治療

2006年10月24日

円形脱毛症の治療法 その2

さて、円形脱毛症の治療において、強力な薬剤以外の治療法はないかというと
そういうわけではなく、一つあります。

それはミノキシジルという育毛剤を使用する方法で、
47人の重症患者に対する5%ミノキシジル治療結果は、
48〜60週後に毛髪新生を40人に認められました。
Arch dermatol 122 180-182 1986

頭髪の75%以上が脱毛している患者で1%と5%のミノキシジルの
効果を見たところ、60週後には1%で38%、5%では81%と
濃度が高いほど発毛しているという結果があります。
J Am Acad Dermatol 16 737-744 1987

ただ、かつらがとれるまで生え揃った患者は
75%脱毛している患者では6%、25〜74%脱毛患者では
37%という結果でした。
Arch dermatol 122 180-182 1986

各種治療法でも効かなかった患者にステロイド外用剤を併用すると、
16週後ではプラセボで13%、ステロイド単独で22%
ミノキシジル単独で27%、両方併用で56%と
ミノキシジルの効果が非常に有効であることが示されています。
J Invest Dermatol 94 524 1990

ミノキシジルは日本ではリアップという商品名で売られています。
ただし、濃度が1%であることから、あまり期待できません。

5%品は海外でロゲインという商品名で売られています。
日本でもいろいろ育毛剤が売られていますが、
今のところ、確実な発毛というのはロゲインの個人輸入が
一番かなと思っています。
アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドから買うことができます。


shin_chanz at 00:39|PermalinkComments(0)

2006年10月21日

円形脱毛症の治療法 その1

手作りの育毛剤を作るにしても、脱毛症治療がどこまで進んでいるのか
知っておく必要はあるかと思います。

脱毛症の中でも、特に重症なのが円形脱毛症になります。

昔から精神的なショックを受けると、毛が抜けるといわれていましたが、
実際にはまだストレスがどのくらい関与しているかはわかりません。

ただ、円形脱毛症の場合、患者の血液には、アトピー皮膚炎患者と
同じように、自己抗体を持つ場合やリンパ球に異常がみられる場合があります。

円形脱毛症の患者の皮膚を免疫がないねずみに移植すると
毛が簡単に生えることやステロイド剤などが効くことから
免疫の異常によって引き起こされていると考えられています。

ところで、円形脱毛症は英語でalopecia areataといいます。
日本では患者とその家族だけが苦しむ病気となっていますが、
欧米では、円形脱毛症は慢性的で治療も難しく、深刻な精神的なストレスを
患者に与えることから、治療法を研究する機関や患者の支援組織が
しっかりサポートする活動を行っています。
国や企業からも支援組織に寄付が寄せられたりして、どう患者を
支えていくのか、みんなで考えているところが日本とは違うところです。

さて、治療ですが一番効果が高いのは、ステロイド治療法となります。
かなり強いステロイド外用剤や内服薬を使用することで、
年齢が若いほど、円形脱毛症になって治療が早いほど効果的であることが
わかっています。ただ、ステロイド療法は、ステロイド依存症となる
可能性もありますので、長期に続けるのは難しいですが、
強いステロイド剤で症状が緩和することを鑑みると
円形脱毛症は単なるハゲというものではなく、難病と考えてよいほどの
ものと思います。

また、免疫システムが局部的に異常をきたしているのが
原因なので、ショックを与えて正常に戻そうというのが、
局所免疫療法contact immunotherapyといいます。

だれでもかぶれる、つまり接触皮膚炎を起こすような強烈な物質を
塗ることで、接触皮膚炎を起こして、免疫システムを正常化しようという
試みです。
56人の円形脱毛症患者(全頭の90%以上が脱毛した患者42人、
30〜90%脱毛患者14人)を対象とした治療では、
半年間脱落せずに続けた患者52人のうち、
25人で完全に治療でき、硬毛の再生が見られたのが11人、
無反応は16人という結果があります。

ただし、この治療法は、接触皮膚炎が起こらないと治療法自体が
成り立たないので、肌が強くかぶれにくい人には使えない治療法です。

shin_chanz at 17:11|PermalinkComments(2)