造によって、蒸発する温度が変わっています。
つまり、その蒸発する温度を調べることで、どういう脂肪酸かということが
わかるわけです。
その脂肪酸を調べるのが下の装置となります。
中の白いストローがくるくる巻いたような部分をカラムといって、
ここに脂肪酸を吸着する粉が充填されています。
脂肪酸の化学構造の違いによって、カラムの中の粉への吸着力に
違いでて、その違いによりカラムから出てくる時間が変わってきます。
上部にいろいろメーターがついていますが、
これは空気や窒素、水素ガスの圧力を調整するメーターになります。
装置に脂肪酸を入れるのは、ちょうど注射器のような装置で、
ほんの微量注入します。装置に入れると高温で熱せられて
瞬時に気化し、高圧の窒素ガスで、その気化した脂肪酸を出口まで
押し出します。脂肪酸の種類によって、出てくる時間が違うのですが、
出口で水素を燃やして、その炎で脂肪酸が燃えると、
脂肪酸が出てきたと知らせる仕組みになっています。
だいたい600℃くらいまで揮発する成分を調べることが出来ますので、
オイルの脂肪酸組成の他、化粧水中のアルコールやグリセリン、BGなどの
量も調べることができます。
shin_chanz at 01:43|Permalink│Comments(0)│