乳化と分散
2010年12月05日
クリームの寿命 その3
乳化は不安定な系であるため、分離が始まるとあっという間に全体が分離してしまいます。
とりあえず3年以上の安定性を目標に開発されていきますが、研究室で出来ても現場で出来ないこともしばしば。
現場では、ラボの1000倍以上のスケールで生産するため、ほんのわずかなミスが大きくひびくこともあります。
たとえばクリームを製造して、釜から取り出し、それを移動させる際の力加減でもクリームの乳化状態が変わったり、充填時の力のかけ具合でも変わったりします。
手作りでも攪拌時間や温度、攪拌の速さで変わってきます。
1ヶ月持てばいいということでしたら、さほど気にすることもないかもしれませんが、使い心地が良いクリームを目指すなら、調合条件について気をつける必要があります。
ただ、ここで注意が必要なのは、乳化剤の量にこだわりがなければ、簡単に作れるということです。
乳化剤を減らそうとすると、安定性がかなり問題になりますが、乳化剤が多いとある程度、安定になるため、細かな条件も無視することができます。
それでも油と水が分離してしまい、クリームでなくなる寿命がやってきます。
この寿命の予測というのは、むずかしく様々な条件でシュミレーションを行い、最適な配合および製造条件というのを見つけ出していきます。
一番簡単なのは、45℃や50℃のオーブンに数ヶ月入れて、放置するという方法で、場合にってよって40℃→10℃→40℃のように温度ストレスをかけることもあります。
スキンケアクリームなら高温に放置されることはありませんが、これも販売形態によって異なり、店頭で販売されているクリームなら買い物時に車のダッシュボードの上に置かれることも想定して60℃でも安定を保つみたいな社内基準が存在したりします。
これも乳化剤によって異なり、レシチンのように高温になると状態が変わるようなものだと、高温でのシュミレーションはあまり意味が無かったりします。
とりあえず3年以上の安定性を目標に開発されていきますが、研究室で出来ても現場で出来ないこともしばしば。
現場では、ラボの1000倍以上のスケールで生産するため、ほんのわずかなミスが大きくひびくこともあります。
たとえばクリームを製造して、釜から取り出し、それを移動させる際の力加減でもクリームの乳化状態が変わったり、充填時の力のかけ具合でも変わったりします。
手作りでも攪拌時間や温度、攪拌の速さで変わってきます。
1ヶ月持てばいいということでしたら、さほど気にすることもないかもしれませんが、使い心地が良いクリームを目指すなら、調合条件について気をつける必要があります。
ただ、ここで注意が必要なのは、乳化剤の量にこだわりがなければ、簡単に作れるということです。
乳化剤を減らそうとすると、安定性がかなり問題になりますが、乳化剤が多いとある程度、安定になるため、細かな条件も無視することができます。
それでも油と水が分離してしまい、クリームでなくなる寿命がやってきます。
この寿命の予測というのは、むずかしく様々な条件でシュミレーションを行い、最適な配合および製造条件というのを見つけ出していきます。
一番簡単なのは、45℃や50℃のオーブンに数ヶ月入れて、放置するという方法で、場合にってよって40℃→10℃→40℃のように温度ストレスをかけることもあります。
スキンケアクリームなら高温に放置されることはありませんが、これも販売形態によって異なり、店頭で販売されているクリームなら買い物時に車のダッシュボードの上に置かれることも想定して60℃でも安定を保つみたいな社内基準が存在したりします。
これも乳化剤によって異なり、レシチンのように高温になると状態が変わるようなものだと、高温でのシュミレーションはあまり意味が無かったりします。
shin_chanz at 22:01|Permalink│Comments(0)│
2010年12月02日
クリームの寿命 その2
クリームや乳液というのは、水と混ざらない油を分散させた系なので、かならず分離して、油と水の層に分かれる時期がやってきます。
これが早いか短いかが、腕の見せ所。
一般的には粒子が小さいほど、安定になりやすいです。
それはクリームが分解する過程で粒子同士がぶつかって、ひとつの大きい粒子に成長していくため、粒子が小さければ小さいほど、ぶつかりにくく、寿命が延びるということが上げられます。
そのため、ナノ乳化などが流行っています。
ナノ化することで、肌への浸透が早くなり、肌細胞への働きかけも強化されます。
ただ、世の中はナノ一辺倒ではありません。
ナノ化するとひとつの問題は、さらさらになりすぎることです。
たとえば擬似セラミドエマルジョンという商品がトゥヴェールにあります。
擬似セラミドという植物オイルより重たいテクスチャの油をレシチンでナノ乳化したものですが、ナノ化することで、さらさらの化粧水のようなテクスチャとなっています。
ナノ化しているため、べたつきもなく、さらっとして、肌への浸透性も良い。
しかし、残念ながらこれではあまり売れるものではありません。
それは、化粧品業界では粘度が高くないと、高く売れないというジンクスがあって、あえて粘度がマヨネーズ並みにでるようにナノ乳化ではなく、もっと大きな粒子にしてクリームを作っています。
もちろん、ナノ乳化したものをゲル化剤で、ゲルにするという方法もありますが、最初からナノ乳化していないものも多くありますし、それが世の中の主流でしょうか。
ナノ乳化しないメリットというのは、使用感にコクが出ることで、ある一定年齢以上になると、コクがないクリームや乳液は売れにくくなります。
ただ、コクのあるクリームというのは乳化粒子が大きくなるため、油と水の分離が起こりやすくなるというリスクがあります。
これが早いか短いかが、腕の見せ所。
一般的には粒子が小さいほど、安定になりやすいです。
それはクリームが分解する過程で粒子同士がぶつかって、ひとつの大きい粒子に成長していくため、粒子が小さければ小さいほど、ぶつかりにくく、寿命が延びるということが上げられます。
そのため、ナノ乳化などが流行っています。
ナノ化することで、肌への浸透が早くなり、肌細胞への働きかけも強化されます。
ただ、世の中はナノ一辺倒ではありません。
ナノ化するとひとつの問題は、さらさらになりすぎることです。
たとえば擬似セラミドエマルジョンという商品がトゥヴェールにあります。
擬似セラミドという植物オイルより重たいテクスチャの油をレシチンでナノ乳化したものですが、ナノ化することで、さらさらの化粧水のようなテクスチャとなっています。
ナノ化しているため、べたつきもなく、さらっとして、肌への浸透性も良い。
しかし、残念ながらこれではあまり売れるものではありません。
それは、化粧品業界では粘度が高くないと、高く売れないというジンクスがあって、あえて粘度がマヨネーズ並みにでるようにナノ乳化ではなく、もっと大きな粒子にしてクリームを作っています。
もちろん、ナノ乳化したものをゲル化剤で、ゲルにするという方法もありますが、最初からナノ乳化していないものも多くありますし、それが世の中の主流でしょうか。
ナノ乳化しないメリットというのは、使用感にコクが出ることで、ある一定年齢以上になると、コクがないクリームや乳液は売れにくくなります。
ただ、コクのあるクリームというのは乳化粒子が大きくなるため、油と水の分離が起こりやすくなるというリスクがあります。
shin_chanz at 22:33|Permalink│Comments(0)│
2010年11月30日
クリームの寿命
手作りでクリームを作る場合、色々と問題点が生じます。
ひとつは界面活性剤と油分との割合。
本来は、油に対して界面活性剤の割合が少なければ少ないほどいいに決まっています。
また、界面活性剤も油や水に溶けないものが理想的。
油にも水にも溶けないなら、どうやって乳化するということを思われるかもしれませんが、油にも水にも溶けない場合、油と水の境界面のみに存在することになります。
つまり、油や水に溶けると、乳化に使う以外にも油や水に飽和して溶ける必要があるため、無駄な乳化剤の量が必要となります。
しかし、油にも水にも溶けないとなると、こういった無駄な乳化剤の量が減らすことができ、低資源化できそうです。
ただ、現在のところ、油にも水にも溶けない乳化剤というのは、ほとんどありません。
どちらか一方、油のみに溶けるもの、水のみに溶けるものが使われています。
手作り化粧品用の乳化剤に使われるのは水のみに溶けるものが多いです。
恐らく簡便さを考慮してのことでしょう。
油に溶ける乳化剤の場合、60℃以上で、油と乳化剤を混ぜて均一にしながら、水を少量ずつ入れて乳化するという方法をとります。
結構手間で、温度制御も必要ですし、常温で乳化というのは、難しいです。
その点、乳化ワックスなどはワックスを溶かせば乳化することができ、簡便ではありますが、その分乳化剤の量が多くなるというデメリットがあります。
乳化というのは、プロでも失敗することも多く、界面活性剤を減らして作ろうとするとそのような傾向になりがちです。
ひとつは界面活性剤と油分との割合。
本来は、油に対して界面活性剤の割合が少なければ少ないほどいいに決まっています。
また、界面活性剤も油や水に溶けないものが理想的。
油にも水にも溶けないなら、どうやって乳化するということを思われるかもしれませんが、油にも水にも溶けない場合、油と水の境界面のみに存在することになります。
つまり、油や水に溶けると、乳化に使う以外にも油や水に飽和して溶ける必要があるため、無駄な乳化剤の量が必要となります。
しかし、油にも水にも溶けないとなると、こういった無駄な乳化剤の量が減らすことができ、低資源化できそうです。
ただ、現在のところ、油にも水にも溶けない乳化剤というのは、ほとんどありません。
どちらか一方、油のみに溶けるもの、水のみに溶けるものが使われています。
手作り化粧品用の乳化剤に使われるのは水のみに溶けるものが多いです。
恐らく簡便さを考慮してのことでしょう。
油に溶ける乳化剤の場合、60℃以上で、油と乳化剤を混ぜて均一にしながら、水を少量ずつ入れて乳化するという方法をとります。
結構手間で、温度制御も必要ですし、常温で乳化というのは、難しいです。
その点、乳化ワックスなどはワックスを溶かせば乳化することができ、簡便ではありますが、その分乳化剤の量が多くなるというデメリットがあります。
乳化というのは、プロでも失敗することも多く、界面活性剤を減らして作ろうとするとそのような傾向になりがちです。
shin_chanz at 22:16|Permalink│Comments(0)│
2007年10月04日
食品に見る乳化 その2
食品は牛乳や卵は別にして、マーガリンやドレッシング、アイスクリームなど
乳化剤が必要なものが多数あります。
化粧品で使われるオイルは主に室温で液状のものが多いですが、
食品になると液状油だけだと油っぽく、酸化しやすくなるというデメリットが
あります。
つまり、マヨネーズやドレッシングは液状油のみで作りますが、
マーガリンやホイップクリームは固体油を使って作ります。
液状油はサラダオイルや菜種油、ひまわり油などです。
固体油は乳脂や液状油に水素添加してつくる硬化油があります。
乳化する場合は、油状油のみでつくると油っぽくなるため、
そういうイメージがあるものなら別ですが、油っぽい感覚を出したくないものは
固体油を使用して作ります。
また、固体油と液状油を混ぜて使用する場合、固体脂の割合が温度により変化し
それが結晶となったとき、乳化状態に影響を及ぼすことが多々あります。
そのため、乳化したときに油の粒子を細かくして、結晶が出にくくしたり、
微細な結晶を最初からわざと析出させておいたりという工夫が必要となります。
食品の乳化がやっかいなのは、たんぱく質の存在です。
乳化剤というのは、比較的短時間で油の表面に吸着して乳化しますが、
たんぱく質は油の表面にくっつくのに何時間もかかる場合があります。
たんぱく質は乳化した粒子にくっつくと安定化の方向へ進ませますが、
加熱滅菌などで熱を加える場合は、たんぱく質が変性し、
乳化が壊れることもあります。
乳化剤が必要なものが多数あります。
化粧品で使われるオイルは主に室温で液状のものが多いですが、
食品になると液状油だけだと油っぽく、酸化しやすくなるというデメリットが
あります。
つまり、マヨネーズやドレッシングは液状油のみで作りますが、
マーガリンやホイップクリームは固体油を使って作ります。
液状油はサラダオイルや菜種油、ひまわり油などです。
固体油は乳脂や液状油に水素添加してつくる硬化油があります。
乳化する場合は、油状油のみでつくると油っぽくなるため、
そういうイメージがあるものなら別ですが、油っぽい感覚を出したくないものは
固体油を使用して作ります。
また、固体油と液状油を混ぜて使用する場合、固体脂の割合が温度により変化し
それが結晶となったとき、乳化状態に影響を及ぼすことが多々あります。
そのため、乳化したときに油の粒子を細かくして、結晶が出にくくしたり、
微細な結晶を最初からわざと析出させておいたりという工夫が必要となります。
食品の乳化がやっかいなのは、たんぱく質の存在です。
乳化剤というのは、比較的短時間で油の表面に吸着して乳化しますが、
たんぱく質は油の表面にくっつくのに何時間もかかる場合があります。
たんぱく質は乳化した粒子にくっつくと安定化の方向へ進ませますが、
加熱滅菌などで熱を加える場合は、たんぱく質が変性し、
乳化が壊れることもあります。
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2007年10月01日
医薬品に使われる界面活性剤 その2
医薬品に使われる界面活性剤の種類と一日の最大使用量を書きました。
一日に飲める界面活性剤の上限が決まっているため、
薬の種類によっては、有効成分の投与がたくさん必要なのに
その有効成分を乳化させるのに必要な界面活性剤量が足りないということもあります。
そこで使用されるのはエタノールやプロピレングリコール、グリセリン、
ポリエチレングリコールなどの溶媒です。
これらの溶媒を使用することで、界面活性剤を少なくても
薬剤を可溶化できるというメリットが現れます。
難しいのは、薬剤によっては、これらの溶媒を使用すると
必ずしも可溶化されるわけではなく、余計に溶けにくくなることがあることです。
外用剤の場合は、必ずしも薬剤の有効成分が完全に可溶化される
必要はありません。むしろ可溶化されていない方が
浸透性が高まることもあります。
ただ、経口剤などはある程度水に溶けないと
腸壁面からの吸収が難しいので、界面活性剤を使用して
吸収力をアップする必要があります。
最近は、薬剤を非常に細かく分散する装置も開発されて、
薬剤を微粉末にすることもしばしばあります。
微粉末にすると腸との接触面積が増えるというメリットもありますが、
微粉末同士がくっつきやすくなるという問題が生じてきます。
この微粉末同士がくっついて大きな粒子の固まりになることを
防ぐために界面活性剤が使われるケースも多くなっています。
注射液では完全に薬剤を溶かしていないと
万が一大きな粒子があると毛細血管に詰まることもあります。
注射液に使われる場合は、抗がん剤や抗HIV剤などですが、
薬物による血栓や炎症を防ぐために用いられることが多いです。
一日に飲める界面活性剤の上限が決まっているため、
薬の種類によっては、有効成分の投与がたくさん必要なのに
その有効成分を乳化させるのに必要な界面活性剤量が足りないということもあります。
そこで使用されるのはエタノールやプロピレングリコール、グリセリン、
ポリエチレングリコールなどの溶媒です。
これらの溶媒を使用することで、界面活性剤を少なくても
薬剤を可溶化できるというメリットが現れます。
難しいのは、薬剤によっては、これらの溶媒を使用すると
必ずしも可溶化されるわけではなく、余計に溶けにくくなることがあることです。
外用剤の場合は、必ずしも薬剤の有効成分が完全に可溶化される
必要はありません。むしろ可溶化されていない方が
浸透性が高まることもあります。
ただ、経口剤などはある程度水に溶けないと
腸壁面からの吸収が難しいので、界面活性剤を使用して
吸収力をアップする必要があります。
最近は、薬剤を非常に細かく分散する装置も開発されて、
薬剤を微粉末にすることもしばしばあります。
微粉末にすると腸との接触面積が増えるというメリットもありますが、
微粉末同士がくっつきやすくなるという問題が生じてきます。
この微粉末同士がくっついて大きな粒子の固まりになることを
防ぐために界面活性剤が使われるケースも多くなっています。
注射液では完全に薬剤を溶かしていないと
万が一大きな粒子があると毛細血管に詰まることもあります。
注射液に使われる場合は、抗がん剤や抗HIV剤などですが、
薬物による血栓や炎症を防ぐために用いられることが多いです。
shin_chanz at 00:01|Permalink│Comments(2)│
2007年09月30日
医薬品に使われる界面活性剤
今まで虫歯というのには縁がなかったのですが、
急に夜中に歯が痛み出してどうにも治まらないので歯医者へ行ったところ、
下の親知らずの隣の歯が虫歯とのこと。
親知らずもついでに抜くことになったのですが、
歯が横向きに生えているおかげで、抜くのに結構時間がかかりました。
年齢も30半ばで、歯と骨がかなりくっついてしまっているようで
歯を砕いて抜くことになりました。
抜くのは、麻酔のおかげでそれほど痛みがありませんが、
血がなかなか止まらず、抜歯後に止まったはずの血が
再出血して、2時間毎ぐらいに口がいっぱいになるほど出血しました。
(歯を抜くときに静脈をきっちゃっと言っていたので・・)
おかげで夜も眠れず、夜中からおきてガーゼを噛んで
止血しましたが、唾液が多いようで苦労しました。
次の日も完全に血が止まらず朝から歯医者へ行って
止血してもらいましたが、歯科医がガーゼを親知らずを抜いた場所に
強く指で押して行うものだから、これが結構痛いんです。
久々に痛い思いをしましたが、あと、1本親知らずを抜いておいた方が
良いようなので、続けて抜くべきかしばらく時間を置くか迷っているところです。
さて、医薬品に使われる界面活性剤ですが、それほどの種類はありません。
医薬品添加物辞典の中でも経口投与と外用剤へ実績がある中で主なものは、
ラウリル硫酸ナトリウム(300mg)
ポリソルベート80(300mg)
ポリオキシエチレン(60)ひまし油(1200mg)
ポリオキシエチレン(160)ポリプロピレン(30)グリコール(333mg)
スパーン30(50mg)
ショ糖脂肪酸エステル(600mg)
ソルビタン脂肪酸エステル(240mg)
プロピレングリコール脂肪酸エステル(575mg)
の8種類となります。
カッコ内の数字は一日当たりの最大摂取量です。
この中で注射剤に使われるものは、さらに減ります。
ポリソルベート80(500mg)
ポリオキシエチレン(60)ひまし油(500mg)
ポリオキシエチレン(160)ポリプロピレン(30)グリコール(10mg)
スパーン30(50mg)
ソルビタン脂肪酸エステル(37.5mg)
カッコ内の数字は一日当たりの最大摂取量です。
実際にはこのほか10種類の界面活性剤が使用されます。
経口治療薬に界面活性剤を使用される理由は
難溶性の薬物を水に溶かし、浸透性をあげることにあります。
最新の医薬品は、胃液に溶けてナノ粒子になり、
吸収されるものもあります。
ところで、皮膚の生まれ変わりは4週間ですが、
腸の壁面はどのくらいかかるかご存知でしょうか?
腸には約1kgの細菌が棲みついており、万が一傷が生じて
治りが悪かったらそれこそ大変です。
そのため、腸においては4時間という猛烈なスピードで
生まれ変わりを行います。
たとえ薬に含まれる界面活性剤の刺激性で傷がついても
すぐに修復されてしまいます。
また、腸細胞には一度吸収したものを体内ではなく、
元に戻して吸収しなかったことにする酵素があります。
その酵素が活発に動いていると、せっかく吸収された薬物が
また外へ戻されるため、この酵素の働きを落とすように
仕向けるのも界面活性剤の役割となっています。
急に夜中に歯が痛み出してどうにも治まらないので歯医者へ行ったところ、
下の親知らずの隣の歯が虫歯とのこと。
親知らずもついでに抜くことになったのですが、
歯が横向きに生えているおかげで、抜くのに結構時間がかかりました。
年齢も30半ばで、歯と骨がかなりくっついてしまっているようで
歯を砕いて抜くことになりました。
抜くのは、麻酔のおかげでそれほど痛みがありませんが、
血がなかなか止まらず、抜歯後に止まったはずの血が
再出血して、2時間毎ぐらいに口がいっぱいになるほど出血しました。
(歯を抜くときに静脈をきっちゃっと言っていたので・・)
おかげで夜も眠れず、夜中からおきてガーゼを噛んで
止血しましたが、唾液が多いようで苦労しました。
次の日も完全に血が止まらず朝から歯医者へ行って
止血してもらいましたが、歯科医がガーゼを親知らずを抜いた場所に
強く指で押して行うものだから、これが結構痛いんです。
久々に痛い思いをしましたが、あと、1本親知らずを抜いておいた方が
良いようなので、続けて抜くべきかしばらく時間を置くか迷っているところです。
さて、医薬品に使われる界面活性剤ですが、それほどの種類はありません。
医薬品添加物辞典の中でも経口投与と外用剤へ実績がある中で主なものは、
ラウリル硫酸ナトリウム(300mg)
ポリソルベート80(300mg)
ポリオキシエチレン(60)ひまし油(1200mg)
ポリオキシエチレン(160)ポリプロピレン(30)グリコール(333mg)
スパーン30(50mg)
ショ糖脂肪酸エステル(600mg)
ソルビタン脂肪酸エステル(240mg)
プロピレングリコール脂肪酸エステル(575mg)
の8種類となります。
カッコ内の数字は一日当たりの最大摂取量です。
この中で注射剤に使われるものは、さらに減ります。
ポリソルベート80(500mg)
ポリオキシエチレン(60)ひまし油(500mg)
ポリオキシエチレン(160)ポリプロピレン(30)グリコール(10mg)
スパーン30(50mg)
ソルビタン脂肪酸エステル(37.5mg)
カッコ内の数字は一日当たりの最大摂取量です。
実際にはこのほか10種類の界面活性剤が使用されます。
経口治療薬に界面活性剤を使用される理由は
難溶性の薬物を水に溶かし、浸透性をあげることにあります。
最新の医薬品は、胃液に溶けてナノ粒子になり、
吸収されるものもあります。
ところで、皮膚の生まれ変わりは4週間ですが、
腸の壁面はどのくらいかかるかご存知でしょうか?
腸には約1kgの細菌が棲みついており、万が一傷が生じて
治りが悪かったらそれこそ大変です。
そのため、腸においては4時間という猛烈なスピードで
生まれ変わりを行います。
たとえ薬に含まれる界面活性剤の刺激性で傷がついても
すぐに修復されてしまいます。
また、腸細胞には一度吸収したものを体内ではなく、
元に戻して吸収しなかったことにする酵素があります。
その酵素が活発に動いていると、せっかく吸収された薬物が
また外へ戻されるため、この酵素の働きを落とすように
仕向けるのも界面活性剤の役割となっています。
shin_chanz at 00:01|Permalink│Comments(2)│
2006年11月27日
洗濯の基本
もうすぐ年末。なんどか今年もよくわからないうちに1年が終わりつつあります。
年末になると、真面目に掃除をやらないといけない日がやってきます(笑)
水に濡らした雑巾を絞って、拭き掃除をしていくと、
だんだんバケツの水が澄んだ水からどす黒くなっていきます。
家の中はそうでなくても、土足で歩く部分を水拭きすると、
あっという間にバケツの水は真っ黒です。
そういう水をつけて雑巾も絞るものですから、
雑巾もだんだん色がつき、床も薄汚れた水で洗うことになります。
これは水に分散した土などの微粒子が、沈殿せずにうまく分散するために
雑巾に再付着するために起こります。
ここで、洗濯の基本はというと、一度服から取った汚れが
再度、服につかないというのが第一に挙げられると思います。
たとえば、衣服の繊維は水につけると、プラスになったり、マイナスに
なりやすい繊維があります。
汚れが繊維と同じ電荷を持ちなら、電気的な反発により
剥がれていきますが、違う電荷なら、水を濡らしてもしっかりつくだけで
なかなか離れてくれません。
また、一度石鹸や洗剤で汚れを乳化して衣服から離しても、
汚れは水に溶けているだけですから、再度衣服に付着することも
考えられます。
そこで、合成の衣料用洗剤の場合は、CMCというセルロース誘導体が
配合されていて、これが汚れの粒子をくるっと包み込み、
また衣服の表面に取り付きます。
すると、衣服と汚れの間には電気的な反発ができて、
一度離れた汚れは衣服につかないし、まだ、粒子同士も電気的な反発により
水に分散するという仕組みになっています。
節水型の洗濯機が増えていますが、「一度取った汚れが再度付着しない」ことを
しっかり研究した洗剤でないと(とはいっても数百円ですが)、
汚れた下着類と余り汚れていない衣服を一緒に洗えば、
汚れた下着はまあまあマシになっても汚れていない衣服は
洗濯前より汚れに汚染されている羽目になりかねません。
とくに洗浄液を高濃度で使う節水型は、その傾向が強くなります。
なお、これは家の洗濯だけでなく、クリーニングにも言えることです。
上品な奥様が丁寧に着た洋服をクリーニングに出すと、
ほとんど汚れがない洋服でも、どこぞの誰かもわからない
薄汚れた衣類と一緒に洗われる羽目になりますが、
再汚染防止がされていないと、きっちり折りたたまれていても
繊維の中の汚れは多くなって、クリーニングに出した時より
汚れて返されることになります。
年末になると、真面目に掃除をやらないといけない日がやってきます(笑)
水に濡らした雑巾を絞って、拭き掃除をしていくと、
だんだんバケツの水が澄んだ水からどす黒くなっていきます。
家の中はそうでなくても、土足で歩く部分を水拭きすると、
あっという間にバケツの水は真っ黒です。
そういう水をつけて雑巾も絞るものですから、
雑巾もだんだん色がつき、床も薄汚れた水で洗うことになります。
これは水に分散した土などの微粒子が、沈殿せずにうまく分散するために
雑巾に再付着するために起こります。
ここで、洗濯の基本はというと、一度服から取った汚れが
再度、服につかないというのが第一に挙げられると思います。
たとえば、衣服の繊維は水につけると、プラスになったり、マイナスに
なりやすい繊維があります。
汚れが繊維と同じ電荷を持ちなら、電気的な反発により
剥がれていきますが、違う電荷なら、水を濡らしてもしっかりつくだけで
なかなか離れてくれません。
また、一度石鹸や洗剤で汚れを乳化して衣服から離しても、
汚れは水に溶けているだけですから、再度衣服に付着することも
考えられます。
そこで、合成の衣料用洗剤の場合は、CMCというセルロース誘導体が
配合されていて、これが汚れの粒子をくるっと包み込み、
また衣服の表面に取り付きます。
すると、衣服と汚れの間には電気的な反発ができて、
一度離れた汚れは衣服につかないし、まだ、粒子同士も電気的な反発により
水に分散するという仕組みになっています。
節水型の洗濯機が増えていますが、「一度取った汚れが再度付着しない」ことを
しっかり研究した洗剤でないと(とはいっても数百円ですが)、
汚れた下着類と余り汚れていない衣服を一緒に洗えば、
汚れた下着はまあまあマシになっても汚れていない衣服は
洗濯前より汚れに汚染されている羽目になりかねません。
とくに洗浄液を高濃度で使う節水型は、その傾向が強くなります。
なお、これは家の洗濯だけでなく、クリーニングにも言えることです。
上品な奥様が丁寧に着た洋服をクリーニングに出すと、
ほとんど汚れがない洋服でも、どこぞの誰かもわからない
薄汚れた衣類と一緒に洗われる羽目になりますが、
再汚染防止がされていないと、きっちり折りたたまれていても
繊維の中の汚れは多くなって、クリーニングに出した時より
汚れて返されることになります。
shin_chanz at 00:09|Permalink│Comments(2)│
2006年11月26日
粉末の分散
酸化チタンを使って、簡単に日焼け止めを作れないのは、
うまく粉を分散できないことと、分散した粉が再度集まって
またひとつの塊になることを防ぐことができないからです。
粉末を分散させるのには、どうすればよいのか。
そのひとつの解決策が水に溶けた粒子にプラスかマイナスの電気を
帯びさせるようにすれば、粒子同士はくっつこうとしても
電気的に反発してくっつきにくくなります。
これは磁石を思い出していただければ、理解していただけると思います。
2つの磁石のN極同士をくっつけようとしても
見えない力が働いてN極同士ではくっつかないという経験は
されたかと思いますが、これは水に溶けた粒子でも同じような現象が
おきることになります。
微粒子の場合は、水に入れるとその粒子がマイナスのイオンでなくても
粒子と接触している周囲の水がごくわずかにマイナスのイオンになります。
(この逆のプラスになることもあります)
ややこしい話ですが、その粒子そのものがマイナスイオンでなくても
粒子を取り巻いている環境がマイナスになってしまうのです。
そして、このことを利用すれば、マイナスのイオンの量を増やすことが
できれば、粒子同士がくっつこうと近づいても電気的に反発するので、
他の粒子とくっつくことができません。
ちなみにこの粒子のマイナスイオン量を増やしたりするのが、
ポリマー(高分子)です。
古くは絵の具にも使うアラビアガムなどが代表的でしょうか。
合成高分子も性能がよいものが多くあります。
油絵は顔料をアマニ油に分散させた油絵の具を使いますが、
水彩画は顔料をアラビアガムを使って水に分散させた絵の具を使います。
まあ、ファンデーションや日焼け止めも一種の絵の具みたいなものですから、
粒子を安定化させる考え方の根本は同じとなります。
うまく粉を分散できないことと、分散した粉が再度集まって
またひとつの塊になることを防ぐことができないからです。
粉末を分散させるのには、どうすればよいのか。
そのひとつの解決策が水に溶けた粒子にプラスかマイナスの電気を
帯びさせるようにすれば、粒子同士はくっつこうとしても
電気的に反発してくっつきにくくなります。
これは磁石を思い出していただければ、理解していただけると思います。
2つの磁石のN極同士をくっつけようとしても
見えない力が働いてN極同士ではくっつかないという経験は
されたかと思いますが、これは水に溶けた粒子でも同じような現象が
おきることになります。
微粒子の場合は、水に入れるとその粒子がマイナスのイオンでなくても
粒子と接触している周囲の水がごくわずかにマイナスのイオンになります。
(この逆のプラスになることもあります)
ややこしい話ですが、その粒子そのものがマイナスイオンでなくても
粒子を取り巻いている環境がマイナスになってしまうのです。
そして、このことを利用すれば、マイナスのイオンの量を増やすことが
できれば、粒子同士がくっつこうと近づいても電気的に反発するので、
他の粒子とくっつくことができません。
ちなみにこの粒子のマイナスイオン量を増やしたりするのが、
ポリマー(高分子)です。
古くは絵の具にも使うアラビアガムなどが代表的でしょうか。
合成高分子も性能がよいものが多くあります。
油絵は顔料をアマニ油に分散させた油絵の具を使いますが、
水彩画は顔料をアラビアガムを使って水に分散させた絵の具を使います。
まあ、ファンデーションや日焼け止めも一種の絵の具みたいなものですから、
粒子を安定化させる考え方の根本は同じとなります。
shin_chanz at 08:37|Permalink│Comments(4)│
2006年11月25日
手作りではなかなか難しい日焼け止め
日焼け止めを手作りで作りたいという要望は多いです。
酸化チタンなども手作り用として販売されていますが、
なかなか効果的なものは作れません。
理由はうまく粉を分散させるのが、かなり難しいからです。
化粧品会社でも大手以外では、予めシリコーンオイルやスクワランなどに
分散させた酸化チタンや酸化亜鉛を使うのが一般的です。
では、どうして粉が分散しないといけないかというと、
紫外線はかなり小さな隙間でも入り込んでしまい、
粉が均一に分散しないと日焼け止めを塗っているのに
日焼けするという事態になりかねません。
また、酸化チタンなどの吸収も粉の粒同士がくっつかないときに
最大の効果を発揮します。
ただ、残念なことに粉同士はくっつきやすい性質があるため、
うまく分散させる必要があるのです。
それには、特殊な機械が必要なため、たいていの化粧品メーカーでは
予めシリコーンオイルに分散させたものを使うのが一般的です。
その方が、製造時間を短縮できますし、配合も容易なので
使いやすい特徴があります。
なお、酸化チタンは、触媒効果をもっているため、
たとえば絵の具の白は酸化チタンですが、
それをそのまま配合するわけにはいきません。
配合する前に酸化チタンの表面にシリコーンなどをあらかじめくっつけます。
酸化チタンや酸化亜鉛など何の処理も施さないと
紫外線にあたれば酸化チタンの周りに存在する成分を酸化する性質があります。
この性質を利用して、反応性を高めたシリコーンを酸化チタンに塗れば
酸化チタンの表面で活性が高い部位へシリコーンがくっついていきます。
粉末のため液体に溶けにくい酸化チタンの表面を処理することで、
化粧品に配合しやすくなり、また酸化チタンの触媒作用を
抑えることができるという一石二鳥のメリットがあります。
酸化チタンなども手作り用として販売されていますが、
なかなか効果的なものは作れません。
理由はうまく粉を分散させるのが、かなり難しいからです。
化粧品会社でも大手以外では、予めシリコーンオイルやスクワランなどに
分散させた酸化チタンや酸化亜鉛を使うのが一般的です。
では、どうして粉が分散しないといけないかというと、
紫外線はかなり小さな隙間でも入り込んでしまい、
粉が均一に分散しないと日焼け止めを塗っているのに
日焼けするという事態になりかねません。
また、酸化チタンなどの吸収も粉の粒同士がくっつかないときに
最大の効果を発揮します。
ただ、残念なことに粉同士はくっつきやすい性質があるため、
うまく分散させる必要があるのです。
それには、特殊な機械が必要なため、たいていの化粧品メーカーでは
予めシリコーンオイルに分散させたものを使うのが一般的です。
その方が、製造時間を短縮できますし、配合も容易なので
使いやすい特徴があります。
なお、酸化チタンは、触媒効果をもっているため、
たとえば絵の具の白は酸化チタンですが、
それをそのまま配合するわけにはいきません。
配合する前に酸化チタンの表面にシリコーンなどをあらかじめくっつけます。
酸化チタンや酸化亜鉛など何の処理も施さないと
紫外線にあたれば酸化チタンの周りに存在する成分を酸化する性質があります。
この性質を利用して、反応性を高めたシリコーンを酸化チタンに塗れば
酸化チタンの表面で活性が高い部位へシリコーンがくっついていきます。
粉末のため液体に溶けにくい酸化チタンの表面を処理することで、
化粧品に配合しやすくなり、また酸化チタンの触媒作用を
抑えることができるという一石二鳥のメリットがあります。
shin_chanz at 20:03|Permalink│Comments(4)│