病気

2010年10月06日

抗生物質のいろいろ・・ その2

抗生物質というのは、動物細胞と細菌細胞の違いを巧みに突いて殺菌効果を発揮します。

たとえばペニシリンなどは、細胞壁の合成を阻害するのが特徴で、人間の細胞には細胞壁がないため、副作用を抑えて使用することができます。

他にも様々な抗生物質が動物細胞と細菌細胞との様々な差を突いて、殺菌効果を発揮するため、菌によって利く抗生物質の種類が変わります。

どの菌にも普遍的に利くという抗生物質は少なくて、特定の菌にのみ利くというものが多いです。
病原菌が特定された場合、出来るだけその菌以外は殺菌効果の弱いものを使用する方が副作用も少なく、常在菌にも影響を及ぼしません。

耐性菌の特徴は、意外と身近にいる菌が耐性菌となるケースが多いのです。

理由は常在菌というのは、抗生物質が効きにくく、耐性菌となる可能性を秘めています。
MRSAは多剤耐性菌の代表例ですが、元は皮膚にいる黄色ブドウ球菌に過ぎません。
それがいつの間にか抗生物質に耐えうる菌になっている場合もあります。

これは菌同士は情報を交換することができ、抗生物質への対抗策を獲得した菌がその方法を他の菌に遺伝情報という形で教え、何でもなかった菌が突然抗生物質に対する対抗方法を身につけていきます。
この能力のおかげで、様々な菌に耐性能力が身につき、病気治療の障害になりつつあります。

ちなみに化粧品の防腐剤も殺菌的なものと菌の増殖を主に防ぐものの二通りに分かれます。
よく使われるパラベンやフェノキシエタノールは増殖を防ぐ力に優れていて殺菌効果は高くありません。そのため、他の防腐剤に比べて、濃度を高くして使う必要があります。

ただ、殺菌効果に優れるのは界面活性剤や塩素系の殺菌剤になるのですが、ほとんど化粧品の防腐剤には使われません。菌に対する効果が強い一方、皮膚に対する副作用も強いため、敬遠されているのが現状です。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)

2010年10月04日

抗生物質のいろいろ・・

最近、抗生物質が全く通じない細菌による院内感染が問題になっています。
抗生物質の使いすぎが指摘されていますが、人間だけでなく家畜の飼育にも抗生物質は欠かせず様々な抗生物質が使用されています。

ほぼ乱用と言った方が良いかもしれません。

抗生物質について作用の強弱で分類すると二通りあります。

それは菌を殺す殺菌的な作用が強いものと菌の増殖を防ぎ、菌の活動を抑えることに長けたものの2種類です。

抗生物質と聞くと菌を殺して当たり前と思いがちですが、そうではありません。

病気によって使う抗生物質が異なり、たとえば肺炎のように緊急を要するような病気には殺菌的な抗生物質が使われます。

一方、ニキビのような皮膚常在菌が引き起こす病気については、菌の活動を抑える抗生物質が使われます。

菌の活動を抑えるため、菌の増殖は防ぎますが、菌自体を死滅させる力はありません。そもそも皮膚常在菌のため、死滅させてもすぐに他の場所からやって来ては皮膚にすみついていくため、強い副作用を持つ殺菌的な抗生物質を使う意味がありません。

一時的に強力な菌に体が侵されている場合に限り殺菌的な抗生物質が使われます。
ストプレトマイシンやゲンタマイシンが有名で、腸から吸収されないため、点滴や筋肉注射で体内へ導入します。
脳神経の障害を起こしたり、腎障害を起こすため、長期に渡っての使用はコントロールする必要がありますが、その分、効果も大きい抗生物質です。

一方、ニキビに使われる抗生物質は菌の増殖を抑えて、一定以上の菌数にならないようにコントロールしていきます。
ある程度の菌の生育を認めるが、一定以上は許さないというものです。
こちらは作用が弱い分、長期間服用できるというメリットもあります。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)

2010年06月25日

体の形まで変える脂肪分解剤

体についた無駄な脂肪を簡単に分解できればいいのに。
誰しもが思うことですが、実は身近にそういう薬は存在します。

ただし、脂肪は分解するが思うような体型にはしてくれません。

もっとも身近で、その効果を認識されているのがステロイド剤です。

脂肪組織に作用して、脂肪の分解を促進します。
血中の脂肪酸濃度は上昇していき、燃焼に使われます。

このステロイドですが、手足には良く効いて、脂肪をどんどん分解するため、これらの部分ではやせ衰えていきます。

問題は顔の部分。首から顔にかけて、ここに存在する脂肪細胞はステロイドが作用すると逆に脂肪増産していきます。

顔の部分が太るため、満月様顔貌という状態となり、明らかに脂肪のつく位置がおかしくなるという体型へと変貌していきます。
肩から下は痩せているのに首から上は丸々と太っているという状態。

もちろん、長くステロイド剤を服用した場合での話なので、皮膚外用で使用する場合にはこのような副作用が起こることはありません。

ただ、自己免疫に異常をきたす多くの難病にはステロイド以外に治療薬はほとんどありません。多くの難病に対して、薬は開発されていませんし、これからも開発されることはありません。(薬の開発費は膨大なため、コストに見合う薬ができないためです)

ステロイド剤は肝臓に作用すると、アミノ酸を分解してブドウ糖を作るように働きかけ、その結果、糖尿病患者は出来た糖により血糖値を高めに誘導されてしまい、色々な意味で使い方が難しい薬剤です。

shin_chanz at 00:00|PermalinkComments(4)

2010年02月17日

爪からの病気の予測

最近は、痛くない医療というのが、発展してきています。

コンビニ店より多いと言われる歯医者さんでも無痛治療を掲げた医院には患者が殺到したり、皮膚から発生するガスを採取して、病気の予測を行うという研究が進んでいます。

その中で爪を分析して病気を予測するということも研究されています。

基本的に爪はケラチンたんぱく質が変化したもので、大まかな組成というのは栄養失調が無い限り変わらないと考えられてきました。

しかし、がんや骨粗しょう症であるとその変化が爪に現れることがわかってきました。

ミネラルの代謝パターンが爪に現れ、特にカルシウムの状態が爪に現れます。

十分にカルシウムを摂っているつもりでも、実際は吸収に問題があってうまく体内に取り込まれていないことを確認できたりと特に閉経後の女性に爪分析が有用なことがわかりつつあります。

また、食道がん患者の爪を機器分析すると、赤外光の吸収パターンが健常人と変わっていることが発見され、血を採らなくても簡単な分析で病気の予測が可能になりつつあります。

安価な費用で手軽に病気の予測ができれば、大きなメリットがあります。

日本人のがんのリスクに健康診断の受けすぎというものがあって、放射線診断での被曝によるがん発生は日本人がトップという問題があります。

全く健康診断を受けないというのは、病気のリスクを見落とす為、これも問題ですが、念を入れすぎて放射線の検査被曝が多いのも問題です。

これからさまざまな代替法が開発されていきますが、「痛くない」というのは大きなポイントになるのではないでしょうか。

shin_chanz at 00:00|PermalinkComments(0)

2009年09月04日

オゾン発生器

新型インフルエンザの流行予測を見て、9月末に1日76万人発症するというものを見て、正直驚きました。

まあ、実際は、そこまで行かないのかもしれませんが、インフルエンザの流行は数学モデルでの予測に結構合うらしいので、頭ごなしに否定するわけにもいきません。

夏になるとおさまると思っていましたが、さすが新型だけあってしぶといですね。

とりあえず出来ることをコツコトと欠かさずやっていくしかないのです。

そういうなかでオゾン発生器で健康被害が出ているので、国民生活センターが注意を促しているという記事がありました。

インフルエンザ対策として購入している人もおられるかと思います。

空気清浄機では、あくまでウィルスが空気清浄機に吸われないと、
ウィルスを殺せませんが、オゾンや二酸化塩素は空気中に広がって、
室内をくまなく殺菌することができます。

国民生活センター商品テスト部が今年5月〜8月に通信販売で購入したオゾン発生器を調査したところ、試験室で30分間運転したところ、3銘柄で、10分以内に室内のオゾン濃度が0・05ppmを超え、運転停止後には0・31〜1・01ppmになったという結果がありました。

つまり、この高濃度のオゾンにより健康被害が続出していると。

オゾンは殺菌性もあるのですが、その分、有毒作用もあります。

気分が悪くなる程度ならまだましですが、健康被害が出てからはもう遅いです。

昔、化学会社で、排水中の有機物の処理を検討していたときに、オゾンの使用を検討したことがあります。

排水処理は、菌に食べさせて、各種吸着剤でほとんど処理できるのですが、
水に溶ける微量のものは処理できません。
活性炭にも吸着しないのなら、そのまま外へ流れて行くため、
通常はそういうややこしい化学物質の排出がされる場合、別ラインに取って、その排水そのものを燃やしてしまいます。

ただ、排水を燃やすのは、可燃性の成分が多いと良いのですが、ほとんど水だと、
水を蒸発させなければならない分、余計な燃料が必要となります。

そこで、水に溶けたものを処理するため、オゾンで酸化して処理できないかと検討したわけです。

ただし、オゾンはかなり臭く有毒性のある気体。

元々、難分解性の有機化学物質を酸化してしまうぐらいのものですから、
高濃度で吸うと体に悪いのは当たり前ですが、低濃度でも酸化性の気体を吸い続けることはやはり良くないことが推測されます。

海辺などオゾンが自然発生する場合もありますが、普通に生活している分では、オゾンを吸うことはありません。

結局、工場での使用は夜間、だれもいないときに周囲にオゾンが漏れ出したときの
対策が難しいということで、断念しました。

刺激臭のある気体なので、漏れ出すとわかりますが、屋内にいてオゾンに取り囲まれた場合、逃げようがないですからね。

水道水の殺菌にも使われるオゾンですが、個人が使いこなすのはちょっと難しいと思います。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(6)

2009年08月24日

薬事法改正

久しぶりに風邪を引いてというか、娘にうつされて、寝込んでしまいました。

突然、夜中に40度くらいの熱が出て、インフルエンザかもしれないと、
病院で検査してもらいましたが、簡易検査では陰性。
少しだけ安心できました。

熱とのどの痛みだけでしたので、解熱剤と抗生物質のみを処方されましたが、
時間経過と共に、症状が酷くなり、今度は咳と痰で寝苦しく・・(^^;

疲れているときに寝れないというのは、かなり辛いですね。

少し寝付けたかなと思うと、咳で起きるという繰り返し。

翌日は、病院がやっていないので、市販薬の咳止めでとりあえず凌ごうと思い、
ドラッグストアに行きましたが、薬事法改正で、よく効くOCTタイプは
第一類に指定されたおかげで、買えません。

第二類の医薬品でもそれなりに効くのですが、どうせならよく眠れるように
よく効くけど飲みすぎると副作用もある第一類医薬品をあえて使いたいのです。

だいたい薬事法改正になる6月までは、薬剤師の説明がなくても
自由に棚から好きな風邪薬を選んで、買えていたのに、
改正で、薬剤師でなくても薬を販売できる制度に変わったので、
近所のドラッグストアでは、薬剤師が必要な第一類の薬は置いていません。

第一類の医薬品を売るには、薬剤師が必要だけではなく、お客が勝手に
買わないようにレジから薬を置ける範囲も決まっていて、店内を改装する必要があります。
安売りドラッグストアはそこまで費用をかけれないということで、第二類や第三類医薬品しか扱わない店ばかりになってきました。

薬事法改正は、病院に押し寄せる患者を少しでも減らすために、
病院で処方される医薬品を販売するために行われたようですが、
これでは国の狙い通りになるのかどうか。

効く薬はやはり医者にかからないと手にはいらないということになると、
医療費抑制のための薬事法改正の意義が薄れるような気がします。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)

2009年07月01日

老化とメタボ その2

進化論から見ると、老化は必然であると言われます。

それも早く老化することも問題ではありません。

生物は、自らが成熟し、子供を作り、すなわち次世代を残すと、
次世代にとっては、食料確保をはじめとして様々な観点から親は不要の存在になります。

野生動物は生後まもなく、独り立ちが可能ですし、種の保存を行う時期には
体力を見ても絶頂を迎えます。

その後、生殖期を過ぎると急速に衰えていき、老化現象が起こります。

ただ、人間だけは養育に時間がかかるせいか、野生動物や家畜と違って
生殖期を過ぎても老化は非常に緩やかに進行していきます。

人間だけを見ると女性は男性に比べて、何年も平均寿命が長く、
すなわち老化の進行具合も男性に比べても遅く進行していきます。

老化は様々な説があり、活性酸素や放射線、ダメージなどの消耗説や
一生の後半に障害性の変異が遺伝的に蓄積する変異蓄積説、
一生の前半には有利に働き、後半には有害に作用する遺伝子が遺伝的に組み込まれているという遺伝説など。

メタボによる老化促進は、最後の遺伝説によって説明されます。
つまり、成熟に有利に働いていた炎症性たんぱく質が、成熟期を越えると
体に障害をもたらし、老化を早め、様々な病気の原因となる説です。

結局、遺伝的に組み込まれた遺伝子による老化なら、避けることもできず、
対抗策としては、適切なカロリーを摂って、適度な運動を行い、
老化の原因となる炎症性たんぱく質の分泌を少なくするようコントロールするしかありません。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)

2009年06月29日

メタボと老化

老化は誰でも避けられないもの。

ただ、アンチエイジング医学が盛んなように、如何に遅延させるかがブームになっています。

成長ホルモンなど色々な薬剤もありますが、老化を研究する研究者の中で最も支持を受けているのが、カロリー制限。

要は食事のカロリーを適切にコントロールすることで、老化を遅らせること。

ダイエットではなく、適切なカロリーを摂ることです。

食事を取ると、その栄養分を吸収し、体の細胞が増えていきます。

必要な細胞だけが増えればいいのですが、問題はある一定以上増えると、
炎症を起こすような細胞も一緒に増えること。

その代表例が脂肪細胞で、この細胞が増えると炎症性物質の分泌が増え、
体の至るところで、微弱な炎症が起こっていきます。

問題は、微少な炎症なら自覚症状がないこと。

ただ、これが重なっていくと、病気となっていきます。

内臓肥満や高脂血症、高血糖などは、メタボと言われ、内容は脂肪細胞が
増えていく症状ですが、この脂肪細胞が様々な炎症性物質を作るため、
動脈硬化や糖尿病の原因となりかねません。

困ったことに血管を老化させる成分は、肌もついでに老化しますので、
メタボは老化促進病とも考えられています。

結局、メタボへの対処というのは、必要以上のカロリーを摂らず、
適切な運動を行って、カロリーを消費する。

つまり、これらの行動を通して、脂肪細胞から分泌される炎症性物質をいかに低減させるかが重要となります。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)

2009年06月17日

爪のほくろ

爪のほくろについては、人種差があると書きましたが、考え方も違います。

白人において、爪にホクロが出現すると、皮膚癌を疑わなければなりません。

フランスの白人の調査では、健常人4400人中1.4%に爪のホクロが見られ、
45歳以上に多いとのデータがあります。

アメリカの黒人においては、20歳以上で77%が、50歳以上では100%に爪のホクロが見られます。

では、日本人になると、報告者によってかなり違ってきます。
ある皮膚科医の調査では、自分の患者285人を調査すると、13%にホクロが見られるという報告があります。
皮膚がんとは違う4mm以下でほとんどが1〜2mmのただのホクロ。

金沢大の学生や教職員3102人を調査した結果では、11%に爪のホクロが見られ、大部分が小さなものであったとの報告があります。

別の報告者では、1826人を調査したところ、1.6%しか爪のホクロが見られないとの結果もあり、結果にばらつきが生じています。

ホクロが癌になるかどうかというのは、その成長スピードに注目しなければなりません。
7mm以下のホクロで、癌になるものは、かなり確率が低く、逆に7mm以上の大きさのものでは、癌である確立が無視できなくなります。

皮膚癌かどうかの診察は、専門医によって行われますが、肉眼観察の精度は
専門医であっても60〜80%といわれています。

それは、医師の経験だけでなく、癌かもしれない、癌でないかもしれないという主観を持ってしまうため、どうしても精度が落ちてしまいます。

そのため、マイクロスコープなどで皮膚を撮影した後、コンピュータ処理を行い、
主観を入れないように客観的に判断する基準がいくつかあるようです。

なお、爪のホクロは紫外線に当たらなくても手指に刺激を与える仕事や
ホルモンの分泌異常が起こると出現することもあり、皮膚癌とは違う良性のただのホクロであることがほとんどのようです。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)

2009年06月15日

足底のホクロにはご注意

紫外線に当たりすぎは皮膚がんの元。

私が小学生くらいまでは、日焼け大会などというものがあって、
どれだけ日焼けして、皮膚が黒くなったかということを競いあっていました。

しかし、今では、このような催しものはありません。

むしろ、日焼けの害が一般に浸透していて、子供向けの日焼け止めが良く売れているようです。

紫外線に当たりすぎると、細胞のDNAが光酸化され、致命的なエラーが発生することがあります。

身の回りの食中毒を起こす細菌ですら、日光に当たるとDNAが壊れ、死滅します。
布団を干すのは、日光消毒を利用するものですが、消毒剤を使わずとも安全に殺菌することができます。

さて、イメージ的に皮膚がんは日光が一番当たる場所、つまり顔や腕、手などに
多く出来そうに思えます。

しかしながら、日本人の皮膚がんの多くは、日光にほとんど当たることのない
足底に出現します。

なんで、足底なのか、色々説はありますが、足底にホクロが出現したら注意が必要です。

ちなみに日本人のホクロは、2mm以上のものが平均4個ぐらいあります。

癌はホクロが大きくなったものといわれますが、7mmというのが、基準となります。

ホクロ自体は幼児のときから20歳になるまで、様々な場所に出現し、
増え続けていきますが、20歳以降はそれほど増えません。
50歳以降になると逆に減っていきます。

問題は、大きくなっていくもので、ホクロの大きさが7mm以上になると癌の可能性があり、専門医の診察が不可欠となります。

なお、ホクロは足底のほか、爪の下にも出現してくるものもあります。
爪のほくろについては、かなり人種差があり、白人では少なく、黒人では多くなるという傾向があります。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)