ミネラルファンデーション(MMU)

2008年07月16日

MMUの電子顕微鏡写真 その1

さて、ミネラルファンデーション(MMU)の電子顕微鏡写真を順次紹介していきます。

MMUですが、大きく分けて二通りあります。
一つは酸化チタンや酸化亜鉛、酸化鉄のような微粒子顔料が主成分にくるものと、
もうひとつはマイカやオキシ塩化ビスマスのような板状の大きな粒子が主成分にくるものです。

単にカバー力から言えば酸化チタンや酸化鉄が上位にくるものの方が、
「顔料」のため、肌の悩みをしっかりとカバーしてくれます。

一方、オキシ塩化ビスマスが主成分となれば、マット過ぎない仕上がりになると思います。

ファンデーションの好みは人それぞれですので、どちらの方が良いかは
使ってみないとわかりません。

ただ、電子顕微鏡で見ると、二つが大きく違い、製造するメーカーの考えが
大きく異なることがわかると思います。

こちらは酸化チタン・酸化鉄を主成分にしたMMUです。

最初に紹介したルースパウダーと違って、主成分が顔料であるため、
3500倍で写真を撮っています。

ルースパウダーと見比べていただければ、その粒子の細かさが余りにも違うことが
わかると思います。

5ミクロンくらいの板が入っていますが、それがマイカです。
ガラスのように表面が平らとなっていますね。
小さい粒が酸化鉄もしくは酸化チタンです。

この小さな粒でも白っぽいのとねずみ色ぽっいやつの2種類がありますが、
これはどっちが酸化チタンかどうかはわかりません。

(画像をクリックすれば大きくなります)
3A-1












さらに1万倍で撮って見ました。
画面中央の横棒の長さがちょうど1ミクロンとなります。
その横棒を使って粒子の大きさを見てみると、0.1〜0.2ミクロンくらいの微粒子となっていることがわかります。
これが、酸化鉄、酸化チタンの大きさで、以前見ていただいたタルクや今回写っているマイカとは大きく違うことがお分かりになれたでしょう。

ただ、写真ぼけていますね。ごめんなさい・・(^^;;


(画像をクリックすれば大きくなります)


3b-1

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(3)

2008年07月15日

むかし、むかしのファンデーション

今の化粧品は企業の責任において、そこらへんに落ちている石や土も配合してもOKです。2000年以前はそんなこと絶対にダメでしたが、規制緩和で変わりました。

ただ、化粧品業界に入ると、必ず過去の化粧品の毒性を勉強することになります。
過去を振り返らないと、明るい未来はないでしょう。

さて、一番、毒性が強く有名なアイテムはなんだと思いますか?

意外かもしれませんが、ファンデーションとなります。

昔は、プレストタイプなどありません。
今で言うルース状のパウダーファンデーションで、
しかも原料は100%天然鉱物なため、ミネラルファンデーションタイプとなります。

ヨーロッパでも日本でもおしろいにより多くの子供や女性が命を落としました。

なぜ、死ぬことになったかというと、昔のおしろいは鉛白を使用していて、
鉛中毒を引き起こすからです。これによって多くの女性や歌舞伎役者が命を落としていきました。

さらに悪いことには、江戸時代では若い女性は胸にまでおしろいを塗る習慣がありました。

女性の体内に入った鉛入りの母乳や胸の鉛を舐めて、乳幼児が死んでいきます。
大名の子供から庶民の子供まで、乳を与える女性がおしろいを使っていれば、鉛中毒になる可能性が高くなりました。

江戸時代にはおしろいの大量製造の技術が発展し、一気に庶民へ普及したため、悲劇はどんどん増えていく一方・・・。

しかし、この悲劇がどうやら鉛白のせいだということがわかったのは、大正時代。
ずいぶんと解明に時間がかかりました。

さらに国もいいかげんな対応を行ってさっさと禁止にすればよいのに、鉛白を禁止したのは、昭和に入ってからです。

天然品は体に良さそうなイメージがありますが、場合によっては、毒になることもあるので、注意が必要です。

ところで、江戸時代の女性は、おしろいを使いこなすのに色々なテクニックを
用いていました。江戸時代に出版された化粧品本にこの当時のことが書いてあります。

おしろいは、そのまま顔に塗ってはダメで、まずは水へ丁寧に溶く。
それが第一にやることです。

この水への溶き方、つまりおしろいの水への分散が重要で、
丁寧にとかないと顔にぬったおしろいが浮いて粉がふいたようにみえたり、
また、伸びが悪くツヤが出なくて見苦しいと書かれています。

この頃から女性の化粧について、あれこれ指南する本があるのですから
面白いですよね。それだけ余裕が出てきたということでしょうか。

これらは都風俗化粧伝という本に紹介されており、江戸時代であっても女性は
肌をいかに美しく魅せるかが重要であったことがわかります。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(4)

2008年07月14日

電子顕微鏡での世界 ルースパウダー その2

顔料(酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛)から見た人間の大きさですが、
「地球」が正解です。

信じられないかもしれませんが、人間と顔料の大きさを比較すると、
人間と地球くらいの比率ほど違います。

微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛となると、さらに1/2から1/10くらい
まで小さくなります。

単に微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛の大きさがO.1ミクロン以下と
聞いてもピンときませんが、微粒子酸化チタンから人間をみると
とんでもなく大きな物体であることがお分かりになると思います。

それゆえ微粒子酸化チタンから見ると、鼻の穴など、とてつもなく広大な空間で、
吸い込めば肺にまで行ってしまう可能性を考えねばなりません。

ただ、顔料の配合量が多いミネラルファンデーションは、
大きくわけて二通りになるのですが、電子顕微鏡でみると、
その違いが歴然としています。

アメリカ人も色々考えてるなーというのが、後日紹介する電子顕微鏡写真からわかります。

ところで、前回みていただいたルースパウダーにはタルクが入っています。

大きい板状のものがタルクで、タルクが最も多い成分となっています。

しかし、あの写真を見る限り針状のものは見えませんよね?
顔料くらいの幅で長さは数ミクロン〜数十ミクロンの大きさのもの。

即ち、アスベストです。

もし、アスベストが入っていれば、あのルースパウダーには、
針状のものがいくつか入っています。

しかしながらというか当然ながらアスベストなどは見当たりません。

タルクと聞くと、アスベストと思う人がいるので、困るのですが、
日本で流通するタルクにはアスベストが入っていないことが
検査して証明されているものしか化粧品原料として使えません。

25年くらい前から日本ではタルクにはアスベスト規制があるのですが、
これを知らない化粧品の販売業者が多いので、困ったことです・・。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(2)

2008年07月12日

顔料の大きさの比較

さて、電子顕微鏡で酸化鉄や酸化チタン、酸化亜鉛などの顔料やタルクなどの
粘土鉱物を見てもらいました。

大きな板状のものはタルクで、針のついた点のようなものが顔料です。

文字で酸化チタンやタルクと書くといまいち実感に乏しいのですが、
その大きさを目で見ると違いが良くわかります。

ここが電子顕微鏡の良いところですね。

ちょっと見えにくいという方でも、これからいろいろ写真を見ていただきますので
だいぶ違いをわかっていただけるかと思います。

さて、顔料の大きさでよく言われることがあります。

貴方が、1つの酸化鉄だとします。
電子顕微鏡でみると、ひとつの点にしかすぎません。

その酸化鉄から人間をみると、人間はどのくらいの大きさになると思いますか?

1.都庁ビルくらい
2.東京都ぐらい
3.日本くらい
4.ユーラシア大陸くらい
5.地球くらい

これは顔料を取扱うときにこの比較がよく出てきます。

まあ、ミクロンとかナノとかになるとちょっと良くわからない大きさだと
思いますが、覚えておいて悪くないでしょう。

ちなみに一般的に購入できる酸化鉄や酸化チタンの粒子は、
通常、いくつもの粒子が集まって、大きな粒子となっています。

これを化粧品で使うときには、一つ一つに分散させるという
作業が必要となってきます。

前にも書いたような気がしますが、この分散が結構大変で、
うまく分散させないと思ったような色が出ませんし、
また、様々なトラブルを引き起こします。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)

2008年07月11日

電子顕微鏡での世界 ルースパウダー その1

一般的なルースパウダーの電子顕微鏡写真です。

若い女性に人気があるEブランドのルースパウダーです。
800倍の倍率で撮りました。

だいたい肌に乗っかっているパウダーはこんな感じで、乗っかっています。

玉とか鱗片状のものとか色々なものが光を通したり反射したりして、
綺麗な肌として見えるように装ってくれます。

ただし、時間が経つと、パウダーが肌から落っこちていきますし、
皮脂がじわじわパウダーの上を覆ってきます。

800倍といっても実際には2000倍程度にもピントを合わせていますので、
2000倍で見える範囲も入っています。
真ん中の下のバーが20μ(ミクロン)の大きさを表しています。

20ミクロンぐらいの鱗片状の大きな粒子が入っていますが、
おそらくタルクかマイカの粘土鉱物です。

粘土鉱物の上にところどころ針でついたような白い点がありますが、
これは酸化亜鉛や酸化鉄でしょう。

前に粘土鉱物と酸化鉄や酸化チタン、酸化亜鉛などの顔料の大きさの違いを
書きましたが、写真で見てもらえばお分かりになるように
余りにも大きさが違うことがわかっていただけると思います。

また、大きさの違う玉がいくつも入っていますが、これはポリマー系の
プラスチックの玉となります。

スキンケア化粧品に使うポリマーは増粘剤や保湿剤として働くため、
水に溶けることが前提となりますが、ルースパウダーをはじめとして
ファンデーションに配合するポリマーは、水にも油にも溶けず
結構大きな粒子として配合されることが多いです。

当たり前ですが、こんな大きな玉は皮膚に傷が無い限り
肌の中へ浸透しません。

また、このポリマーの中にセラミドなどの保湿剤を含ませることも可能で
スキンケアパウダーとしてよく配合されています。

ちなみにポリマーの玉は、コロコロ転がりますので、パフで使うときには
使用感をアップさせます。また、肌の細かい溝に入り込んで、
光を乱反射して、しわや毛穴をぼかしたりします。

酸化チタンや酸化亜鉛のように光を通さずに覆いかぶさって、
カバーするのとはまた違うものですね。


(画像をクリックすれば大きくなります)
17A

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)

2008年07月09日

電子顕微鏡での世界 その2

ちなみに今回使用したのは走査型電子顕微鏡というものです。

電子顕微鏡には電子を当てて、表面を見るものと内部をみるものの
2つ分かれます。

走査型電子顕微鏡は、表面を観察するときに使う装置です。

電子顕微鏡というと、何万倍もの非常に細かい世界をみるものに
使われるというイメージがありますが、実は50倍とか、100倍とか
ルーペで拡大してみるレベルでも使われることがあります。

これは何故かというと、ピントをあわせる位置が光学顕微鏡より
はるかに広いからで、低倍率でも光学顕微鏡より
細部まではっきりした画像を撮る事ができるという特性があります。

光学顕微鏡の場合、手前にピントを合わせると、奥の部分がぼやけたり
ぎゃくに奥の方にピントを合わせると、手前がぼけたりして、
奥行きがある物質の観察には向きませんが、
電子顕微鏡はかなり深くピントを合わせれますので、
低い倍率のときでも写真撮影によく使われます。

ちなみに写真は白黒写真となります。

はじめて電子顕微鏡写真を見た人は「なんで、カラーじゃないねん」と
言うものですが、カラー写真ではないのは、電子を当てて、
出てきた電子を拾って画像化するから色情報が得られないためです。

ただ、白黒写真でも立体感溢れる写真となるため、非常にわかりやすいという特徴があります。

また、電子顕微鏡写真を撮るには、対象物が電気を流さないものだと、
表面に金か白金をコーティングする必要があります。

この前処理が結構、手間なんですよね。

試料台に試料を乗せたあと、金の蒸気で物質の表面をコーティングします。
チョコでコーティングしたアイスクリームを想像していただければよいのですが、
ナノレベルでのコーティングなので、物質の表面の凹凸も逃さず
金でコーティングを行います。

今回は金よりさらにコーティングが細かい、白金を使用しました。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)

2008年07月07日

電子顕微鏡での世界

MMUについて色々ご意見をいただくことが多くなりました。
作ってほしいとの意見もたくさんありました。

それでは少しMMUやルースパウダーについて見てみましょうか。

パウダーファンデーションといっても各社それぞれ色々な持ち味があります。

様々な粉体原料を組み合わせて作られていますが、電子顕微鏡を使用して見るには
ちょうどいい題材だと思います。

ルースパウダーやMMUを集めて、電子顕微鏡で覗いて見ました。

また、こちらのブログで募集して、手作りファンデーションについても見ましたので、紹介していきたいと思います。

ちなみに電子顕微鏡は、その名前の通り、電子を利用してミクロの世界を見るものです。

光学顕微鏡は日光などを利用しますが、可視光では、光の波長が大きいため、
せいぜい2000倍程度までしか見えません。

電子顕微鏡は、電子を使いますので、30万倍程度まで見ることが可能です。

最近では、分子そのものを見る装置もあるほどです。

せっかく、電子顕微鏡という便利な装置があるのですから、
利用しない手はありません。

また、化粧品で使われる素材は、せいぜいナノといっても10万倍も
あれば十分に見れる程度です。

以前にマイカやタルクに比べて、酸化チタンや酸化鉄の粒子は小さいと
書きましたが、なかなか言葉だけでイメージしてもらうの難しいと思っています。

電子顕微鏡を使用することで、これらの粒子の大きさをしっかりと
認識していただくことができ、大いに勉強してもらえると考えています。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(3)

2008年06月06日

ファンデーションへのニーズの違い その2

ファンデーションの剤形というのは、欧米諸国と日本では大きな違いがあります。

それは日本ではプレストタイプのパウダーファンデが主流タイプですが、
欧米では、リキッドファンデーションが主流となっています。

1年間で使用したファンデーションの剤形を比べると
リキッドファンデーションを使用した人は
アメリカ人で81%、イギリス人で81%、日本人で50%
クリームファンデーションを使用した人は
アメリカ人で16%、イギリス人で23%、日本人で19%
パウダーコンパクトファンデーションを使用した人は
アメリカ人で41%、イギリス人で33%、日本人で74%となっています。

パウダーファンデーションの使用率は欧米では低くなっていますが、
日本人とのいくつかのスキンケアの違いがあります。

まず一番大きなことは顔そりの習慣があるかどうかです。
顔そりは産毛を剃る習慣ですが、欧米にはあまりないようで、
日本をはじめアジアで見られる習慣のようです。

顔の産毛を減らすことにより、パウダーファンデーションの化粧のりが
大きく変わります。パウダーが肌に密着せず、産毛の上にのるため、
粉が浮いたような感じに見えるからです。

そのため、産毛があるような肌だと、リキッドファンデーションの方が
仕上がりが良くなります。

また、日本では湿度が高く、また頬骨が欧米人に比べて高いため、
どうしても頬の部分がテカリやすくなります。
そのため皮脂吸着パウダーなどを配合すると、パウダーファンデーションの
ような剤形となります。

逆に欧米ではスキンケアに何ステップもかけないため、
保湿力のあるファンデーションが求められるようになります。

ファンデーションにある程度スキンケア効果を期待するためで、
そのためリキッドファンデーションが好まれる傾向にあります。

最近は、容器の中では固まっていて、使用時に乳液状に変化する
クリーミーコンパクトも増えてきていますので、
最終的にどの剤形が好まれるか興味深いところです。

shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)

2008年06月05日

ファンデーションへのニーズの違い

日本と欧米各国でのファンデーションのニーズの違いを調査したレポートがあります。
2003年にP&Gが発表したものです。

日本では、ファンデーションと日焼け止めがくっついた製品が
多くあります。
ファンデーションでSPF15、PA+以上というのは珍しくありません。

しかし、欧米で売られているものは、あまりSPF値が高くないものが
多いのが特徴。

そもそも欧米人向けのファンデーションは、白色顔料である酸化チタンの
配合量が日本人向けより多く配合されているはずですが、
案外紫外線防御機能については低くなっています。

これは、紫外線防御効果が弱い顔料タイプの酸化チタンを使用しているからで
日本のファンデーションのように微粒子酸化チタンをあまり配合していない
ことによります。

欧米人は、日焼け止めは別のアイテムとしてきっちり使うというのが
一般的で、日本人の65%が日焼け止めでなくファンデーションもしくは
メイクベースから日焼け止め効果を得ているのに対して、
アメリカ人は12%、イギリス人は6%、ドイツ人では3%となっています。

つまり、日本市場向けの商品は日焼け止め効果が無いとファンデーションは
売れにくいものですが、欧米諸国向けでは、日焼け止めとファンデーションを
くっつる必要はなく、日焼け止めとファンデーションは別々に開発する
必要がでてきます。


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(0)

2008年06月03日

MMUの反響が色々ありましたので・・

MMU(ミネラルメイクアップ、ミネラルファンデーション)についての記事を書きましたが、いろいろ反響がありました。

酸化チタンと酸化鉄の毒性ですが、タバコに比べるとかなりましと
お考えください。タバコの煙の粒子は肺から簡単に吸収され
血液に流れ込んでいきます。

たとえば、妊婦がタバコを吸うと胎児の細胞の成長を阻害するため、
子供が低体重や障害を持つ確率が高くなり、
妊婦の禁煙が推奨されるのはご存知の通り。

MMUを作ってほしいとの要望も多くありましたが、
結局は日本で売られているようなマイカやオキシ塩化ビスマスなど
肌に付着しやすい成分を主体にするようなものしか難しいと思います。

なお、微粒子酸化チタン配合のものは、ナノ粒子をそのまま吸い込んで
しまいますので、注意が必要です。
微粒子酸化チタンは、タバコの煙より微細な粉となっています。

ただ、市販のMMUの粉をいくつか観察しているとかなり粗く、
湿気によって粒子は大きくなっていきますし、銘柄によっては
それほど吸い込む危険性を気にしなくてもよいのかなと考えています。

この辺りのMMUやルースパウダーの粒子の大きさなどを、
何らかの方法で検証して、皆さんに見てもらえないか、考え中です。

ただし、前にも書きましたが、微粒子酸化チタンを粉末で
飛散するような状態で配合するメーカーは、ほとんどありません。

通常、タルクやセリサイト、マイカなどの粘土粒子は似たような大きさで
サーフィンに使うサーフボードの大きさとすると、ファンデーションの
シミのカバーに使う顔料級の酸化チタンは野球ボール程度。

紫外線防御に使う微粒子酸化チタンはパチンコ玉ほどの大きさになります。
(顔料酸化チタンは約0.2ミクロンの大きさで、これが最も顔料としての
 役割を果たす大きさ。微粒子酸化チタンは0.1ミクロン以下を言います。
 顔料サイズは可視光線を跳ね返し、微粒子チタンは紫外線を跳ね返します。
 可視光線と紫外線の波の大きさが違うので、それぞれ最適なサイズも異なります)

基本的に、顔料は粒子が細かいと鮮やかな発色になるので、
タルクなどに比べて細かくなりがちです。

もちろん、これは各企業の技術力や配合によって変わり、
せっかく細かいはずの酸化チタンも粉同士の混ぜ方が悪いと
粒子同士がくっついて粒度が荒くなっている可能性もあります。

ただ、高いSPF値のものほど、微粒子酸化チタンを使っている可能性が
ありますので、注意が必要です。

リキッドやクリーム、プレストタイプなら、粒子同士がオイルなどを
通じてくっついているため、ナノ粒子を吸い込むことはありませんが、
さらさらのパウダーは注意が必要です。

MMUを水に溶かして水おしろいのようにすることもできますが、
そうすると大抵の市販の日焼け止めと相性が悪くなり、
単にリキッドにしてもうまくつかないというジレンマに陥ります。
(日焼け止めは汗で流れないのが当たり前ですが、
 耐水性の日焼け止めはリキッド化したMMUを弾きやすくなります)

日焼け止めとの相性を考えると、粉のまま使うしかありません。

なお、微粒子を髪や服にほとんどつけず、顔だけに付着させるという技術は
存在しています。某社の吹き付け型ファンデーションがそうです。

ファンデーションの粉をイオナイザーでイオン化し、帯電しやすい肌表面へ
均一な層をつけるタイプのファンデーションです。

粉は電気的に反発するので、粉同士がくっついて厚塗りになることはなく、
また、塗る際のブラシやパフでの刺激もないのが特徴。

MMUで使えたら面白いような気がしますが、残念ながら使えません。
あの装置では、シリコーンでコーティングした粒子を使うことが
ポイントになっています。

シリコーンでコーティングすることで、帯電したイオン粒子に
なりやすいのです。
(水に溶けてイオンになるのはとはちょっと違います。
 布でガラス玉を擦ればガラスが静電気を帯電するのと同じ現象を
 あの装置を利用しています。たとえば、スカートの裾が
 まとわりつくのも同じような帯電現象のひとつです)

空気中の埃を集める電気集塵機がありますが、
あれも吹きつけファンデーションと同じような原理を利用しています。

そうそう、10年前、大ヒットしたファンデーションがありました。

それは、酸化チタンや酸化鉄を無配合を前面に出したルースパウダー。

カバーするのは、当たり前と考えていた大手の化粧品会社に
衝撃を与えた商品です。ノーカラーファンデーションとも呼ばれました。

ソフトフォーカスで肌の透明感を自然な感じにして、肌のキメを細かくみせ
素肌の美しさを強調できるのが、ヒットした理由です。
(要は粉おしろいから顔料を抜いたものですね)

リキッドファンデーションもほとんど酸化チタンや酸化鉄を
配合せず、肌色がほんのりつく程度のものも流行りました。

MMUとは全く逆のコンセプト。
世の中、何が女性の心を掴むのかよくわかりません・・(^^;;


shin_chanz at 00:01|PermalinkComments(2)