ポーラ

2006年10月08日

4−n−ブチルレゾルシノール(ポーラの美白剤)

ブチルレゾルシノールはクラレとポーラが共同で開発したものです。
原料製造元はクラレで、使っているのがポーラということです。

通称ルシノールとして、ポーラの商品に配合されています。

レゾルシノールは、レゾルシンともいい、殺菌効果が強いので、
市販のニキビ治療薬に配合されています。
ニキビ向け化粧品に配合されることもあります。

また、染料としても重要で、ヘアカラーの発色剤として、
染毛剤に使われています。

表示指定成分でもありますので、医薬部外品に配合された場合は、
箱に表示されています。

強力な還元力を持つことから、酸化防止剤として、工業薬品に使われる
ことも多いのですが、これに皮膚浸透性を良くするアルキル基をつけると
メラニン合成を阻止して、皮膚浸透性も良くなり、酸化防止剤としても
使えるという面白い特性を持つようになります。

ただ、欠点は刺激性が強すぎるということで、
従来の美白成分と同じように高濃度に配合することはできません。
微量配合しないと、ぴりぴりとした刺激感が強く出てしまいます。

ポーラは配合特許で、他のメーカーが使えないようにしていますので、
他メーカーが使えるのは、まだまだずいぶん先となります。

さて、ルシノールですが、さらに浸透性が高いようなタイプが
実は海外で食品添加物として使われています。

メラニンは、人間の肌にだけ存在するものではなく、
実は下等生物もメラニンを作り紫外線防御を行っています。

必要以上の紫外線は、生物繁栄の脅威となるため、
当然その防御の仕組みも植物や魚類、甲殻類、動物なども
持ち合わせています。

ただ、食品として買う場合、えびや魚、かにに黒い斑点が
あちこちあったら、気持ち悪いですよね?

自分で料理しなくても、レストランで出てきたカニ料理で
甲羅がまだらの黒い斑点なら、食欲がなくなるほか、
食べると病気になるんじゃないかと勘ぐることさえあると思います。

それで、食品添加物として、化粧品の美白剤が
食品の鮮度維持を見せかけるために、使用が許可されています。

日本では、ビタミンCが一般的です。
コウジ酸も許可されそうになりましたが、
その審査の過程の動物実験で、腫瘍を作ることが発見されましたので、
コウジ酸の食品添加物への登録は拒否されました。
(食品添加物になるためには、動物実験のデータもかなり必要なので、
 化粧品の成分に登録されるより、はるかに遠い道のりとなります。)

さて、アルキルレゾルシノールですが、こちらはヨーロッパで
カニなどの甲殻類用の美白剤として使われています。

まあ、えびやカニの殻を食べる人はそういないと思いますので、
かの地で過ごされても、美白剤を口にすることはないと思います。

もし、アルキルレゾルシノールが日本で食品添加物として、
許可されることがあれば、化粧品にも使われる日がくるんじゃないかと
考えています。

海外で許可された食品添加物は、審査もだいぶ緩くなっていますので、
5年先は駄目でも、10年先はもしかしたら許可されているかもしれませんね。

まあ、あと10年もすればルシノールのポーラが持つ基本特許が
切れると思いますので、ルシノール配合を売り物にする化粧品が
いっぱい出てくることでしょう。


shin_chanz at 10:50|PermalinkComments(0)