日焼け止め

2011年04月26日

日焼け止めを発売しました

紆余曲折がありましたが、ようやく日焼け止めを発売しました。

SPF30 PA++で50ml 2680円です。

界面活性剤を全く使わないのが特徴で肌への優しさを重視しました。

シリコーンや旧指定成分も使っていません。石鹸で落とせます。

ただ、開発当初より問題であった日焼け止めの保水膜は相変わらず強いままで、
肌質によっては汗をかきすぎると溜まる可能性があります。

保湿ゲルの強さを弱くすると、酸化チタンの分散が出来ず、この解決につきまして
しばらく先になりそうです。

この問題解決は、ミネラルファンデーションを上から使用することで、
汗はスムーズに排出されることを確認しています。

乳化剤に石鹸やレシチンを使う日焼け止めはいくらでもありますが、
乳化剤ゼロというのは、乳液タイプではなかなかなくて発売前に
日経産業新聞にも取り上げられて、若いお母さん方からの問合せもたくさんいただきました。
美容雑誌で掲載されるより新聞の方が反響が大きかったので、不思議なものです。

日本製、海外製のミネラルファンデーションで、
乳液タイプは例外なしに界面活性剤を使用しています。
この技術を用いれば、世界初の界面活性剤ゼロのミネラルファンデーションとして
売り出すことも可能なのですが、残念なことに製造ロットが大きすぎて
それはまだまだ先になりそうです。

shin_chanz at 20:38|PermalinkComments(10)

2010年12月12日

リペアエッセンス

セラミド1、3、6を配合したセラミド原液のリペアエッセンスという商品がトゥヴェールにあります。

多くの化粧品会社がこのリペアエッセンスを利用して化粧品を作っています。

この製品の問題は、セラミド配合量が高いために原液で使うとテクスチャが悪いこと。
薄めて使うほうがテクスチャは良くなります。
セラミドを配合していても潤滑剤になるような成分が入っていれば、テクスチャは悪くなりませんが、あくまでセラミド配合製剤の原液だけにそういう感触向上剤は入っておらず、テクスチャの悪さが問題でした。

また、薄めて使うというのは、慣れない人にはむずかしいのかもしれません。

そこでこのリペアエッセンスを使って、もっと良い応用例が出来ないか検討した結果、オールインワンゲルを発売することになりました。

リペアエッセンスを配合し、酵母エキスを中心としたゲル。
乾燥対策とエイジングケア対策が主となります。

オールインワンゲルは油分を含まないタイプと含むタイプの2種類に分かれます。
油分が含まれていないと、みずみずしい使用感となりますが、油分がないため、持続的な保湿力は劣ります。

夏場はそれでしのげても乾燥する季節には厳しいと考えています。
ただ、オールインワンゲルに油分を配合しすぎると、ただのゲルクリームとなりますので、油分はほどほどの配合量にしました。

オールインワンゲルは使用感の軽さも重視されるので、保湿力を上げるために油分を入れたらいいというものではなく、保湿力には限界が生じます。

時間が無い方や手間無くお手入れを済ましたい方には試していただきたいと思います。
また、リペアエッセンスの応用例を知りたい方にもお勧めです。

2月くらいに発売できればと考えています。

shin_chanz at 20:00|PermalinkComments(5)

2010年12月07日

シリコーンコーティング

日焼け止めの開発は、いまだ道半ばといった状態ですが、シリコーンコーティングを使うかどうか検討を開始しています。

前のバージョンは、酸化チタンの上にミネラルをコーティングし、そしてオイルをコーティングしたタイプでテストを行っていました。

どちらかというと水分散タイプの日焼け止めに使われるコーティングで、界面活性剤を使わずに天然高分子のゲルで分散させていましたが、汗をかくと日焼け止めの膜が汗を抱き込んでしまい、なかなか抜けていかないという問題がありました。

この問題は肌質や生活環境によっても変わってきましたが、女性スタッフに岩盤浴で試してもらうと、やはり湿度が高い環境下では、汗が抜けにくく、結局のところ、汗がでる環境下では使えないことが判明。

なぜ、ここまで汗を抱えこむのか不明な点が多いのですが、酸化チタンのコーティング剤を見直して、撥水性の高いシリコーンコーティングへ変更しました。

最初のタイプは、全体が水になじむ成分でしたが、今回は酸化チタンに撥水性を持たして、撥水性のある微粒子によって、水へのなじみやすさを減らしたわけです。
この結果、汗に対する効果を確認しました。酸化チタンが汗を弾きやすくなったおかげか、肌を覆う日焼け止めの膜から、汗が抜けていき、水滴が溜まることはありませんでした。

前の日焼け止めは汗が抱え込まれて顔面に無数の水滴が生じる事態になりましたが、今回は、岩盤浴で確認してもそのような状態は起きにくかったです。

この日焼け止めはシリコーンでコーティングしていますが、その上を植物オイルが覆っている状態なので、専用クレンジングの必要は無く、石鹸で落とすことが可能です。
(シリコーンオイルを基材にしている場合は、専用クレンジングが必要です)

酸化チタンのコーティングでここまで状態が変わるのかと、改めて認識させられましたが、界面活性剤不使用ですし、肌へのやさしさと機能性はある程度確立できたものと考えています。

今後はシリコーンのコーティング膜の厚さを確認しながら、改良などを行っていく予定です。

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2010年11月19日

界面活性剤を使わない日焼け止め

界面活性剤を使わない日焼け止めの開発に着手して4ヶ月が経ちましたが、残念な結果になりそうです。

界面活性剤を使わない乳化方法で日焼け止めを作るとどうしても汗が抜けにくいという問題点が発生しました。

これは高分子のゲルに日焼け止め剤である酸化チタンを分散させるため、ゲルが肌の上に膜を張り、この膜が水分を通しにくい膜であるため、汗が水滴となり肌表面に付着していきます。

普通、クリームでもゲルでも水を通すため、このような現象はほとんど起こりません。

ただ、このゲルは植物系のゲルで、水に溶けるものの一度水が蒸発して析出すると水を弾くという問題が生じます。

つまり、汗が蒸発しようと肌の上に出てきても、この日焼け止めの膜が邪魔をして蒸発させません。

もちろん、肌の状態、皮脂の量によってもこの膜は変化して、水分を通したり通さなかったりします。

使用感はまるでシリコーンを入れたような軽いテクスチャだったのですが、このような致命的な問題が生じてしまい、色々試行錯誤を行いましたが、どうもこれは駄目だという結論に達して、違う方向性を考えることにしました。

化粧品の広告で潤いのヴェールとよく言いますが、ここまで肌に密着して水分を通さないものは中々無いのではないかと思います。

日焼け止め以外に何か使える用途が無いのか、考えたいと思います。

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2010年09月29日

試作品の日焼け止め

日焼け止めの試作品を10名の方に試していただきました。

概ね良好な反応です。

ただ、一つ問題点も浮き上がってきました。
それは汗を流しにくくすること。

もともとは水に分散しているゲルが肌の上に塗布した後、水分の蒸発に伴い酸化チタンと酸化亜鉛を固定化する膜が出来上がります。

日焼け止めのゲル膜ですが、このゲル膜に皮脂が吸着されると、皮脂量によってはゲル膜が強くなることがあって、汗をうまく蒸散させない現象が生じるようです。

今回は、10名の方のうち2名の方にその現象がありました。

汗をかきやすくなるという現象でしょうか。

この解決法がなかなか難しく、界面活性剤を使っていない日焼け止め特有の問題のようです。

今のところはティッシュで出てきた汗を抑えるというやり方で対応していただくしかありません。

ティッシュで抑えてもほとんど日焼け止めは落ちませんが、何かそんなことをせずに解決できないかと思案中です。

一番簡単なのは乳化剤の配合ですが、そうすると最初の目的である乳化剤不使用という点がクリアできず・・・。

すぐに解決できない問題だけに、頭を悩ましています。

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2010年09月01日

モニターを募集します。

新しい日焼け止めのモニターを募集します。

セラミドやエキスを配合したゲルクリームタイプの日焼け止め。
石鹸で落とせるタイプでありながらウォータープルーフを実現しています。

ひとつお詫びですが、SPFは23程度となります。
もっと上を目指したかったのですが、シリコーンを配合せずにこれ以上の日焼け止め成分の配合はむずかしく、また配合してもナノ分散できないので、あまり意味はありません。

そのため、SPF23 PA+++くらいに落ち着きそうです。

乳化剤は不使用。乳化剤を使わずにゲル化しています。
容器については未設定です。ステンレスボールの使用も検討していますが、
粘度を上げてゲルクリーム状も考えており、今回はクリーム状の粘度を持たせたものになります。チューブがよいのかもしれません。
サンプル自体はジャー容器でのご提供となります。

10名くらいのモニターを募集します。

応募が多数の場合は先着順となります。

追記:モニター募集は終了いたしました。ご多数のご応募ありがとうございました。続きを読む

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2010年08月18日

開発中の日焼け止め。

日焼け止めについてのたくさんのコメントありがとうございます。

現在の進捗状況ですが、ようやく界面活性剤を使用せずに酸化チタンやオイルの乳化に目処が立ちました。
レシチンなども一切使っていません。

ただ、界面活性剤を使わないとなると少々問題が出てきて、それは使用前に振って頂く必要が出てきたということ。

普通のオイルなら問題ありませんが、さすがに酸化チタンになると重たい金属ですので、徐々に沈降していきます。
乳液状を想定していますので、粘度はある程度ありますが、完全な沈降防止となると界面活性剤が必要になります。

しかし、今回は界面活性剤を使いませんので、ボールを容器に入れて使用前に振ることを前提にしています。

ほぼボールは無くても大丈夫というところまで開発が進んでいるのですが、安定性をじっくりチェックしながら、春先には発売したいと考えています。

この界面活性剤を使わずに乳化するという技術自体は以前からあるのですが、普通のクリームに応用すると、感触がいまいちという問題がありました。
みずみずしくなり過ぎて、日本人の好みに合いづらいものでした。

しかし、ノンシリコーン型の日焼け止めのような感触のものに使うと、酸化チタンのようなキシミ成分が多くてもキシミが出にくいというようなものとなります。

ある程度、処方が固まれば、モニターを募集していきたいと思いますので、そのときはよろしくお願いします。

日焼け止めとしてのスペックはSPF30 PA++くらいを想定しています。


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2010年07月07日

日焼け止めの開発 その5

シリコーンを入れるもう一つ大きな理由は、衣服へ付着させないこと。

有機系紫外線吸収剤の場合は、モノにもよりますが透明ですし衣服へついても目立ちません。

しかし、酸化チタンや酸化亜鉛の場合は、白い粉であり、衣服へつくとそれだけで問題と思う消費者も多くおられます。

日焼け止めだけでなくファンデーションにも言えることですが、衣服への付着問題は頭の痛い問題で、使い方の問題というより商品の問題と考える人も多く、不特定多数に販売する店頭ではシリコーンを抜くことが出来ないということもあります。

もちろん、店頭でも雑貨店や化粧品専門店の専門コーナーで自然派を訴求する場合は、この限りではありません。シリコーン未配合の化粧品は、お客さんを選んで売っていかないといけないため、難しい部分があります。

さて、乳化剤もどうしようかと迷う部分もあります。

海外の自然派化粧品には、乳化剤については合成成分を使っている場合もあります。
たとえばアルキルグルコシドはその典型例ですね。

椰子油やパーム油とブドウ糖から合成します。
椰子油を分解して脂肪酸にした後、還元してアルコールにして、高熱でブドウ糖と一緒にかき混ぜればアルキルグルコシドができあがります。
表示成分名は○○グルコシドとなります。

かなり強い界面活性能力があります。
花王の台所洗剤の主成分。油の乳化能力もかなり高く、ほかの成分に引けをとりません。
日本のメーカーはクリームなど洗い流さない化粧品にはほとんど使いません。
しかし、海外の自然派の多くはこの成分がすべて植物成分から成り立っているということで好んで使います。

文化の違いでしょうね。オーガニックを自負するヨーロッパ系メーカーでも使われます。
私はどうも花王の台所洗剤の主成分がオーガニック化粧品の乳化剤として使われるのには違和感を感じます・・(^^;;

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2010年07月05日

日焼け止めの開発 その4

シリコーンを配合するかどうか。

シリコーンといっても様々な種類があります。

酸化チタンなどのコーティングに使うシリコーンは酸化チタンの表面に焼き付けられます。
つまり、酸化チタンとシリコーンは化学的に結合するため、酸化チタンの表面から外れることはなく、肌に入ることはありません。

シリコーンへ酸化チタンをくっつける過程で水素が出るのですが、この水素対策が不十分だと、化粧品の中で水素ガスが発生し、色々問題を引き起こしました。
もうずいぶん前の化粧品にシリコーンが使われたときの話となります。
水素は火花がるとその濃度によっては爆発するので、廃棄物処理に神経を使ったようです。

さて、化学結合するシリコーンがある一方、ただのオイル状のシリコーンもあります。
ねっとりとしたオイルですが、日焼け止めにも良く使われます。

日焼け止めに使われるシリコーンは主にコーティング用のシリコーン、そしてシリコーンオイルとシリコーン樹脂でしょうか。

シリコーン樹脂は揮発性のシリコーンと一緒に使われており、揮発性シリコーンが蒸発すると、シリコーン樹脂によって肌の上でコーティングができるようになります。

もちろん、皮膜が強いと圧迫感があるので、柔らかく薄い膜です。

このシリコーンの膜が日焼け止めの基本となりますが、シリコーン膜をなぜ作るのでしょうか。

一番には皮脂や汗に対してある程度強くするためで、シリコーンによって落ちにくい日焼け止めとなります。
海水に濡れても落ちず、タオルで体を拭いても落ちない日焼け止めであるウォータープルーフタイプには、欠かせない原料です。

また、耐水性だけでなく使用感も明らかに良くなります。伸び、肌なじみなど、酸化チタンが多いときしみ感が生じるのですが、シリコーンは肌に伸ばすときの抵抗を激減させるため、きしみ感を無くします。



shin_chanz at 00:00|PermalinkComments(0)

2010年07月02日

日焼け止めの開発 その3

開発を考えているのはノンシリコーン及びノンポリマー、ノン合成オイルの日焼け止め。紫外線吸収剤も配合しません。

高SPFの日焼け止めには紫外線吸収剤を多く使います。
紫外線吸収剤は、酸化チタンより張るかに細かい粒子として分散しているため、紫外線が通る隙間を与えません。

酸化チタンや酸化亜鉛は、どんなに細かくしても必ず微細な隙間があり、そこに紫外線が入り込んでいきます。

また、酸化チタンや酸化亜鉛は、紫外線錯乱剤という表現がされますが、実際には紫外線吸収剤としての働きもあります。

そこが他の鉄などのほかの金属との違いですが、一定量の紫外線を吸収すると、急激に防御効果が落ちます。

もし、紫外線錯乱だけで紫外線を反射するなら、永遠に効果が続きそうですが、紫外線吸収剤としての効果も持ち合わせており、こちらの方が紫外線を防御するという意味では強いため、一定量の紫外線に当たると、他の有機系紫外線吸収剤と同様に効果が落ちてしまいます。

有機系紫外線吸収剤の場合は、紫外線を吸収すると化学構造が変化して、元に戻るときには光や熱などを放出して、また紫外線を吸収するという繰り返しにより紫外線防御を行います。
ただ、この繰り返しも永遠に続くことはできず、元に戻らなくなるにつれ、紫外線防御効果が落ちていきます。

紫外線錯乱剤である酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムだけで高SPFのものを作ろうとすると、ナノ酸化チタンが必須ですし、そうすると「乾燥」という問題も出てきます。

微粒子になればなるほど、表面積が多くなるため、皮脂を吸う力も強くなります。
もちろん、皮脂を吸うことで、化粧崩れなどを防ぐというメリットもありますが、乾燥も比例して強くなり、乾燥感がそもそも存在しない紫外線吸収剤とは使用感に違いがあります。(ただし、有機系紫外線吸収剤のなかにはミクロ粒子状となっていてあえて肌に浸透しないサイズのものも存在します)

なお、色々読者の方に教えていただいた日焼け止めすが、オーガニックを標榜していてもいくつかは「ナノチタン」であるような気もします。
これを調べるには、電子顕微鏡で見るしかありません。
ただ、MMUのように単なるミネラルの粉なら電子顕微鏡で覗くことも可能なのですが、日焼け止めやファンデーションの場合は、覗いてもナノ粒子の大きさはわかりません。
油などが邪魔をしていて、本当は小さい粒子なのに、周りについている余計な成分のため、誤って大きく見えてしまうからです。
これに対応するには、日焼け止め自体を燃やして、有機系成分を全部飛ばし、電子顕微鏡で覗くしかありません。
今回はそれが出来るかどうかわかりませんが、見てみたいものはいくつかあります。

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