植物の知識

2010年03月26日

米の成分 その3

米ぬかの成分で一番有用なのがオリザノールでしょう。

紫外線を吸収し、抗酸化作用を持ち、さらには防カビ効果を持っています。

生理活性効果は、成長促進や性腺刺激、女性ホルモン様効果を持ちます。
とくに更年期後の皮膚疾患の治療にオリザノールが使われます。

医薬品としては、むち打ち症の治療にも使われるほどです。

なかなかの生理活性効果を持つ成分ですが、白米には含まれません。

オリザノールの効果を期待するなら、玄米で食べる必要があります。

玄米にはもう一つ重要な成分が含まれ、それはフィチン酸です。
こちらは良くも悪くも働く成分です。

この成分は、キレート効果という金属イオンを取り除く効果を持ちます。

これが良い場合に働くときは、金属イオンによる油脂の酸化やその他、金属が行う悪さを封じ込めることが出来ます。

しかし、一方で問題なのが、食べたときですが、ミネラルの排出を促すということ。
特にカルシウムの排出を促すことです。

女性の方は特にカルシウムを必要としますが、フィチン酸はカルシウムと奪って排出するという問題を持っています。

玄米食の弱点がフィチン酸による暴挙で、フィチン酸は合成添加剤であるエデト酸に近いぐらいキレート力が強いため、食事から摂取するカルシウム量が少ないと問題となるため、カルシウムなどを含む食べ物を意識して摂る必要があります。

ところで、米ぬかの利用方法はよく問い合わせをいただくのですが、有用な成分があるのに関わらず、なかなか利用がむずかしいのは、米ぬか中の酵素が問題となります。

精米した後の米ぬかはすぐに分解が始まり、遊離脂肪酸が出来ます。
遊離脂肪酸は酸化しやすいため、品質は悪いほうへとどんどん突き進む一方となります。
オリザノールをエタノールで抽出しても遊離脂肪酸も一緒に抽出されるため、使えないエキスとなります。

化粧水には不適で、ガーゼや不織布に包んで入浴剤に利用するぐらいでしょうか。

個人では利用しがたいものとなります。

あとは漬物に使うのが一番かなと思います。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(11)

2010年03月24日

米のエキス その2

その他、αGCという保湿成分も酒造メーカーが作っています。
グリセリンと糖がくっついた保湿成分で、お酒の化粧品への応用において、見つけ出された保湿成分。グリセリルグルコシドという名称で各種化粧品へ配合されています。

白鹿がグリセリンとでんぷんから発酵法で製造を行っています。
さらっとしていながら、浸透が高く、しっとり感を与えます。

なかなか特徴的な感触をもっていて、面白い成分だと思います。

さて、お米は様々な化粧品原料に使われますが、主には玄米を削って出る米糠を原料とするものが多いです。

白米はもみという繊維質で出来た殻の中に入っています。
もみも消化できれば良いのですが、残念ながら人間は消化できません。

籾殻を取り除くと玄米が出てきます。

そして、玄米は、発芽すると植物となる胚芽と発芽時の栄養分となる胚乳からなります。
玄米はそのまま食べると美味しくないので、通常は玄米を削って米ぬかを取り除く精米を行いますが、米ぬかには胚芽を30%含むためビタミンEやビタミンB、そして油分が多く含まれます。
とくに油分は米ぬかの重量のうち20%を占める成分。また、油分だけでなく、さまざまな有益なタンパク質も米ぬかに含まれます。

油が米ぬかに多く含まれているとはいえ、圧搾してもでんぷんに吸着されているので、油分を押し出すのは困難です。
そのため、米油は溶剤抽出が基本となります。

ヘキサンなどの溶剤により、米ぬかから油分を分離し米油を作りますが、この米油自体は酸化安定性がよく、揚げ物をしても「油酔い」しにくい油として認識されています。

また、小学校の給食では米油がメインに使われます。遺伝子改良を行わずに作られた植物から得られる油というのは、米油がまず第一候補となり、しかも国産ということで使用されます。

さて、この米ぬかですが、一つ困ったことがあります。
それは米ぬかに含まれる油を分解する酵素が活発に活動すること。
玄米で保存しているときはそれほどはありませんが、精米して白米から米ぬかを覗くと、すぐに米ぬかの自己分解が始まります。

酵素の分解を阻止できないと油は分解され、遊離脂肪酸が増え、食べると不味い、肌に塗ると刺激があるオイルへと変貌していきます。

そのため、米ぬかから米油を作る工場というのは、米ぬかが出る地域に建てられており、新鮮な米ぬかをすぐに処理する流れとなっています。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)

2010年03月22日

米エキス

うちは兼業農家なので、お米を作ります。
しかし、昔と違って米の乾燥等は農協へ任せており、乾燥後はお米は誰のものかわからない米を預けた分だけ帰ってきます。

20年ぐらい前までは自宅で乾燥までやっていました。
田んぼで稲を刈った後、ガスバナーを利用して、乾燥機で乾燥させるのですが、一晩中うるさいし、しかも細かい稲のくずが飛び散り、それが肌に付くと、痒くて痒くて仕方ありませんでした。

今は夜中にそんなことをすると、うるさいと苦情が来ますし、ある程度農協に頼らないと稲作は難しくなっています。
都市近郊の農家は専業で無い限り、似たような感じではないでしょうか。

せいぜい家族と親戚が食べる分しかやっていませんが、米を作っても儲かることはなく、むしろ労務費を考えると恐らくサラリーマンをして、米を買ったほうがマシというもの。

まあ、こんなこと書いて仕方ありませんが、さて、お米を利用した化粧品は色々増えてきています。
米成分の直接的な利用や関節的なもの、様々な種類があります。

ライスパワーエキスのような米の発酵エキスはコーセーが採用し、結構売れました。

これは勇心酒造が開発したもので、保湿効果が売り物です。

最近の酒造メーカーは、お酒ばかり造っているかというと、そうでもなく化粧品の開発も熱心に行っています。

たとえば花王が最近売り出した、メラニンそのもので染毛する男性用染毛剤もメラニンの原料は酒造メーカーが開発したもの。

お酒を造るときに、メラニンができる現象に注目して、もともとはそれを防ぐ目的が、むしろ利用できないかと考えられ、毛染め剤となりました。
今のところ黒しかできないので、黒髪になればそれでいいと思う男性向けのみとなっています。


shin_chanz at 00:00|PermalinkComments(0)

2009年06月10日

頭につける油

肌に使うオイルと違って、頭につけるオイルというのは、案外限られています。

髪の毛をまとめるのに良く使われているのがひまし油。
ポマードを使っていた世代の人に愛用されていました。

かつては、自動車のブレーキオイルにも使われていた特徴のあるオイルです。

インドや中国、ブラジルで栽培されています。

ひまし油を石鹸を作るときに混ぜると、石鹸の結晶が細かくなり、透明な石鹸が出来上がります。(ただし、ひまし油石鹸自体のあわ立ちはとても悪い)

プラスチックを作るときにもひまし油は使われており、工業用では重要な性能を持つ植物油です。

ちなみにひまし油はトウゴマ(ヒマ)の実から搾って作るのですが、トウゴマにはリシンという猛毒の蛋白質が含まれているため、食用油にはなりません。
(リシン自体は軍用化学物質の指定を受けて、移動が制限されています)

遠い外国からやってくるようなイメージのあるひまし油ですが、
大阪の町では自生しています。

おそらく、全国各地でひっそりと自生しているのではないでしょうか。

髪型を整える油の代表例はヒマシ油ですが、頭皮のマッサージといえば
椿オイルやセサミオイル、ホホバオイルが有名です。

椿オイルも昔から髪の毛に使うオイルとして有名ですが、
オレイン酸の割合が80%と高いのが特徴のオイルです。
肌に浸透しやすいオイルの代表例でしょう。
10年ほど前はカネボウのサラが椿を売り物にしていましたが、
いつの間にか資生堂のシャンプーの代表成分になってしまいましたね・・(^^;;

セサミオイルは、いわゆるゴマ油。ただ、食用の場合は焙煎油と白絞油の2種類がありますが、化粧品で使うのは、白絞油の方です。
インドの美容法では、ゴマ油を良く使います。
少しべたつきがあるので、テクスチャ的には椿オイルの方がまだ優れていると思います。

ホホバ油はインディアンが抜け毛を防いだり、髪の毛の手入れに使っていたということで有名なオイルです。
こちらも肌への浸透性が優れたオイルですね。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(3)

2009年04月27日

女性ホルモンを増やす香

女性ホルモンを増やす香が見出されています。

女性ホルモンは、乳がんや心血管疾患を患うリスクがありますが、
肌の水分を増加させたり、コラーゲンの量を増やしたりと有益な作用も少なくありません。

ホルモン量が変動する更年期の女性においては、有効性の高い成分でもあります。

ただ、化粧品に配合できる女性ホルモンというのは、かなり少なく、
化粧品や医薬部外品で女性ホルモンを補おうとしてもあまり効果は期待できません。

そこで、他の方法が模索され、その内の1つとして香りを嗅ぐことで、
何らかの影響が体内へ現れ、女性ホルモン量にも変化が生じるのではないかと
推測され精油の影響について実験が行われました。

具体的には、20〜30代の女性に、代表的な精油を8分間嗅いでもらって
唾液中の女性ホルモン量に変動があるかどうか調査されました。

調査対象に選ばれたのが、レモンやラベンダー、ローズ、イランイラン、サンダルウッド、アンブレットシードオイルです。

この中で、唯一アンブレットシードオイルだけが、120〜150%のホルモン量増加が確認されました。

他の精油については特に効果はありませんでした。

アンブレットシードオイルの興味深いのは、女性のみにその効果を示すこと。

40〜50代の女性であっても同じように女性ホルモン増加効果を示しますが、
20〜50代の男性では効果はありません。

男女差が生じる理由については、まだ解明されていませんが、
更年期の女性にとって、アンブレットシードオイルは有益性が示されています。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(6)

2009年02月13日

生物農薬

最近、生物農薬が拡大しているようです。

あまり響きがよくない言葉ですが、自然に存在する菌や虫などを使って
化学農薬の変わりに使うというもの。

害虫の天敵や、植物に生えるカビの天敵(細菌)などを使用します。

生物農薬は、農薬市場の1%程度しか占められていませんが、
生物農薬を使用しても「農薬を使わなかったこと」になるため、
有機農法でも使用することができ、最近急激に使用が拡大しているようです。

とくに完全な有機農法を目指さなくても減農薬を求めるなら、
利用価値の高い農薬です。

ただ、一番の問題は費用と効果の弱さ。

農薬として使用しても虫なら移動しますし、菌でも風に飛ばれて効果が長続きしません。
また、いつでも使えるわけではなく、気温が低いと生物農薬(菌)の活動が低下して効果がまったくないこともあります。

そのため、主に外界と空気の出入りを遮断できるハウス栽培などに使われているようです。

また、化学農薬と違って、効く病気や害虫の種類も限られているため、
おのずと使用が限定されます。

植物は人間と同じように様々な病気に侵されます。

たとえばブドウに対する生物農薬は、ブドウから採取した菌が使われたり、
また、漬物などに利用される乳酸菌を使用したりと何かわけのわからない細菌を
どこからか持ってきて使うわけではありません。

本来、生物農薬だけで、化学農薬並みの収穫があって、
たとえ病気や害虫が発生しても一定範囲内で封じ込めれるものが
出来るのが理想ですが、そこまでいくには、まだまだ時間はかかるようです。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)

2009年02月11日

農業いろいろ

遺伝子組み換え作物というのは、昆虫の遺伝子を組み込んだようなものが
よく取り上げられていますが、少ない肥料を有効に利用するものや
育てるのに必要な水が少なくて済むものなど地道に改良されたものもあります。

おそらく遺伝子組み換え作物が最も有効な場所というのは、
食料が常に不足していて飢餓が蔓延しているアフリカでしょう。

食料があれば救える命がたくさんあります。

ところが、意外にもアフリカではほとんど遺伝子組み換え作物が植えられていません。

もともと水が少ない地域。本来なら日本より進んだ灌漑設備がないと
水が不足して、農業がむずかしく、またトラクターなどの農機具も不足しています。

遺伝子組み換え作物はアメリカで大量に植えられていますが、
いちいち畑を耕さなくても作物を植えることができるので、省力化が図れ、
土壌改善により雑草が減って、雨による土壌流出が減り、土地が豊かになるというメリットがあるからです。

たとえば、日本では、土地を耕さず、作物を育てるというのは無理なので、
土地をトラクターなどで耕した上で、作物を植えますが、台風や長雨が降ると
表面の土が雨で流されてしまいせっかく撒いた肥料や農薬の効果も薄まるという問題があります。

当然、必要以上に農薬や肥料が撒かれ、それが土と共に河川に流出して、
富栄養化を促進し、環境悪化につながっていきます。

資源の少ないアフリカには、土地を耕さなくても作物を育てることができる
遺伝子組み換え作物は向いてそうな感じですが、実はたとえ飢餓が蔓延していても
遺伝子組み換え作物を植えさせないという方針の国が多いようです。

それは、ヨーロッパへ輸出するための有機栽培を行う農場の存在のためで
農場経営者は政権中枢部に強力なコネが持ち、遺伝子組み換え作物が植えられるのを徹底的に防いでいます。

少しでも遺伝子組み換え作物が植えられると、その国から輸出される食品は
たとえ有機栽培を行っていても、完全な有機栽培とは認められなくなるからです。

日本のように豊かな国なら、お金を出せばいくらでも自分の信条にあった食料を
購入することができますが、アフリカはとにかく食料がないと明日まで生きれるかどうかがわからない土地柄です。

農業の省力化ができて、農薬や肥料も少なくて済む遺伝子組み換え作物は
資源の少ないアフリカにとって、非常に向いているような気がしていますが、
未だ国民が飢餓で何人死のうが、遺伝子組み換え作物を食べたくないヨーロッパ人向けの食料を確保するためにGM作物を拒否しています。

農場で作られた作物は、輸出されるだけで、貧しい国民の口には入りませんし、
いつまでそんなことを続けるのかなと考えてしまいます。

作物の育ちにくい土地には作物を植えないのが自然なのか、
テクノロジーをフルに利用して作り出した作物を植えるのがよいのか
難しいところですが、ただ、食料によって助かる命があるのなら、
遺伝子組み換え作物であっても植えたらよいのではと思います。


shin_chanz at 00:00|PermalinkComments(2)

2007年08月14日

バイオエタノールのコスト

バイオエタノールが非常に脚光を浴びています。

石油から作るより食糧から作るほうが安い。

食糧の生産国では、大量のバイオ由来の石油製品が作られる日が
現実となってきました。

ガソリンの製造コストは現在の原油価格だと1リットル当たり70円。
これがブラジルから輸入したエタノールだと1リットル当たり80円。

ブラジルではサトウキビからエタノールを作る場合は、
1リットルあたり20円。アメリカでトウモロコシから作る場合は、
1リットルあたり30円となります。

ブラジルは国土が広く、大きな川が内陸部から海岸に向かって
いくつもあるわけではありません。
つまり、内陸部で作ったエタノールを日本へ運ぶには
トラック輸送などが主になるわけです。

そのため、ブラジルで20円で作れても、日本に運ぶための
燃料費などが嵩むため1リットル当たり80円までコストアップします。

子供の頃に石油がいつ枯渇してしまうのか、
心配になったことがありましたが、農業技術の進歩のおかげで、
農業国では石油を輸入するより食糧を発酵して作った方が
安く車を動かせる時代になりました。

インドや中国では単にエタノールを作るのではなく、
その先の合成界面活性剤まで作り始めていますが、
このことは食糧が安く手に入る時代は終わってしまったことを示唆しています。

ところで、ジャガイモを発酵してエタノールを作るとします。
ジャガイモ20Kから作れるエタノールは、どのくらいできると思いますか?

ジャガイモは水分が75%あります。澱粉としては25%。
つまり20Kあってもエタノールの原料となる澱粉は5Kしかありません。
5Kの澱粉から作れるエタノールは約3Lほど。残りは炭酸ガスです。
(現在エタノールの生産のメインとなる発酵法では、エタノールと同量の
 炭酸ガスができるため、まだまだ改善する余地はあります。)

もし、車の燃料に使うなら一回に40L給油するとなると、
ジャガイモは約270K必要となります。

日本では、バイオエタノールのガソリンへの混合を始めましたが、
全国で始まると、とんでもない量の食糧が、燃料に消えていくことがわかります。

困ったことに燃料として消費するのは、早いのに植物として澱粉や糖を
しっかり貯めさせるには3ヶ月以上かかります。
再生可能といっても光合成のスピードはかなり遅いので
植物燃料ですべて解決というわけにはいきません。

shin_chanz at 00:03|PermalinkComments(0)

2007年08月12日

インドに負けた日本の合成洗剤

今年の4月か5月に日本の技術で、ブラジルから輸入したサトウキビ由来の
エタノールを使って、石油ガスのエチレンを将来的に作るという構想が
新聞発表されていました。実用化にようやく目処がついたとか・・・。

実は、インドや中国ではすでにサトウキビ原料にした酸化エチレンの
製造を行っています。

中国では2万トン、インドでは12万ととか。
インドでは、同国2位の生産力を持つ企業が自社の工場周辺に広がる
広大な農地から取れるサトウキビを原料にしています。
12万トンの生産量の大部分をサトウキビ由来のエタノールから
作っています。(日本企業が技術協力を行っています。)

酸化エチレンを使う界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
(ラウレスー○)、ポリソルベート類、PEG、PEG−○水添ヒマシ油、PEG−○ヒマシ油、○は数字などがあります。
(ポリオキシエチレンという部分、PEGという部分が酸化エチレンとなります。)

植物油由来のアルコールや植物油そのものに酸化エチレンを反応させて
界面活性剤を作るのですが、今までは酸化エチレンは石油ガス由来であったため、
100%植物由来とはいえませんでした。

それが、インドや中国ではこの酸化エチレンを石油から作るより
食糧から作るほうが安く作れるということで、
100%植物由来のポリオキシエチレン系の界面活性剤を作っています。

日本は石油ガスでしか作れないので、いつの間にか植物を100%利用するという
技術では劣ってしまいました。

ちなみに2万トンの酸化エチレンがあれば、日本で使われるシャンプーは
まかなえるくらいの量です。12万トンなら、日本の化粧品だけでなく
合成洗剤などもまかなえます。

これはすごいことです。石鹸だと固形石鹸の苛性ソーダは海水を分解して
作るのが一般的ですし、液体石鹸の苛性カリはカリ鉱石から作ります。
しかも石鹸の1割やカリやナトリウムになりますから、
100%植物性の石鹸というものは、厳密に言うと存在しません。
せいぜい90%植物性でしょうか。

ところが酸化エチレンが植物性になると、100%植物性の合成界面活性剤が
出来上がることになります。

すでにそういう製品の生産を行っているインド人や中国人から見れば、
100%植物性と謳う日本の石鹸業者は信用ならないと思われているのでしょう。
悲しいことです。



shin_chanz at 12:26|PermalinkComments(2)

2007年06月25日

バイオエタノールの害

2年前、世界の砂糖生産量の半分が自動車のガソリンの代替エネルギーとなる
バイオエタノールの生産に振り向けられました。

バイオエタノール関連は補助金が多いため、食料として売るより、
バイオエタノールにしたほうが収入が増えるので、資本主義社会では
当然砂糖だけにしておくのはもったいないということでしょうか。

砂糖だけでなく、もう一つの原料となるトウモロコシも大変な勢いで価格が上昇しています。トウモロコシは家畜の餌として利用されていましたので、
飼料価格が急上昇して、肉の価格にも跳ね返りつつあります。

当然、発展途上国は満足な食料を買うことができなくなり、
飢餓が拡大していくのではという懸念が持ち上がりつつあります。

ところで、ガソリンの代わりにバイオエタノールを使うというのは、
新しいように見えますが、実はかなり古い発想です。

すでに1970年代には、ブラジルでエタノール車が走っていました。

では、ブラジルでは大気汚染が解決したかというと
残念なことにガソリンの割合を減らしても解決せず、
むしろ環境は悪化してしまい、未だに解決できないでいます。

ガソリン車を使うと大気中に、ベンゼンやブタジエンを撒き散らします。
これらは発がん性物質ですし、肺の機能を低下させます。

では、バイオ燃料であるエタノールはどうかというと
こちらはホルムアルデヒドとアセトアルデヒドを増やします。
つまり、E85という(85%エタノール、15%ガソリン)のような
バイオ燃料が普及してもガソリンの排ガスから出てくる発がん性物質による
ガンはとくに減らないということです。

スタンフォード大学の大気学者のマークヤコブセン博士の研究
(07/4/18 Environmetal Science and Technology online news)によれば、
バイオエタノールの最大の問題は、オゾンを増やすことです。

オゾンは一部の洗濯機にも使われていますが、微量でも吸い込むと
肺の機能を低下させるだけではなくて、組織の炎症を起こし、
喘息を悪化させる恐れがあります。

オゾンは上空にいれば、紫外線の害を減らしますが、
地表のオゾンはかなり毒性が強く、WHOの統計ではオゾンや他の
化学物質によるスモッグで毎年80万人が死んでいるとのこと。

E85に全面的に切り替わることはありませんが、
13年後にE85に切り替わった場合のアメリカでの
大気状況のシュミレーションから、
地表のオゾンが増えて、ガソリン車より高い死者や
呼吸器系疾患の入院患者や病院を訪れる人を増やすとの試算が発表されています。

バイオエタノールによる環境への影響はこれから多く研究されていくと思いますが、
単純にガソリンからバイオエタノールに変えても、喘息患者は減らないし、
むしろ増えるだろうというのが、今回の研究結果でした。

ただ、13年も経てば燃料電池車も出てくるので、
そうなると排ガスによる公害もかなり減っていく方向へ進むと思います。

東京では、バイオエタノールを混ぜたガソリンが試験的に販売されていますが、
燃費は悪くなるし、環境汚染もガソリンより多くなる、ついでに食糧の価格を
押し上げるバイオエタノールって、まだまだ課題が多いですね・・(^^;;

shin_chanz at 00:11|PermalinkComments(0)